著者
濱田 淑子
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館年報 = Tohoku Fukushi University Serizawa Keisuke Art and Craft Museum annual report (ISSN:21862699)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.91-96, 2010-06-23

19世紀半ばに、アイヌ集落に天然痘が流行し多くのアイヌの人々が亡くなった。その状況を憂えた箱館奉行の村垣範正は、江戸幕府に医師派遣を要請した。医師の桑田立斎が選ばれ、江戸を出発してから1カ月で箱館に到着、1857年に世界で初めての集団強制種痘をアイヌ6,000余人に実施した。その顛末を商人の杉浦嘉七がアイヌ風俗画家・平澤屏山に描かせ、村垣家に献上した。立斎は1859年に原本をもとに模写を作らせて家蔵本とし、さらにこの模写本をもとに1941年に林司馬が模写をした2点が作られたが、肝心の原本の所在が長く不明であった。この絵は日本の医学史上、行政支配上記念すべき記録画とされているが、当館所蔵の平澤屏山筆「種痘施行図」が1857年に描かれた当初の原本と考える。 The Ainu people suffered from smallpox in the mid-nineteenth century. Muragaki Norimasa of the Hakodate magistrate`s office called on the government in Edo to send a doctor. Dr. Kuwata Ryusai went to Hakodate and compelled 6,000 Ainu people in allto be vaccinated. A merchant. Sugiura Kashichi had Hirasawa Byozan paint the scene and presented the picture to Muragaki Norimasa. Dr. Kuwata made a copy from the original painting by Hirasawa Byozan for his family in 1859. In 1941, a descendant had two copies painted by Hayashi Shime. This scroll is an important painting from the point of view of medical history and the administrative control.The original picture's where about had long been unknown. I believe that the scroll owened by Tohoku Fukushi University Serizawa Keisuke Art and Craft Museum may be the original.
著者
大山 一志 藤井 博英 Oyama Hitoshi Fujii Hirohide 日本赤十字秋田看護大学 東京情報大学看護学部 Japanese Red Cross Akita College of Nursing Faculty of Nursing Tokyo University of Information Sciences
雑誌
東京情報大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.21(2), pp.19-33, 2018-03-01

統合失調症患者における精神科訪問看護の目的の一つに、再発兆候の早期発見が重要な要素とされている。本研究では精神科訪問看護に携わる看護師が、統合失調症患者の再発兆候をどのようなところで観察し、捉えているかを明らかにするべく看護師への聞き取り調査を行った。結果、精神科訪問看護に携わる看護師は、統合失調症患者の病状悪化に、【生活様式の逸脱】【病的体験の増悪】【治療意欲の低下】【コミュニケーションの変調】が伴うことを経験的に体得しており、これらの局面から再発兆候をモニタリングしていた。
著者
武田 和樹
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.20-23, 2021-12-15

本稿では,京都大学の学習支援システム(LMS)「PandA」を快適に使うために開発した「Comfortable PandA」について紹介する.京都大学では2020年5月からオンライン授業が展開され,LMSを用いた授業や課題の提出等が行われるようになった.LMS上では履修しているすべての講義についての課題一覧を見ることができず,学生の負担になっていた.Comfortable PandAは,ブラウザの拡張機能を利用して課題の一覧を表示するなど,学生にとって便利な機能を実装した.さらに本稿では,大学と連携し本拡張機能が認定を受けたことや今後の展望についても紹介する.
著者
斎藤 まさ子 内藤 守
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.33-42, 2010-09

本研究は、入院体験を契機に肥満となり退院後も肥満が持続している統合失調症当事者の、肥満になったきっかけと肥満が持続するプロセスを明らかにし、援助的視点を得ることを目的とした。N市内の地域活動支援センターに通う 3名の当事者に対して半構造的インタビューを行い、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。その結果、3点の援助の必要性が明らかとなった。第一に、肥満を予防するために、入院中と退院後の活動性拡大の機会を見逃さない。急性期を脱し回復期初期の段階で、「暇」や「退屈」と感じるときを見定め、慎重に活動性拡大のアプローチを勧めて行く。第二に、抗精神病薬の副作用について正確な知識を普及し、主体的な肥満対策ができるように援助する。第三に、効果的な減量のための家族を含めた積極的な相談体制を確立する。
著者
赤石健一 中村嘉隆 高橋修
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.1780-1787, 2013-07-03

IEEE802.11eEDCAでは,4つの優先度でパケットを区別し,アクセスカテゴリに分け,パケットを優先的に送信することによりQoS制御を実現する.しかし,高優先度内でトラフィックが増大すると通信品質が劣化するという問題がある.これは,トラフィックが増大することによりネットワークが輻輳し,パケットロスが発生しやすくなるためである.本研究では,トラフィックの負荷が高い場合においてQoS保証を実現する方式について検討する.トラフィックが増大し,負荷が高くなった時にアクセスカテゴリの送信キューの使用率に応じた資源の割り当てによってキューの大きさを動的に変更することによって実現する.シミュレーション評価により提案するQoS制御方式の有効性を示す.
著者
有賀 克明 水野 恵子 山田 美香
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.171-183, 2006-12-24

香港の幼児教育改革で特徴的なのは、幼保一元化(調和)が行政レベルでは既に2004年から開始されていることである。現在の就学前教育・保育は、教育統籌局Education and Manpower Bureauの管轄の幼稚園Kindergarten、社会福利署管轄の幼児園・幼児センターChildcare centerに二分される。2005年9月に両者の行政組織を調和harmonizationさせた。質の高い幼稚園は当然人気が高い。しかし多くの家庭はメイドを雇っていて、その数は20数万人にものぼるため、幼児園(幼児センター)等の役割は相対的に低く、政府による就学前教育への投資は抑制しがちになる。メイドの平均月給は3,500香港ドル(以下、ドルと略称、1ドル=16円程度)前後で、全日制幼児園の平均的な学費2,000数百ドルより高いが、メイドが家事全般をこなしてくれることを考えると割安と言えるので、幼児園よりメイドを選ぶ家庭が多くなるのも当然であろう。
著者
今井 新太郎 玉木 徹 Raytchev Bisser 金田 和文 曽根 隆志 木内 良明
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2015-CG-158, no.11, pp.1-6, 2015-02-20

白内障手術の際に眼内レンズが挿入されるが,後遺症として光源とは別の位置に光のぎらつき (グレア) を知覚することやコントラストの低下が挙げられる.Quality of Vision (QOV) の向上のために眼内レンズ挿入眼の見え方の質について調査することは重要である.本研究では,遠近に焦点を合わせることができる多焦点眼内レンズの見え方の質について調査することを目的とし,光線追跡シミュレーションに基づく網膜像作成手法と Modulation Transfer Function (MTF) を算出する方法を開発した.網膜像による定性的評価と MTF による定量的評価により,多焦点眼内レンズの見え方の質を単焦点眼内レンズと比較検討した.