著者
宮前 智一 細川 太郎 土谷 友利 前原 充 西岡 賢一 兵井 純子 鈴木 康文
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.21-32, 2004-09-30
被引用文献数
2

力学に関する学生実験やこども達への演示教材としてパチンコの玉を転がす滑走台を製作した。長さ2mのカーテンレールをベニヤ板に打ちつけたものである。」三の速さ(Vm>2m/s)は, 玉がレール上の特定の場所を通過するときに発する電気信号の時間間隔を記録することによって測定した。レールの先端に発射台を取り付け, そこから飛んだ玉の飛距離を測定した。レールの途中にもう一つの玉を置き, 玉どうしの衝突についても演示や測定を行った。これらの測定で求めた玉の運動エネルギーを力学的エネルギー保存の法則に照らして比較考察した。また衝突における運動量についても考察した。これらの考察によって, "慎重に測定した結果からは, 従来の物理教材で無視されがちな効果が見える" ことが例示できた。この教材は, 用い方を選ぶことで, 大学生, 高校生, 中学生, 小学生それぞれに力学現象への興味と有意義な理解を与えるものである。
著者
鄭 英實
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian cultural interaction studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
no.6, pp.237-255, 2013-03

Hayashi family, which started from Hayashi Razan (林羅山、1583-1657), continuously served as leading delegation of Japanese intellectuals until 1811, the rupture of Japan-Korean relations. Because of being assigned for making the documents on Korean foreign policy, members of Hayashi family were frequently mentioned in Korean documents. Through closely investigating these documents, such as the Envoys travel accounts to the Japan (使行録), we could not only reveal the true state of the recognition of Korean side toward Hayashi family, but also how it changed with the Japan-Korea relations.
著者
中村 八重
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

自治体や民間団体を主体として朝鮮通信使を見直す事業が振興している。これらは「日韓交流」を掲げる団体と各地の自治体による、地域を越えて記憶を共有しようとする試みとみることができる。本発表は、全国の各地で朝鮮通信使行列の再現が行われるようになった現象をとりあげこうした事業の発展過程で新たに作られていく記憶と忘却されていく記憶について論じる。
著者
長谷川 博
出版者
日経BP社
雑誌
日経ニューメディア (ISSN:02885026)
巻号頁・発行日
no.1527, pp.11-12, 2016-09-05

ジェイ・スポーツ(J SPORTS)が木下伸氏を経営トップとする新体制に移行してから約5カ月が経過した。スポーツの分野では、リオ五輪の日本選手の活躍によって視聴者の注目が改めて集まるほか、Perform Groupがスポーツコンテンツのライブストリーミングサービス…
著者
飯田陽一 関亜紀子
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.745-746, 2011-03-02

インターネットの高速化や利用範囲の拡大により、音楽、動画などをデジタルコンテンツを、ネットワーク上でやり取りすることが多くなり、それとともに著作権を無視した違法コピー、無断改変なども増加した。これを防止、抑制し、流通を支援する技術としてDRMがある。しかし、DRMには多種多様な種類の技術があり、DRMの導入検討者が自分に適したDRMを選ぶのが難しいという現状がある。そこで本論文ではこの状況を解消し、DRMの導入検討者の支援を行うために、複数の質問から導入検討者のニーズを分析し、権利者のニーズと一致するDRMの組み合わせを推薦するレコメンドシステムを提案する。
著者
重田 祥範 菊川 由香利 大橋 唯太
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.23, 2014

2004年は観測史上最多となる10個の台風が日本に上陸した.その中でも台風0416号と0418号は瀬戸内海沿岸に甚大な高潮被害をもたらした.そこで,メソ数値気象モデルWRFと海洋数値モデルPOMの結合計算により,同経路を有する台風0416号と0418号を対象に瀬戸内海で発生した高潮の再現計算をおこなった.本研究では,高潮発生の主要因である吹き寄せ効果に主眼を置き,両台風の被害地域の違いを解析した.高松,宇野,松山,神戸の4地点で実測値と計算値を比較した結果,台風0416号において,高松では台風通過後,宇野では接近前に潮位偏差の計算値が実測値よりも過大評価していた.また,類似経路をとった台風でも最接近時の通過場所が海上もしくは陸上の違いで風向が異なるほか,潮位偏差が大きくなる海域についてもその風系の影響を受けて違いが生じることが明らかとなった.
著者
富永 孝昭 古木 達郎
出版者
日本蘚苔類学会
雑誌
蘚苔類研究 (ISSN:13430254)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.53-62, 2014-12

