著者
藤本 徹 荒 優 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.267-273, 2019-12-31 (Released:2020-02-14)
参考文献数
33

近年の大規模公開オンライン講座(MOOC)の進展により,世界規模で受講者を集めるグローバルなオンライン教育プラットフォームが普及した.その一方で,学習意欲の向上や継続的な学習支援の仕組みの不足が指摘されている.本稿では,MOOC の学習支援の手法としてゲーミフィケーションに着目し,MOOC のコースデザインにゲーミフィケーションを取り入れた先行研究をレビュー調査した結果をもとに,ゲーミフィケーションの構成要素やそのコースへの導入のための基本的なモデルや理論的枠組みの研究動向を検討した.MOOC のコースデザイン上の課題に対し,ゲーミフィケーションを試行的に取り入れた研究が見られ,デザインフレームワークを体系化する取り組みも見られるが,ポイントやバッジなどの実装しやすい要素の導入が多いことが確認された.
著者
尾崎 朋文 森 俊豪 坂本 豊次 竹中 浩司 湯谷 達 米山 榮 松岡 憲二 巽 轍夫 吉田 篤 北村 清一郎
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.413-420, 2002-08-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1

遺体解剖と、健康人生体での臨床所見・CT画像より、膏育穴刺鍼の安全深度を検討した。遺体所見では、両膏育穴への刺入鍼は第5肋間に位置し、左側の肋骨の厚さは10mm、体表-胸膜 (肋骨後面) 間距離は44mmであった。健康学生104名の膏盲穴での体表-肋骨前面間距離の最小値は肥満男女以外の体型で14mmであった。標準型・やせ型男性のCT像では、刺入鍼は1側で肋間に、3側で肋骨に達した。肋骨の厚さは各々10.9mm・9.8mm・8.8mmで、体表-胸膜間距離は各々33.6mm・28.4mm・29.4mm・31.8mmであった。以上の結果から、肋骨の厚さと体表一肋骨前面間距離の最小値より勘案すれば、極端なやせ型を除き、19mmまでの刺鍼は、外傷性気胸を起こす可能性は皆無に近く、安全と考えられる。換言すれば、19mm以上の刺鍼では、外傷性気胸を起こす可能性が高まることに留意する必要がある。
著者
尾崎 朋文 森 俊豪 坂本 豊次 于 思 湯谷 達 竹中 浩司 佐藤 正人 米山 榮 前岡 弘子 北村 清一郎
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.103-110, 2000-03-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
29

先天性胸骨裂孔 (以下胸骨裂孔) の出現状況や胸骨の厚さを遺体で調査するとともに、生体での画像所見から、胸骨裂孔の有無および〓中穴での体表から胸骨後面までの距離を調べ、〓中穴への安全刺鍼深度を検討した。その結果、51遺体中の1例に胸骨裂孔が認められた。裂孔は第4肋間の高さにあり、形状はほぼ円形、直径は胸骨外面で9mmで、固い結合組織で埋められていた。21遺体での胸骨の厚さは9-15mmの範囲で平均は11.5±2mmであった。生体31例の〓中穴での体表一胸骨後面間距離は11-31mmの範囲で、平均は18.8±5mmであった。これらの結果から、仮に胸骨裂孔が存在しても、〓中穴への刺鍼では、極端な痩せ型を除いて10mmまでは、刺入鍼が心臓に達する可能性はなく、安全と考えられた。
著者
厳 振国 張 建華 顧 洪川 毛 根金 魏 鴻煕 王 財源 吉備 登 高橋 研一 王 財源 吉備 登
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.191-195, 1997-09-01 (Released:2011-03-18)

51体の新鮮な成人遺体を冷凍し、風府、〓門、風池、晴明穴における断面を作製し、断面の浅点 (その経穴の皮膚表面) と深部点 (危険臓器よりの最も近い点) の間の最短距離すなわち危険な刺入深度を測定した。その結果より刺針時の安全な刺入深度を求め、風府は40.08mm、〓門は38.10mm、風池は39.77mm、晴明は34.25mm以下であるとの結論を得た。
著者
新原 寿志 古瀬 暢達 上原 明仁 菅原 正秋 山﨑 寿也 山下 仁
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.64-78, 2015 (Released:2015-08-19)
参考文献数
83

