著者
竹井 巖
出版者
北陸大学
雑誌
北陸大学紀要 = Bulletin of Hokuriku University (ISSN:21863989)
巻号頁・発行日
no.52, pp.321-341, 2022-03-31

This thesis summarizes the history and culture related of icehouses “Himuro” andsnow cellars “Yukimuro” in Japan. In the 1st period (from ancient to Edo Period),Chinese icehouse culture (ice collection / ice storage technology /utilization of the storedice) was introduced to Japan through migrants, and the upper classes in the aristocraticand samurai society only were able to use the stored ice and snow. In the 2nd period(from Meiji to early Showa period), the Western ice culture by Boston ice imported wasconveyed, and the supply and consumption of stored snow and ice was booming to masssociety too. The present age, in which the stored snow and ice is re-evaluated and triedto be used as one of the renewable energy resources, can be positioned in the 3rd period.In this 3rd period, the utilization of stored snow and ice is showing a new aspect withthe application of science and technology
著者
佐藤(佐久間) りか
出版者
国立女性教育会館
雑誌
国立女性教育会館研究紀要 = Journal of the National Women's Education Center of Japan
巻号頁・発行日
vol.6, pp.45-57, 2002-09-01

本稿は,マスメディアによって形成された"強く自由な主体"としての<女子高生>イメージが,同年代の少女たちのセルフ・イメージにどのような影響を及ぼしているのかを,1999~2000年に杉並区と浜松市で実施した質問紙調査とインタビュー調査の結果をもとに分析したものである。少女たちは,マスメディアの<女子高生g&t;イメージが,一部の「ギャル系」と呼ばれる少女たちによって代表されていると見ており,「女子高生=ギャル系」「ギャル系=援助交際」といった画一的・一面的な捉え方に不満を抱いている者が多い。しかし「ギャル系」の強さ,個性,仲間意識に対する肯定的な意見も多く,「ギャル系」に対する共感の存在も確認された。さらに今の時代に「女子高生であること」にどんなよい点があるかを聞いたところ,「自由気ままで楽しく,流行発信などを通じて社会に対して強い影響力を持てる」という回答が多く見られ,そうした"強く自由な"セルフ・イメージの背景に「ギャル系」への共感があることが示唆された。そこで「ギャル系」情報に特化した雑誌3誌の購読者を非購読者と比較したところ,「ギャル系」へのアイデンティフィケーションが強いと思われる購読者の方が,「女子高生であること」をより肯定的に捉える傾向があり,成人男性に声をかけられたり,お金で誘われたりする率も高く,援助交際をより普遍的な現象と捉えていることが明らかになった。しかし,少女たちは自分たちが謳歌している自由や力を,高校時代だけの期限付きのものとして自覚しており,女性として真に"強く自由な"主体形成には必ずしもつながっていない。彼女たちに「今が人生で-番いいときであとは下り坂」と思わせてしまうジェンダーのありようを問題化していくためにも,これまで成人男性と思春期女子が作り上げてきた<女子高生>言説の生成装置に,成人女性がより積極的に介入していく必要があろう。
著者
人見 佳枝
出版者
近畿大学臨床心理センター
雑誌
近畿大学臨床心理センター紀要 = Bulletin of center for clinical psychology Kinki University (ISSN:21868921)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.65-79, 2013-11-01

[要約]「父の娘」とはユング派の女性分析家によって1980 年代に提出された概念である。この言葉は「父権制の娘」、即ち、個人的な親子関係を越えて「父なるもの」の強い影響下にある女性を意味する。この概念自体は普遍的なものであり、昔から存在するものであるが、新たに脚光を浴びた背景には、女性の社会進出や社会的成功、そしてそれに伴って生じた心理的問題などがあった。それから数十年が経過し、女性の進学や就職は当たり前になった。これに伴って、「父の娘」の課題はすべての女性にとって、より避けて通れないものとなったように見える。本論ではこの概念についてあらためて振り返り、昔話や実際に起った事件などを参考にしながら、現在における「父の娘」について詳細に論じた。 [Abstract]“Father’s daughter” is a concept which was suggested by female Jungian analysts in 1980’s. This means “daughter of patriarchal society” which is like woman under the strong influence of patriarchy. Although this motif is universal, it was paid attention because women started working outside and some of them became successful in the society at that time. While they succeeded in the patriarchal society, they suffered from psychological problems. After a few decades, it is quite normal for women in developed countries to go to school and to work outside. Therefore, the problems of father’s daughter become more unavoidable for every woman in civilized society. In this paper, father’s daughter in current society is discussed in detail through a fairy tale and a real murder case.
著者
五十嵐 悠紀
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.388-389, 2017-04-15
著者
溝口 聡 So Mizoguchi
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.112, pp.163-180, 2020-09

本稿はレーガン政権のAIDS政策の問題点を内政と外交の二つの視点から明らかにするものである。同政権のAIDS対策への評価は、概して保守とリベラルという国内政治の文脈から論じられてきた。大統領には、政権の支持基盤である保守派への政治的な配慮からCDCやNIHが推奨する性教育や大規模な予算を組んだ対策に対し、消極的な姿勢を続け、国内のAIDS被害を拡大させたとの厳しい評価が下されてきた。本稿はこうした国内での政権の対応の悪さが、過剰な移民規制やアメリカの国際的信用を貶めるため、AIDSを利用したソ連のプロパガンダの信憑性を高めるという悪循環を生んだことを明らかにした。すなわち、レーガンの消極的な対応は、同性愛者やアフリカ系アメリカ人コミュニティ内のAIDSによる社会的偏見に最も苦しめられた人々の中で、AIDSはアメリカ政府が製造した細菌兵器であるとの偽情報を受け入れる隙を作ったのである。