著者
Iida Maki
出版者
北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院
雑誌
メディア・コミュニケーション研究 (ISSN:18825303)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.65-93, 2018-03-26

近年、ヨーロッパ言語も含む様々な言語の話し言葉において発話末に現れ談話・語用論的な機能を果たす形式群を、「終助詞」(final particles)という新たな言語カテゴリーとして言語横断的視点から統一的に考察する研究が現れてきている。そこでは広東語や日本語における文末助詞(sentence-final particles)のような各言語において明確な語類ないし品詞を構成する形式群も同様に位置づけられている。 本稿は、広東語や日本語のほか、東アジア・東南アジア言語にしばしば見られる文末助詞という語類は、第一義的に文末に出現し、文との統合度の高い拘束的ないくつかの形式群からなる閉じたクラスを構成することから、少なくとも共時的レベルでは、上記のような広義の終助詞とは明確に区別して扱うのが妥当との見方をとる。 そこで本稿ではそうしたアジア言語の文末助詞についての理解を深めるべく、系統や類型を異にする広東語と日本語の文末助詞を比較対照し、その結果、両者の間の言語の別を越えたいくつかの類似点を指摘した。すなわち、統語的特徴としては、文末以外にも一定の伝達内容を持つ文中の句や語の後に生起すること、音韻的特徴としては、母音はいずれも開口度が大きく開音節であること、音調の類型や音調と意味の相関に共通の傾向が観察されることなど、いずれも伝達態度を文法化した語類であるがゆえの偶然とは見なしがたい共通点が挙げられた。 また、両言語では、対話場面における文末助詞ないし準文末助詞の使用頻度や義務性が高いことから、文ごとに伝達態度を標示することが半ば義務的になっており、すなわち文法化されており、文末助詞はその文法的手段として存在していることを主張した。
出版者
内務省総務局戸籍課
巻号頁・発行日
vol.明治13年調, 1887
著者
菊田 千景 大谷 優希菜
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.179-185, 2017 (Released:2018-02-02)
参考文献数
15
被引用文献数
1

We cooked pumpkin (raw, frozen) in two ways: vacuum and conventional and conducted a comparative review of quality and taste after the pumpkin was cooked. The vacuum-cooked stewed pumpkin was very yellow and had a bright colour. This method also made it possible to prepare stewed pumpkin with uniform physical properties (hardness) and salinity concentration. Furthermore, the vacuum-cooked stewed pumpkin was preferred over conventional cooking in flavour assessment sensory evaluation. From the above, it can be considered that it is possible to provide high-quality stewed pumpkin in catering facilities with the effective use of the advantages of vacuum cooking.
著者
Hikaru OHNO Kaho TAKAHASHI Nanako YANUMA Misato OGAWA Ayana HASEGAWA Koji SUGITA Koji KAWANO Kazuaki SASAKI Junsuke SHIRAI Kentaro NAGAOKA Keitaro OHMORI
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.18-0756, (Released:2019-10-02)
被引用文献数
1

The molecular clock network in mast cells has been shown to be a factor responsible for circadian regulation of allergic inflammation. PF670462 is a selective inhibitor of casein kinase 1δ and ε (CK1δ/ε) that control the posttranslational modification of clock proteins. The aims of this study were to evaluate the effects of PF670462 on gene and protein expression of FcεRI, the high-affinity IgE receptor, in canine mast cells and on IgE-mediated immediate-type cutaneous reactions in dogs. PF670462 decreased mRNA expression of FcεRIα and β, but not γ, and protein expression of FcεRI in a canine mast cell line. Furthermore, PF670462 suppressed IgE-mediated immediate-type cutaneous erythema in dogs. These findings indicate that CK1δ/ε function as regulators for FcεRI expression and IgE-mediated cutaneous reactions in dogs.

2 0 0 0 OA オペラの怪人

著者
ガストン・ルルー 著
出版者
富士週報社
巻号頁・発行日
1925
著者
Akira T. Noda Hiroshi Niino
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
SOLA (ISSN:13496476)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.5-8, 2005 (Released:2005-01-25)
参考文献数
17
被引用文献数
9 13

A major tornado spawned by a supercell is reproduced by a fine-resolution three-dimensional numerical simulation, and its genesis mechanism and structure are clarified. The tornado, which is associated with a maximum vertical vorticity of 0.85 s-1 and a pressure drop of 27 hPa, originates from one of the small-scale vortices on the gust front that forms between a warm moist environmental air and a rain-cooled air produced by the storm. Only the small-scale vortex that develops into a major tornado is located right under the low-level updraft associated with the low-level mesocyclone; the others that fail to develop are not. Several interesting previously-unexamined characteristics of the threedimensional structure of the simulated tornado vortex are also reported.

