著者
岡野 義夫 日野 弘之 中村 陽一 大串 文隆 辰巳 明利
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.457-461, 2002

肺癌は転移病巣形成能が極めて旺盛な特徴を有している.今回我々は,画像的には異常を認めず,非連続多発性に気管支表層に転移をきたした症例を経験した.稀な症例と思われるため報告する.症例.症例は69歳,男性,主訴は血痰.1999年6月に肺腺癌に対して右上葉切除術を施行され,pT2N0M0 stage IBと診断された.2000年10月下旬より血痰を自覚し喀痰細胞診でclass IVを指摘された.胸部X線,胸部CT上,再発を疑う所見は認めなかった.2000年12月21日入院となり,入院時の気管支鏡所見では気管左下葉支入口部に発赤,軽度の腫脹を認め,組織診および細胞診より腺癌の病変が確認された.肺腺癌の再発と考えられたため,2001年1月15日よりCisplatin 80mg/m^2+Vinorelbine 25mg/m^2の投与を開始し,2クール施行した.2001年3月15日気管支鏡を施行し,内視鏡所見でも隆起性病変を認めず,組織診でも癌病変を認めず,著効を示している.CEAのデータより2001年3月から5月までの約3カ月間著効を示していたと考えられる.結論.画像検査では転移を疑わせる所見はなく,多発性および散在性の転移病巣を気管支鏡的に確認し得た.肺癌の転移経路について熟考させられた貴重な症例と考えられた.
著者
宮西 洋太郎 中村 俊一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SWIM, ソフトウェアインタプライズモデリング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.366, pp.15-22, 2007-11-23
被引用文献数
2

近年,Tim O'Reilly氏によって名付けられた「Web2.0」というキーワードが様々な議論を集めている.Web2.0を一時的な流行語であるといった用語自体への様々な批判的意見はあるが,最新のWeb利用形態はWeb2.0と呼称するに相応しい新たな様相となっている.本格的なWeb2.0時代では,情報は双方向に広く伝播するものとされている.すなわち,広範な情報も低コストで入手できるはずである.ところが現実には,先般の参議院選挙結果に見られたように,事後にならないと結果がわからないという事象はまだまだ多い.本考察では,このような現象の対策例として,(1)立法・行政の政策策定のために,民衆の政治的要望を調査する仕組み,(2)製品開発における,製品ニーズ調査の仕組み,の2つを例に,Webによる解決策を考察する.まず,どの程度の標本数のアンケートにより,どの程度の正確さで調査が可能であるかのシミュレーション実験を行った.本稿の中心的内容として,その実験結果を報告する.次に,Web2.0的な双方向型要望調査システムの構想について考察する.
著者
田中 美保子 三海 正人 中村 茂 小池 麻里 藤井 弘之
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.1037-1044, 1998-12-10
被引用文献数
2

The discoloration of the fixed metal prosthodontic appliances, which had been removed from the oral cavity, was observed to obtain epidemiological and clinical suggestions to select the dental alloy. This study was performed on 396 fixed metal prosthodontic appliances which were removed from the oral cavity.<BR>The findings were as follows:<BR>1. The appliances were composed of 7 kinds of dental alloy, Au-Pd-Ag-Cu-alloy (74.4%), Ag-alloy (9.8%), Ni-Cr-alloy (9.5%), Au-alloy (4.5%), Amalgam (0.5%), Co-Cr-alloy (0.3%), Titanium alloy (0.3%), and others (0.7%). The appliances observed were full cast crowns (33.1%), bridges (21.0%), fillings or partial veneer crowns (16.7%), resin faced cast crowns (13.1%), connected crowns (6.3%), root caps (2.5%), band crowns (2.3%), porcelain-fused-to-metal-crowns (1.8%), metal cores (1.8%), and attachments (1.5%).<BR>2. The proportionof the discoloration of appliances removed was 69%, and this was about 1.7 timeshigher than before removal (p > 0.01).<BR>3. The discoloration of appliances increased with the duration of use in the oral cavity (p > 0.01), and theappliances of Ag alloy were the most discolored (88.9%, p> 0.05) among 7 kinds of alloy.<BR>4. Discoloration was frequently observed at the soldered portions, inner margin, and basal surfaces of pontic or the lower parts of connectionat the proximal embrasure (p > 0.05).<BR>5. The proximal surfaces adjoiningdiscolored appliances were more discolored than those adjoining nondiscolored appliances (p > 0.01).<BR>6. In patients whose oral prophylaxis status were better, the appliances tended to be less discolored.
著者
捧 隆二 中村 聡史 田中 克己
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.9, pp.1-7, 2012-12-05

