著者
伊藤 祐
出版者
久留米大学
雑誌
久留米大学商学研究 (ISSN:1342047X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.195-218, 2002-09
著者
米地 文夫
出版者
岩手県立大学総合政策学会
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.17-34, 2007-12

宮沢賢治の短編「猫の事務所」は,事務所の末席の書記かま猫に対する「いじめ」の問題を取り上げた作品として近年注目されているが,結末では訪れた獅子によって解散を命じられ,廃止となる。本論文はこの作品が実は政治的世界・民俗的世界・賢治の内面世界の三者が重層的に組み込まれたものであることを明らかにするものである。組み込まれた政治的テーマは郡役所廃止問題で,「猫の事務所」の位置や役割,事務室の人員構成などの描写から稗貫郡役所がモデルであり, 1926(大正15)年6月30日に閉鎖になる。「猫の事務所」はこの年の3月に発表されている。郡役所の廃止は既定のことではあったが遅延していたのを,浜口雄幸蔵相の緊縮財政のもと廃止が確定し,浜口が内相の時,廃止される。獅子はライオンとあだ名された浜口なのである。この物語の民俗的な背景は,竈の煤で黒く汚れた猫をかま猫と呼ぶことと,獅子舞が火伏せの竈祓いに訪れることなどである。獅子はかま猫の守護神のような存在なのである。さらに,同僚に対する態度を自省する賢治自身の心境も反映したものである。すなわち「猫の事務所」の獅子による解散は郡役所廃止と浜口雄幸の決断とをカリカチュア化したものであり,主人公かま猫と巡回してきた獅子というキャラクターは,竈をめぐる民俗から生み出され,職場の同僚による「いじめ」は賢治自身の職場体験によるものであった。
著者
細谷 広美
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.566-587, 2013-03-31

冷戦の終結以降、国際社会では人権の尊重とデモクラシーに対する説明責任(accountability)が国家に要求される傾向が強まっている。しかしながら、人権やデモクラシーは元来西欧で生まれた概念であり、グローバル化の進展にともない、多様な歴史や文化的背景をもつ地域に人権概念が適用されるようになることで、地域のコンテクストやそれぞれの文化にみられる人権概念との間の相違が顕在化してきている。このようなことから近年、人権概念の普遍性を問う議論が生まれている。本稿は紛争後の移行期正義とかかわり真実委員会が設置されたペルーを事例として扱う。ペルーでは1980年に毛沢東系の集団「ペルー共産党-輝ける道」(PCP-SL)が武装闘争を開始したことで、国家機関(政府軍、警察、自警団)と反政府組織による住民の大規模な虐殺が展開した。2003年に提出された真実和解委員会(真実和解委員会は真実委員会として総称される)の最終報告書によると、1980年から2000年の死者及び行方不明者数は、独立後最大の約7万人に及び、このうち75%が先住民言語の話者であった。また死者及び行方不明者のうち40%が、国内で最も貧しく先住民人口が多い県の一つである山岳部のアヤクチョ県に集中していた。このようなことから、本稿では文化、人種・民族的多様性と不平等を抱える社会における紛争と平和構築のプロセスを、人権や市民権をめぐる議論を視野に入れつつ、先住民と紛争及び真実委員会の関係に焦点をあてて分析した。そして、紛争時及び紛争後の平和構築のプロセスにおいて、国際社会の人権レジームと国家が接合される一方、国内の特定集団がこのプロセスから排除される可能性があることを明らかにした。さらに、「真実」や「和解」の意味も紛争の性質や社会の特質によって多様であることを論じた。以上のことから、人権や人間の安全保障を適用するうえでは、合わせて当該社会における「人間」の意味や範囲を検証する必要性があることを指摘した。
著者
石原 美里
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.1144-1148, 2010-03-25

