著者
篠ヶ谷 圭太
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.256-267, 2008-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
31
被引用文献数
11 11

本研究では, 事前に教科書を読むという予習が授業理解に与える影響とその個人差について, 中学2年生を対象とした歴史授業を用いて実験的に検討した。また, 予習の効果の授業内プロセスについて検討を行うため, ノートのメモなどの授業中の学習方略に注目した。さらに本研究では, 予習が授業への興味に与える影響や, 予習時の質問生成の効果についても併せて検討した。予習群, 質問生成予習群, 復習群を設定した実験授業を行い, 予習-復習, 質問生成あり-なしの対比を用いて検定を行った結果, 予習は歴史の背景因果の理解に効果を持つことが示された。ただし, 学習観を個人差変数とした適性処遇交互作用 (ATI) の検討の結果, そのような予習の効果は学習者の意味理解志向の高さによって異なることが明らかになった。また, 学習方略に注目した授業内プロセスの検討の結果, 予習が授業理解に与える影響とその個人差は授業中のメモを媒介して生起することが示された。さらに本研究では, 予習は授業への興味を下げないことや, 予習時の質問生成には効果が見られないことが示された。

2 0 0 0 OA せつしやう石

出版者
[鱗形屋]
巻号頁・発行日
1700

青本合1冊、覆表紙の題名「殺生石水晶物語」は別の作品名で誤り。画作者無記、柱題「せつしやう石」、鱗形屋版。『国書総目録』第5巻(岩波書店、1967.11)に「殺生石」で「日比谷加賀」とある2巻(下欠)本と同。
著者
山本 亜紀 神部 芳則 大田原 宏美 柏崎 明子 山下 雅子 林 宏栄 野口 忠秀 森 良之
出版者
日本口腔内科学会
雑誌
日本口腔内科学会雑誌 (ISSN:21866147)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.95-99, 2017-12-30 (Released:2018-01-16)
参考文献数
20
被引用文献数
1

65歳の男性。繰り返す口内炎を主訴に,近医から当科を紹介され受診した。初診時,口腔内には多数のアフタを認めたが,偽膜形成は認めなかった。細菌培養検査にてカンジダ陽性であったため抗真菌薬を使用したが症状を繰り返した。外陰部潰瘍を認めていたことから内科に対診したところ,HIV感染が判明した。その後,HIV治療が開始され,現在は口腔内症状も改善し経過観察を行っている。
著者
佐藤 泉
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.35-44, 2007

一九五〇年代末、九州の炭鉱地帯で展開された「サークル村」の文化運動は、それ以前の自然発生的な民衆文化運動を自覚的に思想化した点で重要である。本稿は、この運動をリードした詩人・谷川雁のサークル論をとりあげて、共同体としてのサークルと集団的な創作主体がどのように論理化されたかを考察する。日本の戦後思想の布置において、「村」「共同体」は個人の自由を拘束する悪しき結束であり、克服すべき前近代のシンボルとして語られてきた。しかし、五〇年代後半になって、個人の確立を掲げる戦後思想の有効性は薄れていた。経済および社会の構造再編が進むなかで、社会運動と労働運動が急速に力を失っていったためである。個人の確立に変えて、共同体の再構築が必要だと判断した谷川は、新たな連帯の思想を実践する場として文化サークルの運動に注目していた。民衆は潜在的なエネルギーを秘めている。しかし革新政党や労働組合は、民衆の力や欲望を適切に代表していない。そのため、しばしば民衆の力は、ファシズム的な表象によって奪われる。民衆の力を誰がどのように表象するかが重要な問題である。そこで、谷川は、民衆が自らを表象し、それによって自己を再想像する場として文化運動を活性化する必要があると考えた。谷川は、文化運動の場を「村」と呼び、創作の主体を個人ではなく集団としたが、そのためには戦後思想としての近代主義、個人主義の言説と対決する必要があった。この時期の谷川の言語活動によって語り変えられた「共同体」は、伝統的な共同体の権威主義、閉鎖性を克服することに成功しており、そのため、コミュニティの再構築が課題となった現在、多くの手がかりを与えるものとなっている。
著者
仙波 亮一
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.105-116, 2018 (Released:2018-03-03)
参考文献数
35

