著者
中島 健一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.445, 2014 (Released:2016-06-21)
参考文献数
4

ホップHumulus luplusはビール原料の1つとして,その雌株の毬花が風味付けや保存性向上のために利用されている.ビール特有の苦味は,主にフムロンや醸造中に変換されるイソフムロン等の苦味成分によるものである.本成分の存在は古くから知られていたが,昨年,遂に絶対構造の決定が成された.同様にホップの主成分であるキサントフモール(xanthohumol:XH,図1)に関する研究も興味深い.XH は,カルコン誘導体であり,がん予防効果について盛んに研究が行われてきた.Legetteらは,高脂肪食を与えた雄の肥満モデルラットにおいて,6週間XHを投与したところ,体重増加と空腹時血糖値上昇を有意に抑制することを報告したが,最近,その作用に関するさらなる研究が報告された.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Urban J. et al., Angew. Chem. Int. ed., 52, 1553-1555 (2013).2) Legette L. L. et al., Phytochemistry, 91, 236-241 (2013).3) Kirkwood S. J. et al., J. Biol. Chem., 288, 19000-19013 (2013).4) Krajka-Kuzniak V. et al., Toxicol. In Vitro, 27, 149-156 (2013).
著者
中島 健介
出版者
九州大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

積雲による励起の季節変化・日変化についての検討励起源と見られる積雲対流の指標(降水量・雲量)について衛星観測から客観解析されたデータを入手して、検討してみた。残念ながら、日変化については信頼できる直接の観測は得られていないことがわかった。しかし、積雲の活動が活発な地域の季節的変動と、典型的な積雲日変化の特性を組み合わせると、日変化の季節変動が推定できる。これと、常時励起振幅の日変化の季節変動の特性とは、かなり一致していることがわかった。このことは、本研究の核心すなわち積雲が常時励起の主体であることを、強く支持するものである。木星における枇曇対流と自由振動の関係についての考察ガリレオなどによる探査の結果、木星大気でも積雲対流が生じていることが分かっている。この積雲対流が木星全体の自由振動を常時励起することが考えられるので、予備的な考察を行った。地球の場合には、積雲が存在する大気と自由振動する固体部分との間には明確な境界があり、力学的性質も非常に異なるので、両者を区別して取り扱うことが適当であった。しかし、木星の場合には「大気」と「内部」は連続しており、地球の手法をそのまま用いることが出来ない。それでも、過去に行われた木星自由振動の理論をレビューした結果では、常時自由振動は積雲によって比較的高い効率で励起されるように思える。ただし、木星の場合には、観測によって常時励起を検出できるかどうかが大きな問題である。しかし、もし観測出来れぱ惑星内部構造を制約する有力な情報を提供できるので、今後とも検討していく予定である。
著者
角田 由美子 吉村 圭司 中島 健 岡村 浩
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.213, 2003

<b>目的</b> 市場には様々なデザインの婦人靴が出回っており、ヒールの形状も多種多様である。これらの中にはファッション性を重視するあまりにヒールの強度を考慮せずに設計されているものも認められる。ヒールの破損による事故は数多く報告されているものの、ヒールの強度と形状との関係について検討したものは見当たらない。したがって、現在流行しているスティレットヒールの強度についてヒールの高さ、太さ、補強芯の有無等から検討を行った。<b>方法</b> 実験には高さ約8cmで形状の異なる3種類のヒールを試料とした。ヒールの高さの影響を検討するために各ヒールの高さを1cmおよび2cm短くして試験を行った。ヒールの補強芯は鋼製パイプを用い、焼入れをしたパイプと焼入れをしていないものを用いた。また補強芯の入っていないヒールも試料とした。ヒールの素材はABS樹脂を用い、射出成型の条件は一定とした。これらのヒールについて、歩行で受ける強い衝撃に対する耐久性や柔軟性を評価する、婦人靴ヒールの衝撃試験を行った。また小さな衝撃を繰り返し加え、疲労破壊を評価する婦人靴ヒールの疲労試験を行なった。<b>結果</b> 1)ヒールの高さが低いほど衝撃を受ける位置がヒールのシート部近くになるため強度は強く、たわみや変形も少なかった。2)補強芯が入っているヒールは入っていないものよりも強度は強く、補強材としての効果が認められた。3)焼入れをした補強芯は焼入れをしていないものよりも強度は強く、たわみや変形も少なかった。4)ヒールが太いほど強度は強く、ヒール中央部のカーブが小さいものほど強い傾向が認められた。以上の結果から同一素材におけるヒールの強度はヒールの高さ、太さ、ヒール中央部の形状、補強芯の有無および焼入れの有無等が影響していることが認められた。
著者
清水 陽香 中島 健一郎
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.21-30, 2018-07-01 (Released:2018-07-04)
参考文献数
38

