著者
峯松 信明 中村 新芽 橋本 浩弥 広瀬 啓吉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.113, no.366, pp.129-134, 2013-12-12

日本語の韻律教育を支援すべく,自然言語処理技術,音声言語処理技術を用いたオンラィンアクセント辞書(Online Japanese Accent Dictionary, OJAD)を構築,運用している。日本語は前後のコンテキストによって単語のアクセントが頻繁に変化する特徴を有するが,アクセント変形に十分対応した日本語教育史上初の教材として,世界中の教育現場で利用されるに至っている。またこれまで,約4時間に渡るOJAD講習会を,国内10都市,海外17都市で開催しており,どの講習会も好評を博している。OJAD開発を技術的観点から見ると,アクセント句境界推定,アクセント核位置推定,F_0パターン生成など,音声合成の裏方として機能していた技術を表舞台に出しているに過ぎない。これは音声合成技術の一部を,音声を合成する目的以外に応用している例として考えることができる。本稿では,音声合成技術の応用可能性を考える一つの例としてOJAD開発・運用を捉え,検討する。
著者
田子 泰彦
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.115-118, 1999-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6
被引用文献数
4

近年, 神通川と庄川ではサクラマス親魚の遡上できる範囲と漁獲量は徐々に減少した。神通川における親魚の遡上範囲と漁獲量の関係はy=-3.97+0.0827xの回帰直線式で示され (r=0.693) , この式は庄川にも当てはまった。この事実は, サクラマス資源の減少は, ダムの建設などによる河川環境の大きな変化と密接に関係していることを示唆している。
著者
佐藤 敏紀 橋本 泰一 奥村 学
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2016-NL-229, no.15, pp.1-14, 2016-12-14

SNS やニュース記事で発見される新語や未知語の継続的な採録は,分かち書き用の辞書を作成して更新する際の課題のひとつである.我々は,固有名詞や複合語に対する高い網羅性と分かち書き精度を実現し続ける際に,コーパスではなく辞書として言語資源を追加することを選択した.そして,形態素より長い固有名詞や複合語を単一の見出し語として分かち書きし,品詞情報や読み仮名などを付与できる辞書を生成するためのシステムを構築した.さらに辞書生成システムを運用して短い周期での更新を長期間継続した.我々は,形態素より長い固有名詞や複合語を一語として分かち書きすること,及び,辞書生成システムを運用して短い周期で更新することの各効果を,ニュース記事を複数のカテゴリに分類する実験を通じて確認した.

3 0 0 0 OA 花菖培養録

著者
[松平]定朝 [著]
巻号頁・発行日
1853

著者松平定朝(さだとも、号は菖翁、1773-1856)は幕臣で、京都町奉行を長く勤めた。花菖蒲の改良で名高く、本書はその花菖蒲(ハナショウブ)の専書で、まず自序があり、続いて父の代からその改良に関わり、さまざまな品種を作り出すまでの苦心を述べる。ついで名花21品を図示したのちに、「盆植培養」「実生培養」「虫患」「肥しの製法」の項目を立てて栽培法や害虫の駆除法を記す。じつは、本書は弘化3年(1846)に『花鏡』の題で執筆されたのが最初であり、同4年序本(同題:以上は当館に無し)、嘉永元年(1848)序本(『花菖培養録』と改題:当館書名『花菖蒲培養録』、195-155本)、同2年序本(『花菖培養録』、特1-938本)、同5年序本(当館に無し)、同6年序本(本資料および『花菖培養録』、W373-N30本)と改訂が続けられた。改訂のたびに本文に多少手を入れ、図示する種類も数も改めている。ただ、品種の一覧は以上の資料に無いが、別の著作『花菖蒲花銘』(寄別6-3-1-8)があり、これに、重複を除いて119の品種名が記載されている。:『百花培養考』解題参照(磯野直秀)
著者
廣瀬 孝 菊地 徹 横澤 幸仁 内沢 秀光 櫛引 正剛 奈良岡 哲志
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.310-317, 2008 (Released:2009-03-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究は,リサイクルが求められている廃ペットボトルとホタテ貝殻を複合した新たな素材の基本的特性評価を目的として行った。具体的内容として,1) 加熱によるホタテ貝殻含有有機基質やホタテ貝殻の物性変化の確認,2) 複合した際の成形品表面の観察や黄色度およびその強度性能について,一般的にフィラー (充填剤) として用いられている炭酸カルシウムを複合した材料との比較を行った。その結果,加熱によるホタテ貝殻含有有機基質の熱分解に起因するホタテ貝殻の黄色度変化は,炭酸カルシウムのそれよりも大きいことがわかった。また,廃ペットボトルとホタテ貝殻を複合した材料の表面は,ホタテ貝殻に存在する有機基質の熱分解ガスに起因する発泡痕等は見られなかったものの,炭酸カルシウムと複合したものと比較して黄色度の高い成形品となった。強度性能は,ホタテ貝殻を複合した方が炭酸カルシウムを複合したものよりも高い値を示した。これらの結果より,廃ペットボトルとホタテ貝殻の複合材料は,炭酸カルシウムと複合したものと比較して,黄色度は高いものの表面に発泡痕等がなく,強度性能は高いことが明らかになった。
著者
M. Karabulut T. Abe Y. Sato M. Bemben
出版者
Japan Kaatsu Training Society
雑誌
International Journal of KAATSU Training Research (ISSN:13494562)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-9, 2007 (Released:2008-07-18)
参考文献数
32
被引用文献数
12 19

