著者
椙山 一典 岩崎 信 北村 正晴
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

原子力デ-タとしての中性子断面積は,新型炉や将来の核融合炉のみならずさまざまの広い応用分野に於て基礎的かつもっとも重要な物理量として位置づけられ,信頼性の高いデ-タが広い核種にわたって要求されている.近年原子力の基礎的分野の人員や予算不足のために,核デ-タ評価においてこの様な強い要求に答えることは困難になっている.今まで以上の国際協力のみならず革新的な技術の応用が必要である.本研究課題では中性子核デ-タの評価作業に対する支援システムを構築するための知識工学的手法導入の可能性について検討した.以下に研究成果をまとめる.1評価作業を分析した結果その作業は,個別手続き,デ-タベ-スと従来の評価用コ-ド群を結び付けるネットワ-クモデルで表現できる.その各ノ-ドは二つのタイプ:デ-タや属性の集まりとタスクにわけられ,それぞれオブジェクトとしてモデル化できる.2デ-タオブジェクトとしては評価の目標,基礎核特性デ-タ,核反応,反応断面積,核反応モデルとコ-ド,計算用モデルパラメ-タ断面積実験値等であり,3タスクオブジェクトとしては評価目標の設定,基礎核特性デ-タの準備,モデルコ-ドの選択,モデルパラメ-タの初期値選択,パラメ-タの調整,比較対象断面積の準備,計算値と実験値の比較判断,目標致達の判定等である.4オブジェクト間のやり取りはメッセ-ジ交換メカニズムを使う.5上記モデルの一部を32ビットワ-クステ-ション上にNEXPERT OBJECTによって実現した.6従来の理論モデルコ-ド移植し,各種の新しいデ-タベ-スを構築してシステムに組み込んだ,7オデジェクト指向モデルを採用した結果試験システムは理解性,拡張性,保守性の高いものとなり,本格システムの実現性を明かにした.
著者
岩崎 信 長谷川 晃 最上 忠雄 藤原 充啓 三石 大
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

本研究では,東北大学工学部量子科学館加速器を大型実験装置の例として,高度にITを活用した高校生向きの科学実践型課外授業を開発し,SSH高校生に最適なプログラムのモデル:ブレンディングモデルを開発実践した.大型実験装置現場での授業:実地授業を中心として,導入学習としての事前eラーニング遠隔授業,締めくくりの学習としての事後遠隔リアルタイム授業の3部構成を開発し実践で検証した.授業の目標は、体験目標:加速器の運転、ビーム照射、物質の変化体験.向上目標:学んだ(学ぶ)知識の総合的運用,『エネルギー』と『物質』(原子・イオン)の2つのキー概念で理解.先端的な装置の研究や実用の活用について体験的に理解.達成目標:用いるイオン加速器のシステムとしての構造や構成を理解し加速器を運転することで身体的に獲得する.17年度は埼玉県SSH2年生〜20人、18年度は山口県SSH3年生2人加えて実施された。事前,実地は東北大学のオープンキャンパスを含む夏休み時期に独立に,事後は合同で11月下旬にJGN2を利用して実施した.生徒達の高い加速器概念獲得状況の確認と、アンケート調査等により良好な評価を得た。キーは,生徒たちにとって難解な加速器を"分かる"状態に導くことと、同時にある種"分からない"状態も作り,好奇心,探索心を誘起させ,努力する気持ちを惹起させること.つまり、既習知識の活用の場面と新知識獲得への挑戦的文脈を実践的に用意した.大型装置は存在感があるが,それを生徒達が理解し,運転し,使い,関連する多様な生起現象を思考する身体的実験環境は,科学的論理的思考の基礎となる対象の科学的認識モデル形成を自然に促進する.大学の大型実験装置,教員,院生,それらの活動や思考や説明との接触は,"異文化"との濃厚な接触であり,将来の創造性,独創性発揮(直観や洞察)によい影響を与えると確信する.
著者
岩崎 信彦
出版者
地域社会学会
雑誌
地域社会学会年報 (ISSN:21893918)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.45-60, 2016 (Released:2017-05-15)
参考文献数
25

