著者
堤 浩之 平原 和朗 中田 高 杉戸 信彦 DELA CRUZ Laarni. S. RAMOS Noelynna T. PEREZ Jeffrey S.
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

フィリピン断層の地形・歴史地震・古地震調査に基づき,この断層から発生する地震の規模や頻度が走向方向に大きく変化することを明らかにした.フィリピン断層のほぼ全域の縮尺5万分の1の活断層分布図を作成し,フィリピン火山地震研究所のホームページで公開した.完新世隆起サンゴ礁段丘の調査により,海岸部を数m隆起させるような巨大地震がフィリピン海溝やマニラ海溝で繰り返し発生してきたことをはじめて実証的に明らか
出版者
台湾総督府農事試験場
巻号頁・発行日
vol.第19号 台湾産菌類調査報告 第1編(, 1922
著者
川本 皓嗣
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学論集 (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.(1)-(26), 2010

いわゆる漢文、あるいはその日本における具体的な存在様式である漢文訓読は、考えれば考えるほどふしぎなものである。その曖昧さ、正体のつかみ難さという点と、それとは裏腹の存在の重さ、巨大さ、根深さという点で、それはまさに日本文化の特性を典型的に表わしているようだ。この重要な現象が、かなり最近まで十分な注意を惹くことがなかったのは、たとえば和歌や俳句などの特異な詩の形式と同様、それが日本人にはあまりにもなじみ深い、ごく「当たり前」の制度ないし決まりだったからだろう。とはいえ、ほぼ今世紀に入った頃から、訓読をめぐる議論がようやく活発になりつつある。これは大いに歓迎すべきことだが、ただ、訓読という現象に正面から理論的な考察を加えたものは、まだそれほど多くない(もっとも、俳句であれ連句であれ、掛詞であれ切れ字であれ、あえて理論的・原理的、比較論的な穿鑿の対象にしないことこそ、日本文化の特質なのかもしれない)。そこであらためて、あえてごく初歩的・常識的な要素をも考慮に入れながら、翻訳論と比較文化論の両面から、漢文訓読という異言語読解のシステムを問い直してみたい。

3 0 0 0 OA 実業史談

著者
切山聴松 編
出版者
壷天堂
巻号頁・発行日
1887
出版者
高岡図書館
巻号頁・発行日
vol.自大正11年4月至大正14年3月, 1925
著者
シュスターマン リチャード 大石 昌史
出版者
三田哲學會
雑誌
哲学 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.131, pp.323-348, 2013-03

講演この発表は, 私の哲学的研究を導いてきた, また, 身体感性論somaesthetics の中心をなす理論と実践の統合を強調するところの, 越境的で経験的な探究inquiry のプラグマティックなモデルを検証するものである. 基本的な考え方は, 探究は, その過程で獲得される経験, すなわち, 継続中の探究がそのエネルギーを将来の方向へ向け, また, その結果を回顧的な確認へと向かわせるところの力動的な経験を通じて, 探究それ自体として, 新たな方向, 形式, 方法, 基準を発展させ得るということである. (このようなモデルは, 探究には, 独立に基礎づけられ, 探究の過程に先立つ, 探究と評価を支配する外的な基準となるところの方法の確定や妥当性の論理的な基準が必要だとする, よく知られた考え方とは対照的である. )私は, このような探究の経験的モデルを, 私の美学的研究における例証を通じて, すなわち, どのようにプラグマティズムの美学における探究が身体感性論の試みへと, そして現代アートの研究, および芸術的パフォーマンスを通じた探究という考えへと至ったかを跡づけることによって, 検証する. なお, この発表は, 『プラグマティズムの美学(生き生きとした芸術)Pragmatist Aesthetics (L'art à l'état vif)』の(フランス語版と英語版の)出版20周年を記念したソルボンヌ大学での国際会議と連動して, (2012年5月24日から6月6日まで)パリで私が企画した最近の芸術展示に依存している.
著者
岡本 智周 笹野 悦子
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.16-32, 2001-06-30
被引用文献数
1 2