防衛的悲観主義者(DP者)は,方略的楽観主義者(SO者)に比べて自尊心が低く不安が高い一方で,パフォーマンス前の準備を入念に行い,その結果SO者と同程度に高いパフォーマンスを示すとされている。一般に高い不安や低い自尊心は準備およびパフォーマンスを阻害するにもかかわらず,DP者が課題の事前準備に取り組むことができる理由はいまだ明らかになっていない。本研究では,その理由としてDP者には潜在的自尊心の高さがあると考え,DP者の顕在的自尊心と潜在的自尊心に着目した検討を行った。研究1では,質問紙調査によって認知的方略による顕在的自尊心の差異を検討した。また研究2では,Name Letter Taskを用いて潜在的自尊心の差異を検討した。研究1, 2の結果,DP者はSO者に比べて顕在的自尊心は低いものの,潜在的自尊心はSO者と同程度に高いことが示された。
著者
安 瓊伊 中島 健一
出版者
日本社会事業大学
雑誌
日本社会事業大学研究紀要 = Study report of Japan College of Social Work (ISSN:0916765X)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.139-155, 2014-03-01

本研究は2001年度から2010年度まで発行された介護関連学会誌の文献を対象に、介護と関連した研究傾向を分析し、その特徴と介護における現状と研究課題を検討する。459件の文献のタイトルと著者キーワードをテキストデータとして入力し、テキストマイニングの技法で分析を行った。形態素解析による分かち書き処理をして分解し、その構成要素を用いて対応分析とクラスター分析を行った。介護と関連して、認知症高齢者とその家族介護者に関連する研究、介護福祉士の養成教育のカリキュラムや実習、利用者と介護者の意識や従事者の職務満足度とストレスに関する研究など社会や制度政策の変化に伴ってそれと関連する研究が最も行われている傾向が示された。社会や制度・政策の変化と関連する研究と介護現場で求められている研究が最も行われたことが示された。今後、研究内容を吟味し、本研究から得られた知見を補強する必要がある。This study analyzes a tendency to study in conjunction with the care work for documents of care work-related academic journals published from 2001 to 2010 and examines the characteristic and present conditions and theme in the care work. We input titles of 459 documents as text data and performed analysis text mining. We processed leaving a space between words by the morphological analysis and disintegrated it and performed a correspondence analysis and cluster analysis using the component. It showed the tendency that studies were performed most in conjunction with dementia elderly people and family caregivers, curriculum and training of the education of the care worker, the consciousness of users and care givers, the duties satisfaction and the stress of care workers. It was performed most that the studies in conjunction with the change of society, a system and the policy, and the study for the care practice. We examine study contents closely, and it will be necessary to reinforce the knowledge obtained from this study in future.
著者
大平 哲也 池田 裕二 中島 健
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.60, no.574, pp.2223-2228, 1994-06-25
被引用文献数
1

Cyclic variations of CO and CO_2 emission were investigated in relation to in-cylinder pressure in a small two-stroke engine. High-speed exhaust gas sampling of 200 Hz was carried out at the exhaust port. The results obtained show that the time resolution of gas sampling was insufficient to account for the cycle-resolved fluctuations observed, but was sufficient to show cyclic variation of emissions. The concentrations of CO and CO_2 were measured with regard to the in-cylinder pressure and IMEP. The misfiring effect was examined from the time variations of CO and CO_2 concentrations. The cyclic variation of the ratio of CO to CO_2 and IMEP showed the same periodic pattern under light load condition.
著者
清水 陽香 中島 健一郎 森永 康子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.202-214, 2016-03-10 (Released:2016-03-21)
参考文献数
28
被引用文献数
3

先行研究では防衛的悲観主義(Defensive Pessimism: 以下DP)が,課題関連場面で高いパフォーマンスを示すために有効な認知的方略であることが示されている。しかし,DPが同様に対人関連場面において有効な方略となるかどうかは定かではない。そこで本研究では,DPが初対面の他者との相互作用場面における行動意図をどのように規定するか明らかにすることを目的に,女子短期大学生(N=202)を対象とする場面想定法を用いた質問紙実験を実施した。DP傾向が複数の他者との会話場面における状態不安や行動意図に及ぼす影響について検討した結果,DP傾向は状態不安と正の関連を持つと同時に,相手の反応に合わせるような行動意図や相手の意見を尊重するような行動意図と正の関連を持つことが示された。
著者
中島 健介 末松 憲治 谷口 英司 竹田 英次 辛坊 俊行 佐々木 善伸 高木 直
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.557, pp.1-5, 2000-01-20
参考文献数
8
被引用文献数
2

