著者
杉本 研
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.199-202, 2012 (Released:2012-12-26)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)は,高齢者の転倒の原因として,その成因解明や予防法確立が注目されている.また糖尿病・肥満などの代謝異常症では,加齢とともに転倒頻度が増加する.筋肉減弱と代謝異常の関連についてはまだ不明な点が多いが,筋の量的調節・質的調節の両方に関連する骨格筋ミトコンドリアは,サルコペニア成因における候補器官として重要である. 一方,慢性炎症がサルコペニアの成因であることは知られているが,最近,運動直後の骨格筋からIL-6などのサイトカインが産生され,代謝改善や筋量増加に関連することが注目されており,このMyokine(マイオカイン)産生能とサルコペニアとの関連性も興味深い. 我々は現在,骨格筋ミトコンドリア機能とMyokineに注目し,サルコペニアの成因解明を目的とした基礎研究,臨床研究を行っている.本シンポジウムでは,その研究結果の一端を紹介し,今後の方向性を考えたい.
著者
吉野 正敏
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.116, no.6, pp.836-850, 2007-12-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
91
被引用文献数
3 4

Recent studies on climate change during the historical period are reviewed in this paper. Firstly, methods, limitations and materials for reconstructing past climates are summarized. Historic diaries and old documents are useful particularly for the period of the past 500 years. Some indices for expressing the climatic conditions found in the historic materials are introduced. Historic documents and materials found in China since 4, 000 BP were published in 2004. On the other hand, daily weather data at several stations for the 15 and 16 centuries in Japan were published in 2004 and 2006, respectively. Secondly, the “Little hypsithermal (warm) period” during the period from the 4th century to the 10th century is described. In the final part of the present paper, examples of an ancient central government in Japan, planning of Heijoukyou (an old center of government), settlements developed on the Boso Peninsula, Chiba, Japan, and parallel activities in Southeast Asia are discussed in relation to the changing climate during the “Little climatic optimum” from the 8th century to 9th century, which was the peak of the “Little hypsithermal (warm) period”. It is pointed out that the changes were roughly in parallel.

3 0 0 0 OA 粥杖考

著者
山口 米吉
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
東京人類學會雜誌 (ISSN:18847641)
巻号頁・発行日
vol.16, no.182, pp.296-307, 1901-05-20 (Released:2010-06-28)
著者
小川 泰弘 稲垣 康善 ムフタル・マフスット
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.114(1996-NL-116), pp.7-12, 1996-11-18

日本語の膠着言語の性質と音韻論的性質に注目した清瀬の派生文法では、活用という考え方を用いないで動詞接尾辞を考えることにより、動詞語形の形成を単純かつ体系的に取り扱うことを可能としている。本稿では、派生文法に基づく日本語形態素解析法を提案し、不規則動詞を含む各種の動詞語形の変化を簡単に解析できることを示す。また従来異形態の登録で対処されてきた音便形に対して、後方からの検索と子音の補完により余分な辞書登録をしないで解析する手法を提案し、その有効性を示す。

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1947年05月28日, 1947-05-28
著者
東京逓信局 編
出版者
電気協会関東支部
巻号頁・発行日
vol.第7回, 1935
著者
赤坂 信
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.232-247, 1991-02-28 (Released:2011-07-19)
参考文献数
73
被引用文献数
1

ドイツ郷土保護連盟の設立 (1904) の歴史的背景と社会的動機を探り, 連盟の改称が提起されるまでの四半世紀間の活動内容及びその変遷を明らかにすることを目的とした。郷土保護運動の当初の段階は近代的発展によって郷土の風景や生活習慣が消失していくことに対する抗議や救済が主目的であった。やがて保護育成の対象は郷土の空間の構成するモノから郷土を担うヒト (Volk) へ移行する。すなわち望ましい民族の育成が課題となっていく。

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1904年12月27日, 1904-12-27
著者
長谷川 奨悟
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2016年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100064, 2016 (Released:2016-11-09)

