巻号頁・発行日
1815

書題簽書名:承応江戸図。寛永江戸図を踏襲し「寛永図群」とされる江戸図の写し。刊記年を承応二癸年中友日と記すが、板元名はない。承応元年(1652)から2年の状態を示すとの刊語も写されている。板本の現存は知られておらず、写本のみ伝存。承応2年は寛永図に次ぐ年記である。享和年間に古書肆にあり、その後の所有者から借覧、文化12年写との記載がある。図の右上(西北部)など、原図に破損部が多く、破損としてその形を写す。収図範囲は寛永図とほぼ同じ。冑山文庫旧蔵。
著者
野川 敏史 高山 芳幸 齋藤 正恭 横山 敦郎
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.170-178, 2015

<b>目的</b>:部分欠損症例において,インプラント支持補綴装置(ISFP)と部分床義歯(RPD)が欠損隣接歯の予後に及ぼす影響を比較・検討することを目的として後ろ向きコホート研究を行った. <br><b>方法</b>:北海道大学病院歯科診療センター義歯補綴科にて,2003年から2011年の間に,ISFPまたはRPDを装着し,補綴治療終了後1年以上経過し,年1回以上のリコールに応じている患者を対象とした.全部床義歯装着者や診療録の不備により不適当と判断したものは除外した.調査項目は,性別,年齢,補綴方法,残存歯数とし,欠損隣接歯では,歯種,根管治療の有無,歯冠補綴・修復の有無,同名対合歯の有無を調べた.エンドポイントは抜歯,および何らかのトラブル(破折,脱離,齲蝕,根尖性歯周炎,辺縁性歯周炎)があった時点としてKaplan-Meier法により生存率,トラブル未発生率を算出した.補綴装置間の比較にはlog-rank検定を用い,有意水準は0.05とした.<br><b>結果</b>:対象患者は501名(ISFP:41名,RPD:460名)であった.欠損隣接歯の5年生存率は,ISFPで97.5%,RPDは90.9%であり有意差は認められなかった(<i>P</i>=0.060).トラブル未発生率は,ISFPで89.3%,RPDは70.5%であり有意差が認められた(<i>P</i>=0.008).<br><b>結論</b>:本研究において,補綴装置の選択が欠損隣接歯の予後に影響を及ぼすことが示唆された.
著者
Yufu Kuwashima
出版者
Global Business Research Center
雑誌
Annals of Business Administrative Science (ISSN:13474464)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.23-30, 2018-02-15 (Released:2018-02-15)
参考文献数
10
被引用文献数
2

With cosmetics, one cannot determine at a glance exactly what product a person is using. This paper analyzes the impact of a consumer network on cosmetics, which are goods that are not conspicuous. Comments in word-of-mouth websites for cosmetics is used as a proxy variable for purchasing behavior, and the relationship between a consumer network and purchasing behavior in a social network is analyzed. In cosmetics, which are not conspicuous, this paper has confirmed that consumers exhibit the same purchasing behavior as when they are in a relationship with structural equivalence within a network and not just in relationships with cohesion.
著者
小澤 利男
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-9, 1998-01-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
23
被引用文献数
4 5

高齢者では多臓器に慢性疾患が併発し, 痴呆, 移動障害, 失禁, コミュニケーション障害, 転倒, うつ状態, 廃用性萎縮などを来して要介護となる. こうした生活機能障害に対しては身体的, 精神的, 社会的に総合評価し, これを適切な医療ケアにつなげることが必要である. その手法が総合的機能評価 comrehensive geriatric assessment (CGA) である. それは医学的診断治療に加えて, 日常生活動作ADL, 痴呆とうつ状態のスクリーニング, 必要な介護などの社会的な側面等の, 生活機能を包括的に評価するものである.CGAは記述的な内容をスコアで表現する. 使用する方法は, 妥当性, 信頼性, 感度, 特異度, 変化に対する反応性, 使いやすさなどの条件を満足するものでなければならない. 主たる対象は虚弱高齢者で, 個体もコミュニティも対象となる. チーム医療の取り組みを要し, 評価の結果は個別的に適正なケア計画となって実施に移される.評価法は様々であり, 英米でその発展がみられているが, ここでは英国老年医学会とロンドン医師会とが共同して刊行した標準化スケールを紹介した. CGAの効果は入院で大きく, 外来, 在宅では低い傾向があるといわれてきたが, それは適切なケア計画の作成と実施に問題があるためである. しかし最近では在宅CGAが積極的に施行される傾向があり, 入院頻度の減少, 入院日数の低下, 施設入所の減少, 生活の質QOLの向上などの面でよい成績が上げられている. また, うっ血性心不全など, 個々の疾患に固有の評価をすることによって, 高齢者の慢性疾患の長期在宅ケアの改善が得られている. 我が国ではこうした面の医療ケアが等閑となっている傾向があり, 今後の発展が望まれる.
著者
齊藤 鉄也
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.315-322, 2018-02-15

