著者
別府 玲子 村橋 けい子
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.142-146, 1999

心因性難聴に健忘を伴った2症例を経験した。 健忘は精神医学的には意識の障害を呈する解離性障害の一症状である。 症例1は年齢16歳, 症例2は15歳と, 思春期の女性であり, 難聴, 健忘以外にも多彩な症状を示した。 症例1は精神科において全生活史健忘との合併と診断された。 症例2は, 幼少時より両側高度感音難聴のため経過観察をしており, 既存の難聴が高度で, 他覚的聴力検査で閾値が確認できないので, 精神医学的状況から心因性難聴と推定した。 心因性難聴の場合は, 十分な心理的ケアが必要であり, 特に他の重篤な精神症状を合併している場合は精神科のカウンセリングを要すると考えられた。
著者
金 泰憲 李 允碩
出版者
龍谷大学国際文化学会
雑誌
国際文化研究 (ISSN:13431404)
巻号頁・発行日
no.11, pp.119-128, 2007

韓国人の家族に対する価値観は伝統的に儒教思想に基づいている。儒教思想は、人間は子孫を通して永生を得ることができ、子孫は親を通して命を得ることができると考える。従って、子孫は家系を継承し、父母の老後面倒を見てあげなければならず、祖先を祭る責任を果たさなければならない。このような思想からは拡大家族制が理想とされ、長男を中心に家系と家産が相続される直系家族形態が普遍化してきた。韓国の伝統家族観は、日本の植民地と韓国戦争を経験しながらも相変わらず韓国の中枢的価値観としての位置を占めてきた。しかし、最近社会変化とともに韓国の伝統的な家族観は大きく、早く変わっている。多くの韓国人は老後子どもに頼るより独立して生きていくことを望んでいる。夫婦が葛藤を解決できなければ離婚も可能であり、自分のためなら子どもを生まないか、一人で満足するという考え方が広がっている。一人の子どもが男ではなく娘であってもかまわないし、必ず結婚する必要もないと考えるようになってきている。このような価値観の変化は、1960年代から進められた経済発展とともに起こっているが、最近そのスピードが大変早くなりつつある。
著者
細川 聖二
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.156-164, 2016

電子ジャーナルの安定的利用と長期的保存に対応するため,世界中の図書館や出版社がさまざまなアーカイブ・プロジェクトに取り組んでいる。本稿では,グローバルなダーク・アーカイブの代表的な事例として,学術コミュニティー(大学図書館,出版社)による共同運営事業であるCLOCKSSについて,どのような仕組みでアーカイブを実現しているのか,その概要を説明するとともに,日本において国立情報学研究所や大学図書館がCLOCKSSに参加し,電子ジャーナル等の長期的保存の一翼を担うに至った経緯について紹介する。
著者
何 雯凌 三原 鉄也 永森 光晴 杉本 重雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.9, pp.1-8, 2014-01-18

書誌レコードの機能要件 (FRBR) の第 1 グループで定義される実体の概念を利用することで、マンガの探索がより容易になると考えられる。その一方で、マンガにおいては、FRBR の第 1 グループの概念が作品全体や、編などで表される作品を構成するストーリー、あるいはストーリーを構成するより小さな単位 (各話のエピソードや複数のページやコマで表現されるシーン) など様々に考えられる。本研究は、マンガの作品全体を単位とするとらえ方に加えて、ストーリー単位をとらえることで、探索を効率化することを目指し、書誌データからのストーリー単位の識別を目指す。しかし、マンガの書誌データの中にストーリー単位に関する情報は少ないため、機械的に抽出することは難しい。本研究では、Wikipedia の本文データを利用し、マンガ書誌データからストーリー単位を抽出する手法を提案した。京都国際マンガミュージアムに所蔵しているマンガの書誌データを用いた実験を行い、本手法の有効性を示した。この実験の結果から、本手法は利用した Wikipedia の情報の質に大きく影響されるとことが分かった。Manga - a Japanese term meaning graphic novels and comics - has been globally accepted. In Japan, there are a huge number of monographs and/or magazines for manga. Functional Requirements of Bibliographic Records (FRBR) provides useful concepts for readers to identify entities of manga, e.g., works of manga, expressions of manga, and so on. However, it is not clear which unit of manga those FRBR entities represent. They can be a whole manga or a story as a part of a manga, or even some smaller units of a manga (i.e. a single scene or an episode). This paper examines how to identify a manga work using a set of bibliographic records maintained by the Kyoto International Manga Museum. This study is aimed to identify a Work instance of manga, which may be a work as a series of stories or as a single story, in order to help readers find a comic book as an instance of a work. It is known that authority data is useful to identify works from bibliographic records. However, there is not enough information to identify a manga story in the bibliographic data. In this study, we used Wikipedia as a dictionary of manga to identify a manga story in the bibliographic records. The result of our experiment shows that using Wikipedia data is possible, but it also shows that the accuracy and efficiency depend on the quality of the Wikipedia data.
著者
田中 宏季 柏岡 秀紀 キャンベル ニック
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.225, pp.49-54, 2011-09-29