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1913年05月05日, 1913-05-05
著者
村治 虚憧[尺八]
出版者
リーガル
巻号頁・発行日
1933-04
著者
宮石 智
出版者
岡山大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

法医学実務においては、着衣等に付着した血痕が月経血に由来するか否かがしばしば問題とされる。従来の月経血痕証明法の一つである血痕からのフィブリン分解産物(FDP;月経血に多量に含まれている)の検出では、月経血は生体末梢血からは鑑別され得たが、月経血同様多量のFDPを含有する死体血との鑑別は困難であった。ところで私は、死体血と生体末梢血のミオグロビン(Mb)含量の差を利用した、血痕からの生体血と死体血との鑑別法を既に考案している。月経血は子宮という平滑筋臓器から出血する生体の血液であり、Mb含有量は生体末梢血と同程度と考えられる。そこで、血痕からのFDPとMbの同時検出によって、生体末梢血、死体血との鑑別を含めた月経血痕の証明が可能であると考えられた。月経血及び死体血の各10mu1を晒し布に付着させて実験的に血痕を作製し、これに200mu1のPBSを加え37℃で一夜静置して得られた抽出液についてFDP-Dダイマー(二次線溶に特異的に出現するFDPの一成分)の定量を行った結果は、月経血では5.94x10^2〜1.27x10^3ng/ml、死体血では5.84x10^2〜1.58x10^4ng/mlと高値であった。一方生体末梢血のFDP-Dダイマー濃度は9.7〜37.1ng/mlに過ぎないことから、血痕からのFDP-Dダイマー検出により月経血及び死体血と生体末梢血との鑑別が可能であった。月経血のMb濃度を測定すると27.2〜53.7ng/mlであり、生体末梢血のMbレベル(35.5±23.9ng/ml)に相当していた。従って血痕からのMb検出により、月経血も生体末梢血と同様に死体血から鑑別され得ることが判明した。以上のことから、血痕からのFDP-DダイマーとMbの同時検出により月経血、生体末梢血、死体血の三者が鑑別され得ること(FDP-Dダイマーのみ検出されたものは月経血、FDP-DダイマーとMbの両者が検出されたものは死体血、いずれも検出されないものは生体末梢血)が確認された。
著者
佐々木 宣介 飯田 弘之
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.2990-2997, 2002-10-15

本研究では,ゲームのルール変遷の根底にあるゲームの性質の変化に着目し,将棋の歴史的変種を比較する.最初に,ゲームの性質に関する比較を行うための2つの指標を提案する.これらの指標はそれぞれ,ゲームの面白さとゲームの決定複雑性を表すもので,平均可能手数,平均終了手数に基づいて算出される.すでに廃れてしまった将棋種に関しては,コンピュータプレイヤを用意し,それらのデータを採取した.本研究で用いたコンピュータプログラムは駒価値をベースにした評価関数を持ち,先読み探索を行う.各将棋種に対して駒価値を自動学習するために,Temporal Difference学習法を適用した自動対戦の実験を行い,各将棋種に対するデータを採取し,比較を行った.重要な知見として,大駒付加よりも持ち駒使用ルールがルール変遷の過程でより大きなインパクトを与えていること,そして,あまり難しくなりすぎないようにルールが洗練されてきたことが分かった.
著者
中村 謙治 森川 信也 山崎 基嘉 磯部 武志
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.182-188, 2007-12-01 (Released:2009-01-14)
参考文献数
9

湛液型水耕栽培ベッドと飼育水槽を組み合わせ, ポンプにより飼育·栽培用水が常時循環する野菜栽培と魚類育成の複合生産システムを供試し, 果菜と淡水魚の複合生産の可能性を検討した. 実験はトマトとティラピアを組み合せたシステム, 水ナスとコイ, ヘラブナを組み合わせたシステムについて行った. 飼育·栽培用水に養液栽培用肥料を添加する条件では, 果菜の収量は魚を飼育しない場合に対し同等以上の収量が得られ, 飼育魚は水耕栽培用の培養液中でも順調に生育した. 以上から, 養液栽培システムに魚類育成用タンクを追加するだけの簡易なシステムにより, 果菜類の栽培と淡水魚類の生産が両立できる可能性が示された.
著者
長沢 利明
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.145, pp.373-412, 2008-11