Skeletal muscle adapts to a progressive overload, but the response can vary between different modes and intensities of exercise. Generally, a minimal threshold intensity of 65% of the one repetition maximum (1-RM) is needed to elicit muscle hypertrophy; however, recent studies have challenged this hypothesis and have provided evidence that low-intensity training (LIT) combined with vascular restriction (KAATSU) may also elicit increases in muscle size and strength. The physiological aspects of applying vascular restriction during exercise are not fully understood and may be explained by several factors. Examining the results of previous studies may help elucidate the factors responsible for the adaptations associated with vascular restriction in humans. Therefore, the objectives of this review are to summarize current knowledge regarding the physiological adaptations of skeletal muscle after low-intensity exercise combined with vascular restriction, the different training protocols used to elicit adaptations, and suggested areas for future research.
著者
嘉瀬 貴祥 上野 雄己 大石 和男
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.195-203, 2017-08-31 (Released:2017-09-07)
参考文献数
20
被引用文献数
1

目的:心身の健康と関連するパーソナリティの類型について,質問紙で測定されたBig Fiveの得点を用いたクラスタ分析により,パーソナリティ・プロトタイプと呼ばれる3つの類型(レジリエント型,統制過剰型,統制不全型)が国外の研究で抽出されている.本研究では,大学生(大学,専門学校,短期大学,大学院に在籍する学生)を対象とした調査のデータにおいても,パーソナリティ・プロトタイプが認められるか否か検討することを目的とした.加えて,それぞれの類型に該当する者の精神的健康の状態が,先行研究の報告を支持するか否か確認した.方法:株式会社クロス・マーケティングの調査モニターである大学生の400名を対象として,2016年5月に横断的なweb調査を実施した.調査内容はBig Fiveに基づくパーソナリティと精神的健康についてであった.この調査より得られたデータを,Ward法による階層的クラスタ分析,標準得点の算出,一要因分散分析を用いて分析した.次に,算出された標準得点を先行研究の結果と比較した.結果:階層的クラスタ分析の結果,レジリエント型,統制過剰型,統制不全型,識別不能型という4つのクラスタが得られた.さらに一要因分散分析の結果,レジリエント型と識別不能型は統制過剰型より精神的健康が高いという傾向が認められた.結論:本研究の結果から,諸外国の先行研究で見出されていたパーソナリティ・プロトタイプに相当するクラスタが,大学生においても存在することが示唆された.また,それぞれの類型に該当する者の精神的健康の状態は,先行研究の報告を支持するものであった.
著者
豊岡 示朗 荒松 馨 松生 香里
出版者
大阪体育大学
雑誌
大阪体育大学紀要 (ISSN:02891190)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.39-50, 2004-03-31

The exercise intensity at which lipid metabolism is enhanced most and changes in lipid metabolism with time were studied during 2-hours treadmill exercise at intensities of 30, 40, 50, 60, and 70% VO2max. The subjects were 6 healthy adult males (aged 20-28 years) who exercised regularly 2-5 days a week. The exercise session was held after the subjects ingested the same lunch (a bowl of rice with meat and vegetables cooked in the Chinese style with salad; about 950 kcal) and rested for 2 hours and 30 minutes. Characteristics of lipid metabolism were examined on the basis of the plasma substrate and hormone levels, and metabolic responses. RER remained low at 30% and 40% VO2max from the beginning (0.91-0.93) to the end (0.87-0.88) of the exercise compared with the exercise intensity above 50% VO2max. The energy produced by combustion of fat, measured every 30 minutes during the exercise, increased with time at all exercise intensities, but the increases between 90 and 120 minutes were particularly notable (except at 30% VO2max). In addition, the energy derived from fat was the largest at 70% VO2max among the 5 exercise intensities 60 and 120 minutes after the beginning of the exercise with significant differences (p<0.05) compared with the other intensities. Concerning the blood substrate, glycerol mobilization and glucagon secretion increased, but the glucose level decreased characteristically, with increasing exercise were small in all parameters measured (glycerol, FFA, ketone bodies, glucose, glucagon) at all intensities, and no significant difference was observed among the intensities. However, the values of all parameters increased rapidly during the latter 60 minutes, and the increases were the largest at 70% VO2max. Also, noradrenaline was nearly doubled at 70% VO2max compared with the other intensities 60 and 120 minutes after the beginning of the exercise. From the above results, it was concluded that the energy produced by fat combustion was enhanced most at 70% VO2max. Also, it was shown to be accelerated further when exercise at 40% VO2max or above is continued for 90 minutes or longer.
著者
徳永 弘子 湯浅 将英 武川 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.268, pp.23-28, 2006-09-23
被引用文献数
8

