著者
高田 宜武 伊藤 祐子 林 育夫
出版者
日本貝類学会
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.199-207, 2013

バカガイMactra chinensis幼貝の遊泳行動を実験室内で観察した。殻長7~15 mmの小型のバカガイは底面から跳躍後に,足を左右に振って遊泳した。遊泳速度は殻長7~9 mm の個体で毎秒平均6.0 cm,9~15 mmの個体で毎秒平均7.8 cmであった。遊泳距離は平均17.4 cmであった。殻長31~35 mmのやや大きい個体は,跳躍はするものの遊泳行動は認められなかった。水塊中でのバカガイの移動距離は,足を振って遊泳することにより,単なる跳躍よりも4.1倍増加した。したがって野外での遊泳行動は,捕食のリスクを低減するとともにより良い生息場所に潜砂できる可能性を増加させる適応的行動だと思われる。
著者
伊藤 祐
出版者
久留米大学
雑誌
久留米大学商学研究 (ISSN:1342047X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.195-218, 2002-09
著者
岩﨑 雄斗 和泉 潔 伊藤 祐輔 植田 一博
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.389-408, 2015-09-01 (Released:2016-03-01)
参考文献数
36
被引用文献数
2

The purpose of this research is to experimentally clarify the influence both of mar-ket factors related to market conditions and of investors’ individual factors related tocognitive tendency on their investment behavior; for this purpose, we conducted an ex-periment using an experimental market in which participants were asked to buy and sellstocks whose prices were controlled. Specifically, we analyzed generalized linear mod-els where each of three behavioral indicators related to investment (the ratio of trendfollowing trading, the extent to which a participant took risks, and disposition effect)was a response variable and both market factors (market trend and volatility) and in-vestors’ individual factors (risk attitude and degree of proficiency) were explanatoryvariables, so that we could identify whether or not the explanatory variables explainedeach response variable. Five professional traders and 11 personal investors participatedin this experiment. As a result, the following three things were clarified: First, it wasaffected not by market factors but by their risk attitude whether they followed markettrends or not; second, the extent to which they took risks was affected both by marketfactors and by their degrees of proficiency; finally, disposition effect was affected onlyby degree of proficiency, which meant that professional traders could avoid dispositioneffect.
著者
伊藤 祐康 久保(川合) 南海子 正高 信男
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.280-288, 2008 (Released:2009-11-20)
参考文献数
19

In this experiment, one digit arithmetical problems followed by a masking sound were given auditorily from a computer. Three types of calculation tasks; addition tasks, multiplication tasks, and kuku tasks, were tested under two conditions that varied depending on the position of the masked sound in a given formula. For example, when a left side of a calculating formula consisted of number 6 and 7, the addition task was conducted as “6 + X (masking sound) = 13 (roku, tasu, X, wa, juusan)”, or as “X + 7 = 13”, and the multiplication task was presented as “6 × X = 42 (roku, kakeru, X, wa, yonjuuni)”, or “X × 7 = 42”, while the kuku task was presented as “roku, X, shijuuni”, or as “X, shichi, shijuuni”. When each stimulus was presented, each of the participants of 10 men and 10 women was required to respond by answering with what was missing. The results revealed that they answered faster in the kuku tasks than in addition tasks. The results indicate the possibility that calculation by kuku was mostly executed through a process similar to a playback of verbal memory stored as linguistic representation, and when we could ascertain the kuku tasks, the quantitative representation of numbers almost do not come to the surface. Thus, Japanese adults answered faster in the kuku tasks than in the addition tasks.
著者
小森 貞男 副島 淳一 伊藤 祐司 別所 英男 阿部 和幸 古藤田 信博
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.917-926, 1998-11-15
参考文献数
20
被引用文献数
4 2

'金星'と'レッドゴールド'および'千秋'と'いわかみ'の不和合性を手がかりとして,'デリシャス','ふじ','ゴールデン・デリシャス','はつあき','紅玉','国光','千秋','東光'とそれらの交雑実生を用いて主要栽培品種のS遺伝子型解析を試みた.その結果6つのS複対立遺伝子と7つのS遺伝子型の存在が示唆され,9品種のS遺伝子型を以下のように決定した.(S_Ja, S_Jb)='ゴールデン・デリシャス'(S_Ja, S_Jd)='東光'(S_Jc, S_Jd)='紅玉','ひめかみ'(S_Jc, S_Je)='デリシャス'(S_Jc, S_Jf)='ふじ'(S_Jd, S_Jf)='千秋','いわかみ'(S_Je, S_Jf)='国光'また'東光'のS_Jd因子は'印度'に由来していることが明らかになった.さらに'金星'と'レッドゴールド'のS遺伝子型は(S_Ja, S_Je)または(S_Jb, S_Je)のいずれかであり,'はつあき'のS遺伝子型は(S_Ja, S_Jc)または(S_Jb, S_Jc)と考えられる.
著者
宮本 礼子 藤本 泰成 井上 薫 伊藤 祐子
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.289-298, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
22