現存する農民市としては東京都内最古の存在である世田谷のボロ市は、一五七八年(天正六年)における後北条氏の市立掟書の存在によって、そのことを確かめうる重要な地位を占めているが、当初よりそれは典型的な六斎市として成立していた。北条氏の没落した近世期には年に一度の歳の市となったが、彦根藩領内にあって代官の支配・統制下に置かれることとなった。近代期には村方の運営する農民市となり、改暦によって一月・一二月の二度の市立ともなっていったが、明治期にはボロ布市・筵市として知られるようになり、大正期には植木市としての発展もみた。近代産業の勃興と交通網の整備を通じ、前近代的な商品取引はしだいに一掃され、市場商人と地元との親密で特殊な相互関係も解消されていくこととなり、第二次大戦後には暴力団系テキヤ組織の介入を許す余地を与えることとなった。それゆえ戦後の市立の民主的な改革は、それらとの対決なくして実現することができず、粘り強い努力を通じて地元民はついに一九六五年(昭和四〇年)、ついにこれを達成するに至った。この成果によって今日のボロ市の運営基盤が形作られ、市立の現代化がなされていった。今日の出店構成に関する実態調査結果からも、改革後の特色ある業種実態、出店者の広域化、地元主導型の民主的運営形態の定着といった諸傾向を、そこに明確に見い出すことができる。Setagaya Boroichi is the most famous rag fair, and the oldest peasant market in Tokyo district. It was opened at least 1528 in period of Houjou occupation. In that age, fair was held six times a month as a "Rokusai-ichi". The Houjou family had been giving the protection to a fair. After end of Houjou family's government, fair was became to ruled by Ii family which is one of feudal Daimyous in the modern ages from the 17th century. Ooba family, as a retainer of Ii clan, had been controlled during modern times. Then market day became once a year, and it was held 15th December. Most of peasants and farmers in Setagaya area went to fair, and they bought and sold the new year's decorations, various goods. Fair was held as "Toshi-no-ichi" , for preparing to new year. In 19th century in recent times, fair was called "Boroichi" that meant a rag fair. Many merchants came out to market with a large of rags and old clothes. Farmers living in and around the Setagaya produced a "waraji (straw sandals)" using it at materials. But waraji production was declined with diffusing shoes on life modernization at beginning of the 20th century. Fair turned to "mushiro (straw mat)" market or plants fair after that age. However that articles on fair lost merchantability and it was going to general merchandise market. After W. W. II, a band of thugs began to intervene to management of fair, same racketeers who ware subsidiary of gangster organization raise an act of violence. As a result of that, drove a fair into stoppage in December 1964. Afterward, inhabitants and merchants society of Setagaya united their selves firmly to corp with the gangster organization, police and administrative organ supported it. Thus , fair had been resumed in January 1965. Setagaya Boroichi recovered their composure and democratic, peaceful administration. It is growing to be a splendid market and sightseeing annual event today.

2 0 0 0 OA 職員録

著者
内閣印刷局 編
出版者
内閣印刷局
巻号頁・発行日
vol.昭和17年7月1日現在, 1943
著者
井谷 泰彦
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.1-287, 2018

早大学位記番号:新7911
著者
平野 正徳 和泉 潔 松島 裕康 坂地 泰紀 島田 尚
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2O1J1304, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究は,金融市場における高頻度取引(HFT)のマーケットメイク(MM)戦略と呼ばれる注文行動について分析を行うことを目的とした.株式会社日本取引所グループより提供を受けた,東京証券取引所の注文データを使用し,仮想サーバーの名寄せを前処理として行なった.その結果得られた,取引主体別の注文データを,いくつか指標を使うことで,クラスター分析を行い,高頻度マーケットメイク戦略(HFT-MM)を取っている取引主体を抽出し,それらの注文が,直近約定価格から何ティック離れたところに置かれているかについて計算した.その結果,HFT-MMとされる行動主体は,直近約定価格からかなり離れた位置(5-10ティック)のところにも注文を置いていることが明らかになった.この結果は,HFT-MMとされる取引主体が,マーケットメイク戦略だけではなく,他の戦略も採用している可能性を示唆しており,さらに確認すると,価格が急変した際には,不安定化効果を引き起こす可能性をも示唆していることがわかった.