デジタルカメラの低価格化に伴い,日常的に大量の写真を撮影する人々が増えてきている.それに伴い,個人の写真集合の中から写真を検索するニーズも増加している.既存の写真ブラウザは時間・位置・人物情報を用いて写真を検索することができるが,ユーザは自身の属する社会的コミュニティのいずれかに属する写真が欲しいというニーズを持つこともある.そこで,本研究はコミュニティをベースとした個人画像の検索を実現することを目的とする.本稿ではまず,個人の写真集合の中から個人間の社会的関係性の強弱を推定する.そして,その社会的関係性に基づき,人間関係をネットワーク化し,それをさらにクラスタリングすることで,社会的コミュニティの抽出を試みている.More and more people take many photos routinely with appearance of digital camera. And the need to search for photos from personal photos has been increasing. Existing photo browsers can search for photos using the time-position and human information. But The user may want to search a photo related one of their own social communities. Therefore, this study aimed to realize personal image retrieval based on the community. In this paper, we estimate the strength of social relationships between individuals in a set of personal photos. Based on the social relationships, we network relationship, cluster the network, and find the social communities.
著者
赤坂 将 柳沢 達矢 中村 亮太 市村 哲
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.21, pp.1-6, 2010-03-11
被引用文献数
1

現在,インターネット上には情報発信の場として Web ページが多数存在しており,企業等では商品情報を公開し更なる顧客獲得のために使用している.Web ページの使いやすさによって商品の売上が左右されるということなどから,より多くの人に Web ページを見てもらうようにするため,Web ユーザビリティの向上が重要となっている.Web ユーザビリティを評価するためにユーザがクリックしたログの解析など様々な手法が考えられているが,その中の一つの手法として,視線を使用した評価方法がある.しかし従来の視線を用いた評価手法では,ユーザが具体的に何を見ていたかわからない,また分析に手間がかかるなどといった問題があった.そこで本研究では,従来行われていなかった Web ページの評価方法を考え,より簡単に評価できるツールを提案した.そして,Web ページ上でユーザが何を見ていたかという情報を取得するツールと,取得した情報を解析し Web ページの改善を手伝うためのツールを開発した.A lot of Web pages exist on the Internet, The Web pages are used for sending advertisement and acquiring customers. Because companies want more people to see the advertisement about their merchandise, the improvement of the Web usability is important. Various methods like the analysis of the log that the user clicked were proposed.There was an evaluation method using the glance.However, there was a problem that people didn't understand what the user was concretely looking at. Moreover, there was a problem of taking time to analyze. Then, the paper proposed the method of evaluating the Web page that had not been done in the past.
著者
伊東 元 橋詰 謙 齋藤 宏 中村 隆一
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.164-165, 1985-05-18
被引用文献数
15

健常男性20名に最大速度で歩行を行わせ, 速度, 歩幅, 歩行率と大腿四頭筋の最大等尺性収縮トルク(MVC)および Moter time(MT, 急速膝伸展時の筋活動開始から運動開始まどの潜時)との連関を検討した.速度の有意な決定因は体重, MVCで, 体重が軽くMVCが大きいと速度が速かった.速度は歩幅, 歩行率と正の相関を示すが, 歩幅と歩行率との間には負の相関があった.この歩幅と歩行率の両者にとって有意な決定因はMTで, MTが短いと歩幅は大きくなり, MTが長いと歩行率は大きくなった.
著者
鈴木 聡 森島 泰則 中村 美代子 槻舘 尚武 武田 英明
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.513-525, 2008-08-15
被引用文献数
1

