著者
佐野 智也 増田 知子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.195-198, 2020 (Released:2020-04-25)
参考文献数
3

「日本研究のための歴史情報」プロジェクトでは、様々な資料のテキストデータ化に取り組み、研究に利用している。本報告では、テキスト処理とその結果の活用事例の一つとして、『人事興信録』の人的ネットワークの可視化について報告する。『人事興信録』は、家族・親戚情報が詳細に記載されている点に大きな特徴があり、これを利用することで、実親子関係やより広い姻戚関係の情報を得ることができる。可視化のための前提作業として、テキストデータからの親の氏名の抽出処理や、採録者との同定処理について紹介する。特に、採録者の同定処理は、他の人事情報資料を扱う際の参考になるものと考えられる。このようなテキスト処理を経て描かれたネットワーク図は、『人事興信録』原典だけでは容易にわからない人的関係性を可視化しており、実際の事例を用いてその有効性を示す。
著者
佐藤 陽子 小林 悦子 千葉 剛 梅垣 敬三
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.113-122, 2019-10-01 (Released:2019-11-01)
参考文献数
26

【目的】サプリメントの不適切な利用や健康被害が懸念されている。そこで,若年女性にサプリメントに関する正しい知識を普及するため,実態調査結果を踏まえた啓発リーフレットを作成し,その有用性を検討する。【方法】2015年10月~11月に女子大学・短期大学生230名を対象にサプリメントに対するイメージ,サプリメント利用状況,性格特性,食物摂取頻度について調査した。サプリメントに対するイメージをクラスタ分析にて分類し,得られたクラスタと有意な関連が認められた項目を主として用い,サプリメントに対するイメージを推測するYes/Noチャートを作成後,Yes/Noチャートを活用した啓発リーフレットを開発した。さらに2017年11月に女子短期大学生190名を対象に,啓発リーフレットのユーザビリティ調査を実施した。【結果】サプリメントに対するイメージは3つのクラスタに分類でき,作成したYes/Noチャートにて,この分類のおおよその推測が可能であった。また,啓発リーフレットによる情報提供は,女子短期大学生のサプリメントについての基本事項の認識を変化させることができた。【結論】本研究にて開発したリーフレットは,対象の女性に興味を持って見てもらえ,認識の変化にも寄与できたことから,サプリメントに対する正しい知識の普及に活用できる可能性が示唆された。
著者
SHIBATA Kiyotaka LEHMANN Ralph
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
pp.2020-032, (Released:2020-04-02)
被引用文献数
2

Ozone loss pathways and their rates in the ozone quasi-biennial oscillation (QBO) simulated by a chemistry-climate model of the Meteorological Research Institute of Japan are evaluated by using an objective pathway analysis program (PAP). The analyzed chemical system contains catalytic cycles due to NOx, HOx, ClOx, Ox, and BrOx. PAP quantified the rates of all significant catalytic ozone loss cycles, and evaluated the partitioning among these cycles. The QBO amplitude of the sum of all cycles amounts to about 4 and 14 % of the annual mean of the total ozone loss rate at 10 and 20 hPa, respectively. The contribution of catalytic cycles to the QBO of the ozone loss rate is found to be as follows: NOx cycles contribute the largest fraction (50-85 %) of the QBO amplitude of the total ozone loss rate; HOx cycles are the second-largest (20-30 %) below 30 hPa and the third-largest (about 10 %) above 20 hPa; Ox cycles rank third (5-20 %) below 30 hPa and second (about 20 %) above 20 hPa; ClOx cycles rank fourth (5-10 %); and BrOx cycles are almost negligible. The relative contribution of the NOx and Ox cycles to the QBO amplitude of ozone loss differs by up to 10 and 20 %, respectively, from their contribution to the annual-mean ozone loss rate. The ozone QBO at 20 hPa is mainly driven by ozone transport, which then affects the ozone loss rate. In contrast, the ozone QBO at 10 hPa is driven chemically mainly by NOx and the temperature dependence of [O]/[O3], which results from the temperature dependence of the reaction O + O2 + M → O3 + M. In addition, the ozone QBO at 10 hPa is influenced by the overhead ozone column, which affects [O]/[O3] (through ozone photolysis) and the ozone production rate (through oxygen photolysis).
著者
佐藤 大和
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.775-784, 1993-11-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
13

共通語アクセントの統計的分析結果を報告する。「日本語アクセント」辞典に収録されている約6万語に、語の構造を示す境界記号を付し、計算機に入力して、単語長別、語種別(和語、漢語、外来語等)、及び語構造別にアクセント型を集計した。従来より、語尾から3番目のモーラに核を置くアクセント型(逆3型)が頻度の高い型であることが知られていたが、こうした逆3型などの中高型アクセントは、語の複合によって生じていることを語構造とアクセントの分析結果から明らかにする。また、日本語の基本語彙を構成する4モーラ以下の語に関して、語種別に頻度の高いアクセント型を示し、短い語から長い複合語に至るアクセント型の変遷を考察する。
著者
田上 善夫
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.205-219, 2016-03-30

