著者
山口 隆義 高橋 大地
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.1032-1040, 2009-08-20 (Released:2009-09-01)
参考文献数
12
被引用文献数
10 11

The test bolus tracking (TBT) method is a new injection method of contrast medium that we developed. The TBT method is an injection technique that continuously performs the test bolus injection and the main bolus injection, such that the best acquisition of scan timing and the improvement of examination efficiency can be expected. We compared the TBT method and the test injection method by coronary CT angiography. The results demonstrated that the contrast enhancement of the coronary arteries was high and the variation of the CT value was also small in the TBT method. When the scan timing expected by the TI method and the TBT method were compared, it was different of two seconds or more by the case with 43%. However, the variation of CT value was small for the TBT method in these cases. Therefore, the TBT method is a very useful method for CCTA.
著者
水田 雅也
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.125, no.3, pp.125-128, 2005 (Released:2005-04-26)
参考文献数
13
被引用文献数
1

酸化ストレスは,老化や癌のみならず,生活習慣病の病態にも関与していることが明らかとなってきた.糖尿病においても酸化ストレス亢進が,糖尿病血管障害やインスリン作用に影響している.特に糖尿病血管障害に関しては,主として以下の4つの経路により亢進した酸化ストレスが,障害の進行に関与していると考えられる:1)ポリオール代謝亢進に伴う酸化ストレス,2)advanced glycation end products(AGEs)産生とAGEs受容体(RAGE),3)ミトコンドリア電子伝達系からのスーパーオキサイド産生増加,4)血管壁細胞におけるNAD(P)Hオキシダーゼ活性化.一方,糖尿病状態においては酸化ストレスに抗すべき酸化ストレス消去系の活性低下も生じる.8-epiprostaglandin F2α(8Epi)を酸化ストレスマーカーとして検討すると,糖尿病患者では酸化ストレスが亢進しているが,必ずしも血糖値の動きとは関連しておらず,高中性脂肪血症との関連性が示唆された.酸化ストレスは,血管障害のみならず,神経細胞においてもタンパク質の機能障害,細胞内輸送の障害,ひいてはアポトーシスを引き起こし,糖尿病性神経障害の病態に深くかかわっていることが明らかにされてきた. 酸化ストレスとは,「生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ,前者に傾いた状態」と定義される.酸化ストレスは,タンパク質,脂質,DNA障害を介して,老化や癌,生活習慣病の病態に関与していると考えられている.インスリン作用が不足した状態である糖尿病においても酸化ストレスが種々の程度に亢進し,病態に影響していることが明らかにされてきた.特に糖尿病血管障害に関しては,酸化ストレス亢進により血管内皮細胞の機能障害,血栓形成やLDLの酸化変性を促進する一方,細胞内情報伝達系を修飾しサイトカイン,接着因子,増殖因子の発現を増強させて血管病変の進行を促進する.また最近では,酸化ストレスがインスリン抵抗性や膵β細胞からのインスリン分泌にも影響しうることが示されている.
著者
岩崎 信
出版者
東北大学
雑誌
教育情報学研究 (ISSN:13481983)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.23-40, 2004-03
被引用文献数
2

人間の日常行動や,運動を含めた認知過程を全体的に理解するためには,基本的なある実体の概念が必要である.その実体は,脳の中において,上記の諸活動についての共通の機能的役割を担うものである.「スキーマ」は,70年代に導入されたが,その一般化概念(拡張スキーマ)が人間の行動や認知に関する脳神経科学と心理学の間の理解の広い谷を橋渡しする可能性を持つ候補と考える.
著者
中村 太戯留
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.1-8, 2009 (Released:2012-02-14)
参考文献数
13
被引用文献数
3 2

This study investigates the mechanism for determining “interestingness” in comprehending metaphorical expressions. In a pilot study, metaphorical expressions were collected from 56 participants. In Study 1, 17 participants were asked to classify these expressions into groups, which were categorized with respect to eight features (e.g., “not understandable”, “mundane”, and “strongly interesting”). In Study 2, 50 participants were asked to judge whether an expression was interesting or not, and the reaction time for their judgment was measured. The results showed that it took longer to judge interesting expressions than to judge non-interesting expressions. The difference in reaction times was interpreted as representing the cognitive process of discerning the meaning of an expression so that it was accessible and comprehensible. In other words, “interestingness” results from successfully resolving the meaning of an expression which was not immediately understandable, which involves some cognitive cost and reduces the stress of not understanding.
著者
牧野 拓哉 野呂 智哉 岩倉 友哉
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.117-134, 2017-02-15 (Released:2017-05-15)
参考文献数
15

