著者
納富 信留
出版者
有斐閣
雑誌
哲学雑誌 (ISSN:03873366)
巻号頁・発行日
vol.118, no.790, pp.1-23, 2003
著者
手代木 陽
出版者
神戸市立工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ドイツ啓蒙主義哲学において蓋然性は事象の「可能性の度合い」を意味し、それは事象の完全性に応じて規定されるが、この完全性が「無矛盾性」に基づく「両立可能性」に応じて規定される限り、決定論の疑惑が払拭できないという困難が見出される。カントは論理学が判断や推理の一般的な規準を意味する「カノン」であるとする見地から、「蓋然性の論理学」を特殊な対象の認識方法である「オルガノン」であると見なして否定したが、その一方で数学的な蓋然性(確率)を認め、これを独自の哲学的原則によって基礎づけた。その判断の必然性は絶対的ではなく、部分的に経験に基づく「仮定的必然性」であり、この点においてドイツ啓蒙主義哲学に見いだされる決定論的な困難を回避したと言える。
著者
樋口 善郎
出版者
京都大学
雑誌
京都大学文学部哲学研究室紀要 : Prospectus
巻号頁・発行日
vol.1, pp.67-82, 1998-12-01
著者
阿部 宏慈 中村 三春 大河内 昌 清塚 邦彦 阿部 成樹 中村 唯史
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、日本、英米圏、フランス、ロシア(ソ連)等で蓄積されてきた記号論的分析の成果をもとに、視覚表象が優越する芸術諸ジャンル(絵画、写真、映画、マンガほか)とその周辺領域における「リアル」の意義と機能を明らかにすることを目的として実施された。その目的を達成するため、山形大学人文学部人間文化学科の、特に芸術、表象文化論、視覚表象の理論に関わる研究に携わっている6人の研究者がそれぞれの課題にしたがって分担しつつ、共同で研究をすすめた。その中で、阿部宏慈は主としてドキュメンタリー映画における表象不可能性の問題と「リアル」の概念をめぐる理論的研究と分析をおこなった。中村三春は、映画と文学における「リアル」の表象の問題をむしろフィクション映画を対象として研究した。大河内 昌は、英国十八世紀におけるピクチャレスクの美学とリアルの問題の理論的研究をおこなった。清塚邦彦は、写真における「リアル」の問題を、ウォルトンの哲学的分析を中心に研究した。阿部成樹は、ダヴィッドの「マラーの死」をはじめとする新古典主義絵画における「リアル」の表象を研究した。さらに、中村唯史はマンガにおける「リアル」の問題を、特に最新の理論的成果をもとに研究した。如上の研究を通じて、「リアル」の表象に対する基盤を異にするアプローチを突き合わせることによって、表象をめぐる学際的な研究の可能性が開かれたことが何よりも大きな成果である。表象文化論のアプローチを絶えず純理論的な枠組と芸術史に基づく正確な理解に照らしつつ検証することで、分析の精度を高めることができた。
著者
坂田 登
出版者
福井大学
雑誌
福井大学教育地域科学部紀要 (ISSN:2185369X)
巻号頁・発行日
no.1, pp.59-64, 2011-01

福井大学教育地域科学部紀要(人文科学 哲学編) , 1, 2010
著者
松田 毅
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

まず、ライプニッツによる「有機的物体」のモデルとしての「テセウスの船」のパズル解決、「実体形相の復権」、原子論との差異化のなかでの「自然の真の原子」としての「モナド」導入の意義を解明した。また、ライプニッツの場合、生物が「無限」を内包するだけでなく、「寄せ集め」から区別され、発生学の文脈では、発展的に「進化する自然機械」として把握される点も示した。さらに、生気論との対決から、その生物哲学の「機械論」と「目的論」の両立が生物全般に「拡張された予定調和説」として理解できる点も論証した。以上を通じライプニッツの生物哲学の従来問題とならなかった重要な局面に光を当てることができた。