著者
杉 ライカ
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.58-65, 2023-01-15

テキスト・トゥ・イメージ(text-to-image)の画像生成AI(Midjourneyを例とする)を,プロ作家がオンライン小説の現場でどのように活用しているか,具体例を交えてレポートする.自作小説の挿絵や登場人物のイメージ画を作成するだけでなく,さまざまな場面で,AI描画が作者と読者の想像力を仲介するのに役立っていると考えられる.その他,AIが描画した予想外のイメージによって作者の創造力が刺激される可能性について,またAI描画ファンアートの登場によって既存のファンコミュニティにどのような影響を与えうるかなどについても,導入から間もない現状についてのレポートや,今後の見通しなどをまとめている.
著者
松山 郁夫 中島 範子
雑誌
九州生活福祉支援研究会研究論文集 (ISSN:24323004)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.45-53, 2017-01-31

本研究では、重度知的障害のある幼児の表象能力が運動を中心とする自由遊びにどのように影響しているのかを検討した。太田ステージによる対象児の表象能力の測定結果、および学生トレーナーの観察記録から、運動を中心とする自由遊びの場における遊びの様子との関連を検討した結果、対象児はその表象能力に応じた自由遊びをしていること、および表象力を把握して発達課題を明確にすると発達を促進するための支援を考案できること等が考察された。
著者
寺本 剛
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.237-259, 2014-09-16

デレク・パーフィットは『理由と人格』においてある思考実験を提示している。そこでは,地球にいる人物の全ての情報をコピーし,その情報に基づいて火星に新たなレプリカを作成した場合,それは地球にいた人物の火星への移動と見なされるべきか,それとも地球にいた人物は死に,火星でその人物そっくりの別人が生きはじめると考えるべきなのか,ということが問題とされている。通常私たちは以上の事態を「私の死」と見なしがちであるが,これに対してパーフィットは火星にレプリカが生まれることは,私が普通に生き続けるのと同じくらいよいことだと主張する。この主張の正否を明らかにするために,小論ではパーフィットの議論を必要な範囲で跡づけ,それに対して批判的に検討を加える。その過程で「私は自分自身が何であると信じた方がよいのか」という問いについて一定の見通しをつけるよう試みる。
著者
金丸 裕志 Yuji KANAMARU
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.29-40, 2023-03-01

民主政治における「大統領制化」の議論は、ポグントケらの研究を中心にこれまで数多く議論されてきた。本稿ではこの「大統領制化論」を検討し、その内容を「政策決定過程」と「選挙過程」とに分けて考えることでよりよく理解が進むことを示す。そして彼らの大統領制化論に対する批判のなかで、それを政治の「個人化(personalization)」とする議論を紹介し、とくに「選挙過程」に着目することで、今日、先進民主主義諸国だけでなく新興民主主義国や途上国でもみられるポピュリズムや新興政党といった政治の現象は、むしろ政治の「個人化」として理解する方が妥当であると結論付ける。
著者
大原 遼太郎 小早川 倫広
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.137-138, 2016-03-10

実践的なコンピュータ教育の教材として東京工業大学の吉瀬らが提案した教育用FPGAボードMieruEMBは、実際にコンピュータを「つくる」「動かす」という一貫した教育を実現している。さらに実践的な教育を行うためには、コンピュータを「つくる」「動かす」に加え、「つなげる」という教育を行う必要がある。 「つなげる」という教育を実現するためには、ネットワークに接続するための新たな教育用FPGAボードを開発する必要がある。そこで本研究では「つくる」「動かす」「つなげる」をコンセプトとした、実践的なコンピュータ教育を行うたの教材として教育用FPGAボードを設計・開発した。
著者
大渡 勝己 西野 順二
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2019-GI-41, no.24, pp.1-8, 2019-03-01

レーティングシステムはスポーツやゲームにおいてプレイヤの強さを推定し順位付けを行うことに役立っている.一般に広く用いられているイロレーティングはプレイヤの強さに全順序性を仮定しており,じゃんけんのように強さの関係が循環する場合を表現できない.近年,このような相性関係も含んだレーティングシステムの研究も行われており,本稿では相性を含んだレーティングモデルとして有用性が期待できるものを複数提案する.特に,三つ巴関係を直接表現するモデルを現実世界のデータに対して適用し,この提案モデルが現実のデータの推定精度を向上させうる可能性を示した.
著者
大森 信 Makoto Omori
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 (ISSN:21890951)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.40-86, 2014-02-28

On the occasion of a donation of postage stamps collected by the author to the Museum of Fishery Sciences, Tokyo University of Marine Science and Technology, a checklist of all postage stamps depicting crustaceans from 1871 through 2002 has been completed. In all, 1407 postage stamps with crustaceans have been issued from 217 countries, regions, and organizations excluding local stamps from Russia and others. The number of taxa (species or genus) that were identified in the stamps is 354. The present collection to be donated at the Museum for future reference contains 1313 original stamps including 25 old local stamps from Vessiegonsk, Russia and 114 copies of those that were unavailable to the author.
著者
油田 健太郎 山場 久昭 片山 徹郎 朴 美娘 岡崎 直宣
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.2395-2405, 2015-12-15

現在,P2Pファイル共有ネットワークが世界中で利用されている.しかし,その多くはファイルの流通制御を持たないため,著作権侵害ファイルの流通やコンピュータウイルスによる個人情報の流出などが社会問題となっている.その解決策としてインデックスポイゾニングと呼ばれるファイル流通制御方式が研究されている.しかし,P2Pファイル共有ネットワークへインデックスポイゾニングを適用する際に,トラフィックの増大やインデックスの汚染などの問題が発生することが確認されている.そこで本論文では,ファイルの流通制御を低下させることなく,それらの問題を解決する手法として,P2Pファイル共有でのクラスタリングに着目して,重点的なポイゾニング機能を提案することで従来手法を改善し,その一部をWinnyネットワーク向けに実装することで,提案手法の有効性を評価する.