著者
瀬田 範行 桑名 正隆
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

関節リウマチ(RA)の末梢血中では既にCD146^+単球が活性化されていたが、関節修復に関わる可能性のあるCD14^+CXCR4^<high>単球は健常人より少なく、疾患活動性が高いRA患者ほど更に少なかった。一方、RAの腸骨骨髄中と末梢血中には関節破壊に関わる可能性のあるCD14^+CD15^+単球が多数存在したが、CD14^+CD15^+単球は健常人の末梢血中にも存在したため、CD14^+CXCR4^<high>単球とCD14^+CD15^+単球のバランスがRAの病態において重要である可能性が示唆された。
著者
桑名 正隆
出版者
慶應義塾大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

全身性硬化症(強皮症)患者ではトポイソメラーゼI(トポI)やRNAポリメラーゼI/IIIなど生命活動に必須な酵素に対する自己抗体が産生される。これら自己抗体は強皮症の発症を誘導しないことから、その産生は強皮症の病態に関連する付随的な現象と理解されている。これまでの研究成果から、抗トポI抗体産生は正常のT細胞レパトワに存在するトポIを認識する自己反応性CD4^+T細胞の活性化により誘導されることが明らかにされている。これらトポI反応性CD4^+T細胞は生理的な環境では発現されない抗原ペプチド(crypticペプチド)を認識することから、強皮症患者のいずれかの部位でトポIのcrypticペプチドが発現されている可能性が高い。そこで、申請者はトポI由来のcrypticペプチドの発現部位として、強皮症の病態の中心である線維芽細胞を想定した。その点を検証するため、強皮症患者の病変/健常皮膚または健常人皮膚より採取した線維芽細胞におけるトポIの過剰発現や分子修飾の可能性について検討し、以下の結果が得られた。1.強皮症病変部位の線維芽細胞におけるトポIのmRNA発現量は、強皮症患者の健常皮膚や健常人皮膚の線維芽細胞に比べて2-8倍上昇していた。2.免疫ブロット法による検討では、強皮症、健常人線維芽細胞でトポIの蛋白分子量に差はなかった。3.免疫沈降法による解析の結果、強皮症病変部位の線維芽細胞ではトポI分子が複数の蛋白と複合体を形成していることが明らかとなった。これらのトポI結合蛋白のうち少なくとも2つは強皮症患者健常皮膚や健常人皮膚の線維芽細胞ではトポIとともに免疫沈降されなかった。以上の成績より、強皮症病変部位の線維芽細胞ではトポIの発現が亢進し、他の蛋白(転写因子など)と結合することで過剰な細胞間マトリックスの産生や自己抗体産生にかかわっている可能性が示された。
著者
神津 武男
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = The Bulletin of The National Institute of Japanese Literature (ISSN:03873447)
巻号頁・発行日
no.29, pp.189-275, 2003-02-28

本稿は、国文学研究資料館が所蔵する、『古今操便覧』をはじめとした、竹本摂津大橡旧蔵の人形浄瑠璃番付集の、資料紹介である。同資料は、書誌的形態や成立年の異なる、三種から成る。各種それぞれの、成立年や旧蔵者について、報告する。なお同資料群は、『近世邦楽年表』の原資料の、中心をなす部分であった。『近世邦楽年表』原資料発見の意義についても、述べたい。また収録内容を一覧することを目的として、個々の番付のリストを付した。特に、新出の番付については、翻刻を付した。 This is an article to introduce the documents such as “Kokon- ayatsuri –binran”(古今操便覧) owned by National Institution of Japanese literature and Ningyo-joruri lists formerly stored in Takemoto-settsu- no- taijo. This documents consists of three kinds which were written by different form of the biography at various times and reported the year of creation of documents and former owners for each. In addition, the group of documents were the main part of a source document of “Kinsei-hogaku nenpyo”(近世邦楽年表). Also it is necessary to remarks regarding the meanings of its discovery. The list of each program for the purpose of glancing through the contents was attached. A reprinting was added especially for the new one.

2 0 0 0 OA 青森市沿革史

出版者
青森市市史編纂係
巻号頁・発行日
vol.中, 1909
著者
鈴木幹男
雑誌
耳鼻臨床
巻号頁・発行日
vol.87, pp.711-717, 1994
被引用文献数
8
著者
林川 友貴
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.97, pp.5-24, 2015

<p> 本稿の目的は,学級と部活動という二つの所属集団に着目して,中学生の学校適応のメカニズムを明らかにすることである。学校ランクという「学校間」の差異に関する変数の学校適応に対する説明力が高校段階と比べて大きく減退する中学校段階においては,「学校内」の複数の文脈の影響をより精密に捉えうる分析枠組みが求められる。そこで本稿では,「学校内」の下位集団である学級と部活動の影響に照準を合わせ,中学生の学校適応メカニズムを検討した。<BR> 分析に際しては,複数の文脈の影響を同時的に分析できるcross-classified multilevel モデルを用いて,中学二年生を対象とした調査データを分析し,中学生の学校適応に対して学級と部活動という二つの所属集団が与える影響を推定した。<BR> 主な知見は次の三点である。(1)生徒間の交流が分断され,疎外性の高い学級に所属する生徒ほど学校適応は低くなる。(2)所属する部の全体的な積極性や,運動部での先輩-後輩関係の良好さは学校適応と正の関連をもつ。(3)疎外性の高い学級に所属する生徒ほど,部活動での先輩- 後輩関係が学校適応に与える影響は大きい。<BR> これらの結果は,同年齢集団である学級と異年齢集団である部活動の双方の影響を考慮した分析が,中学校段階の学校適応の説明において必要であることを示唆するものである。</p>
著者
林 珠乃
出版者
龍谷大学里山学研究センター
雑誌
2017年度 年次報告書
巻号頁・発行日
pp.100, 2018-03 (Released:2018-05-16)