本研究では身体化エージェントの登場位置・身体方向に注目し,物理空間・仮想空間の間に寸断されたユーザと身体化エージェントの位置関係を乗り越え,対等な社会的関係の構築が行える環境を追求する.身体化エージェントの身体方向と,画面奥行き方向の仕切りを基準とした身体化エージェントの登場位置に着目し,これらのユーザへの影響を心理実験により検討を行った.この際,人間同士の2者対話における身体配置の選好における男女差の存在が知られているため,考慮に入れた.実験1(N=48)では作業の遂行(写真の記憶再認課題)と身体化エージェントの印象に対して上記の要因が与える影響について,男女差も考慮の上検討した.実験2(N=51)においては身体化エージェントの身体方向の,ユーザが認知するエージェントとの距離への影響について実験を行った.これらの実験の結果,エージェントの登場位置のみならず,身体方向もエージェントとの距離のユーザの認知に影響し,男性のユーザは女性のユーザより距離を離した形でのエージェントの身体配置を好む可能性が示唆された.身体化エージェントの身体配置,およびその影響の男女差を踏まえた身体化エージェントの設計の必要性を本研究は示している.
著者
中村 正人
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.68-71, 2011-03-25

2010年12月7日に予定されていた「あかつき」の金星周回軌道への投入は失敗した.「あかつき」は今,太陽の周りを公転する軌道上にあり,約6年後に再び金星と会合する可能性がある.
著者
中村 徹 近藤 寛 松井 文彦 木村 亮太 酒井 秀樹 阿部 正彦 太田 俊明 松本 睦良
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.174, pp.67-70, 1999-07-14

新規チオール化合物である2-メルカプトメチルチオフェン類縁体を合成し、Au(111)上に自己組織化膜を作製し、その構造を走査型トンネル顕微鏡(STM)により検討したところ、これらの化合物には筋状の構造体と蜂の巣状の構造体を形成することが判明した。分子長を変化させても形成する構造体の周期は変化しなかったことから、直線状の2-メルカプトメチルチオフェン誘導体は金状でflat-onではなく、表面に対してある角度で立って吸着していることが示唆された。さらにこの構造体の形成因子を探るため、芳香環、置換基を変化させ、そのナノ構造を調べたところ新しい知見を得ることができた。
著者
藤井 正 西口 洋平 此村 守 佐郷 ひろみ 白石 直 渡壁 壽人 中村 友道 石谷 嘉英
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集 : JSME annual meeting
巻号頁・発行日
vol.2004, no.3, pp.247-248, 2004-09-04

A conceptual design study of the sodium-cooled fast reactor (JSFR) is in progress in "Feasibility Study on Commercialized Fast Reactor Cycle Systems". The cooling system of the reactor is composed of two loops in order to reduce plant construction cost. According to reduction of loop number, large diameter pipings are adopted in the primary cooling system, and the average sodium velocity in the piping increases to 9 m/s level. One of issues for piping design is to confirm hydraulic and flow-induced vibration behaviors of the piping under high Reynolds number (10^7 order level) conditions. Then, a flow-induced vibration test facility which simulates a hot leg piping with 1/3 scale has been fabricated. As a first step of the test series, this report describes outline of flow visualization test results.
著者
石谷 嘉英 中村 友道 佐郷 ひろみ 白石 直 渡壁 壽人 此村 守 山口 彰 藤井 正
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集 : JSME annual meeting
巻号頁・発行日
vol.2004, no.7, pp.105-106, 2004-09-04

