著者
三沢 英一
出版者
THE MAMMAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.311-320, 1979
被引用文献数
7

環境の異なった, 北海道大学農学部付属苫小牧地方演習林, 札幌市羊ケ丘, 札幌市盤渓の3地域においてキタキツネのフン分析による食性の比較を行った。<BR>1) 各地域ともエゾヤチネズミがキツネの主要な餌であった。<BR>2) 苫小牧演習林, 羊ケ丘では春, 秋にエゾヤチネズミの採食率は増加し, 冬に減少した。それらの地域で昆虫類, 野生果実の採食率は夏と秋に増加した。<BR>3) 冬にエゾヤチネズミの採食率の低下を補うキツネの餌は苫小牧演習林ではノウサギ, 羊ケ丘ではニワトリとトウモロコシがそうであった。<BR>4) 盤渓では冬にエゾヤチネズミの採食率の低下は見られなかった。また年間を通じて人為的食物への依存が見られた。<BR>5) 各地域とも冬に野鳥の採食率は増加した。<BR>6) 人為的影響の強い環境ほどキツネの人為的食物への依存は強かった。
著者
田中 香澄
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大紀要 (ISSN:03854566)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.51-68, 2005-03-31

ドイツの詩人リルケの50年余の生涯のなかで彼の優れた詩の世界の解明にあたって,当時の多くの優れた精神の持ち主たちとの彼独特の心豊かな出会いと西の世界の各地の特色ある自然や町々との出会いの数々が絶えず重要な核心を形成し,その詩的精神の展開を極めて多彩なものにしていることを抜きにしては何事も語れない。その中でもフランスの彫刻家ロダンとの出会いと豊かな心の交流はリルケの"事物詩"という概念を理解するためには避けて通れないものである。この研究はリルケの「ロダン論」の一端に触れながら,今後のリルケ研究の第一段階としてまとめたものである。最終的にはリルケの最高にして最後の作品「ドゥイノの悲歌」の豊かな解明へ向けて,各局面におけるリルケと人々や町々との出会いを克明に追いながらリルケの詩の本質の今後の研究を推し進めてゆきたい。
著者
武田 尚子
出版者
武蔵社会学会
雑誌
武蔵社会学論集 : ソシオロジスト : Journal of the Musashi Sociological Society (ISSN:13446827)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.15, pp.47-94, 2013-03-22

本稿は,イギリスのB.S.ロウントリーが1836年に着手した第二次ヨーク貧困調査の特徴と意義について探る。B.S.ロウントリーは第一次ヨーク貧困調査(1899年)で,絶対的貧困(第1次貧困=貧困線以下の身体的・生理的維持が不可能な貧困)概念を提示したが,「絶対的貧困」の境界線を貧困線とすることに拘泥し続けたわけではない。第二次ヨーク貧困調査では,「余裕費」を組み込んだ「人間的必要基準」という概念を示し,「人間的必要基準」線を境界線にした。このアイデアはベヴァリッジに影響を与え,1942 年12 月に公表されたベヴァリッジ委員会による『社会保険とサービスに関する報告書』(ベヴァリッジ・レポート)の最低生活費の算定に反映された。「ベヴァリッジ・レポート」の理念は第二次大戦後,国家による社会保障制度の整備につながってゆくが,初期の成果として挙げられるのが家族手当である。B.S. ロウントリーは,第二次ヨーク貧困調査の知見に基づき,家族手当の実現に尽力した一人であった。
著者
宮内 洋 松宮 朝 新藤 慶 石岡 丈昇 打越 正行
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
no.122, pp.49-91, 2015

本稿は,貧困調査のクリティークの第2 弾として,西田芳正『排除する社会・排除に抗する学校』(大阪大学出版会,2012 年)を対象に,貧困調査・研究が陥りがちな諸課題を指摘した論考である。当該書は,1990 年代から西田が取り組んできた調査研究の知見を,貧困層の社会的排除という形でまとめ直したものである。当該書では,関西圏の「文化住宅街」や「下町」を中心的な対象とし,これらの地域に暮らす「貧困・生活不安定層」の生活や教育の実態・意識が明らかにされている。この研究に対し,「〈生活―文脈〉理解研究会」のメンバーが,理論的なレベル,方法的なレベル,そして若者,学校,地域という具体的なテーマのそれぞれの視点から批判的な検討を行った。これらの検討から浮かび上がったのは,当該書における〈文脈〉の捨象と,そのことが分析にもたらす問題である。本稿を通じて,貧困調査に求められる〈文脈〉のふまえ方が示された。This review article concerns the Haijyo suru syakai haijyo ni kousuru gakkou (Yoshimasa Nishida, 2012, Osaka: Osaka University Press) as the second fruit of our research group, which engages in elaborating the theories and concepts of poverty research. The book constitutes fragmented research results dating from the 1990s based on the surveys of the buraku and the young working poor in Japan. The author composes these fragmented topics into a theme of social exclusion of the poor. The case studies on bunka jutaku and downtown areas are described in terms of the livelihoods and educational expectations of the young residents belonging to the "social stratum of poverty and instability." Our research group rigorously reviews the book on theoretical and methodological levels and raises alternative interpretations of the topics of youth, schooling, and the local community. We conclude that the book definitely pays no attention to the life contexts of the research subjects and ignores their realities. It seems that rather than deconstructing the myth of poverty and social exclusion, the book ends up reinforcing it. The book produces only immaterial and conventional discussions.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1597, pp.62-65, 2011-06-27