2 0 0 0 OA 飼籠鳥 20巻

著者
滕成裕 撰
巻号頁・発行日
vol.[5], 1834
出版者
北海道庁
巻号頁・発行日
vol.第2号, 1886
著者
坂手 誠治 柳沢 香絵
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.13-19, 2016 (Released:2016-04-06)
参考文献数
22
被引用文献数
1

【目的】水中運動実施者の運動時の発汗および水分摂取の実態を明らかにするとともに,より安全な水中運動実施のための基礎資料を得ることを目的とした。【方法】調査は,公共の室内プール2か所で実施した。水中運動前後に体重,鼓膜温,口渇感,飲水量の測定を行った。発汗量は{=(運動前体重+飲水量)-運動後体重-尿量},発汗率は{=(発汗量/運動前体重)×100}の式より,それぞれ算出した。尿量は排尿前後の体重差より算出した。実施種目間での各測定項目の比較,実施種目別等にみた運動中の水分摂取状況,各測定項目間の関係について検討した。検討対象は男性34名,女性22名の計56名(60.6±16.6歳)とした。【結果】発汗量は 155.0 g(60.0・365.0),発汗率は0.3%(0.1・0.6)であった。水泳(p<0.01),水泳および水中歩行実施者(p<0.05)の飲水量はアクアビクス実施者に比較し有意に少なかった。水分摂取率(=飲水量/発汗量×100)も同様の結果であった。運動中に全く水分摂取を行わない者は全体の76.8%であり,水泳実施者で多くみられた。運動前の口渇感と飲水量との間に有意な正の相関関係(rs=0.392,p=0.003)がみられた。【まとめ】公共の室内プールでの運動実施者では,運動中に水分摂取を行う者が少なく,特に水泳実施者で多かった。運動前口渇感は運動時の発汗による脱水に影響する可能性が示唆された。健康増進を目的とした水中運動時においても,脱水予防のための適切な水分摂取の必要性が示された。
雑誌
探究ノート:相互行為と質的研究
巻号頁・発行日
no.3, pp.1-8, (Released:2016-10-31)
著者
深谷 達史
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.266-275, 2014
被引用文献数
2

Prior studies have investigated whether the expectation that one will explain learned materials after learning (explanation expectancy) promotes text comprehension. Such researches, however, have had inconsistent results. In Study 1, we examined whether an elaborative explanation orientation, which refers to the belief that it is important to elaborate and organize a passage when explaining, moderated the effect of explanation expectancy. The results showed neither a moderation effect nor an effect of explanation expectancy. This suggests that the effect size of explanation expectancy was not large, so that a single experimental research with limited sample size could not reliably find a positive effect. In Study 2, a meta-analysis was conducted to infer more accurately the influence of explanation expectancy on text comprehension. Based on a sample of 7 reports (<i>n</i> = 289), the results showed that the effect size <i>g</i> for explanation expectancy was 0.51 (95%<i>CI</i> = (0.10, 0.91)). This finding demonstrates that the inconsistent results of previous research could be caused by small sample sizes, and explanation expectancy improves text comprehension.
著者
毛利 平
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1256, pp.113-116, 2004-08-30

6月21日、東北文化学園大学は民事再生法を申請しました。大学法人としては初めてのことで、学生や保護者の皆様、地域の高校の先生方には大変なご心配をおかけしました。改めてお詫び申し上げます。 しかし一方で、ほっとしているのも事実です。5月には教職員の給料が遅配し、6月上旬には(1回目の不渡りで)銀行がシャットアウトして破産寸前まで行きました。
著者
青山 薫
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.224-238, 2014
被引用文献数
2

本稿は, 公序良俗を守り, 「健康な成人向け娯楽」を提供し, 「女性と子ども」をこの産業から保護する法が, 男女を分け, 女性を, 公序良俗の内部にいる「善い女性」と商業的性行為によって無垢さを失った「悪い女性」に分断する性の二重基準にもとづいていることを批判的に検証する. そして, この法によってセックスワーカー (SW) が社会的に排除され, あるいは保護更生の対象とされることを問題視する. さらに本稿は, 法の二重基準に内包された階級とエスニシティにかかわるバイアスが, グローバル化が広げる格差と不安定さによって鮮明になったことを指摘する. そして, このような二重基準が, 近年, 移住SWをつねに人身取引にかかわる犠牲者あるいは犯罪者と位置づけ, とくに逸脱化・無力化する法とその運用にもあらわれていると議論する.<br>以上の目的をもって, 本稿では, SW支援団体と行ったアウトリーチにもとづいて, 人身取引対策と連動した性産業の取り締まり強化が, SW全体の脆弱性を高めていることを明らかにする. そして, 脆弱な立場におかれたSWの被害を真に軽減するためには, 従来の性の二重基準に替えて, 当事者の経験にねざしたエイジェンシーを中心に性産業を理解し, 法とその社会への影響を当事者中心のものに変化させようと提案する. それは, これもまたグローバル化によって広がっているSWの当事者運動に学ぶことでもある.