本研究は右利き者の筆順に着目した際の左右手の運筆機能の相違を解明することを目的とした.20名の健常右利き男女を対象に,日本語の字体的特徴を含む図形4種に筆順条件を付加した課題を実施した.収集したデータは 図形を要素に分解し,描画時間・筆圧・仰角・方位角・筆跡躍度・筆跡一致率に関する左右手データを比較した.結果,多くの要素で右手での筆圧が高く,仰角と方位角は要素毎に特徴的な左右差を示した.一方筆跡躍度と筆跡一致率に左右の有意差はなかった.今回筆順条件を加えたことで左右手の運筆機能の違いを示すことができた.非利き手では筆順の影響に伴う不自然な運動方向となり,筆圧がかかりにくいことが明らかとなった.
著者
助川 文子 伊藤 祐子
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.663-673, 2019-12-15 (Released:2019-12-15)
参考文献数
21
被引用文献数
1

本研究は,日本の小学校通常学級に在籍し特別支援教育の対象となる発達障害児に対し,平成29(2017)年度に行われた学校適応支援のための作業療法評価の実態を調査することを目的とした.日本作業療法士協会に,職域を「発達障害」の「臨床」と登録した1,594名の作業療法士を対象に質問紙による全数調査を行った.有効回答は324件で有効回答率は20.3%であった.結果より,日本の発達障害児に対する作業療法は,医療法関連施設,および児童福祉法関連施設の双方で実施され,多くの評価は,感覚統合理論を基盤とする評価とDTVP視知覚発達検査を組み合わせて実施していた.また最も利用されている評価は臨床観察で,標準化した評価の活用は少なかった.
著者
鈴木 良典 小川 貴之 服部 洋美 伊藤 祐子 岩渕 恵美 富田 弘美 中原 亜衣 望月 剛
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.257, 2011

〈緒言〉当院は愛知県尾張北部医療圏に位置する678床の二次救急医療機関病院である。当院は同一市内にあった2病院が平成20年5月統合開院し電子カルテを導入した。現在、1ヶ月に1,700件を超える書類作成依頼のうち約48%は電子カルテにて作成が可能となっているが、それ以外のほとんどが手書きにて作成されている。そのため、医師の書類作成は時間外に及ぶことが多く溜まった書類をまとめて記入するなど、本来の診療業務に負担となっているため、書類に掛かる業務の負担軽減と書類の作成期間を短縮する必要性が高まった。<BR>〈方法〉医師の文書作成の負担軽減策として文書作成管理システムを導入する。<BR>この文書作成管理システムの特徴は以下の通り。<BR>(1)約700種の書式がフォーマット。<BR>(2)属性、病名、入退院日、手術名、術式コード(Kコード)等の連携。<BR>(3)前回の入力内容や電子カルテの記載内容の複写・引用機能。<BR>(4)入力必須項目の記載漏れチェック機能。<BR>(5)期限超過した依頼文書の医師別一覧出力。<BR>上記の特徴を最大限に活用できる運用を作成することで書類作成期間の短縮及び問い合わせ件数の減少に繋げる。<BR>そのため、文書管理係として専属で文書管理を行う事務員を5名配属し平成23年5月9日より文書作成管理システムを本稼動させた。文書管理係は文書作成管理システム出力文書・手書き文書共に入退院日や通院日、病名や術式等の医師以外でも記載可能な部分を下書き入力し、医師は事務の記載部分の確認と空白部分への入力及び完成書類への署名のみとなる。また、システム導入以前に記載のある文書書式のものは過去記載分を事務側にてすべて複写を行い、医師は今回の依頼分に対し加筆・修正を行うだけとなる。<BR>〈結果〉文書作成管理システムの導入により月約1,500件(約89%)の文書が電子化された。全体としての効果については今後アンケートを実施し学会時に発表する。
著者
宮本 英揮 長 裕幸 伊藤 祐二 筑紫 二郎 江口 壽彦
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.86-91, 2009-06-01 (Released:2009-09-04)
参考文献数
14
被引用文献数
5 2