Twenty years have passed since Hanshin-Awaji Great Earthquake occurred. The results of the restoration projects from the damages are clarified by NHK research conducted in 2014. The author considers the new conception “disaster capitalism” proposed by Nomi Klein’s Shock Doctrine in 2007 is very important. Kobe city government had promoted City Management strategy before and after the Earthquake and it was truly “disaster capitalism”. It brought many scars of the damages and the inadequacy of the restoration through the capitalistic management activities. The Third World Conference on Disaster Risk Reduction was held in Sendai in 2015 and the conceptions “disaster risk reduction” and “risk management” have been accentuated . The conception of risk management is based on three factors such as severity of damages, probability of disaster occurrence and cost-and-benefit. Therefore it cannot directly respond to the actual danger of disasters because of the mediational ideas of probability and cost-and-benefit. It also propels government centralization and impedes independent activities of habitants for disaster prevention. Risk society produces many ideological words and assertions such as “public finance should not be applied to individual compensation”, “nuclear power plants are truly safe”, “self-responsibility” and “resilience”. When we refer to Kanto Great Earthquake we find it was followed by tragic wars. The author is afraid that the legislation of military security has been now rapidly promoted by central government after Great East Japan Earthquake.
著者
中野 亮治 岩崎 信
出版者
東北大学大学院教育情報学研究部
雑誌
教育情報学研究 (ISSN:13481983)
巻号頁・発行日
no.2, pp.143-149, 2004-03

素朴概念についてはこれまで様々な研究がされてきた。しかし,必ずしも実際の教育現場にその成果がうまく還元されていない。その要因の一つに,素朴概念の研究成果が教育現場で利用されやすい形になっていないことが挙げられる.もし,インターネットでアクセス可能で,容易に利用できる素朴概念に関するデータベースのようなものがあれば教育現場でも,素朴概念研究においても役立つ.今回,収集期間も短く,その範囲も手近にあるものに限られるが,データベース構築の一環として,その最初の収集リストを示す.リストの構成は素朴概念,キーワード,調査対象学年,研究内容,著者,参照文献の6つからなる.
著者
傅 正偉 近藤 康 岩崎 信之 加藤 久典 菅原 邦生 久保 辰雄
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.1154-1160, 1997-12-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

ニワトリ松果体中メラトニンの抽出•保存および高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によ るメラトニンの定量という一連のシステムについて検討し,次の方法を確立した.(1) メラトニンの抽出:松果体の摘出は断首後できるだけ手早く行い,松果体1個をガラス製ハンドホモジナイザー(1ml)に入れ,氷中でホモジナイズしてから0.05M過塩素酸(システインとEDTA含有)を0.1,0.2,0.2mlと加えるごとにホモジナイズする.遠心して得た上澄液を抽出液とする.標準液と抽出液は4°Cにおいて1ヵ月以内の保存が可能である.また,これらの液は濾過チューブを用いて濾過してから100μlをクロマトグラフへ注入する.なお,暗期においては断首からホモジナイズ終了まで赤色ランプ下で行う.(2) HPLCの条件:逆相カラム,35°Cのカラム保温温度,メタノールと0.05M酢酸緩衝液(pH4.7)の混合溶液(25:75または35:65)の移動相,1ml/minの流速,蛍光検出器(励起波長=285nm,放射波長=345nm)または電気化学検出器(作用電極=+900mV)などの条件および機器を用いる.
著者
浜田 幸一 井坂 和実 土居 大治 米満 善久 岩崎 信吾
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.66-72, 2002-02

