著者
小西 戎毅 若澤 秀幸 青山 仁子 中村 元弘 山下 春吉
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.456-461, 1986-10-05
被引用文献数
8

堆肥腐熟度の検定のための新しい方法として,花粉管生長テストが使用しうるかどうかを,種子発芽試験,幼植物試験との比較から検討した。家畜ふん木質混合堆肥,バーク堆肥,スラッジ堆肥などの10種類を用い,またそれぞれ堆積期間,ロットの異なる合計113点の堆肥を供試した。堆肥に2倍量の水を加え,1昼夜常温で浸し,抽出し,その液を被検液とした。花粉はチャの花粉を用い,蔗糖8%,ホウ素17ppmを含むpH5.5の基準寒天培地で培養した。花粉管生長テストには2つの方法を用い,また幼植物試験ではコマツナを用い,同様2つの方法を用いた。ウェル法:ペトリ皿の基準観点培地の周囲に等間隔で直径5mmの6つの搾せつ穴(ウェル)をあけ,それに接して中心に向かって直線状(18mm)に花粉を置床した。ついで,被検液をその穴に注入し,20時間培養した。そして,未発芽,不完全生長帯の長さを測定し,完・不完全阻害とした。 培地法:基準寒天培地の作製時に被検液を直接加え,ウェル法同様花粉を6条置床し,培養した。そして,花粉管長を測定した。発芽試験:被検液を10mlペトリ皿のろ紙上に添加し,種子を播種し,4〜5日後その種子根長を測定した。幼植物実験:堆肥を土壌重量の1/2量施用し,全層混合した。そして,種子を播種し,1カ月後採取,乾物重を測定した。これらの4つの方法での測定値間での相関,分布状況,意味を検討した。その結果,花粉管生長テストの2方法は堆肥の腐熟度に対し感度よく応答し,その測定値は2つの幼植物試験による値よりも大変精度がよかった。作物の安全性を中心に,感度と精度から,次の順序で優れると結論した。培地法>ウェル法>発芽試験>幼植物試験 この花粉管生長テストは素材や性質の異なるほとんどの堆肥に適用でき,堆肥に含まれる肥料成分の効果を除外でき,また種子の貯蔵養分による影響の少ない方法である。さらに,堆肥の施用量との関連で検定でき,20時間で検定できる簡易,迅速な方法であり,また花粉の冷凍保存で年中いつでもできる長所を有する。
著者
高橋 和雄 中村 百合 清水 幸徳
出版者
土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.604, pp.99-111, 1998-10-20
被引用文献数
1 2

本研究では, 阪神・淡路大震災から2年が経過した被災地神戸市において, 応急仮設住宅の入居者を対象に実施したヒアリング調査とアンケート調査の結果をもとに, 応急仮設住宅を長期間使用する場合の問題について明らかにする. また, 震災直後に実施されたアンケート調査の結果と比較し, 長期化による問題の変化を把握する. さらに, 別に実施した雲仙普賢岳の火山災害における応急仮設住宅入居経験者に対するアンケート調査の結果と比較して, 大都市と地方都市とで応急仮設住宅での生活で生じる問題の相違について検討し, 長期化を想定した応急仮設住宅の住環境管理, 周辺環境について考察する.About 35, 000 temporary dwellings were supplied in Kobe City after Great Hanshin-Awaji Earthquake and improvement of living environment of temporary dwellings was made by Kobe City. However, refuse life was too long and many problems of temporary dwellings were indicated. In this paper, living environment of temporary dwellings are investigated by questionnaire and hearing. Living environment, disaster mental health and housing reconstruction plan are discussed and compared with the results obtained by volcanic disaster of Mt. Fugen in Unzen.
著者
中村 明
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
一般社団法人国際P2M学会誌
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.63-78, 2012-02-25

2004年12月26日に発生したスマトラ沖地震は、インドネシア、スリランカ、タイなどの近隣国を始め、アフリカ沿岸国まで被害をもたらした。この地震の特徴は、未曾有の被害規模であることに加え、多数国に被害が及んだこと、多様な被害をもたらしたことなどにある。本地震に対し、日本は被災国に緊急復興支援を実施した。本論では、これらの支援のうち、最大の被害となったインドネシア国バンダアチェ市の復興とその他開発途上国での災害被害の特徴を取り上げ、その支援プロセス適正化のためのPM体系の役割について考察する。また、海外でのこれら復興支援の経験・教訓は、本年3月11日に発生した東日本大震災の復興プロセスにも多くの示唆を与えるものであり、その点についても併せて論じる。
著者
皆川 潤 大槻 憲四郎 青野 正夫 大友 淳一 中村 教博
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.154-166, 1995-06-10
被引用文献数
5 2