A 1/3scale flow-induced vibration test facility that simulates a hot-leg piping of the Japanese sodium-cooled fast reactor (JSFR) is used to investigate the pressure fluctuations of the pipe. To evaluate the flow-induced vibrations for the hot-leg and cold-leg pipes, the random force distributions along the pipe and their correlations are estimated. As the result, the power spectrum densities of pressure fluctuations are classified into four sections, the correlation lengths of axial direction into three sections, and the correlation lengths of tangential direction into four sections. The maximum flow-induced random vibration force in the pipe is estimated in the region of flow separation downstream the elbow.
著者
中村 夕衣
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.1-12[含 英語文要旨], 2008-03

本稿では、『アメリカン・マインドの閉塞』の著者として知られるアラン・ブルームの大学論について考察する。これまでブルームの大学論は、保守主義の立場から展開される西欧中心主義的な議論、あるいは過去の大学文化を取り戻そうとする懐古主義的な議論と見なされ、批判されることが多かった。本稿では、そうした諸批判を検討しつつ、ブルームの大学論がポストモダンを経た現在でも意義深いものであることを明らかにする。彼の描く大学の歴史は、中世に起源をもつとされる通説とは異なり、近代、とくに啓蒙主義以降の「哲学」との関連で展開されている。近代に誕生した「大学」は、啓蒙主義の企ての限界が露呈するなかで解体を余儀なくされた。啓蒙主義の限界がどこにあり、またその後の大学はどのような歩みを経て現代に辿り着いたのか。独自の哲学史観のうえで展開されるブルームの大学論を読み解き、「哲学の場としての大学」の可能性を模索する。
著者
中村 直人 相見 優 河口 秀夫
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
環境工学総合シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2004, no.14, pp.406-408, 2004-07-11

This is a description of new technologies that we have started to develop for a heat exchanger and pump unit, focusing attention on energy saving in the heat transmission of air-conditioning systems. The heat source of this system uses an absorption chiller/heater, while the indoor units are general-purpose air conditioner. Water is used to transmit heat vertically through the building, whereas HFC refrigerant is used to transmit it horizontally. The HFC is conveyed to the indoor unit by a low-head pump. One of the most important benefits is that energy consumption of heat transmission can be reduced approximately by 50% compared to heat transmission by water and approximately by 10% compared to heat transmission by refrigerant. This can be achieved by no water head and latent heat of HFC.
著者
中村 恵子
出版者
福島大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、電子レンジ加熱における食塩添加の影響を明らかにすることを目的としている。昨年度は液体モデル試料を用い、食塩添加試料では蒸発に使われるエネルギーの比率が高く、温度上昇速度は小さいことを明らかにした。本年度は、まず添加する食塩濃度の影響について、0〜20%の塩化ナトリウム溶液50〜2000mlを用いて確認した。その結果、食塩濃度の増加に伴って吸収するエネルギ量ーは減少すること、試料平均温度の上昇速度は小さくなることが明らかになった。次に、固体モデルを用いて実験を行った。0あるいは1%塩化ナトリウムを添加した10%コーンスターチゲル(200ml)を調製し、電子レンジで加熱したところ、食塩添加ゲルの蒸発量は多く吸収エネルギー量は少ないという、液体モデルと同様の結果が得られた。加熱直後の試料内部温度を比較したところ、食塩添加試料は試料外縁部が、無添加試料では中心部が高温となり、温度ムラの表れ方が正反対であることが明らかになった。これは、食塩の添加によって試料内のマイクロ波の半減深度が極端に小さくなったためと推察された。最後に、食塩添加試料の加熱効率を改善するために、(1)加熱途中で試料を撹拌する、(2)ラップフィルムで表面を覆う、ことの有効性について、0及び20%塩化ナトリウム溶液(500ml)を用いて検討した。その結果、いずれの操作も吸収エネルギー量自体は増加しないものの、水分蒸発に使われるエネルギー比率は減少したため、温度上昇速度は大きくなり、加熱効率は改善された。