我々は相手のパラ言語や笑いなど声によって変わる情報から,Engagementという次元で対話相手の興味レベルをセンシングし,自閉症児に視覚情報を含み伝達するシステムの開発を最終目標とする.コンピュータを用いたEngagement Sensingの初期段階として,人間の気持ちや意図が表出されやすいと考えられる笑い声に注目する.本稿では,笑いが4種類に分類されることを示し,その「笑い分類」を自閉症児がどの程度識別できるのか,また実際に自閉症児を指導している先生の笑いアノテーション結果を分析し,その音響特徴量について議論する.最後にSVMによるcloseでの自動識別を行い,58%の正解率を得た.
著者
荒 まゆみ
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
no.27, pp.71-88, 2016-03

尚美学園大学で行われている留学生を対象とした入学時の日本語プレイスメントテストの結果をもとに2つの仮説を実証する。次に、1年終了後の達成度判定テストとの比較、さらに日本語能力試験N1の得点との関係を検証する。
著者
平林 美理
出版者
早稲田大学史学会
雑誌
史觀 (ISSN:03869350)
巻号頁・発行日
no.172, pp.44-64, 2015-03-25
著者
西岡 淑雄
出版者
Historical Society of English Studies in Japan
雑誌
英学史研究 (ISSN:03869490)
巻号頁・発行日
no.23, pp.133-146, 1990
被引用文献数
1

Junjiro Hosokawa (1834-1923) was a scholar of Chinese classics and a jurist born in the province of Tosa.<BR>In 1890 he was appointed member of the House of Peers, and in 1893 member of Privy Council. He was raised on the baronage in 1900.<BR>In his youth he studied Dutch and English, and also artillery and navigation at Nagasaki and Yedo. He became the chief of <I>Yaku Kyoku</I> (Translation Bureau) of <I>Kaiseikan</I> established by the Tosa clan.<BR>In 1871 he was sent to San Francisco where an Exhibition was to be held. After the exhibition he made a tour over the continent as far as the cities on the eastern coast. He kept a diary of the tour in Chinese classics and published a book titled <I>Shinkohu Kiho</I> (Journal of the first visit to a foreign country). His book tells how successfully he carried out his mission and how closely he watched things American.<BR>The latter half of this essay is on John Reddie Black and the <I>Nisshin Shinjishi</I>. When the government wanted Black to quit his business and employed him as a foreign consultant, Junjiro Hosokawa visited Black and pursuaded him. Several historians affirms so. But judging from Black's letter to the British consulate, I guess it was not Junjiro Hosokawa that visited Black but another man named Hiroyo Hosokawa.
著者
大場 博幸 安形 輝 池内 淳 大谷 康晴
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.83-100, 2016

<p>公立図書館における中立・公平な所蔵について検討した。2014 年から2015 年にかけて日本国内で論議された「集団的自衛権」を主題とする91 点の書籍の所蔵について調べた。書籍を賛否に従ってグループ分けしたところ,需要においては賛成本が勝っていたが,否定本のほうが4倍弱多く所蔵されていた。一点当たりの所蔵数においては否定本が1.2 倍程度有利に所蔵されていた。所蔵に影響する他の要因も含めて重回帰分析をしたところ,出版社の信用(特に岩波書店刊行書籍),需要,書籍の質などの要因とともに,否定本であることも有意な要因であった。続いて,賛否の所蔵数の比を基準に図書館設置自治体をグループ化し,所蔵規模別に検討した。結果,所蔵規模が大きくなるほど中立的となり,小さくなれば賛否どちらかに偏ること,特に否定本に偏るケースが多いことが明らかになった。否定本のみ所蔵する自治体は全体の1/4 強存在した。</p>