The purpose of this study is to reconstruct the climate variation in Japan in the first half of the second millennium. For reconstruction, daily weather record around Kyoto from the 11th century to the 16th century are used to calculate the snowfall ratio of winter and the rainy day ratio of summer. Next, regression analysis is applied on the present weather and temperature record and based on the result, the temperature changes of winter and summer are estimated. Furthermore, the influence of a climate variation is examined. The main results are as follows: 1) Winter temperature fell gradually from 1001 to 1600. Especially in 1090s, 1160s, 1260s, 1330s, 1380s and 1460s, there were substantial falls. 2) Summer temperature was rising toward the second half of the 13th century, and began to fall toward 1600, with substantial falls in 1140s, 1450s, 1560s and a remarkable rise in 1270s. 3) In the 15th century or the 13th century, the Medieval Warm Period changed into the Little Ice Age. Winter temperature of the 12th century may be higher than that of the present, and it may be lower in the 15-16th centuries than that of the beginning of the 19th century.
著者
竹市 嘉紀
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.562-567, 2014-12-01 (Released:2015-12-01)
参考文献数
28
被引用文献数
3

3 0 0 0 OA 西洋百工新書

著者
宮崎柳条 編
出版者
牧野善兵衛
巻号頁・発行日
vol.外編 一, 1876

3 0 0 0 OA 西洋百工新書

著者
宮崎柳条 編
出版者
牧野善兵衛
巻号頁・発行日
vol.前編, 1876
著者
堀内 喜代美
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.18, pp.29-42, 2020-03

本稿は、非英語圏の高等教育で拡大する英語による学位プログラムの日本での組織運営形態に注目し、「学部併設型」が大多数を占める背景について同型化理論を用いて考察するものである。その結果、「学部併設型」に集中する要因について、(1)大学設置基準に基づく認可申請手続き上の規制、(2)グローバル30事業による先行モデルの影響、(3)大学ランキングにおける指標などの外的要因が浮かび上がった。英語による学位プログラムの設置は、国の政策としては日本の大学の国際開放性の拡大および国際競争力の向上がその目的として謳われていたが、実際のプログラム形成においては国内の諸々の外部環境要因がプログラム増加のドライバーとなっており、政策理念と実戦での乖離が示唆された。
著者
近藤 弘幸
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
vol.88, pp.29-49, 2017-09-30

宇田川文海は、『何桜彼桜銭世中』の作者として、その名前だけがシェイクスピア研究者に記憶されている存在である。当時の文壇に君臨した人気作家であったにもかかわらず、彼が『何桜彼桜銭世中』以外にもシェイクスピア物を残したことは、ほとんど知られていない。その背景には、ほぼ同時代に日本におけるシェイクスピア受容・研究の泰斗としての地位を築いていった坪内逍遥の〈原典原理主義〉とも言うべき態度の影響があったものと思われる。逍遥にとって、文海が活躍した大阪は未開の地であり、文海の仕事は旧幕時代の残滓でしかなかった。そして逍遥の存在があまりに巨大であるがゆえに、文海の仕事は、今まで真剣に顧みられることがなかったのである。しかし彼もまた、まぎれもなく「日本のシェイクスピア」の一部を構成している。私たちは、そろそろ逍遥的パラダイムを脱し、文海のような人々に光を当ててもいいのではないだろうか。
著者
富山大学附属図書館中央図書館
出版者
富山大学附属図書館中央図書館
雑誌
LiLi : Library Life
巻号頁・発行日
no.33, pp.1-2, 2018-07

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著者
石井 由香理
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.106-123, 2012-06-30 (Released:2013-11-22)
参考文献数
29
被引用文献数
3 3

本稿では, 性別に違和感を覚えた経験をもつ3人のインタビュー対象者の語りから, かれらの自己像について, 共通する特徴を考察した. 現在, カテゴリーとの差異のなかに自己像を見出している3人の語りに共通するのは, マスメディアなどを通じて性的越境者についての情報を得, かつ, 一度はそれらに積極的に同一化しようとしている点である. しかしその後, 当事者団体や, それらの人々と接触していくうちに, かれらはカテゴリーに同一化するのではなく, 個人のなかに独自のものとしてイメージされる, アクチュアル・アイデンティティを自己像として肯定的に認めてゆく. カテゴリーに伴うイメージやストーリーを学習し, それを意識しつつも, 今度は, それに対する差異によって自らを表象するようになるのである. また, こうした対象者たちのありようは, かれらの身体をも巻き込んだものである. どのような治療や施術をどこまで受けるのかということは, より選択的なこととしてとらえられるようになる. くわえて, セクシュアル・マイノリティ相互の出会いは集合的なアイデンティティの共有を促すばかりでなく, 自己像を個人ごとに独自なもの, 唯一のものとして認知させるような作用を個々人にもたらしていると考えられる. また, かれらの自己像は, 不変的なものではなく, 新たな欲望が生じる可能性, 状況が変化する可能性に開かれている.