Japanese species of the sect. Riccia of the genus Riccia (Ricciaceae, Hepatics) were taxonomically revised and four species were recognized: they are R. beyrichiana Hampe ex Lehm., R. bifurca Hoffm, R. glauca L., and R. subbifurca Warnst. ex Croz. Most specimens previously named by Japanese bryologists as R. glauca are revealed to be R. bifurca, which is commonly distributed from Hokkaido to Kyushu. Riccia glauca is, on the contrary, very rare in Japan. Both R. beyrichiana and R. subbifurca are newly reported from Japan. Descriptions, diagnostic characters, distribution and illustrations of these four species are provided based on Japanese plants.
著者
大平 泰子 石川 浩二 芦原 睦
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.236-244, 2011
参考文献数
18

本稿は,製造業事業所において実施してきたメンタルヘルス対策を,予防策としての効果と実践可能性の観点から検討する.本稿で報告するのは,2006年度に定期健康診断を受けた3,882名の従業員(男性3,464名,女性418名,正規社員3,402名,契約社員480名,平均年齢40.5±12.3歳)に実施されたプログラムである.メンタルヘルス不調の有無を調べるために,定期健診の際にメンタルヘルスに関する問診表および保健師問診を実施し,そのいずれかで抽出された従業員に対して産業カウンセラー面接と産業医診察を実施した.結果,新規に22名(0.6%)のメンタルヘルス不調者を把握した.メンタルヘルス不調ではないと判断された従業員に対しても,カウンセリング,環境調整などの予防的介入を行った.本対策を実施した2003年度と2006年度には他の年度よりも事業所内診療所メンタルヘルス部門の来談者が増加し,うち定期健診以外の来談経路による来談者が減少した.この結果は,本対策が二次予防(早期発見・早期治療)および一次予防(発症予防)として有効であることを示唆している.さらに,小人数の産業保健スタッフで効率的にメンタルヘルス対策を実践しえた.このような高い実践可能性は,メンタルヘルス対策の推進にとって重要である.
著者
杉山 敏弘 藤沼 善隆 中山 政義 北嶋 良一 佐藤 敏哉 岡本 政巳
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.51-57, 2009

RICOH Pro C900は,プロダクション市場向けプリンターの新ブランド「RICOH Proシリーズ」の第一弾として,POD(プリントオンデマンド)ニーズに対応したデジタルフルカラープリンターである.主な特徴は,以下の通りである.<br>1) クラス最速のカラー/モノクロともに毎分90枚の高速出力(A4横送り,60~300g/m<sup>2</sup>)<br>2) 安定した高画質出力(リアル1200dpi,従来比3~5倍の長寿命感光体,用紙の高精度スキュー補正や位置(レジスト)合わせ)<br>3) 汎用性の高い高機能Fieryコントローラを標準搭載<br>4) 本体の大幅なダウンサイジング・軽量化を実現(本体サイズ1,250&times;1,100&times;1,440mm,700kg)
著者
北原 靖明
出版者
学習院大学
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.292-270, 2009-03

一九二七年バルバドス生まれのラミングは、トリニダード出身のセルボンやナイポールらと並んで脱植民地時代の西インドを代表する作家のひとりであるが、日本では訳書もなく殆ど知られていない。彼は、西欧による西インド植民地を表象するものとしてシェクスピアの戯曲『テムペスト』をしばしば引用する。この作品に登場するプロスペロー/キャリバンの関係こそ、植民者/植民地被支配者の関係を示唆していると考えるのである。 いっぽう、西インドの脱植民地化の比喩としてラミングが採り上げるのが、ハイチに残る「魂の儀式」である。水底に閉じ込められた死者の魂を解放するこの儀式が、西インドの脱植民地運動に対比される。 本論は、『テムペスト』主題と「魂の儀式」をキーワードとして、①ヨーロッパーアフリカー西インドの三角貿易を結び付けた、いわゆる「中間航路」の光と影、および②ラミングの植民地脱植民地に関わる歴史認識を解析し、ラミング文学の本質に迫ることを企図している。George Lamming, who was born in 1927 in Barbados, is one of the representative postcolonial writers from the West Indies, together with S. Sevon and V.S. Naipaul, both Trinidad-born, though Lamming is almost unknown to the Japanese readership, and none of his books has been translated into Japanese yet. Lamming often cites The Tempest by Shakespeare as symbolic of West Indian colonialism under European powers. He assumes that the Prospero/ Caliban relationship corresponds to that of the colonizer/colonized. In the meantime, Lamming considers that the traditional ceremony of the souls in Haiti metaphorically suggests the decolonization of the West Indies. To liberate the soul of the dead caught in the bottom of water in the ceremony is compared with the decolonization of the West Indies. The present essay aims at analyzing the plus and minus of the so-called 'Middle Passage' which links the triangle trades between Europe, Africa and the West Indies, as well as Lamming's conceptions of history on colonization and decolonization, thereby approaching the essence of Lamming's works.