近世における「名所図会」資料や地誌は、多くの大学附属図書館をはじめ、国立国会図書館や国立公文書館、各都道府県や市町村立図書館や資料館において、その地域の風土性や、場所や風景の過去の姿を知ることができる郷土資料として収集・公開が進められてきた。しかし、管見の限りでは、これらの資料の編纂動向とその特徴をめぐる議論は、三都のほか、奈良や伊勢など多くの地理的メディアが編纂された地域では検討がなされてきたものの、近世日本というスケールでの考察は、ほとんど試みられることはなかったと思われる。強いてあげるとすれば、戦前期の高木(1927、1930)の仕事に注目できるが、これは高木家の家蔵資料について、その書肆情報を旧国単位で編年したものであり、ここにとりあげられていない資料も多く認められるなど、これをもって近世名所地誌本の全体像をとらえることはできない。本発表では、蝦夷と琉球も含めた近世全体の編纂・刊行動向の全体像について考察することを目的としたい。〈BR〉2 考察方法 上記の問題に取り組むにあたって、以下のような手順で考察をおこなう。まず、現在最も体系化されていると判断できる高木(1927、1930)の成果を基盤としつつ、各機関の郷土資料目録を用いて地域の編纂動向の全体像をとらえる。そして、所蔵資料や公開されたデジタルデータを確認し、その書誌情報や、取りあげられる内容を検討し、旧国域を単位とする近世名所地誌本のデータベースの作成を進めた。ここでは、高木の地誌目録にみえる「紀行文」や「歌集」などは対象から外した。また、四国巡礼や西国巡礼、秋里籬島選『東海道名所図会』(1797年刊)のような国単位を超える広域な地域で編纂されたものは、今回のデータベースには反映させていない。このように進めていくと、近世日本において編纂された地誌や名所案内記(名所図会)は、現在把握できているだけでも計678点ほどになる。次いで、これらを(1)17世紀末まで、(2)18世紀前半、(3)18世紀後半、(4)19世紀初めから幕末まで、(5)編纂時期不明という5つの時期に区分した考察をおこなうことで、それぞれの地域における大まかな編纂動向を把握できるものと考える。〈BR〉3 考察 上記のように近世日本における「名所図会」資料や、地誌の編纂・刊行動向を旧国単位で整理すると、武蔵国(江戸)の計89点、山城国(京)の計50点、摂津国(大坂)の計49点と上位は三都が占める。次いで、陸奧国(仙台・松島)の計40点、大和国(奈良)の計29点、尾張国(名古屋)の計29点と続く。例えば、厳島のある安芸国では計17点となる。これらについて、編纂時期不明をのぞく4つの時期ごとに分析すると、19世紀には、これまで編纂が無かった安房国で計2点、讃岐国で計7点など、新たに計6ヶ国において確認できるようになり、この時点で大隅国を除く全国において、少なくとも1点以上の新規編纂を確認できるようになる。 ただし、大隅国内の場合、鹿児島藩領について編纂するもののなかに立項・叙述を確認できる。これが編纂される場所は、藩政の中心地である鹿児島であるため、大隅に関する記事も旧国単位でみれば、薩摩国において編纂されたものに含まれる。このような、領国支配の中心と周辺部、ないし支藩領域との関係性は、周防国と長門国などにおいてみられ、大藩の城下町における近世地誌編纂の実践をめぐる特徴的な傾向の一つといえる。 全国的な編纂の実践の拡大をめぐる社会的背景には、(1)三都周辺で始まった地理的メディア編纂の実践が、地方都市へと伝播していった結果、これらの編纂を試みる知識人層の裾が広がったこと。(2)幕藩領主や地方書肆の意向など、編纂の実践ができる態勢に向かっていたこと。(3)その実践をめぐる社会的な需要が拡大していたことなどが考えられる。「名所図会」や地誌を編纂する際に設定される領域性や、叙述の場所性めぐる問題は、編纂者側の編纂思考や依頼者の意図が反映される。そこで、版元の特定や編纂者に対する考察を進めることが今後の課題となろう。〈BR〉なお、本発表内容は、平成25~28年度科学研究費助金・基盤研究(A)課題番号25244041 研究代表者:平井松午(徳島大学)「GISを用いた近世城下絵図の解析と時空間データベースの構築」の研究成果の一部である。
著者
飯嶋 久志 大澄 朋香
出版者
一般社団法人日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.22-32, 2016 (Released:2016-06-13)
参考文献数
104