本論文では,古典籍に用いられている仮名字母の出現傾向を利用し,その資料の書写者の推定や年代の推定を行った調査結果を報告する.具体的には,書写者や年代ごとに資料を分類することを目的に,同音の仮名字母の出現頻度率を特徴量とし,藤原定家とその近親者や側近の人物が書写した資料の調査を行った.その結果,定家筆の一部の資料が,他筆の資料と分類できる可能性があること,定家筆の資料の中では,年代が近い資料が分類できること,が明らかになった.本提案手法により,古典籍の資料の書写者の推定や年代の推定を行い,古典籍の研究の基礎となるデータの蓄積とそれを活用した研究の進展が期待できる.
著者
小谷 亮太 綱川 隆司 西田 昌史 西村 雅史
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.306-314, 2018-02-15

本稿では,日本語文書中の語句に,Wikipedia記事へのリンクを付与するwikificationタスクにおいて,リンク付与に値する重要な語句等を選択するアンカー抽出器について検討を行う.本研究ではWikipediaにおけるリンクのガイドラインに準じたアンカー抽出基準をベースに,文書に適度にリンクを付与してWikipedia記事と結び付けることにより,文書の理解の可能性を高めることをねらいとする.日本語におけるアンカー抽出に有効と考えられる素性として,アンカーの前接語・後接語との関係をとらえた素性,および共起するアンカーの条件付きkeyphraseness素性の利用を提案する.また,一般的な日本語文書に対するアンカー抽出器の性能評価を行うため,日本語Wikificationコーパスに対して本研究で定めたアンカー抽出基準に従ってアンカー抽出作業を行い,評価用コーパスを構築した.評価実験により,提案した素性を既存手法に加えることで性能が改善することが示された.また,評価用コーパスを用いた実験では,正解率においてアンカー抽出作業者の2者間一致率の平均と同程度の性能が得られていることを確認した.
著者
耒代 誠仁 高田 祐一 井上 幸 方 国花 馬場 基 渡辺 晃宏 井上 聡
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.351-359, 2018-02-15

古文書の研究者にとって,古文書デジタルアーカイブの活用を促すことは重要な課題である.本論文では,字形画像をキーとした横断検索技術による古文書Webデジタルアーカイブ活用への効果について述べる.字種は文書に対する現実的な検索キーの1つである.しかし,古文書において字形との対応は必ずしも確定しない.この課題を解決するために,私たちは字形画像をキーとした古文書Webデジタルアーカイブの横断検索を実装した.5カ月間の実験で入力されたキー数は合計で200,000件を超えた.これは字種による横断検索の件数と比較しても十分に大きい.また,私たちは古文書解読の専門家による評価実験を実施した.専門家は,使いなれた画像処理ソフトウェアを搭載したPCもしくは筆者らが作成した画像処理ソフトウェアを搭載したiPod Touch,またはその両方を使用した.「検索結果にキーと類似した画像が含まれるか」という旨の質問に対しては,すべての専門家が肯定的な回答を示した.検索精度と使い勝手の向上,および字形テンプレートの整備を通した活用のさらなる促進は今後の課題である.
著者
後藤 明
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.41-59, 2012

