著者
沢辺 大輔 鳥越 宣宏
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.130-131, 2016-03-20 (Released:2017-06-16)

我が国の漆喰は1500年近くの歴史をもつ水酸化カルシウム(消石灰)を主成分とした建築材料である。住宅様式の変化からその需要が失われた漆喰は,近年,住まいの安全・安心に対する意識の関心の高まりやユーザーのライフスタイルや価値観の多様化から機能性・意匠性の両面から再び注目されている。消石灰と砂だけの西洋の漆喰に対し,我が国では天然由来の有機物を加えて作業性を向上させ,独自の左官技術と文化を構築するに至った。主成分となる消石灰の生成過程や漆喰の硬化,漆喰が住宅環境にもたらす安全性や機能性などについて紹介する。口絵9ページ参照。
著者
西岡 昌輝 松山 祐樹 福重 真一 小林 英樹
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.463-464, 2016

これまでライフサイクルシミュレーション(LCS)は設計段階で用いられていたため,LCSの計算結果と運用段階における実データの間には差が生じ,製品LCが運用段階において設計時とは異なった挙動をとるという問題が生じた.そこで,LCSの計算結果と運用段階に取得できる実データとの差を小さくするための手法として,データ同化型LCS手法の構築を本研究の目的とする.本手法は,LCSにデータ同化の考えを適用することで構築する.
著者
中平 歩 岡田 将治 張 浩
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.I_1087-I_1092, 2017 (Released:2018-02-28)
参考文献数
7

近年,四万十川河口より4kmから6kmの区間では,土砂堆積による流下能力の不足および汽水域に生育する天然スジアオノリの収穫量の減少が問題となっている.土砂堆積の要因は,昭和41年以降の砂利採取期間を含む現在までの土砂動態と流入土砂量の検討結果から,砂利採取禁止後からの土砂供給量の増加によるもので,今後も堆積傾向にあることが予想される.また,スジアオノリの生育に適した河床高の面積と収穫量の関係から,土砂供給量の変化がスジアオノリの生育できる河床高の範囲に影響を及ぼしていることがわかった.そこで,平成26年に移動床実験による平衡河床形状の検討結果から選定した掘削箇所をスジアオノリの生育に適した河床高になるよう切り下げた結果,平成27年1月にはそれまでに繁茂していなかった区間に新たな繁茂域の形成が確認された.
著者
湯浅 愛里 田中 美子 宇野 真由奈 金森 千香 竹内 実
出版者
京都産業大学先端科学技術研究所
雑誌
京都産業大学先端科学技術研究所所報 = The bulletin of the Research Institute of Advanced Technology Kyoto Sangyo University (ISSN:13473980)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-12, 2017-07

外国産ハチミツによる免疫機能への影響は報告されているが、日本国産ハチミツの免疫と抗炎症作用についての詳細な解明はされていない。そこで、日本国産ハチミツとして京都産業大学産ハチミツ(京産ハチミツ)を用い、免疫細胞である肺胞マクロファージ(AM)とLipopolysaccharide(LPS)で誘導した肺炎症に対する影響について検討した。AMにLPS添加群(最終濃度10μg/ml)とLPSに京産ハチミツ添加(ハチミツ最終濃度1、10mg/ml)したHL(Honey + LPS)群を設け共培養し、炎症性サイトカインであるIL-1βとCXCL2のmRNA発現をRT-PCR法により調べた。AMのIL-1β mRNA発現比率は、LPS添加群と比較して、HL添加群のハチミツ濃度10mg/mlで有意な(p < 0.01)減少が認められた。一方、CXCL2 mRNA発現比率は、LPS添加群と比較して、HL添加群のハチミツ濃度10mg/mlで有意な(p < 0.001)減少が認められ、ハチミツに炎症性サイトカインの発現を抑制することが認められた。これらのin vitro系の結果から、LPS投与による肺炎症への影響を検討した。マウスにLPS 50 μg/ 匹を投与したLPS 群、ハチミツ10mg/ 匹を投与し24時間後にLPSを投与したHoney + LPS(HL)群について、それぞれのBAL 総細胞数を比較した。BAL総細胞数は、LPS群で有意な(p < 0.001)増加が認められたが、HL群で有意な(p < 0.05)減少が認められた。好中球の細胞比率はLPS群で有意な(p < 0.001)増加が認められたが、HL群で減少傾向が認められた。これらの結果から、京産ハチミツはAMのIL-1β、CXCL2の産生を抑制し、LPSによる好中球の肺への浸潤を抑制し、抗炎症作用を示すことが示唆された。
著者
福土 審
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.45-52, 2011-01-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
25