Mahabharata(Mbh)のプーナの批判校訂版(C.ed.)では,天女であるUrvasiとArjunaに関する一説話(U-A説話)が省略されている.本研究ではその説話成立の背景に関しさらに深い考察を加え,そこに浮かび上がる天女Urvasi像を解明することを主眼とする.まずC.ed.において,UrvasiはU-A説話以外に明確な人格を持った物語の主役としてMbhの表面に現れることはない.その点に関してだけでもU-A説話は特に独自性を持つ説話であると位置付けられる.また,Urvasi以外にも天女が登場する説話は数多く存在するが,それらは概ねステレオタイプ化された一定のモチーフの発展形と言える.ところが,U-A説話はそれらの天女関連説話とは大きく内容を異にする.主な相違点は二つ,Urvasiが自分の意志で積極的に相手を誘惑するという点と,誘惑を拒まれた為に激怒して相手を呪うという点である.唯一このモチーフと類似する説話がBrahmavaivarta Puranaに収められている.Brahmavaivarta Puranaは最新層に属するプラーナであり,そのモチーフの類似性からU-A説話の創作された時代が叙事詩時代よりも,プラーナ最新層時代により近いという可能性が指摘されうる.ゆえに,U-A説話に見られる天女Urvasi像は,古来の伝統的な天女像ではなく,非常に新しい時代における天女像を反映したものであると考える事が出来る.また,U-A説話が創作された時点ではすでに,ArjunaがUrvasiの夫,Pururavas王を祖先とする系譜に属するという暗黙の了解がなされている.しかしMbhが現在の形に整う以前の古い時代には,Pururavas王を祖先とするPaurava一族はKaurava一族とは全く別系統のものであった可能性がある.つまり,Pandava五王子の系譜の正統性を高めようと目論んだある人物が,ある時点においてPururavasをその祖先として位置付け,Paurava=Kauravaという構図をMbhの中に埋め込んだと推測できるのである.そのような側面からも,U-A説話はMbhがほぼ現在の形に整えられた後に付加された,かなり新しい時代の挿入部分であるということが言えよう.
著者
芳井 幸子
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.129-146, 1975-02-01

論文タイプ||論説
著者
岩橋 大希 亀山 高範 高木 直行
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

原子炉内で中性子照射により水銀から金に核変換する技術(原子炉錬金術)の開発を進めた。原子炉内の水銀の配置と装荷量などから、金の生成量と核的な成立性を炉心計算コードを用いて定量的に評価した。
著者
武富 厚美 久野 雅樹
雑誌
研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.1-4, 2014-12-09

近年,盛んに利用されている Twitter のようなマイクロブログでは,感情を含んだ投稿を多く含んでいる.本研究では,ツイートにおける感情表現を定量化し,ツイート頻度や Twitter 上でのつながりのようなユーザの特徴という観点から分析を行った.その結果,ツイート量が多いユーザは攻撃的な投稿をする傾向があった.しかし彼らのフォロワー数は多く,攻撃的な投稿は肯定的に面白い表現として捉えられていると考えられる.一方,ツイート量が少ないユーザは,攻撃的でない不快感情やポジティブ感情のようなパーソナルな感情をつぶやいている。彼らのフォロワー数は少なく,自身の感情を他者と共有することを指向していると考えられる.There are large numbers of emotional expressions in the texts of microblogs such as Twitter. In this study, emotional expressions in tweets were analyzed quantitatively in the light of Twitter users' characteristics such as the users' posting frequency and the users' follow-follower relationship on Twitter. As a result, the heavy users tended to use offensive words. As they had many followers, it is suggested that their offensive tweets would be often regarded as affirmative and interesting. On the other hand, the casual users tended to use words expressing personal emotions such as nonoffensive unpleasant ones and positive ones. It is suggested that they would like to share their emotions with their relatively limited followers.
著者
佐々木 周作 明坂 弥香 黒川 博文 大竹 文雄
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.100-105, 2015

社会的地位の上昇は長寿や健康を促進するだろうか.両者の相関関係はよく知られているが,前者から後者への因果効果を検証することは難しい.本研究では,日本で最も権威ある文学賞として知られる芥川賞と直木賞のデータを使用して,因果効果の有無・方向性・程度を分析した.具体的には,受賞者と非受賞候補者の同質性が高いと考え,受賞による社会的地位の上昇が余命にどのような影響を及ぼすかを検証した.純文学の新人賞である芥川賞では,初回候補時点から30年を経過するまでの受賞者の死亡確率は,候補者よりも67.5%程低い.予測値から算出した受賞者の平均余命は,候補者よりも3.3年程長い.一方,大衆小説作品の賞で中堅作家を主な対象とする直木賞では受賞者の死亡確率は35.4%程高く,平均余命も3.3年程短い.これらの結果は,受賞には平均余命の延命効果と短縮効果の両方が存在すること,社会経済的基盤の不安定な時には延命効果が相対的に大きいが,安定後には短縮効果の方が大きくなるという可能性を示唆している.