著者
藤江 雄太郎 小島 由香 長屋 俊
出版者
学術文献普及会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.102, pp.34-43, 2015

<p>今日世界中で数多くのデジタル化資料が無料公開されている。本稿では,これらの資料の発見性を高める方策を検討するため,NACSIS-ILLのログに注目し,分析を行った。ILLログのうち,無料で公開されているデジタル化資料が利用できるという理由で謝絶に至ったログを抽出,案内されている資料を調査した。その結果,無料デジタル化資料はWeb上の広い範囲に散在し,特に国内では60%程度がNDLSearch・CiNii Articles・J-GLOBAL・J-STAGEの各サイトに加えて検索エンジンで検索すれば発見可能な資料であることがわかった。また,これらのサイトはメタデータ連携が部分的で,収録状況の詳細が明示されていないことがわかり,発見性低下の一つの要因になっていることが示唆された。</p>
著者
藤江 雄太郎 小島 由香 長屋 俊 フジエ ユウタロウ コジマ ユカ ナガヤ シュン Fujie Yutaro Kojima Yuka Nagaya Shun
出版者
学術文献普及会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.102, pp.34-43, 2015-08

今日世界中で数多くのデジタル化資料が無料公開されている。本稿では,これらの資料の発見性を高める方策を検討するため,NACSIS-ILL のログに注目し,分析を行った。ILL ログのうち,無料で公開されているデジタル化資料が利用できるという理由で謝絶に至ったログを抽出,案内されている資料を調査した。その結果,無料デジタル化資料はWeb 上の広い範囲に散在し,特に国内では60%程度がNDLSearch・CiNii Articles・J-GLOBAL・J-STAGE の各サイトに加えて検索エンジンで検索すれば発見可能な資料であることがわかった。また,これらのサイトはメタデータ連携が部分的で,収録状況の詳細が明示されていないことがわかり,発見性低下の一つの要因になっていることが示唆された。 / There is now a multitude of digitizedmaterials that have beenmade available for free around the world. In order to consider measures to improve the discoverability of these free resources, the authors have analyzed the transaction logs from NACSIS-ILL logs. The authors surveyed the interlibrary loan transactions where the request was cancelled because an item was freely available to see what types of materials were requested. As a result, the authors found that the digitized materials are widely-scattered on the web and of particular significance approximately 60% of the domestic digitized materials are discoverable using the search engines and following services: NDL Search, CiNii Articles, J-GLOBAL, and JSTAGE. While there is a partial linkage between the metadata existing in each of these sites, it is not possible to see detailed information about the contents and that fact contributes to the decreased discoverability.
著者
水田 明子 巽 あさみ
出版者
日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.92-100, 2012-03-31

目的:深刻なこころの健康問題を抱えた学生は増加しており,保健室担当者はその対応に困難を抱いている.そこで本研究は,小規模私立大学の保健室担当者がこころの健康問題を抱える大学生に対して行う健康相談の内容から,課題を明らかにすることを目的とした.方法:小・中.高等学校の養護教諭勤務経験(経験歴3年以上)をもつ,小規模私立大学の保健室担当者(非常勤)5人に平均69分の半構造化面接を実施した.研究方法は,舟島なをみによる看護概念創出法を用いてデータ分析を行った.結果:197の「大学生のこころの健康問題に対する相談-困難経験コード」が抽出され,6コアカテゴリが形成された.大学生に対する健康相談において,保健室担当者が抱える3つの困難を表す概念は,【学生のこころの健康問題の深刻化】【教職員に健康相談について理解と協力を得る困難】【こころの健康問題を抱える学生への対応の困難さ】であり,3つの課題を表す概念は,【青年期の精神的自立支援】【関係者との連携】【健康相談の組織的取り組み】であった.結論:学生のこころの健康問題は深刻化しており,保健室担当者は健康相談の対応に困難を抱えている現状が明らかになった.大学の保健室担当者に,青年期の精神的自立支援を行う役割があることを示唆している.健康相談を進める過程で,関係者と連携を図り組織的に取り組むことが重要である.
著者
鈴木 良
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.49-62, 2015-08-31

本研究は入所施設とグループホーム/ケアホーム(以下,GH/CHと略記)で生活する知的障害者を対象に,1)入所施設よりもGH/CHの生活の質が向上するかどうか,2)GH/CHでは障害程度に応じて生活の質が変わるのかを検証した.その結果,第一に,GH/CHでは入所施設よりも自己決定の機会が向上することがわかった.ただし,これは日常生活にかかわる決定や外出機会の向上を意味し,入所施設と同様に人生にとっての重大な決定への参加機会は乏しかった.一方,GH/CHでは入所施設と同様に,人間関係,自己決定,社会参加の機会が低い水準であり,物資的豊かさ,健康,権利擁護は高い水準であった.ただし物質的豊かさ・権利擁護については自立的生活に伴いニーズが変化することや,プライバシーが十分に保障されていないことを考慮に入れなければならない.第二に,GH/CHでは障害の重度化に伴い生活の質が悪化する状況が見いだされた.
著者
高橋 哲郎
出版者
精華女子短期大学
雑誌
精華女子短期大学研究紀要 (ISSN:13495453)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.17-26, 2005-03-31