心身医学では,陰性情動がどのように成立するのか,そしてその異常がなぜ生じるのか,という問題が特に重要である.代表的な心身症である過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)の病態生理を解くことはこの問題解決につながる.生体に加わった刺激は大脳皮質と皮質下の処理により情動を惹起する.情動にはどんな感じがするかという感情と身体状態である情動状態の2つの成分があり,変化した身体状態(内的感覚)が感覚信号を介して再び中枢に入力される.この刺激の作用点を内臓に置くことにより,内的感覚から情動が生成される根本的な機序を解明できる.健常者の大腸を刺激すると,視床,島,前帯状回,前頭前野の活性化が認められ,同時に腹痛と不快情動が惹起される.IBS患者では同一の刺激に対するこれらの部分の活性化が大きく,腹痛と陰性情動も強い.これらの内臓刺激による中枢処理は個体のもつ性格,遺伝子,先行する強い陰性情動体験によってパターンが異なる.これまでの研究から,島,扁桃体,前帯状回を中心とする局所脳の活性化の程度とセロトニンやcorticotropin-releasing hormone(CRH)などの制御物質が腹痛と陰性情動を決めることが示唆される.次の課題はこれらがどのような回路,細胞,物質の動態により制御されるかを明らかにすることであろう.
著者
高橋 玄 佐藤 雅彦 大久保 剛
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.91-94, 2009-01-31 (Released:2009-03-03)
参考文献数
7
被引用文献数
1

症例は79歳男性。近医に脳梗塞・認知症で入院中であった。既往に内痔核があり痔疾用軟膏を1日1本投与されていた。2008年3月上旬に腹痛・嘔吐が出現。腹部所見は板状硬であり,腹部CT検査でfree airが認められ当院転院となった。消化管穿孔・汎発性腹膜炎の診断で同日緊急手術施行。腹腔内は糞便で汚染されており,洗浄後観察すると直腸Raに深達度SSの直腸癌と思われる腫瘍が認められた。その1cm口側に10mm大の穿孔部位があり,痔疾用軟膏のケースの1部が露出していた。術式は腹腔ドレナージ+ハルトマン手術とした。病理組織結果はSS,N0の高分化腺癌であった。その後,不幸にして患者は呼吸不全となり永眠された。痔疾用軟膏のケースにより消化管穿孔をおこした直腸癌は極めてまれであり,今後このように不幸な転機をとる患者を減らすためには本人以外が薬剤を投与するなどの予防策を考慮すべきであると思われた。若干の文献的検討を加え報告する。
著者
高 松花 濱 定史 小林 久高 安藤 邦廣
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.77, no.678, pp.1853-1860, 2012-08-30 (Released:2012-10-15)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