Clad steel sheet is formed by cladding different metals and used for the functional material, which has convenient characteristics of each metal. Especially, a lot of stainless steel/aluminum clad strip is produced for electromagnetic rice cookers which are in demand because of the higher thermal conductivity, having magnetism and corrosion resistance. For the demand, continuous cladding technology of the wide width stainless steel/aluminum strip has been developed by warm rolling after the rapid heating process. Recently, much higher uniformity for peeling strength is required as the market grows. So, a new heating process, in which uniform heat generation is achieved by the electric resistance of metals and the directly applied current, is developed in place of the conventional process of induction heating. After solving some technical problems about sparks and temperature uniformity, direct resistance heating equipment have installed in the manufacturing line. As the result, high-quality clad steel sheets, which have the uniform peeling strength, can be produced by the improvement of temperature deflection on rolling.
著者
岩崎 信明 絹笠 英世 渡辺 章充 片桐 朋子 田中 竜太 新 健治 佐藤 秀郎
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.202-205, 2007-05-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
16
被引用文献数
1

重度脳性麻痺, 重度精神遅滞, 症候性てんかんを基礎疾患にもつ3歳女児に長時間続く吃逆発作が繰り返し出現した. 気管切開・喉頭気管分離術の施行後に発症し, 合併症として呼吸停止がみられた. 薬物治療に抵抗性であったが, 微量の食用酢を点鼻することで速やかに吃逆は消失した. 機序として吃逆の反射弓の求心路と考えられている舌咽神経咽頭枝が分布する鼻咽頭背側領域への刺激の関与が推察された. 安全かつ簡便に施行できることから, 薬物療法が無効な場合には非薬物療法のひとつとして試みてもよい方法であると考えられた.
著者
岩崎 信治
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.67, pp.11-16, 1988

日本のモーターサイクルが米国に輸出をしはじめたのは1960年前後である。輸出モデルはどのメーカーも国内用のものをそのまゝ米国向に転用したもので、せいぜい塗色や部品を変える程度であった。米国よりそこはかとなく「トレール」という市場ニーズが知らされても、なかなか理解することができなかった。現地に進出したばかりの営業本社やデザインオフィスの情報ネットができ、日本からの開発チームのフィールドサーベイが可能になってから「トレールの遊び方」が判ってきたのである。輸出史上初の米国専用モデル、ヤマハトレールDT1は1968年に発売された。発売と共に大ヒットとなり米国市場で大成功を収めた。予定外の日本、欧州市場でも新カテゴリーモデルとして大人気で受け入れられた。本稿はデザインを担当した筆者の体験による「研究ノート」である。
著者
岩崎 信治
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第57回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.F01, 2010 (Released:2010-06-15)

イギリスの人類学者エヴァンズは1900年にクノッソスにある古代ミノクスの宮殿で、二世紀または四世紀と云われる迷路の原型が画かれたクノッソス貨幣の出土を発掘した。このクノッソスの迷路はその後世界各地から出土品や遺跡として現われた。代表的な迷路はフランスのシャルトル大望堂の床に描かれたモザイクであり、北欧では石で庭に画かれた迷路が各地に見られる。これら迷路の成立過程や存在理由は民族の神話や伝説であったり、神話学的解説や学術的定説は未だに不明である。迷路は入り口から中央の終点まで迷うことない一本道だが、途中はくねくねと迂回する曲折模様や螺旋状を示している。その形状はクノッソス貨幣の迷路の原形を伝承するもので、このようなクノッソス文化形態は日本では全く見ることができない。
著者
岩崎 信
出版者
東北大学
雑誌
教育情報学研究 (ISSN:13481983)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.23-40, 2004-03
被引用文献数
2

人間の日常行動や,運動を含めた認知過程を全体的に理解するためには,基本的なある実体の概念が必要である.その実体は,脳の中において,上記の諸活動についての共通の機能的役割を担うものである.「スキーマ」は,70年代に導入されたが,その一般化概念(拡張スキーマ)が人間の行動や認知に関する脳神経科学と心理学の間の理解の広い谷を橋渡しする可能性を持つ候補と考える.
著者
中川 将吾 六崎 裕高 鎌田 浩史 俣木 優輝 遠藤 悠介 松田 真由美 高橋 一史 岩崎 信明 山崎 正志
出版者
南江堂
雑誌
別冊整形外科 (ISSN:02871645)
巻号頁・発行日
vol.1, no.75, pp.245-248, 2019-04-25