本論文では,ユーザからの自然文による問い合わせを対応する Frequently Asked Question (FAQ) に分類する文書分類器を用いた FAQ 検索手法を提案する.本文書分類器は,問い合わせ中の単語を手掛かりに,対応する FAQ を判別する.しかし,FAQ の多くは冗長性がないため,FAQ を学習データとして文書分類器を作成する方法では,ユーザからの多様な問い合わせに対応するのが難しい.そこで,この問題に対処するために,蓄積されたユーザからの問い合わせ履歴から学習データを自動生成し,文書分類器を作成する.さらに,FAQ および文書分類用に自動生成した学習データを用いて,通常使われる表層的な手がかりに加えて,本文書分類器の出力を考慮するランキングモデルを学習する.ある企業のコールセンターの 4,738 件の FAQ および問い合わせ履歴 54 万件を用いて本手法を評価した.その結果,提案手法が,pseudo-relevance feedback および,統計的機械翻訳のアライメント手法を用いて得られる語彙知識によるクエリ拡張手法と比較し,高いランキング性能を示した.
著者
広瀬 美千代
出版者
日本老年社会科学会
雑誌
老年社会科学 (ISSN:03882446)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.481-491, 2010

<p> 本研究では夜間介護があるような困難な介護状況においても介護に肯定的な評価をしている介護者の精神的側面を「アンビバレントな世界」とし,その本質に焦点を当て,その世界を本人の視点から記述していくことを目的とした.家族介護者を対象に半構造化面接を実施し,現象学的心理学の視点から質的分析を行った.</p><p> 介護者の語りを意味ある単位ごとに分類した結果,「役割規範の受容と介護役割に対する疑念」「夜間に感じる憔悴感と自分自身の納得」「無力な要介護者に対する悲憤と悲哀」「身体的開放感の欲求と社会への奉仕欲求」「要介護者を預けることによる休息感と虚無感や気づかい」が浮かび上がった.これらは「役割アイデンティティ獲得の交渉」「報恩・感謝の実践」「生活充足感の探求」の3つの基本軸に構造化された.また,これらは「行為を通じて価値を獲得していく過程」ととらえなおすことが可能であると解釈された.</p>

2 0 0 0 OA 聖詠講話

著者
木村英吉 訳
出版者
正教会編輯局
巻号頁・発行日
vol.上編, 1912

2 0 0 0 OA 聖詠講話

著者
木村英吉 訳
出版者
正教会編輯局
巻号頁・発行日
vol.中編, 1912
著者
岩本 憲武
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.7-11, 2016 (Released:2018-01-29)

本稿は、自閉スペクトラム症を有する少年の事件を担当する弁護士に求められる技術を論じたものである。自閉スペクトラム症のある少年の被告人について裁判員裁判において少年法55 条移送決定がなされた事例を取り上げて、弁護人が裁判官・裁判員に伝えるべき3 つのポイントを示した。1 つ目は“What”つまり、少年の障害とは「何」であるのかということである。この点については、公判審理の早い段階で、被告人質問や家族の証人尋問をおこなうことが有効である。2 つ目は“How”つまり少年の障害が「どのように」事件に影響したのかということである。この点については、家庭裁判所の社会記録を利用することに加えて、精神科医など専門家の証言を活用することが重要である。3 つ目“Why”つまり少年の障害が事件に影響したことが「なぜ」弁護人が求める結論をもたらすのかということである。この点については、弁護人が、裁判所の量刑の考え方を理解した上で、説得的な弁論を展開する必要がある。そして、より重要なことは、自閉スペクトラム症を持つ少年について、家庭裁判所の検察官送致決定により刑事公判を受けること自体を避けることである。そのためには、付添人である弁護士に、短期間に専門家の助力を得るなどして的確な活動方針を立てて充実した活動をおこなうことが求められる。
著者
松島 公望 林 明明 荒川 歩
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
pp.1730, (Released:2019-10-21)
参考文献数
38

This study examined the relationship between Christian religious consciousness (CFC) and subjective well-being for Japanese Christians. Members of the Roman Catholic Church (status of denomination: Believers, n=58; Leaders, n=61) and of the A subgroup of the Holiness Church (status of denomination: Believers, n=646; leaders, n=102) participated in the research. Based on factor analysis, we developed a scale of CFC that contained three factors: “Christian doctrine-based belief,” “norms of religious activities,” and “relationship with other church members.” Hierarchical multiple regression analysis on CFC and subjective well-being showed that the people who had high “Christian doctrine-based belief” or a high “relationship with other church members” have high subjective well-being, and that they were partially influenced by subjective well-being among denominations. However well-being was not influenced by status of denomination. These results indicate that subjective well-being rests largely on CFC, although a small portion of it rests on the type of denomination.