近年, 移動体通信の普及により, 携帯電話等で使用されるL帯マイクロ波デバイスの小形化, 低コスト化が進んでいる.ここでは, これらデバイスを利用した低コストな移相器モジュール構成を提案する.この移相器モジュールは, GaAs SW-BANKとチップインダクタ / チップコンデンサで構成されたハイパスフィルタ / ローパスフィルタ切換え形の移相回路を低コストなガラエポ基板上に構成したものである.本構成によるL帯5ビット移相器モジュールを試作した結果, 従来のGaAs-MMIC移相器と比べ, GaAs半導体基板の総面積を約1 / 6に低減でき, また, サイズ, 性能ともに同程度の良好な結果が得られた.
著者
中島 健一朗
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.105-110, 2023 (Released:2023-04-21)
参考文献数
21
被引用文献数
1

ヒトを含め動物が生きていくうえで, 食欲は最も重要な本能の1つである。脳は食欲調節の中心的な役割を担い, その破綻は過食や食欲不振を引き起こす。これは最終的に肥満やサルコペニアにつながるため, 食欲をコントロールしつつ適切な食物 (栄養素) を摂ることが, 健康維持および未病状態の改善に非常に重要となる。食欲の特徴は全身のエネルギーを一定に保つ摂食 (恒常性の摂食) と食の美味しさを追求する摂食 (嗜好性の摂食) に分類できる点である。また, これらの性質は食物の機能という点から見ると, 脳が栄養, 感覚, 機能性成分を感知し, 評価・選択して摂取する仕組みと言える。近年, 脳内の摂食調節の複雑なネットワークが次々に明らかになってきたが, 本項では代表的な仕組みと今後の課題を紹介する。
著者
大髙 理生 中島 健 吉田 晶子 鳥嶋 雅子 川崎 秀徳 山田 崇弘 和田 敬仁 小杉 眞司
出版者
一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会
雑誌
遺伝性腫瘍 (ISSN:24356808)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.84-93, 2023-12-15 (Released:2023-12-15)
参考文献数
22

遺伝性腫瘍診療では,診断後発端者に血縁者への情報共有を推奨するが,困難な場合がある.欧米では受診勧奨の研究があるが,本邦の実態は不明である.2020年より遺伝性乳癌卵巣癌(hereditary breast and ovarian cancer;HBOC)は遺伝学的検査が保険収載され,血縁者への対応も求められる.本研究はHBOC患者血縁者への情報共有と受診勧奨の施設での課題抽出を目的とし,乳房悪性腫瘍の治療実績国内上位100施設を対象に質問紙調査を行った.初回調査で回答を得た44施設(44%)のうち5例以上のHBOC診断数の31施設を対象とし29施設(94%)から二次調査回答を得た.26施設(90%)で血縁者のリスク説明は実施だが,発端者家系に特化した資料配布は17施設(59%)で未実施であった.課題は,「未発症血縁者のサーベイランスが保険適用外」「血縁者と疎遠な関係性」であった.受診勧奨支援は施設間差を認め,その解決には多角的な検討が必要と考えられた.
著者
内野 博司 本多 勇介 中島 健太 佐々木 功二 小林 明 田中 江里 久米 信夫 酒井 崇 嶋崎 豊 石川 巌 岡野 信雄 京極 英雄 船越 昭治 北田 嘉一 淵之上 康元 田中 萬吉
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.107, pp.107_19-107_30, 2009-06-30 (Released:2011-12-09)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

茶新品種‘ゆめわかば’が埼玉県農林総合研究センター茶業特産研究所で育成された。‘ゆめわかば’は1968年に‘やぶきた’ב埼玉9号’の交配により得られた個体群より選抜され,1994年から2003年に県単試験を含む栄養系適応性試験,裂傷型凍害抵抗性及びもち病抵抗性検定試験を実施し,更に2004年,2005年には香気の更なる発揚を目的に試験を行った。この結果,優秀と認められ,2006年10月17日に茶農林53号‘ゆめわかば’として命名登録,2008年10月16日に品種登録された。‘ゆめわかば’は摘採期が‘やぶきた’より1日から2日遅い中生品種である。生育,収量とも‘やぶきた’並である。耐寒性は赤枯れ抵抗性が「強」,青枯れ抵抗性が「やや強」,裂傷型凍害抵抗性が「強」でいずれも‘やぶきた’より強い。また,病虫害抵抗性は,炭疽病に「やや強」である。製茶品質は外観が優れ,内質も‘やぶきた’並に優れる。また,摘採葉を重量減15%から20%に軽く萎凋させることによって,香気及び滋味が向上する。耐寒性が強いために,関東やそれに類似した冷涼な茶産地に適する。
著者
中島 健二
出版者
金沢大学経済学会
雑誌
金沢大学経済論集 (ISSN:02890615)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.83-118, 2000-03-25

金沢大学経済学部・助教授