著者
吉村剛 河野健二
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2014-OS-130, no.10, pp.1-12, 2014-07-21

Linux カーネルにおいてバグ対策は不可欠である.しかし,コードの大規模化に伴い,バグ対策のために必要となるシステム全体の深い知識や誤りやすいパターンを把握することは難しい.特に誤りやすいパターンを把握するためには過去に大量に蓄積されたバグ報告やパッチの変更履歴を把握しなければならない.本研究は linux のパッチ 37 万件に対してパッチの説明文を自然言語処理し,トップダウンクラスタリングを用いることで全体の中でより高い頻度で発生した話題を抽出し,パッチ集合を 66 クラスタに分割してバグの実態調査に利用する.調査の有用性を示すため,割り込みに関するクラスタを調査してバグパターンを定義し,コード解析による検査を linux 3.15 において行って 2 件のバグを発見した.
著者
大橋 拓文
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.238-240, 2013-02-15

私は2011年3月のコンピュータとの九路盤対戦をきっかけに,九路盤の奥深さに興味を持ち,コンピュータを使った,九路盤研究を始めた.まずは,九路盤を研究する意味を,人間とコンピュータ双方の立場から考えてみることにする.
著者
深谷拓吾 小野進 水口実 中島青哉 林真彩子 安藤広志
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.7-8, 2011-03-02

電子機器等のマニュアル作成業務において,文章やイラエストの校正作業は必須のフローである.従来,紙上での校正が一般的だったが,電子メディア上での校正もマニュアル作成現場で浸透しつつある.しかし,依然,現場では紙ベースでの校正への支持は根強く,そのために費やされる紙は膨大な量にのぼる.省資源化の立場から,本研究では紙上での校正作業と液晶ディスプレイ上での校正作業について,効率と精度の面から検証を行った.紙と液晶ディスプレイ上でそれぞれ,英語文章と多言語文章を照応する比較校正実験をマニュアル作成業務従事者を対象に行った結果,紙上でのパフォーマンスが効率,精度とも液晶ディスプレイ上での作業を上回っていた.校正作業ログの分析することで,液晶ディスプレイ上での校正で発生しやすい認知的ミスを同定し,ディスプレイ上での校正率向上へ向けての指針を提案する.
著者
吉岡 恵吾 穐山 空道
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2023-OS-160, no.7, pp.1-7, 2023-07-27

本研究では RowHammer 攻撃でこれまで着目されていなかったページテーブル上のフラグを書き換えることで,攻撃者が被攻撃者のデータにアクセス可能になることを示した.RowHammer 攻撃とは,メモリ上の同一のアドレスに繰り返しアクセスすることで,DRAMの特定のセルから電荷が放出され,メモリ上の値が書き換わる現象である.本研究では,ページテーブル上の Global bit の反転により起こる現象を,CPU シミュレータ上で動作する Linux を用いた実験を通して解明した.RowHammer 攻撃で Global bit を書き換え,攻撃者と被攻撃者のプロセスでアドレス変換情報を共有させることで,攻撃者が被攻撃者のデータにアクセスすることが可能になった.さらに,提案した攻撃手法に対する緩和策や,ARM,RISC-V などの様々な ISA における攻撃についても考察した.
著者
西田 かほる ニシダ カオル
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture Bulletin
巻号頁・発行日
vol.21, pp.243-258, 2021-03-31

遠江国敷知郡入野村の龍雲寺は、後二条天皇の孫康仁親王を開基とする。康仁親王の子孫である木寺宮は戦国期に入野村に居住し、戦国大名武田家に味方して徳川家と戦かったが、家康から龍雲寺を安堵されたという由緒をもつ。ただし、その後木寺宮は断絶し、龍雲寺も住職がいない状況が続いたため、江戸時代の前期には木寺宮の実態は分からなくなっていた。その様な中で、地誌の作成や幕府の古文書調査、明治期の陵墓調査などを通じて木寺宮の由緒が形成されていった。近世社会の中で木寺宮はどのように理解され、位置づけられたのかについて、主に龍雲寺に残された史料を紹介しつつ考える。
著者
加藤 慶
出版者
東京通信大学
雑誌
東京通信大学紀要 第4号 = Journal of Tokyo Online University No,4 (ISSN:24346934)
巻号頁・発行日
no.4, pp.1-16, 2022-03-31

【目的】本稿は、(1)男性器と女性器の結合に留まらないセックスワークについて、北米のソーシャルワーク専門職団体の方針を明らかにすること、(2)日本のソーシャルワーカーは、LGBTQI のセックスワークについてどのように向き合い、支援を行うべきなのかを検討し提言すること、を目的とする。【研究方法と研究対象】研究方法は文献研究である。研究対象は、菊池(2015)、NASW「セックスワークに関する政策方針」、CASW「非犯罪化、出口戦略、健康の社会的決定要因」である。【提言】(1)LGBTQI を含む全てのセックスワーカーに対して、尊厳と敬意を払い、自己決定を尊重し、そして彼ら彼女らへの暴力を告発していくべきこと。(2)経済的正義、雇用と教育の機会が提供されるように努めるべきこと。(3)今日の性産業をめぐる世界的な議論を理解した上で、個人的な偏見を押し付けることなく、倫理綱領に従い、セックスワーカーに最善のサービスを提供できるような実践を行うべきことを提言した。
著者
八城 年伸
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.53-60, 2021-08-21

COVID-19 によるオンライン授業においては,授業をする側,受ける側の双方が不慣れなため,様々な問題が生じた.その中には,授業をする側のちょっとした工夫で,大きく改善できたものもあると考えられる.中でもノイズの低減や講義内容の提示方法については,受講の快適さや理解度に大きく関わることから,YouTube 等の解説動画で用いられる「ゆっくり解説」の手法により改善を図った.コンテンツの作成に多大な手間がかかるため,手間に見合う効果が得られたのかについては疑問が残るが,その一方で幾つかの知見が得られた.