2 0 0 0 大山の歴史

著者
大山の歴史編集委員会編
出版者
大山町
巻号頁・発行日
1990
著者
佐藤 珠江 吉田 茜 長谷川 菜生 浦野 明日香 殿村 由樹 椛澤 里沙 小野田 公
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.801-805, 2018 (Released:2018-10-26)
参考文献数
23

〔目的〕本学理学療法学科に在籍する女子学生の月経症状の程度と生活スタイルを明らかにすること,月経困難症,月経前症候群(PMS),月経前不快気分障害(PMDD)の実態とそれぞれの認知度を明らかにすること.〔対象と方法〕本学女子大学生115名(年齢:20.7 ± 1.31歳)を対象とし,PMDD評価尺度と独自に作成した質問紙にて月経症状と生活スタイルを調査した.〔結果〕84%の人が月経前症状を有しており,22.5%が月経周期異常をきたしており,53.2%が月経中に鎮痛薬を服薬することが明らかとなった.月経困難症,PMSおよびPMDDについて,6割以上の学生が「知らない」と回答していた.〔結語〕早期から病態について理解し対処する必要がある.
著者
小林 伸生 Nobuo Kobayashi
雑誌
経済学論究 (ISSN:02868032)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.399-423, 2009-12-15
著者
井川 純一 志和 資朗 中西 大輔 車地 未帆 菊本 修 井手下 久登
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.97-103, 2010-10-25 (Released:2017-05-23)

不安状態における自律神経機能を客観的に評価する目的で,指尖脈波を用いた心拍変動の分析を行った.対象は,不安状態を主訴に治療中の患者25名(男性6名,女性19名,平均年齢47.7歳).対照群33名(男性6名,女性27名,平均年齢48.7歳)であった.脈波測定装置を用いて低周波(Low Frequency:LF)成分および高周波(High Frequency:HF)成分を抽出し,LF/HFを交感神経,HFを副交感神経指標とした.心理指標としてはSTAIの状態不安と特性不安を測定した.不安群が対照群に比べ,副交感神経指標(HF)が低下する傾向が見られた.また,STAIと生理指標では,特性不安と副交感神経指標(HF)との間に有意な負の相関が認められた.以上のことから,不安状態における自律神経機能は,副交感神経指標(HF)によって客観的に評価できる可能性が示唆された.
著者
鳴海 俊治 今西 賢悟 大山 力
出版者
弘前大学大学院医学研究科・弘前医学会
雑誌
弘前医学 (ISSN:04391721)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2-4, pp.101-106, 2011-12-26

2010年10月1 日より財団法人鷹揚郷からの寄付講座として弘前大学大学院医学研究科に先進移植再生医学講座が設立された.1997年10月16日に「臓器の移植に関する法律」が施行されて以来,青森県においても八戸市立市民病院から2 例の脳死下臓器提供があった.一方,2010年7 月17日より改正臓器移植法が施行され脳死下臓器提供者は増加しているものの,心停止下の提供者は減少しており,臓器提供全体は増加していないのが現状である.本講座の設立を機会に青森県の移植医療,特に肝移植と腎移植に関する歴史を紐解き,本邦及び青森県の移植医療の現状を報告するとともに,その発展に必要な事項や取り組みを述べる.
著者
川上 麻衣 清水 裕毅 久保田 由美子
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.120-124, 2019-04-01 (Released:2019-05-20)
参考文献数
23
被引用文献数
1

症例は 50 歳,女性。左下腿の虫刺様皮疹に対し市販外用薬を塗布していたが,同部が潰瘍を伴う隆起性病変となったため,1 カ月後,当科を受診した。初診時,左下腿内側に径 3 cm の黄色痂皮が付着した隆起性潰瘍病変を認め,ヨードコート®軟膏外用を開始したが悪化したため,壊疽性膿皮症などを疑った。血液検査で血清クロール濃度(Cl)が 156 mEq/l(正常:98∼108 mEq/l)と異常高値であったが,4 年前から高 Cl 血症であったことが判明した。詳細な問診の結果,約 10 年間,慢性頭痛に対してブロモバレリル尿素含有の市販鎮痛薬(ナロン®顆粒)を内服していることが判明した。臭素摂取過量による偽性高 Cl 血症を呈したと考え,血中臭素濃度を測定したところ 500 mg/l(正常 5 mg/l 以下)と中毒域であった。皮疹辺縁部の皮膚生検では表皮は偽癌性増殖を呈し,真皮内には膿瘍形成を認め,臭素疹と確定診断した。 その後,ナロン®顆粒の内服を中止したところ速やかに Cl は正常化し,皮疹も色素沈着となり軽快した。 軽微な外傷から生じた難治性の潰瘍病変は壊疽性膿皮症などをまず考えるが,臭化物の内服歴や高 Cl 血症を確認し,臭素疹を鑑別に入れる必要がある。