本研究では,静電容量式水分センサー・EC-5 (Decagon Devices 社)の出力電圧(V ) に及ぼす間隙水の電気伝導度(σw)の影響を実験的に評価し,任意のσw に対応し得るセンサーの校正方法を検討した.EC-5 は,従来の5 MHz 型静電容量式水分センサーに比べ,σwの影響を受けにくいセンサーである.とりわけ,θ ≤ 0.15 m3 m-3の低水分域では,σwの大小によらず,メーカーが推奨する校正式に基づき,V 値から体積含水率(θ) を決定可能である.しかし,0.15 m3 m-3を超える水分域では,同一のθを持つ土壌であっても,測定されるV 値はσwによって大きく異なるため,V 値からθを適切に評価するためには,σwに関する校正式の修正が必要であることが明らかになった.本研究では,σwの影響を考慮したセンサーの校正方法として3点校正法を提案した.同法を適用するには,σwが既知であることが前提となる.そのため,σwが大きく動的に変化する環境下では,EC-5の単独利用で高精度の水分計測を実施できないものの,σwの変化量が小さい場合に限れば,同法で算出した校正式に基づき適切に水分計測を実施可能である.飽和水分条件におけるV 値のみから,様々なσwの土壌の校正式を即座に得られる3点校正法は,θの異なる土壌に対して実施する従来の校正に比べ,はるかに簡便であると考える.本研究では,数ある土壌および静電容量式水分センサーの中の一条件における検討である.よって,今後は,他の土壌やセンサーについても3点校正法の有効性を検討するとともに,σwの動的環境下における高精度水分計測法の確立を試みる予定である.
著者
伊藤 祐子 田中 勇次郎
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.129-133, 2009 (Released:2016-04-19)
参考文献数
5

発達障害児に対する作業療法では,「楽しさ」「面白さ」を治療プログラムに織り込むことにより,対象児の持つ能力を最大限に引き出せるよう工夫することが重要である.平衡機能に関する評価・支援システムの開発では,楽しみながら適応反応を獲得するための電動ホーススウィング装置を開発した.目と手の協調性に対する評価・支援システムでは,従来の紙筆検査では得られなかった客観的データを得ると共に,楽しく課題に取り組めることが確認された.臨床では,作業療法に消極的であった児に対して,NEXTRAX™(ネクストラックス)で操作する障害児療育支援ソフトを使用することで作業療法への動機付けがなされた.これらの紹介を通して,作業療法の視点について解説する.
著者
田實 直也 山田 浩昭 石川 一博 伊藤 祐 鈴木 和広 近藤 国和
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.199, 2008

〈緒言〉当院の電子カルテシステムは、効率的で安全な医療提供を追求するために2002年に紙カルテから全面移行した。稼動後6年が経過したが、不慮のトラブルは極めて稀で、半年に1回の保守停止以外はほぼ不眠不休で機能してきた。しかし、今回は更新に伴う停止時間が約27時間と算出された。このような長期停止は当院にとって前代未聞の出来事であり、様々な対策が必要となった。ここでは、今回のような病院機能の停止状態に対し、どのような対策を行ったかを報告する。<BR>〈方法〉院内では長時間停止が判明して、即管理職を中心に対応策を検討した。当初は三次救急医療を担う病院としての対応を模索したが、システム停止により情報網が寸断された状態では、求められる医療の提供が出来ないのは確実であることや、1日の救急外来患者が350名を越すため、処理が追いつかず飽和状態になることが予想されるなどから、対策として、最低限の患者数へ絞り込みを行い、この急場を乗り切るという苦渋の決断を強いられた。このため受け入れ先の確保や住民周知という難題に直面した。特に、地域住民の周知については短期的ながら患者の受療行動を抑制することになり、市民と近隣病院へ強く協力を働きかける方法を検討した。以下が行った対策である。<BR>1_県に救急の受診制限が問題ないか確認<BR>2_他病院への協力を要請<BR>3_救急隊へ搬送停止協力の依頼<BR>4_市広報へ掲載依頼<BR>5_周辺医師会へ連絡<BR>6_自院のホームページへ掲載<BR>7_地域の回覧板に依頼<BR>8_院内掲示・配布<BR>院内の対応は、停止中の職員を通常より増員し、今回の停止にあわせて臨時運用マニュアルを作成し、職員周知会を開催した。また、不測の事態に備えて定期的に行われているダウン時シミュレーションも運用参考とした。<BR>〈結果〉当日に電話や窓口でお断りする患者もいたが、対策が功を奏し、停止中の救急外来受診者数は期間中143人(前々週同期間374人、システム停止時間中実患者24人)となり、一定の効果を得ることが出来た。期間中救急の現場に大きな混乱もなく、停止時間も予定より6時間短く終了し、無事乗り切ることが出来た。今回行った対策の結果については、概ね以下の通りである(番号は前述〈方法〉欄記載に対応する)。<BR>1_医療圏内で十分な協力体制を敷くことができれば問題ないとの回答であった。<BR>2_近隣病院長会議や救急医療ネットワーク会議にて全面的な協力が得られ、他院の一部では期間中に増員体制で臨む協力が得られた。<BR>3_他院が救急搬送を受け入れてくれたため、特に問題はなかった。<BR>4_医療圏内12市町の広報へ掲載を依頼したが、断られる市もあった。<BR>7_安城市内の回覧板にて回覧協力を得た。<BR>8_院内数箇所に看板、ポスターを設置し、救急外来では、全患者に1ヶ月間リーフレット配布を行った。<BR>〈まとめ〉今回の試みは、早期に電子カルテを導入した当院が、更新作業をどのように行い、どのような対応策を検討したかという点以外にも、近年救急外来のコンビニ化が叫ばれる中、短期的ながら受け入れ先を明確化して明示すれば、患者の受療行動はかなりの確立でコントロールできるという二つの結果を導き出すことになった。通常業務における電子カルテの有用性を改めて実感するとともに、病院も行政との連携体制を強化し、地域を巻き込んだ広報周知活動を行うことによって、在るべき医療提供体制の機能分担体制構築に望みを見出す結果となった。
著者
伊藤 祐康
出版者
国立障害者リハビリテーションセンター(研究所)
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

