著者
久木元 美琴 小泉 諒
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.328-343, 2013-09-30 (Released:2017-05-19)
被引用文献数
2

本研究は,東京都心湾岸再開発地の事例として江東区豊洲地区を取り上げ,ホワイトカラー共働き子育て世帯の保育選択の実態を,保育所利用者へのアンケート調査と聞き取り調査から明らかにしたものである.本調査対象の子育て世帯は,夫婦共に正規職ホワイトカラーが多く,職住近接を実現している一方で,就業時間や送迎行動については世帯内の性別役割分業が維持されている.また,通勤利便性や保育所入所可能性を含む保育環境を期待して入居した世帯があるものの,認可保育所の不足から回答世帯の過半数が待機期間を経験している.都心周辺部の豊富な民間保育サービスの供給を背景として待機期間における民間保育の利用率が高く,民間保育サービスの利用と早期復職によって認可保育所の入所可能性を高めようとする等の実態が明らかとなった.
巻号頁・発行日
vol.[1], 1000
著者
石川 由希
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.191-202, 2016-12-26 (Released:2017-01-13)
参考文献数
93

シロアリは,高度に発達した社会構造を持つ昆虫である。この社会性は,ほぼ同一のゲノムから生まれた個体が異なるふるまい(=分業)をおこなうことによって成立している。どのような仕組みで同一ゲノムから生まれた個体が異なる行動や形態を示すようになるのだろうか?また単独性の祖先種から,どのように複雑な社会性が進化したのだろうか? 本稿ではまず,シロアリの社会性に関して,特に混乱しがちな特殊な用語を含めながら解説する。次に,同一のゲノムから異なる表現型が分化する発生経路やその仕組みに関して紹介する。さらに,それぞれの個体が異なるタスクを分担する神経生理学的基盤に関する最新の研究を紹介する。最後に,シロアリの社会性進化がどのような生理/神経機構の改変に起こってきたのかを考察する。
著者
阿江 通良 湯 海鵬 横井 孝志
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム
巻号頁・発行日
vol.11, pp.23-33, 1992
被引用文献数
67 262

Inertia properties of the body segments such as segment mass, location of the center of mass, and moment of inertia can be measured and predicted in a number of ingenious approaches. They can be classified into a) direct measurements on cadavers, b) indirect measurements on living subjects, and c) mathematical modelling. However, there is little information upon which complete inertial estimates for Japanese people, especially male and female athletes, can be based. The purposes of this study were to determine the mass, center of mass location, and moments of inertia of the body segments for Japanese male and female athletes using a mathematical modelling approach, and to develop a set of regression equations to estimate inertia properties of body segments using simple anthropometric measurements as predictors. Subjects were 215 male and 80 female athletes belonging to various college sport clubs. Each subject, wearing swimming suit and cap, was stereo-photographed in a standing position. Ten body segments including the upper and lower torso were modelled to be a system of elliptical zones 2cm thick based on Jensen and Yokoi et al. Significant prediction equations based on body height, body weight, and segment lengths were then sought, and some prediction strategies were examined. The results obtained were summarized as follows: 1) Table 2 provides a summary of mass ratios, center of mass location ratios and radius of gyration ratios for males and females. There were many significant differences in body segment parameters between the two sexes. This suggests the need to develop different prediction equations for males and females. 2) Close relationships were noted between segment masses and segment lengths and body weight as predictors for all body segments. Table 5 provides coefficients of multiple regression equations to predict segment masses. 3) No close relationship was noted between independent variables and estimates of the center of mass location. This indicates that the variance in the center of mass location in proportion to the segment length was very small, and that location of centers of mass could be estimated by the mean ratio provided in Table 2. 4) Close relationships were noted between segment moments of inertia and segment lengths (except hand and foot), and body weight as predictors. Tables 6 and 7 provide coefficients of multiple regression equations to predict segment moments of inertia from segment lengths and body weight.
著者
米山 明彦 皆本 晃弥
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.12-13, 2015