本研究の目的は,どのような要因が労働者の自我脅威の知覚に影響を及ぼし,その後どのような対処方略に結びつくのかを自己愛タイプ別に明らかにすることである。本稿では,まず分析1として,自己本位性脅威モデルに基づいて,どのような要因が労働者の自我脅威の知覚に影響を及ぼし,その後どのような対処方略に結びつくのかを複数のモデルを設定し,共分散構造分析により検討した。その結果,相対的自己評価と自己概念の明確性を要因として含むモデルは,それを含めないモデルよりも適合度が低く,自我脅威が対人恐怖心性および組織機能阻害行動に影響を及ぼすことを仮定したモデルが採用された。次に分析2では,分析1で採用されたモデルについて,労働者を自己愛タイプ(自己主張性タイプ,注目・賞賛欲求タイプ,優越感・有能感タイプ)に分類し,自我脅威がどのような対処方略と結びつくのかを複数の母集団に対して共分散構造分析を用いて検討した。その結果,すべての自己愛タイプにおいて自我脅威は対人恐怖心性へ正の影響を及ぼしており,自己主張性タイプでは,組織機能阻害行動へ正の影響を及ぼしていた。
著者
福井 慶一 森口 航平
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.11-17, 2019-02-10 (Released:2019-02-13)
参考文献数
14

定着プロセスの消費電力の低減と高画質化の両面を実現するためには,トナー材料の改良による低温定着の実現に加えて,定着ユニットの温度制御や圧力制御が重要になる.本稿では,その中でも,定着ユニットの温度制御に注目し,制御システム設計で必要な豊富な機能 (プラントモデリング,制御設計,感度解析など) を備えたMATLAB/Simulinkを使用したモデルベース開発による定着ユニットの温度制御システム設計例を説明する.まず,定着ユニットの基本構造の概要を示す.その後に,定着ユニットのニップ部の温度制御システムを設計するために,定着ユニットの熱伝導を表すプラントモデルの設計,ニップ部の温度制御性能の確保とIHヒーターの入力電力の抑制を実現する最適制御の設計,さらに部品のパラメーターのばらつきを考慮したモンテカルロシミュレーションによるニップ部の定着温度の解析について示す.

2 0 0 0 睡眠物質

著者
藤谷 靖志 裏出 良博 早石 修
出版者
The Japan Geriatrics Society
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.811-816, 1998
被引用文献数
1

我々は規則正しく睡眠と覚醒のサイクルを繰り返しながら, 人生の3分の1にあたる貴重な時間を眠って過ごす. しかしながら, 睡眠に対して科学的な光があてられるようになったのは, 比較的最近のことであり, 睡眠は現代医学の中のブラックボックスであるといっても過言でない. 覚醒から睡眠への移行には, 脳内や全身においてさまざまな生理現象が多層的に関与していると考えられる. したがって睡眠に関与する物質も多種多様であり, それぞれの相互作用により睡眠を制御していると想定される.「睡眠が脳内において産生されるホルモン様の物質 (睡眠物質) により調節される」という「睡眠の液性調節」の概念は, 約1世紀前に提唱され, 現在では広く認められている. 睡眠物質 (Sleep-promoting substances) とは睡眠欲求の高まりと共に脳内や体液中に出現し, 神経活動を調節することにより, 睡眠の誘発や維持に関与する物質の総称である. 睡眠物質は自然な睡眠を誘発する内因性の物質であり, 非生理的な睡眠を起こすベンゾジアゼピン類等の睡眠薬とは異なる. その候補物質としては, プロスタグランジン類, ヌクレオシド類, サイトカイン, 生体アミン類等が挙げられている. 本稿ではこれらの代表的な睡眠物質を紹介し, これまでに明らかとなっている睡眠誘発の作用機構について解説する.