The log cabin is a kind of traditional house in east area of Asia. In Japan, there are traditional temples represented by the Shosoin and are located in the mountain. By the other hand, in Korea, these temples are located in the mountains and the islands. In the case of China, there are some log cabins located near the Changbai Mountain, and where many people are still living.The purpose of this paper is to describe the construction and the production technology of log cabins through a survey conducted in the protected area of Jingjiang Village in China's Changbai Mountain. It will also aim to make a linkage between characteristics with local area's weather, forest, society and economic condition.
著者
伊東 秀幸 大西 守 田中 英樹 桑原 寛 伊藤 真人 大塚 俊弘 野口 正行 金田一 正史 斎藤 秀一 山本 賢 呉 恩恵
出版者
田園調布学園大学
雑誌
田園調布学園大学紀要 = Bulletin of Den-en Chofu University (ISSN:18828205)
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-31, 2016-03

精神障害者支援に関して,市町村は精神障害者に対して身近な地域できめ細かく支援していく役割があり,保健所はその市町村に対して専門性や広域性が必要な事項について支援していく役割がある。また,精神保健福祉センターは,保健所,市町村に対する技術援助の役割を担っている。以上のように各機関は,それぞれ異なる役割を期待されているが,精神保健福祉法の改正や障害者自立支援法の施行などもあり,精神保健福祉行政を取り巻く環境は大きく変化している。そのため,保健所,市町村そして精神保健福祉センターによる精神障害者に対する支援の現状を把握し,それぞれの機関の果たすべき役割について見直していくことが重要である。そこで本研究では,厚生労働省平成26 年度障害者総合福祉推進事業「保健所及び市町村における精神障害者支援に関する全国調査」の結果から,保健所及び人口30 万人未満の市町村のデータを抽出し,精神障害者支援に関する,保健所と市町村の役割とその現状について考察を試みた。調査の結果から,指定都市型保健所,中核市型保健所や10 万人未満,30 万人未満の市町村においては,精神障害者支援に関する様々な取り組みがされているのに対し,都道府県型保健所ではこれまでの事業を中心に実施されている現状が分かった。これは,都道府県型保健所と市町村との間で精神障害者支援に関する役割分担が進んでいることからくることと推測される。30 万人未満の市町村では,精神障害者支援に関して,これまでの都道府県中心から市町村主体と変わっているが,その実施にあたり様々な困難を抱えており,これからも都道府県(保健所)等のバックアップが必要と考えている。そのための具体的な対策としては,保健所や精神保健福祉センターによるバックアップ体制を強化するとしている。一方,保健所は,今後重要となる精神保健福祉業務の体制については,管内市町村との連携強化を考えているという現状が把握できた。精神保健福祉センターに対する調査では,精神保健福祉センターの業務のうち保健所への技術援助は積極的に取り組む必要があるとしている。以上のことから,今後,保健所から管轄市町村に対して,これまで以上に技術援助や連携を進めていくことが必要であり,精神保健福祉センターからの技術支援は,保健所はもとより直接的に市町村にも積極的に進めることが課題であると思われる。また,「保健所及び市町村における精神保健福祉業務運営要領」は,平成18 年に発出以来10 年が経過していることから,現状にあった改訂の必要性があると思われる。
著者
米谷 雄介 後藤田 中 北原 美里 小野 滋己 青木 有香 八重樫 理人 藤本 憲市 林 敏浩 今井 慈郎 最所 圭三 喜田 弘司
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.112-121, 2019-09-17 (Released:2019-09-17)
参考文献数
5

情報セキュリティマネジメントにおいて,組織および組織を取り巻く環境に適合したセキュリティ対策の状況の確認・有効性の確認は必要不可欠である.本学では,予算・運用形態等の制約の中で,導入したセキュリティ製品の組織への妥当性を点検する試みを行っている.近年の標的型攻撃に重点を置き,本学のファイアウォールで監視されるメール,またWebからのダウンロードファイルを対象に,サンドボックスによる検知マルウェアに対するセキュリティ製品の対応状況を確認している.本研究では,パターンファイルが新種・亜種に対応するまでの期間を調査して,全学レベルで導入したアンチウイルスソフトおよび他社製品群を対象に,その妥当性の点検作業を支援するシステムを開発した.

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1906年10月15日, 1906-10-15