我々、 公益社団法人 全日本鍼灸学会 研究部安全性委員会は、 同学会が主催する第 63 回 学術大会 (愛媛大会) において、 鍼灸の安全性の向上、 なかでも鍼による有害事象の防止を目的に臓器損傷および神経損傷を対象としたワークショップを開催した。 ワークショップでは 「安全性向上のための局所解剖 Q&A」 と題し、 1) 開業鍼灸師および整形外科医師を対象とした鍼の有害事象に関するアンケート調査と、 2) 国内の鍼臨床に関連した気胸や神経損傷等に関する文献を紹介すると共に、 3) 経穴の解剖学的研究を基礎とした刺鍼部の局所解剖 (上半身) について Q&A 形式による特別講義を行った。 気胸を中心とした臓器損傷や神経損傷など鍼による重篤な有害事象の発生頻度は、 国内の鍼臨床全体からみれば極めて低いと推定されるがほぼ毎年報告されていること、 また、 実際には論文等で報告されているよりも多く発生していることが示唆された。 これら有害事象の発生を防ぐためには、 人体の構造、 特に刺鍼部の解剖学的知識が極めて重要であり、 加えて安全な刺鍼技術の修得が必須である。 本ワークショップを契機に施術者自身の知識と技術を再確認し、 安全で安心な鍼治療を実践していただければ幸いである。
著者
保田光則著
出版者
歴史図書社
巻号頁・発行日
1980
著者
保田光則 著
出版者
歴史図書社
巻号頁・発行日
vol.10巻, 1980
著者
樋口 秀実
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アジア経済 (ISSN:00022942)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.2-34, 2020-03-15 (Released:2020-04-01)
参考文献数
64

本稿は,革新官僚の1人である毛里英於菟の「東亜協同体」論を題材に,東亜新秩序構想の性格と役割を考察する。従来の研究が,日中戦争を正当化するための論理としての新秩序の後天的性格を強調するのに対し,本稿は,「東亜協同体」論の論理的特質とそれを基礎として毛里が行なった実践的活動とを解明する。本稿は,その解明を通じて,現実社会で顕現せんとする「東亜協同体」論の性格や役割を検討する。毛里の「東亜協同体」論は,一般の国際秩序論のような,国家を構成要素とする連合的組織ではない。それは,既存の諸国家・諸民族の枠組みを溶解し,広域に居住する人々が普遍的理念に基づいて国境を越えて団結し,一個の目的達成に向かって全体として邁進する,擬人的団体を創出する試みである。このため,アジアの諸国家・諸民族で共有しうる普遍的理念の確立が「協同体」建設のための最重要課題となり,その確立が十分にできないまま終戦を迎えた。
著者
岩本 孝太 坂本 雅弥 岩城 昴琉 黒木 太司
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J105-C, no.3, pp.81-86, 2022-03-01

農業人口の高齢化に伴いスマート農業システムの概念が提唱されており,高齢農業者が手探りで土中農作物を収穫している現状にあっては,新しい土中生育農作物探知機の導入が望まれている.とりわけ土中で収穫されたタケノコは酸化などによるえぐみが無く,生の状態で食することができることから市場では高額で取引される.そこで本論では低価格で実現可能な土中タケノコ探知機の試作を目的として,タケノコの実,皮,及びタケノコ農園の土壌の複素誘電率をUHF帯で測定し,その結果をもとに共振型電極を用いて地表から5 cm程度に生育するタケノコの探知を理論・実験両面から検討することによりその可能性を示した.
著者
坂本 知昭 片山(池上) 礼子
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
pp.19J01, (Released:2019-04-23)
被引用文献数
1 1

サツマイモ「兼六」は塊根にβ-カロテンを含む特徴がある良食味品種で,1930年代に石川県農事試験場で選抜された.苗条および塊根の形態的特徴が「安納いも」のそれらと酷似していたため,「安納いも」5品種・系統と「兼六」の比較を試みた.「兼六」,「安納3号」,「安納イモ4」,「安納紅」,「安納こがね」の成葉はいずれも波・歯状心臓形で,新梢頂葉にはアントシアニンが蓄積し紫色を呈していたが,「安納イモ1」の成葉は複欠刻深裂で頂葉は緑色だった.「兼六」,「安納3号」,「安納紅」の塊根皮色は紅であったのに対し「安納イモ4」と「安納こがね」は白であったが,これら5品種・系統の塊根にはβ-カロテンの蓄積が認められた.一方「安納イモ1」の塊根皮色は赤紫で条溝が多かったほか塊根にβ-カロテンは含まれていなかった.27の識別断片を用いたCleaved Amplified Polymorphic Sequence(CAPS)法によるDNA品種識別では「兼六」と「兼六」を交配親に作出された「泉13号」および「クリマサリ」さらにその後代品種「ベニアズマ」の識別はできたものの,「兼六」と「安納3号」,「安納イモ4」,「安納紅」,「安納こがね」の識別はできなかった.45の識別断片を用いたRandom Amplified Polymorphic DNA(RAPD)法によるDNA品種識別では「兼六」と「泉13号」,「クリマサリ」,「ベニアズマ」だけでなく「安納イモ4」および「安納こがね」の識別も可能となったが,「兼六」と「安納3号」,「安納紅」の識別はできなかった.以上の結果と「安納いも」が戦後の種子島で見出された在来系統であった経緯を考え合わせると,「安納いも」のルーツはかつて全国に普及していたとされる「兼六」ではないかと結論づけられた.
著者
東京府 編
出版者
東京府
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1931