現在、発達障害児童の割合は多くなってきており、その理解と対応は急務となってきている。こういった割合の高さからも教育的なニーズが高まっており、その機序の解明は重要である。これまで自閉症に関して認知科学の視点からコネクショニスト・モデルが提唱されており、特に線形分離できない課題が自閉症者で難しいことが指摘されている。しかし、論理演算を組み込んだ行動実験はこれまでないためおもちゃに論理演算を組み込んだ実験を行い、自閉症児と定型発達児で比べてみる研究を行った。
著者
加納 嘉人 草野 史彦 酒井 義法 田沢 潤一 渡辺 守 永山 和宜 池邊 佐和子 鎌田 和明 今西 暁 伊藤 祐子 大木 史郎 望月 奈穂子 相馬 友子
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.58-59, 2008

症例は拘置所収容中の42歳男性。重症筋無力症に対して胸腺摘出後ステロイドを内服中であった。吐下血を主訴に救急搬送され、内視鏡では胃内にふりかけ・菓子の袋など大量の異物があり、胃角部に噴出性出血を伴う潰瘍を認めた。止血処置後異物は把持鉗子を用い経口的に30個全てを回収した。内視鏡的に摘出した数として異例であり出血性胃潰瘍の合併もあり類似症例の初期対応、特に関係者からの問診上示唆に富むと考えられ報告する。
著者
馬野 詠子 伊藤 祐成
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.972-975, 1983

50才男子。主として吉草酸ベタメサゾンクリームを5年以上使用して生じた顔面のステロイド皮膚症難治例を治療中, 眉毛部と下顎部に臨床的にも, 病理組織学的にもeosinophilic pustular folliculitisと診断された局面を生じた。該部に対しては, とくに治療を行わなかつたが, ステロイド外用剤の完全離脱から約9週間後に病巣は消退した。
著者
駒澤 敏 柴田 真治 酒井 洋樹 伊藤 祐典 川部 美史 村上 麻美 森 崇 丸尾 幸嗣
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.395-400, 2016-07-20 (Released:2016-08-20)
参考文献数
16

岐阜県で犬腫瘍登録制度を立ち上げ,平成25年度の家庭犬飼育状況,腫瘍発生,粗腫瘍発生率の疫学調査を実施した.県内動物病院の33.6%から届出があり,731例の解析を行った.飼育頭数(狂犬病注射接種頭数)と推計腫瘍症例数(調査用紙の回収率)から犬種ごとの粗(悪性)腫瘍発生率を算出し,全体では1.5%(0.6%)であった.発生率が高い(P<0.05)犬種は,ダックスフンド2.6%(1.3%),シー・ズー2.4%,シュナウザー2.5%(1.4%),パグ3.8%(1.9%),ウエルシュ・コーギー3.3%(2.2%),ビーグル2.2%(1.4%),シェットランド・シープドッグ3.2%,フレンチ・ブルドッグ3.2%(1.3%),ラブラドール・レトリバー3.2%(2.5%),ゴールデン・レトリバー2.7%(2.2%),バーニーズ・マウンテンドッグ8.2%(7.1%)であった.低い(P<0.05)犬種はプードル1.1%(0.3%),チワワ0.5%(0.3%),ポメラニアン0.9%,柴犬0.7%(0.3%)と雑種1.0%(0.6%)であった.