兵庫県南部地震(M7.2)<1)>は、1995年1月17日午前5時46分に、淡路島北方の明石海峡の地下深部14.3km付近を震源<1)>として発生し、淡路島北部から対岸の神戸市〜西宮市にかけて大きな被害を与えた。その被害域は直線的に延びた帯状の範囲に集中し、直下型の活断層の影響を強く受け、淡路島北部では地震断層が出現した。この地震断層は、活断層とされている野島断層(水野他<2)>、活断層研究会<3)>)にほぼ一致して出現したもので、生々しい断層の実体像を我々の眼前に現してくれた(この地震断層を以後野島地震断層と呼ぶことにする)。地震断層を含む活断層は第四紀に入ってからの新しい断層運動によって生じ、その地質的な現象が地形に反映されることが多いことから、調査に当っては地質的・地形的な両面から断層を調べていくことが必要である。今回現れた地震断層は、地質・地形の両面で現れた断層であり、この断層から"自然の厳しさ"とともに活断層の実体像の多くを学びとる必要がある。ここでは、地震発生後に実施した地震断層の性状と被害に関する現地調査結果を報告する。今後の活断層調査の一助となれば幸いである。
著者
中村 明
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.105-118, 2011-09-03

2004年12月26日に発生したスマトラ沖地震は、インドネシア、スリランカ、タイなどの近隣国を始め、アフリカ沿岸国まで被害をもたらし鳥この地震の特徴は、未曾有の被害規模であることに加え、多数国に被害が及んだこと、多様な被害をもたらしたことなどにある。本地震に対し、日本は被災国に緊急復興支援を実施した。本論では、これらの支援のうち、最大の被害となったインドネシア国バンダアチェ市の復興とその他開発途上国での災害被害の特徴を取り上げ、その支援プロセス適正化のためのPM体系の役割について考察する。また、海外でのこれら復興支援の経験・教訓は、本年3月11日に発生した東日本大震災の復興プロセスにも多くの示唆を与えるものであり、その点についても併せて論じる。
著者
中村謙介
雑誌
漢方の臨床
巻号頁・発行日
vol.37, pp.164-167, 1990
被引用文献数
2
著者
門野 潤 浜田 信男 海江田 衛 石崎 直樹 中村 登 福枝 幹雄 大井 恭代 生駒 明 坂田 隆造
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.605-609, 2001-06-01
被引用文献数
6

症例は69歳の女性. 主訴は右季肋部痛, 発熱. US, CT, MRIで胆嚢底部を中心とした嚢胞状病変を伴った壁肥厚と体部の隆起性病変が認められた. ERCPでは総胆管結石と胆嚢管の途絶が認められた. 血管造影で胆嚢底部の濃染が認められたが, 胆嚢動脈のencasementなどは認められなかった. 以上より, 胆嚢壁肥厚は黄色肉芽腫性胆嚢炎と診断されたが, 胆嚢癌の併存も考えられた. 全層胆嚢摘出術を行い, 迅速組織診て胆嚢壁肥厚部は黄色肉芽腫性胆嚢炎, 乳頭状腫瘍は深達度mpの胆嚢癌と診断された. 胆嚢, 総胆管内に色素石が認められ, 黄色肉芽腫性胆嚢炎の誘因と考えられた. 永久標本の組織診でも同様の所見で, 黄色肉芽腫性胆嚢炎は癌腫に波及しておらず, おのおの独立して発生していた. 黄色肉芽腫性胆嚢炎の術前診断に腹部US, CT, MRIが有効であったが, 胆嚢癌との鑑別は困難であった. 黄色肉芽腫性胆嚢炎では常に胆嚢癌を念頭に置いた慎重な術式の選択が望まれる.
著者
中村 徹
巻号頁・発行日
2011

科学研究費補助金研究成果報告書:基盤研究(B)2007-2010
著者
長谷 和生 望月 英隆 横山 幸生 吉村 一克 山本 哲久 中村 栄秀 栗原 浩幸 吉積 司 上野 秀樹 岩本 一亜 玉熊 正悦
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.25, no.12, pp.2944-2950, 1992-12-01
被引用文献数
11

直腸癌手術症例297例のホルマリン固定標本を対象に, 癌の肛門側壁内進展について検討した. 壁内進展は67例, 23% に認められ, その最長距離は 3.7cm であった. 壁内進展陽性例は陰性例に比べ治癒切除率 (34% : 77% ; p<0.005), 治癒切除例における再発率 (57% : 25% ; p<0.005), 累積生存率 (p<0.001) など, いずれも有意に不良であり, 壁内進展には予後規定因子としての意義がうかがわれた. 一方癌の肉眼型3型, 低分化腺癌・印環細胞癌,大きさ 6.1cm 以上, 亜全周以上などの病理学的所見を呈するものでは, 2.1cm 以上の壁内進展がそれぞれ高率に認められた (おのおのp<0.005). これら4因子のうち1因子以下しか伴わない症例では 2.1cm 以上の進展は皆無であったが, 2因子以上を伴う症例では11%に認められた (p<0.005). したがってこれらの病理学的因子を2因子以上有する症例では肛門側切離縁までの距離はホルマリン固定標本 4.0cmが望ましく, 1因子以下では 2.0cm で十分と考えられた.