著者
西田 直樹
出版者
作新学院大学
雑誌
作新学院大学人間文化学部紀要 (ISSN:13480626)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.67-81, 2004-03-30

『往生要集』は985年の成立から現代に至るまで多くの日本人に読まれ、彼らの他界観に影響を与えた。しかし、同じ詞章の『往生要集』であっても、読み手が抱くイメージは時代によって大きく異なっている。特に「修羅道」のイメージは時代による変移が激しい。本研究では、19世紀中期に活躍した八田華堂金彦という絵師に注目した。彼は『和字絵入 往生要集』(天保14年本)と『平かな絵入 往生要集』(嘉永再刻本)の挿絵を描いているが、二本の「修羅道」挿絵を比較すると、それらを一見しただけではとても同じ絵師の手による挿絵とは思えないほど異なっている。なぜ同一の絵師が、わずか5年から10年の間に、これほど異なる修羅道の挿絵を描いたのか。また、八田華堂金彦が『往生要集』の詞章からイメージした「修羅道」とは如何なるものであったのか。『往生要集』の解釈史研究という視点から考察した。
著者
川野 明正
出版者
筑波大学比較民俗研究会
雑誌
比較民俗研究 : for Asian folklore studies
巻号頁・発行日
no.19, pp.21-42, 2003-11-30

本論は、明末清初から中華人民共和国を含む現代にかけて、漢人の西南辺彊地域、とくに雲南地方への進出という歴史的側面から、西南非漢民族が行うとされる呪術的的民俗事象を主題とした考察を試みる。「走夷方」(ZouYiFang・漢語「ゾウイーファン」)と呼ばれる交易活動や物資輸送を目的とする漢人の雲南辺彊地区における旅行活動を取り上げ、走夷方を通じた民族間の出会いの局面に生じる民俗事象として、民族間呪術をめぐる伝承に注目し、それをめぐる漢人側の西南非漢民族のイメージがいかなる位相において表象されているかを考える。・・・
著者
桐本 東太 長谷山 彰
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.287-292, 2001

研究ノート
著者
西川 ハンナ
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.147-152, 2018-03-30

社会問題の解消に経済的アプローチや非専門家の支援が功をなしている。その手法の中にソーシャルワークの「社会開発」への援用をめざして、新たな仕組みで社会的な価値を創出した高齢者ダイニング、コミュニティカフェ、環境保全の3 事業の代表者へインタビュー調査を実施した。結果は、3 事業は社会問題の解消等を目的に、開発的ソーシャルワークでいう政策的実践、組織化など「マクロ実践」を、雇用環境・経済政策に則り事業に社会的価値を創出して資金調達や専門的助言を得て事業展開を行っていた。これらの事業は、社会問題の解消にあたり不足する人的・物的・経済的な側面の補完として「社会開発」を行っていた。◆「社会開発」の資源化や連携には目的の合致、資源の適合性、方針の合致が必要であり、これは社会福祉法人の新たな社会事業やソーシャルワーカーの連携にも必要な要件といえる。
著者
桜井 啓太 中村 又一
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.70-82, 2011-05-31

2005年度より全国の福祉事務所で「生活保護自立支援プログラム」が策定され,生活保護受給者に対する就労支援などの自立支援プログラムが実施されている.被保護世帯の「自立支援」が注目される反面,自立した被保護世帯の具体的な所得水準や生活状況については十分に研究がなされていない.筆者は大阪府内P市で2006〜2008年度に就労によって生活保護が廃止となった世帯(就労自立世帯)を対象に,廃止時の所得水準・雇用形態について調査を行った.本稿ではその調査結果を基に「国民生活基礎調査」「就業構造基本調査」との比較分析を行った.その結果,(1)低所得と非正規雇用によってワーキングプア化する生活保護「自立」者の存在と(2)自立後も乏しい他の社会保障給付に頼らざるを得ない世帯の現状という2点が明らかになった.
著者
中野 加奈子
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 社会福祉学研究科篇 (ISSN:18834019)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.55-70, 2009-03-01

ホームレス問題が社会問題化した1990年代後半以降には,ホームレス問題に取り組む研究者や支援者達によって様々な調査研究がなされ,ホームレス状態におかれる人々の生活実態が明らかになってきた。また2002年には「ホームレスの自立支援等に関する特別措置法」が制定されるなど政策的にも大きな動きがあった。しかし,これまでに生活再建に関わるソーシャルワークの課題として,Iホームレス問題」が取り上げられてきたことは少なかったように思われる。そこで本稿では,ホームレス問題についての先行研究や,制度政策の変遷,また実態調査の結果を振り返りながら,ホームレスの生活実態や,生活問題を捉える視点について考察し,ホームレスの生活史から,「ホームレス問題」を捉える事の重要性を検討する。そして,ホームレスの生活問題の特質と生活が変化していく過程を捉え,生活再建の意味とソーシャルワークに求められる機能を検証していく。
著者
郡 史郎
出版者
大阪外国語大学
雑誌
Aula Nuova : イタリアの言語と文化
巻号頁・発行日
vol.4, pp.29-43, 2004-06-10

正書法上は同じaiでも,2母音が別音節に分かれ2音節目にアクセントがあるaiに比べて,全体が1音節に属する下降二重母音でアクセントがあるaiは,二重母音であるがゆえにかなり短く,アクセントがない二重母音に近い長さで発音されているのではないかという聴覚印象を,7名の話者の発音の音響分析を通じて検討した。その結果,(1)アクセントがある下降二重母音aiは,アクセントがないaiの平均1.5倍強の長さを持っていること,(2)2音節目にアクセントがあるaiに比べて,下降二重母音でアクセントがあるaiを1割から2割程度短く言う話者が7名中5名いること,(3)しかし二重母音であるがゆえに短縮させていると思われるのは7名中3名に過ぎないことがわかった。この点において話者がVeneto州かLazio州かという出身地域による偏りは特になさそうである。したがって,調音点の移動方向は同じでも,1音節に属する二重母音かそれとも2音節に分かれる母音連続かという条件は,アクセント母音の長さを左右する要因であるとは言えるが,さほど強力なものではないと考えられる。また,母音連続aoが下降二重母音に準ずる性格を持ち,2音節目にアクセントがあるaoに比べて短かめに発音されるのではないかという聴覚印象もあったが,これをやはり7名の発音の分析を通じて検討したところ,aoをaoより短く言う話者はいるが,それはaoが二重母音に準ずる性格を持つためとは言えず,単に最後から3音節目にあるという位置のための短縮に過ぎないようである。