人の自然な会話では,言葉だけではなく,言葉とともに表出される視線や顔向き,表情などのノンバーバル情報が重要な役割を果たす.複数人の会話が円滑に進むのも話の内容と顔から表出されるノンバーバル情報が話したい・聞きたいという意図や戦略をお互いに伝えあうからである.本研究は,複数人が参与する会話における発話交替の仕組みを明らかにするため,3人会話の発話交替・継続の視線行動分析を行う.映像データから発話交替時の話者の視線,次話者となる聞き手の視線,次話者とならない聞き手の視線を分析し,その結果を発話交替遷移モデルとして提案する,特に,ここでは,聞き手の立場に注目し,聞き手が,話者やもう一人の聞き手に向ける視線量,その配分と,次話者になる頻度との対応関係を明らかにし,聞き手の発話意図・戦略を解釈する.聞き手を「話者をより多く見る」タイプと「話者をより少なく見る」タイプに分けて分析した結果,次話者になりたい聞き手,次話者になりたくない聞き手の特異な視線行動パターンが抽出できた。
著者
吉村 伸 徳川 義崇 村井 純
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.53(1991-DPS-051), pp.1-8, 1991-07-05

学術研究のためのコンピュータネットワークは、1984年のJUNETの実験開始に始まり、その後順調に参加組織が増加し、発展を続けている。それとともに、WIDE,TISN,JAINといったIP Networkの構築が進み、BITNETなどとともに、国際的な接続性を有した、学術研究ネットワークを形成している。我々は、これらネットワークの発展、相互接続の変遷に関して調査し、現状を把握するために若干の実験を行なった。本論文では、その結果について報告する。
著者
幾田 伸司
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門教育大学研究紀要 鳴門教育大学 編 (ISSN:18807194)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.113-126, 2007

The purpose of this paper is to consider a part of image of woman in Japanese textbooks in postwar days by examining teaching materials of "Madame Curie." The image of Madame Curie in teaching materials is as follows, (1) Effort, (2) Love to her family, (3) Altruism, (4) Desire for learning, (5) Patriotism, (6) Cooperation with her husband, (7) Love to her husband, (8) Being good mother. Some of these are manly images, and images of Madame Curie are also manly ones. It shows the image that women can participate in the society in the same way as men. The image of Madame Curie in Japanese textbooks swings between manly image and classical womanly ones.
著者
尹 聖在 菅 愛子 高橋 大志
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

News articles play an important role in financial markets. This study analyzes the relationship between news articles and stock price fluctuations using high frequency trading data in Korean stock markets. Especially, we analyze differences in market reactions according to languages of news articles. In order to understand the influences of news articles, this study explores conditions of Long Short Term Memory (LSTM) models that classify news articles.
著者
加藤 旺樹 穴田 一
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

近年,テクニカル分析を用いた株式売買に関する研究が多く行われている.テクニカル分析を用いた投資では,相場のトレンドや転換点を判断するテクニカル指標を用いることで,過去の値動きのパターンから将来の値動きを予測し売買を行う.しかし,そのためには専門的な知識を必要とする上,利益を上げにくいという問題がある.そこで,本研究ではテクニカル指標を用いた高確率で利益を生み出す投資戦略の構築を目的とする.
著者
田村 浩一郎 大澤 翔平 松尾 豊
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

ソーシャルメディアは,センサとしてだけでなく,アクチュエーターとしても機能している.ソーシャルセンサはソーシャルメディアから獲得されたデータを用いて,実世界の現象やトレンドを検出することができる.ソーシャルセンサによって獲得された情報は,実世界の観測と予測の可能性を高めたが,ソーシャルメディアその自身と実世界の間の因果関係は今まで議論されてこなかった.近年,インスタ映えというインスタグラムに投稿する写真をとるための消費行動が話題となり,ソーシャルメディアから実世界への因果関係を分析する重要性は高まっている.この研究では,ソーシャルアクチュエーターという新しい概念を提案する.ソーシャルメディアにおいて他のユーザーとの相互作用によって蓄積される内部情報を表すinternal statesを導入し,そして交絡要因の存在への対処方法を示す.今回の実験では,仮想通貨市場を対象とし,Twitterのデータを用いて,Twitterでの要因から仮想通貨市場に対する因果を検証した.そして提案手法の拡張性について議論し,我々全員がソーシャルメディアを通して実世界に働きかけることが可能であることを考察した.
著者
加藤 弘通 太田 正義 松下 真実子 三井 由里
出版者
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.21-30, 2014-03-25

本研究の目的は、思春期における思考の発達過程を明らかにすることと、こうした思考の発達が、自尊心の低下や大人への反抗といったこの時期の諸問題とどのように関係するのかを明らかにすることである。そのために中学生468名を対象に、批判的思考態度、自尊心、親との関係、教師との関係を含む質問紙を用いて、2年間で5回の縦断調査を行った。その結果、思考の発達を示す批判的思考態度は、2年生の後半あたりから上昇する傾向にあることが分かった。また批判的思考態度の発達の状況により生徒タイプを分類し、その後の自尊心などの発達的推移を検討した結果、中学入学時の段階で思考の発達がより進んでいる者ほど、より早く自尊心の低下や大人との関係の良さの低下が生じることが示された。