は じ め に 外骨格型の動作支援ロボットであるロボットスーツHybrid Assistive Limb(HAL;Cyberdyne社)を使用した機能回復訓練が脳卒中,脊髄損傷,変形性関節症といったさまざまな運動機能障害患者に対して導入され,その良好な結果が報告されている1~3).HALは関節運動の補助を行うとともに,補助された運動の変化を感覚系が中枢神経にフィードバックし,HAL取りはずし後にもその効果が継続するのではないかと考えられており,interactive bio-feedback仮説と呼ばれ,麻痺症状を呈するさまざまな疾患に対しての効果が期待できる4). HALは,脳性麻痺患者に対しても自立歩行を可能にすると報告されている5).脳性麻痺はさまざまな病型があるが,痙縮型に代表されるように,筋出力のインバランスを伴っている.重症度の分類であるgross motor function classification system(GMFCS)(表1)6)のレベルⅠからⅤに進むに従って重症化し,筋出力のインバランスも強くなってくる.GMFCSレベルⅢやレベルⅣの症例は,歩行訓練を行い,筋出力のインバランスを調整することで歩行能力を維持し,変形を予防し,介助量を減少させることが可能である. われわれのグループでは,運動機能障害を有する脳性麻痺患者に,HALを使用した歩行訓練を外来レベルで単回,また入院して集中的に行っている.本稿では脳性麻痺患者に対してのHALを使用した歩行トレーニング方法と,使用後の効果について報告した.
著者
鰺坂 学 浅野 慎一 岩崎 信彦 杉本 久未子 西田 芳正 西村 雄郎 文 貞實 魁生 由美子
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

日本の大都市では2000年を画期として、長らく続いた人口の郊外化がおわり、人口が都心部に向かう都心回帰といわれる状況がみられる。その原因は、不況により都心地域の地価が下がり、オフィス需要が減少し、余った土地に大型のマンションが建てられ、新しい住民の居住が促進されたためである。本研究では、これらの人口の都心回帰により大阪市における地域社会の構造変容について調査分析を行った。特に都心区における新しい住民と古くから住んでいた住民との関係について、大阪市特有の地域住民組織である「地域振興会」(振興町会や連合振興町会)に焦点をあて、その連合会長らに面接調査を行った。結果として、新住民の地域振興会への参加は少なく、旧住民中心に運営されてきた振興町会の側も新住民への対応に苦慮していること、新旧住民間の交流やコミュニティの形成が課題となっていることが判明した。
著者
岩崎 信治
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第56回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.E19, 2009 (Released:2009-06-16)

1930年代までの日本建築史では曖昧にしか語れなかった日本美について明確に提唱した二人の建築家がいた。岸田日出刀(1899-1966)とブルーノ・タウト(1880-1938)である。岸田は1929年に文と写真による日本美を「過去の構成」の出版で示した。タウトは1933年に来日し、日本美について書いたものを「ニッポン」の題名で1934年に出版した。両氏が取り上げた日本美は、伊勢神宮、桂離宮、京都御所、弧逢庵など殆どがお互いに共通しており、共に日本美の聖地として永遠性を認めていた。このことは岸田の動機によることが大きく、タウトよりいち早く日本美を発見した岸田日出刀を高く評価すべきと考える。
著者
四日市 章 河内 清彦 園山 繁樹 長崎 勤 中村 満紀男 岩崎 信明 宮本 信也 安藤 隆男 安藤 隆男 前川 久男 宮本 信也 竹田 一則 柿澤 敏文 藤田 晃之 結城 俊哉 野呂 文行 大六 一志 米田 宏樹 岡崎 慎治 東原 文子 坂尻 千恵
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

研究成果の概要 : インクルーシブ教育を理論的・実践的両側面から捉え、国内外の障害に関する理念・教育制度の展開等について歴史的に解明するとともに、特定地域の幼児・親・教師を対象として、障害のある子どもたちのスクリーニング評価の方法の開発とその後の支援について、長期的な研究による成果を得た。