著者
近藤 功庸 笹木 潤 山本 康貴
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.14-22, 2010-06

山本・近藤・笹木は、以下の「稲作生産性停滞仮説」を提示して、「わが国稲作生産性の伸びがゼロとなりつつある」という極めて悲観的な可能性のあることを計量的に検証した。「稲作生産性停滞仮説」:戦後におけるわが国稲作生産性は、(1)技術進歩率が相対的に高くキャッチ・アップ効果が低下する減反以前の第1局面、(2)技術進歩率が低下しキャッチ・アップ効果が上昇する減反以降から近年までの第2局面の順に推移し、(3)その後は技術進歩率、キャッチ・アップ効果ともに停滞し全体として稲作生産性の伸びがゼロとなる第3局面に向かっている可能性がある。本稿では、山本・近藤・笹木の分析枠組みに依拠しつつも、この分析では未解明であった以下3つの論点に限定し、「稲作生産性停滞仮説」の再検証を試みることを課題とする。
著者
佐藤 百合子 昼間 行雄 牧野 昇 岩塚 一恵 北岡 竜行 近藤 静香
出版者
文化学園大学
雑誌
文化学園大学紀要 = Journal of Bunka Gakuen University (ISSN:21873372)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.37-45, 2016-01

このインスタレーション作品は各専門分野の教員がそれぞれの素材を制作した共同制作による作品であり、音響を含めた空間を制作したインスタレーションである。 プロジェクション・マッピングでスクリーンとなりベースデザインとなる① . 着物の制作では日本文化を鑑賞できるよう、日本人に最も愛された桜の樹を①-1. デザインし、照明やプロジェクターの点灯していない暗転時間でも作品として鑑賞できるよう①-2. 蓄光顔料の使用を試みた。投影する② . 映像制作の②-1.3D グラフィックスでは桜の花びらが咲き散る様をダイナミックに演出し、着物のデザインと組み合わせ③ . アニメーションは学生の描いた女子高生のイラストを使用し、花札はコマ撮り方法でアナログ的な表現になるようまとめた。そして② -2. プロジェクション・マッピング技術により暗い空間に着物が光り浮かぶようセッティングした。④ . 音響制作は映像を鑑賞し映像に合わせたイメージと音調を考慮し④-1. 音源を制作し④-2. 正12 面体スピーカーにより効果的に演出した。 このインスタレーション作品はIFFTI2015 の公募企画で採択されサンタクローチェ聖堂で展示をした。
著者
玉井森彦 永田大地 前中省吾 森下慈也 安本慶一 福倉寿信 佐藤啓太
雑誌
研究報告コンシューマ・デバイス&システム(CDS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.15, pp.1-8, 2014-08-20

近年,景観の良さを評価指標とするナビゲーションサービスが提供され始めている.しかし,既存のサービスでは,景観の情報を人手により編纂しているため,あらかじめ決められた特定の時間帯や季節における静的な情報を提供するに留まっており,最新の状況を反映した情報提供が行われていない.また提供される情報もテキストや画像を中心としたものであり,経路選択の判断材料として不十分である.著者らは,参加型センシングに基づき,多数の車両が車載スマートフォンを用いて走行中の経路の動画を撮影し,景観の良い場所の動画を自動的に収集,配信するシステムの研究開発を行なってきた.これにより,広範囲にわたって動画付きの景観情報を様々な時間帯や季節のもとで自動的に収集可能となり,各ユーザのコンテキストを考慮した上で鮮度の高い景観情報を提供可能となる.本稿では,景観の良い場所として桜が見られる経路に着目し,スマートフォンにより撮影された動画から桜の写っている度合い (桜度合い) を数値化する手法を提案する.提案手法では,桜の花びらに出現する色の分布を表すヒストグラムを事前に作成しておき,そのヒストグラムを用いて入力画像における桜度合いを算出する.また,桜の花びらに近い色を持つ建物などが誤検出されることを防ぐため,フラクタル次元解析に基づきフレーム中で木の葉が茂っている場所のような複雑なエッジを持つ領域を特定した後,その領域に対してのみヒストグラムに基づく色解析を行う手法を考案した.提案手法による桜度合い算出結果の妥当性を検証するため,車両走行中に撮影された動画から桜の写っている部分,または写っていない部分の 1 秒間の動画を約 5000 個切出し,各々に対し目視で桜の有りなしを分類したものを正解データとして,提案手法に基づく分類精度を調べた.結果,提案手法は適合率が約 0.87,再現率が約 0.91 で桜の有りなしを分類できることが分かった.
著者
福山 正文 上村 知雄 伊藤 武 村田 元秀 光崎 研一 原 元宣 田淵 清
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.565-574, 1989
被引用文献数
2