不登校の問題は, 小学校・中学校・高等学校・大学と進級するにつれ顕著な不適応行動として表れ, 職場でも出張拒否となって表れる現象で個人的な原因に加え, 学校でのちょっとしたことが, 引き金になって表れる。その特徴として, 低学年では分類不安が多く, 本人は緊張して家庭から出られない。高学年になるにつれ, 理由づけがなされ, 中・高では「学校など意味がない」など批判的言動も述べられる。共通の身体的訴え (頭痛, 腹痛, 嘔吐感)や朝のけだるさ, 抑うつ感が多くなる。第2の特徴として, 知的能力は低くなく, むしろ成績上位の場合が多くある。第3の特徴として, 家庭の社会的・経済的地位が低くなく中流以上が多い。第4の特徴は両親の精神的安定感が低い。父母の役割が不明確で不安定, ことに父親の未成熟, 母親の神経症的支配性・干渉性が共通に見られる。その点心理援助として次のようなことが考えられる。 1. スクールカウンセラー及び精神科医と連携し, 本人の内的な緊張感, 不安感, 挫折感をおびやかすような場合を極力避けること。 2. 家庭においては, 親の子どもへの期待感が子どもに強い不安を喚起することがあるので過剰な期待をしないこと 3. 現実の体験学習を繰り返し, 自分の目標を再構成すること。不登校の発生過程を振り返り, 家庭内での開設されている情緒障害児短期治療施設を利用することも効果が期待される。児童・生徒中心の心の琴線に触れながら精神的サポート体制の試行が継続され維持・発展されることが肝要である。
著者
津川 定之
雑誌
研究報告高度交通システム(ITS)
巻号頁・発行日
vol.2009-ITS-39, no.9, pp.1-8, 2009-10-29

この報告は 1950 年代に R&D が始まった自動車の自動運転システムのサーベイを述べ,その特長と課題について考える.1950 年代,1960 年代の自動運転システムは路面に埋設した誘導ケーブルに基づいていたが,1970 年代,1980 年代にはマシンビジョンに基づく自律車両の研究が行われている.1980 年代に始まる各国の大規模な ITS プロジェクトでは自動運転システムが重視され,単独車両の自動運転だけでなく小さな車間距離で走行する自動隊列システムが開発されている.自動運転の特長はヒューマンエラーをなくすることによる安全と,精密な車両制御による道路容量の増加,隊列走行による空気抵抗減少による渋滞の発生抑止と省エネルギー化にある.しかし法的課題があって公道上での実用化には至っていない.
著者
上田 至宏 樫葉 均 石井 昌明 中筋 直 王 財源
出版者
関西鍼灸大学
雑誌
関西鍼灸短期大学年報 (ISSN:09129545)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.6-10, 1998-06-30

An acupuncture (A.) therapist feels subtle changes of the finger tip sense during the Acupuncture treatment. Also the subjects feel the needle insertion as "Hibiki" (literally "resonance") which means hitting the A. point. Intellectual resonance(or synchronization) in human groups is reported. There is a possibility of resonance phenomenon between an A. therapist and a subject. Therefore the EEGs of an A. therapist and subject were measured. The EEGs of the therapist and subject changed according to differences in A. techniques, and a simultaneous resonance phenomenon was observed.
著者
梅田 百合香
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学経済経営論集 (ISSN:02869721)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.7-32, 2016-03-03

Concerning the issue of morality in politics, Machiavelli and Hobbes have often been viewed as "realists," who accepted the evil lurking in human nature as natural and dissociated morality from politics. However, Hobbes himself did not separate politics and morality, and insisted that his political philosophy was also a moral philosophy. This paper examines the logical structure of political and moral theory in Hobbes's Leviathan, focusing on "evil in politics." In Hobbes's moral philosophy, there is no room for evil in politics in the state of nature, meaning the state of a moral vacuum. Evil in politics signifies injustice in society, in other words, intentions or actions that disturb peace in the civil state after a social contract has been made. Hobbes's description of the state of nature demonstrated that peace was the grand foundation for maintaining a society that actualized morality, and could be the criterion of moral judgement for all political actors.
著者
金子 正光 辻 利則 Tadamitsu KANEKO Toshinori TSUJI
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.237-254, 1999-03-20

我が国では、加速的に高齢化が進んでおり、2010年には4人に1人が65歳以上という超高齢化社会を迎えようとしている。宮崎県の場合、県内の高齢化は他の県に比べて早く進むことが予想されている。高度情報化社会の到来は、あらゆる分野において組織革命を起こすとともに、生活レベルにおいてもさまざまな側面で影響を及ぼし、コンピュータと情報ネットワークが福祉に対して重要な役割を果たすことが期待されている。本論文では、宮崎県内での事例を取り上げ、福祉に関しては障害者・高齢者にやさしい町づくりの観点から「タウンモビリティ」、そしてインターネットを用いた福祉情報としては障害者・高齢者が外出するときに必要な「車いす用トイレマップ」について述べる。
著者
中谷 朋昭 宮田 歩 澤内 大輔 桟敷 孝浩 山本 康貴
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.100-103, 2010

We examine the tariff equivalent estimates of technical barriers to trade (TBTs) in the case of Japan's phytosanitary measures against fire blight in connection with apple imports. We construct a confidence interval for the tariff equivalent estimates of the TBTs using the Yue, Beghin, and Jensen (2006) model. The results show that the tariff equivalent estimates of TBTs are not statistically different from zero.