2 0 0 0 OA 職員録

出版者
印刷局
巻号頁・発行日
vol.明治34年(甲), 1912

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1904年08月06日, 1904-08-06
著者
平井 啓
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.7-11, 2014 (Released:2014-04-17)
参考文献数
13
被引用文献数
1

がん患者は、身体症状のみならず、再発・転移に対する心配や漠然とした不安感、さらには人間関係のストレスなどの多様な問題を抱えている。これらのがん患者の抱える多様な問題に対して心理療法・精神療法による対応が行われている。最近では特に、行動医学的方法の一つである認知行動療法が注目されている。そこで筆者らは、平成19年度から厚生労働科学研究費補助金がん臨床研究事業「がん患者に対するリエゾン的介入や認知行動療法的アプローチ等の精神医学的な介入の有効性に関する研究」(明智班)において、認知行動療法の一つに分類される問題解決療法を日本のがん患者向けにアレンジしたプログラム開発を行った。問題解決療法の有効性は、海外では多数報告され、問題解決療法による介入によって、患者の問題解決のための対処能力が向上し、その結果患者が日常の様々な問題に対して効率的に対処できるようになり、精神状態やQOLを自らの力で維持できるようになると言われている。そのため、がんと診断され治療する過程で様々な心理社会的問題が日常的に生じるがん患者にとって、問題解決療法は最も適した心理的介入の一つと考えられる。そこで研究班では、術後乳癌患者36名を対象として、つらさと支障の寒暖計、抑うつと不安の尺度であるHospital Anxiety and Depression Scale(HADS)日本語版を用いたスクリーニングを行い、心理的苦痛が大きいとされた患者に対して、5週間の問題解決療法プログラムによる介入を実施した。プログラムを完遂し、フォローアップ可能であった19名について解析を行った結果、介入前と3ヶ月後のフォローアップ時のHADS得点に統計的有意差がみられ、介入前後で得点の平均値は6.05 (SD=1.94) 点減少していた。また介入の効果量は0.82と高いことが示されたことから、この介入プログラムが、抑うつ、不安などのストレスを低減しQOL向上に寄与したと考えられる。このように問題解決療法は日本のがん医療において有効性を持った介入方法の一つであると考えられ、がん医療における問題解決療法の必要性と普及の方法について検討する必要がある。
著者
Hiroshi TANAKA Yoshikazu NISHIKAWA Kotaro KURE Kinsuke TSUDA Masaya HOSOKAWA
出版者
Center for Academic Publications Japan
雑誌
Journal of Nutritional Science and Vitaminology (ISSN:03014800)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.284-286, 2018 (Released:2018-08-31)
参考文献数
17
被引用文献数
6

The semi-solidified nutrition supplemented with soluble dietary fiber, xanthan gum (XG), inhibited postprandial glycemia in rats. The purpose of the present study is to examine whether XG exerts the same effects in humans. Subjects fasted for 12 h and then ingested the enteral nutrient, Meibalance with or without XG at 9 AM. Blood glucose levels were measured 0, 20, 40, 60, and 120 min after its ingestion. Postprandial blood glucose levels were lower in the XG group than in the control group. At 20 min, postprandial blood glucose levels were significantly lower in the XG group (84±5.3 mg/dL) than in the control group (107±7.8 mg/dL) (p<0.05). A significant difference was also observed in ΔAUC between the two groups. These results demonstrate that XG exerts inhibitory effects on glucose excursion in humans.
著者
石井 晃 太田 奨
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:09172270)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.50-58, 2015

We apply a mathematical theory for hit phenomenon for prediction of the "general election" of AKB48 which is very popular girls group in Japan.