河川水やその泥土および淡水魚などの自然環境における運動性<I>Aerornonas</I>の分布を明らかにするため, 相模川7ヵ所, 多摩川8ヵ所, 津久井湖5ヵ所を対象に本菌の検索を定量的に実施した.また両河川で捕獲した淡水魚の腸管内容物, 鯉, 体表からの菌検索を行った結果以下の成績を得た.<BR>1.相模川の泥土208件中134件 (64.4%) から運動性<I>Aerornonas</I>が検出された.多摩川の泥土では186件中101件 (54.3%), 津久井湖の泥土120件中68件 (56.7%) が本菌陽性であった.これらの泥土から分離された運動性<I>Aerornonas</I>176株について同定したところ, 21.6%が<I>A. hydrophila</I>, 13.1%が<I>A. sobria</I>, 24.4%が<I>A.caviae</I>であった.なおPopoffの分類で同定出来ない菌株が74株 (42.0%) 認められた.<BR>2.泥土を採取した同一地点について水からの運動性<I>Aerornonas</I>の検索を行ったところ, 相模川河川水48件, 多摩川河川水44件および津久井湖の湖水40件全例から本菌が検出された.分離菌株120株の内14.2%がA. hydrophila, 27.5%がA. sobria, 29.2%がA. oaviaeであり, 末同定株が29.2%みられた.<BR>3.河川泥土や湖泥土中の運動性Aerormnas菌数は前者平均が2.5×105個/g, 後者が平均8.8×105個/gであった.河川泥土の一部の定点において菌数が大きくばらついたが全体的には4月に減少し, 7月と10月に増加する傾向がみられた.津久井湖の泥土では採取地点により菌数の変動が著しかったが, 河川泥土と同様に7月と10月に高くなる傾向がみられた.<BR>河川水と湖水については前者が平均1L当たり1.4×10<SUP>3</SUP>個, 後者が約3.3×10<SUP>2</SUP>個であった.各定点での菌数に一部の例外以外それほどの大きな変動はみられず, 季節により菌数に与える影響もみられなかった.<BR>4.相模川と多摩川で捕獲した淡水魚511件中462件 (90.4%) から運動性Aeronzonasが検出された.分離菌株1,056株の内17.2%がA. hydrophila, 31.4%がA. sobriaおよび19.5%がA. caviaeであった.
著者
本多 峰子
出版者
二松學舎大学
雑誌
国際政経 (ISSN:09192247)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.109-123, 2002-11-25
著者
八島 不二彦 今井 優子 斎藤 清二 宮脇 利男 西川 友之 立浪 勝 松井 祥子 瀬尾 友徳 竹澤 みどり 酒井 渉 彦坂 伸一 野原 美幸 二上 千恵子 原澤 さゆみ
出版者
富山大学保健管理センター
雑誌
学園の臨床研究 (ISSN:13464213)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.13-18, 2013-03

富山大学では平成20年度に4人,平成21年度に3人の自殺が発生し,その対策として平成21年12月に富山大学自殺防止対策室が設置された。\富山大学自殺防止対策室は自殺者ゼロを目標に掲げ,約3年間さまざまな活動を行って来た。その結果,自殺防止対策室が本格的に活動を始めた平成22年度から平成24年12月現在までの自殺者は2人に止まっている。自殺者の減少という結果は出ているが,富山大学の自殺防止対策システムは本当に機能しているのか疑問が残る。\そこで本研究ではこれまでの富山大学自殺防止対策室の活動実績を分析し富山大学における自殺防止対策システムが有効に機能しているかについて検討する。
著者
大塚 佳臣 荒巻 俊也
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.III_365-III_372, 2014
被引用文献数
2

パーソナル・コンストラクト理論に基づき,水辺経験の履歴が都市河川に対する意識に与える影響について,アソシエーション分析を用いて確率論的に評価を行った.その結果,日常生活で河川と関わりの深い経験をすることで,80%以上の確率で普段目にする河川(近隣河川)に対して人より肯定的な意識を持つようになる一方で,幼少時代に学校から水辺で遊ぶことを制限され,かつ現在の近隣河川がきたないと感じる経験を経ると,65%以上の確率で近隣河川に対して人より否定的な意識をもつことが明らかになった.近隣河川への肯定的な意識を高める上では,水辺に親しむこと経験を増やすこと,否定的な意識を持たせないようにするためには,学校や保護者が子供の水辺遊びを制限せず見守る姿勢を持つことが必要である.
著者
小泉 仁子 太田 奈美 宮本 眞巳
出版者
順天堂大学
雑誌
医療看護研究 (ISSN:13498630)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.64-71, 2008-03

《目的》本研究では,助産実習における体験を明らかにし,助産師としての職業アイデンティティ形成を促す実習のあり方を検討するための根拠となる資料を得ることを目的とした。《方法》関東地方の4年制大学で助産選択をし,助産実習を行った学生のうち,本研究の趣旨を説明し協力の同意が得られた8名を対象とし,半構成的面接とフェイスシートとしての質問紙調査を実施した。実習中の体験に焦点を当てて検討するため,学生の抱いた感情に注目し分析を行った。《倫理的配慮》順天堂大学医療看護学部研究等倫理委員会の承認を得た。《結果》1.助産師の志望動機は,【肯定的感情】と【なりたい自分】という2つのカテゴリーにまとめられた。2.助産実習の体験に焦点を当てて検討するため,学生の抱いた感情に注目し分析を行い,1)否定的感情を伴う体験は,【助産実習の現実についていけないという思い】と【助産実習を乗り越えられないかもしれないという思い】という2つのカテゴリーを抽出した。2)肯定的感情を伴う体験は,【助産実習を支えてもらっている思い】と【助産師としてやっていこうという思い】という2つのカテゴリーを抽出した。《まとめ》助産師としての職業アイデンティティは,体験と共に形成されていくこと,否定的感情を伴う体験も適切な支援で肯定的感情に転化すること,リアリティショックの強弱とその立ち直りの過程に助産師としての職業アイデンティティ形成のポイントがあることが示唆された。