現在,就職活動などで,好印象を与えるような画像処理機能を有する自動証明写真機が増えている.しかし,今のところ,肌質,美白度,背景などを調整するに留まり,第3者に好印象を与える写真を撮影できているか否かを自動判別する方法はない.そこで本講演では,就職活動の証明写真において,第3者に良い印象を与える写真を自動的に判別する手法について述べる.本手法では,離散ウェーブレット変換を用いて顔認識を行い,目,口,耳などから複数の顔特徴点を抽出する.そして,顔特徴点を利用して,好印象を与える写真を定義し,この定義に基づいて画像を判別する.複数枚の写真に本手法を適用し,性能評価を行ったので,ここに報告する.
著者
打越 正行
出版者
特定非営利活動法人社会理論・動態研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、沖縄の下層若者を対象とする追跡調査である。調査を始めた2007年、沖縄の暴走族・ヤンキーの若者の多くは、家族関係が不安定で、中学にほとんど通学しておらず、安定した仕事に就いていなかった。彼・彼女らがその後、誰と、どこで、どのようにつながり、そこでどのような経験を重ねたかのか、そして現在の仕事と生活について追跡調査することが、第1の課題である。続いて、そこで明らかになった沖縄の下層若者の仕事と生活の実態を分析するための概念や枠組みを構築することが、第2の課題である。予定していた参与観察、生活史調査は順調にすすみ、その成果は学会報告、論文、書籍として公開した。
著者
松井 圭介
出版者
地理空間学会
雑誌
地理空間 (ISSN:18829872)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.76-90, 2018

本稿では,「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」における世界文化遺産への登録過程のうち,特にストーリーの再構築に焦点を当て,「潜伏キリシタン」を世界遺産化することの課題を空間の政治学の視点から検討した。「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」からの転換において,構成資産を可能な限り維持しつつ,禁教期における潜伏キリシタンの信仰生活に焦点化したストーリーへの再構築が図られた。この変更は,世界遺産登録を目指す国・県が作成する世界遺産推薦書における価値の見直しという形で具現化した。ナショナル/リージョナルスケールでの資産への価値づけの言説は,必ずしもローカルアクターの想いを反映するものでななかったものの,世界遺産登録を目指す共犯関係が成立し,表立ったコンフリクトは生じていない。グローバル・ナショナル/リージョナル・ローカルという三者の空間的関係を信仰世界の理解という視点からみると,そこには近代知が生み出した学問的なカテゴリーによる信仰世界の解題という状況が生じていること,またツーリズムとの関係でいえば,この世界遺産をいかにして可視化し,それをいかに語るのかが大切であることが指摘された。
著者
上田 敏
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.73-77, 2022-01-10

この連載は本誌が50周年を迎えたのを契機に,本誌の過去半世紀にわたる足跡を振り返ってみようとするものである.その目的は,単なる回顧ではなく,本誌をある種の「鏡」として,それに映った日本と世界のリハビリテーションの「歩み」を振り返り,そのなかで「これから」の進むべき道を探ろうとする「古きを訪ねて新しきを知る」ことである.本誌の読者の中には,本誌発刊の頃には「まだ生まれてさえいなかった」という方も少なくないと思われるので,できるだけ時代背景も感じとれるように述べていきたい.
著者
下村 理雄 磯野 正太郎 船瀬 新王
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual58, no.Abstract, pp.471, 2020 (Released:2020-08-05)

我々日本人は集中力を高めるためや作業効率を向上させる目的でハチマキを頭部に巻くことがしばしばある.しかしながら,実際に集中力や単位時間あたりの作業量を向上させるかを検討した研究は未だない.そこで我々は本稿においてハチマキを巻くことによって集中力と作業効率を上昇させる効果があるかを検討する.本研究においては二種類のタスクをハチマキのあるなしで成績に変化があるかを検討する.一種類目のタスクとして内田クレペリン検査を行う.これはハチマキが集中力に影響を与えているかを検討するために行う.このタスクにおいては,一行あたりの回答数と正答数,正答率に着目する.二種類目のタスクとしてペグボードテストを行う.これはハチマキが指先の作業量に影響を与えているかと検討するために行う.このタスクにおいては一定時間内にペグをボードに挿入することができた数を成績とする.結果として,内田クレペリン検査の成績はハチマキの有無で大きな差をみることができなかった.回答数,正答数及び正答率をハチマキの有無でt検定を行ったところ,回答数,正答数,正答率において有意差をみることができなかった.ベグボードテストの成績もハチマキの有無で大きな差をみることができなかった.挿入数をハチマキの有無でt検定を行ったところ,有意差をみることができなかった.本結果は,ハチマキによって集中力や作業効率は変化しないことを示唆していると考える.

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1935年09月04日, 1935-09-04