Objective: Clinical articles are important for individualization of drug therapy.  Especially, meta-analysis is positioned at the highest evidence level.  Therefore, we assessed the Quality Score of Meta-Analysis (QSMA) which provides simple assessments of both the quality and the format of meta-analyses, by applying them to incretin-related drugs as a model.  Furthermore, we attempted to extract clinical data from the literature employing a certain minimum standard.Method: We searched for meta-analyses of incretin-related drugs for diabetes in PubMed and the Cochrane Library, scoring the extracted articles for format using PRISMA statements, and for quality using QSMA.  Additionally, we classified these articles into two groups with a QSMA score of 70% as the basis, and verified the analysis sets (ITT, FAS, PP or APT) and sensitivity analysis.  Furthermore, we looked into those articles that scored 70% or higher to extract data that were deemed to have significant statistical differences.Results: Scoring of the 66 articles studied yielded 69.9±19.4% (mean ± SD) for format and 62.1±17.8% for quality.  These two variables produced a regression line of y=0.777x+7.834.  Comparison of the two groups classified on the basis of a 70% score on QSMA yielded a significant difference in sensitivity analysis only (p<0.05).  Seven effects and five side effects were extracted from articles with a QSMA score of 70% or higher.Conclusion: Although QSMA can provide simple assessment of quality and structure using eight items, analysis sets needs to be verified individually.  As the articles assessed provided statistically endorsed data, the clinical application of QSMA will be an issue in the future.
著者
和田東蔵 著
出版者
和田東蔵
巻号頁・発行日
vol.巻1・巻2, 1896

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1947年12月11日, 1947-12-11
著者
川端 望
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.14, no.9, pp.451-494, 2015-09-25 (Released:2016-09-25)
参考文献数
78

本稿の目的は、市場経済移行下におけるベトナム鉄鋼業の達成と課題を明らかにすることである。ベトナムでは、工業化水準の低さに制約されながらも、鋼材集約度が高い経済構造に助けられ、建設用鋼材を中心に鉄鋼需要が拡大している。そして、鉄鋼業は、総じて言えば、民間企業や外資企業を中心的担い手として、拡大する国内市場を獲得して生産を拡大させている。競争による優勝劣敗の選択が正常に機能しつつある。すなわち、市場経済移行の効果は着実に上がっている。能力過剰が設備稼働率を低迷させていることなど課題は多いが、それは主として市場経済化の副産物であり、政府の介入によるものではない。ただし、国有企業の経営状態や政府に依存した投資行動に改善が見られないことも事実であり、その改革を加速することが急務である。
著者
藤岡 久美子
出版者
山形大学地域教育文化学部附属教職研究総合センター
雑誌
山形大学教職・教育実践研究 = Bulletin of Teacher Training Research Center, Yamagata University (ISSN:18819176)
巻号頁・発行日
no.9, pp.21-27, 2014-03

幼児期に自己に向けた発話(プライベート・スピーチ,PS) があらわれ,言葉の内化とともに内言へと移行することがヴィゴツキーの理論およびその後の研究において示されている。本研究の目的は,認知的課題に取り組む際に幼児が示すPSの個人差と幼稚園での自由遊び場面での目標指向性との関連を検討することである。21名の幼児が年少クラス在籍時および1年後に絵カード分類課題に取り組み,課題中のPSが測定された。年中時には自由遊び中の行動と注意が記録された。PSと行動・注意の関連を検討したところ,ぼうっとしていたりうろうろすることが多いほど,分類課題中のPSが少なかった。また,1年間でPSが増加した群においてのみ,製作やごっこ遊びなど静的な遊びを相手に注意を向けて取り組んでいるほど,課題中の文形態のPSが多く示された。これらの結果から,思考の道具であるPSを認知的課題に取り組む際に多く示す幼児は,日常的にも目標指向的で,行動や注意が制御された状態を多く示すことが示唆された。 キーワード:幼児 / プライベート・スピーチ / 自由遊び / 自己制御