「製品の購入で10%分のポイント還元!」「レジでカードを提示すれば50ポイント獲得!」――。家電量販店やドラッグストア、飲食店や通信サービス会社などポイント制度を導入している企業は多い。特に小売店では、消費者にお得感を演出できる値引き手段としてすっかり定着した。
著者
板谷 俊生
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.5, pp.1-11, 2007-03

中国の新劇は話劇という。話劇は1907年に清国留学生が日本東京で結成した劇団「春柳社」の旗揚げ公演からスタートした。 今年は中国話劇の誕生百周年に当たる。劇団「春柳社」の代表者の一人に李叔同という東京美術学校の留学生がいた。 来日前、彼は上海にいた。その頃の上海は学校演劇に火がついた時期、話劇の萌芽が生まれようとしていた時期であった。 本論では彼が東京に留学する前の上海の学校の状況や教育事情について検証した。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1297, pp.30-35, 2005-06-27

今年3月に沖縄で開かれた女子プロゴルフトーナメントの開幕戦「ダイキン・オーキッド・レディス」。女子ゴルフの人気に加え、地元出身の宮里藍が昨年、プロ初優勝を飾った大会でもあることから、雨が降るあいにくの天候にもかかわらず、多くのギャラリーが集まった。 この大会には、あまり知られていないがもう1つ、オーキッド(洋ラン)という名にふさわしい華やかな側面がある。

1 0 0 0 IR 検認について

著者
道山 治延
出版者
福岡大学
雑誌
福岡大学法学論叢 (ISSN:04298411)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.233-252, 2007-06
著者
池田 泰子 高橋 秀昌 菅原 秀治 渡辺 伸
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.62, pp.113-114, 2009-12

ラズベリーはバラ科キイチゴ属の低木で、寒冷地での栽培に適し、結果樹齢に達するのが早く、新規導入する品目として有望である。二季成り性品種は、前年の秋果の結果枝が翌春の結果母枝となって夏果を結実し、春から伸長したシュートに秋果が結実する性質を持つ。ラズベリーの国内の需要は10年前の約10倍に増加しており、今後も安定的な需要が見込まれる。しかし現在は、需要のほとんどが輸入品でまかなわれている一方、国内ではほとんど産地形成されていない状況にある。山形県の内陸北部、最上地域は、中山間地域で冷涼な気候のため、ラズベリーの栽培に適すると考えられるが、多雪地域であり、こうした地域での栽培管理についてはこれまで明らかになっていない。そこで、二季成りの結果習性に着目し、省力的な越冬対策とともに、秋季に安定生産できる方法について検討した。
著者
小木 哲朗 山田 俊郎 栗田 裕二 服部 陽一 廣瀬 通孝
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.37-46, 2003
参考文献数
54
被引用文献数
4

Video avatar technology has become very popular as a high presence communication tool in the shared virtual world. In order to generate a realistic video avatar, several modeling techniques, such as the 2D plate model, 2.5D surface model or 3D voxel model have been proposed. This paper discusses the features and the usage of the various video avatar techniques. The appropriate video avatar that is used in the application system should be selected according to the purpose and the system environments. In addition, we also discuss the video avatar studio and the video avatar server technologies that were developed to utilize the various video avatar methods effectively in the networked virtual environments.
著者
北澤 宏泰 金田 北洋 岩村 惠市 越前 功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMM, マルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.138, pp.205-212, 2013-07-11

紙メディアは電子化が進んだ現在においても重要なメディアであることは間違いない.しかし,紙を用いた印刷物に対する保護技術の研究は少ない.その保護技術の1つとして,金田らによって提案された単一ドット方式がある.単一ドット方式は,印刷物に小さな点を打ち込むことで情報を埋め込み,印刷物に違和感なく情報を埋込むことができるが,今までの研究ではその抽出精度が低く,100%の情報抽出は困難であった.そこで,本論文では単一ドット方式の抽出法を改善することで,元となる誤り率を低減し,かつ,誤り訂正符号を適用することで,低い冗長度でほぼ100%正確な情報抽出を実現した.