本稿は, 戦後の新聞紙上で「サラリーマン」の表象がいかに変化してきたのかを分析する.近年しばしば「サラリーマンと主婦に子ども」という家族構成が家族の「55年体制」と称されている.その「55年体制的サラリーマン」が戦後の全国紙において生成し, 消失していく過程を具体的に提示することが, 本稿の意義である.<BR>分析の対象は, 1945年から1999年の『朝日新聞』における, 見出しに「サラリーマン」という語が入った全1034件の記事である.我々はまずこれらの記事を量的に検討し, それらを内容の面から8つのカテゴリーに分け, さらにカテゴリーごとに「55年体制的サラリーマン」を自明視する記事の割合の増減を検討した.この作業によって戦後を5つの時期に区分することができた.<BR>次に我々は, 内容分析によって各時期の「サラリーマン」の特徴を提示した.「55年体制的サラリーマン」に関して明らかになったことは, その自明性が高度経済成長期の初期に初めて成立し, 「サラリーマン」に対して1960年代後半においては「納税」が, ポストオイルショック期においては「性別役割分業に基づいた家族への回帰」が期待されていたことである.また, その自明性がバブル経済期半ば以降に問い直され始め, 1990年代において「サラリーマン」にはリスクを伴う個人化傾向・周縁化傾向が促されつつあるということも, 本研究によって確認された.
著者
Akihisa SUWA Tetsuya SHIMODA
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.16-0605, (Released:2017-02-04)
被引用文献数
12

A 12-year-old, 3.6-kg, spayed female domestic shorthaired cat had a 2-month history of anorexia and weight loss. Abdominal ultrasonography and computed tomography revealed an exophytic mass originating from the jejunum with very poor central and poor peripheral contrast enhancement. On day 14, surgical resection of the jejunum and mass with 5-cm margins and an end-to-end anastomosis were performed. Histopathological examination revealed the mass was a transmural, invasive cancer showing exophytic growth and originating from the small intestinal muscle layer. Immunohistochemical analysis of tumor cells revealed diffuse positivity for KIT protein and negativity for desmin and S-100. The mass was diagnosed as a gastrointestinal stromal tumor (GIST). Ultrasonographic findings indicated the tumor probably metastasized to the liver and omentum, as seen in humans and dogs. The owner rejected further treatment at the last visit on day 192. To our knowledge, this is the first report of intestinal tumor and metastasis in feline GIST and its imaging features.
著者
大園 享司
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.304-318, 2007-11-30 (Released:2016-09-16)
参考文献数
91
被引用文献数
1

冷温帯産樹木の落葉を材料として、その分解過程と分解に関わる菌類群集の役割を実証的に明らかにした。調査地は京都府の北東部に位置する冷温帯ブナ天然林である。35ヶ月間にわたる落葉分解実験の結果、14樹種の落葉のリグニン濃度と落葉分解の速度および落葉重量の減少の限界値との間に負の相関関係が認められた。また窒素・リンの不動化-無機化の動態がそれぞれリグニン-窒素(L/N)比、リグニン-リン(L/P)比の変化によく対応していた。実験に用いた落葉樹種のいずれにおいても、リグニン分解はホロセルロース分解より遅く、落葉中のリグニン濃度は分解にともなって相対的に増加する傾向が認められた。落葉に生息する微小菌類と大型菌類について調査を行い、29樹種の落葉から49属の微小菌類を、また林床において一生育期間を通して35種の落葉分解性の担子菌類を記録した。ブナとミズキの落葉において分解にともなう菌類遷移を比較調査した。リグニン濃度が低く分解の速いミズキ落葉では、リグニン濃度が高く分解の遅いブナ落葉に比べて、菌類種の回転率が高く、菌類遷移が速やかに進行した。担子菌類の菌糸量はミズキよりもブナで多く、またブナでは分解にともなって担子菌類の菌糸量の増加傾向が認められた。分離菌株を用いた培養系における落葉分解試験では、担子菌類とクロサイワイタケ科の子嚢菌類がリグニン分解活性を示し、落葉重量の大幅な減少を引き起こした。落葉のリグニン濃度が高いほど、菌類による落葉の分解速度が低下する傾向が培養系でも示された。同様に、先行定着者による選択的なセルロース分解によりリグニン濃度が相対的に増加した落葉においても、菌類による落葉の分解力の低下が認められたが、選択的なリグニン分解の活性を有する担子菌類の中には、そのような落葉を効率的に分解できる種が含まれた。これら選択的なリグニン分解菌類は野外においても強力なリグニン分解活性を示し、落葉の漂白を引き起こしていたが、林床におけるその定着密度は低かった。