本稿は、Mモースに由来するフランス技術人類学の伝統と、英米の人類学・考古学の遭遇という視点から、過去20年の人類学的技術論の展開を分析する。1993年は、フランスの人類学者A.ルロワ=グーランの大著[1964]が英訳された技術人類学の転機である。この年の前後に、フランスの技術人類学関係の論集や、それに呼応した英米圏の考古学などにおいて、新たな動きが進行していた。ルロア=グーランは、人類の骨格、技術、知能、そして言語の共進化を分析する概念としてジェーン・オペラトワール(chaine operatoire)を唱え石器の分析に適用した、フランス人類学のその後の世代によって石器の製作だけではなく、土器、水車、製塩、醸造法など多様な技術的行為の分析に適用されてきた。ジェーン・オペラトワールとは、原材料をその自然uの状態から加工された状態へ変換する一連の動作である。そして、その行為において潜在的な選択可能性のひとつを、行為者が身体を通して物質に働きかけることによって顕在化する過程を意味する。この視点においては、身体技法、技法と技術の違い、さらに素材の選択や生産物に対する認知や社会表象の総体が分析対象となる。またその結果として、技術的選択の社会性あるいは社会に埋め込まれた技術的行為という視点が提唱される。米英の民族誌あるいは考古学の潮流にも、類似の指向性は散見されたが、過去十数年はハビトゥスやエージェンシーのような概念と考古学資料をつなぐミドルレンジ・セオリー(中範囲理論)としてジェーン・オペラトワール論が適用され成果をあげている。またジェーン・オペラトワール論では、認知の問題も重要であり、認知におけるモノの重要性を唱える物質的関与論との接近も予想されている。さらに、近年ルロワ=グーランの再評価の論集が認知科学や哲学の世界でも出版されており、ジェーン・オペラトワール論は、今後も人文学全体においても重要な参照項であり続けるだろう。

2 0 0 0 OA 実地写真術

著者
バルトン 著
出版者
敬業社
巻号頁・発行日
1891

2 0 0 0 OA 肝機能障害

著者
池田 敏彦
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.127, no.6, pp.454-459, 2006 (Released:2006-08-01)
参考文献数
47
被引用文献数
1 1 1

薬物性肝障害には,用量依存的で動物実験でも再現される非特異体質性肝障害と,動物実験では再現できない特異体質性肝障害が知られている.両者とも化学的に反応性の高い代謝物の生成が最初の引き金であると考えられている(一次反応).これに続いて,大部分は未解明のままであるものの,免疫システムの活性化が原因であると考えられ,非特異体質性肝障害では自然免疫システムが,特異体質性肝障害ではこれに加えてアレルギー反応や自己・非自己認識に関わる免疫システムが関与すると推察される(二次反応).アセトアミノフェンに代表される非特異体質性肝障害においては,反応性代謝物による細胞傷害と細胞ストレスが進行すると,クッパー細胞が細胞傷害性リンパ球を肝臓に動員し,これらの細胞からインターフェロンγが分泌されることによって種々サイトカインの産生が刺激されることが,肝障害発現に重要な鍵となると考えられている.一方,特異体質性肝障害については,二次反応が重きをなすと推察されており,臨床像からはハロセンに代表されるアレルギー性特異体質性肝障害とトログリタゾンに代表される代謝性特異体質性肝障害に分類される.前者は薬疹,発熱および好酸球増多などのアレルギー症状を伴い,薬物曝露から比較的短期間(1カ月以内)に発症するのに対し,後者ではこのような症状が無く,発症までに長期間を要する点で異なっている.ハロセンの場合,反応性代謝物でハプテン化されたタンパク質に対する数多くの抗体が生じており,その種類によってはアレルギー性反応の原因となっているものと考えられる.代謝性特異体質性肝障害では恐らくこのような抗体が少量であるか,あるいは産生していないと推察される.しかし,2種類の特異体質性肝障害とも,反応性代謝物で化学修飾されたタンパク質が,免疫系により非自己と認識されることが肝障害の原因ではないかと推察される.