著者
佐藤 淳 中野 泰雅
出版者
国際ジオシンセティックス学会 日本支部
雑誌
ジオシンセティックス論文集 (ISSN:13446193)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.13-22, 1998

東武鉄道では、東武野田線の輸送力増強・混雑緩和および今後の輸送需要に対応するため、岩槻~春日部間(7.4km)の複線化工事を施工中である。<br>本工事区間には、高築堤区間(延長約600m・最大高さ約8.5m)があり、地質は有機質シルト・腐植土および凝灰質粘土から成る軟弱地盤である。また線路際には、民家が密集しているため、通常の土留擁壁による腹付線増は施工性、施工環境、経済性、工期等から問題があると考えられた。<br>そこで本工事では、近年採用実績が積み重ねられつつあり、且つ耐震性にも優れていると評価されている補強盛土工法を採用することとなった。<br>本論文では、軟弱地盤上における高築堤区間において、補強盛土工法による腹付線増を行うにあたっての経緯、検討結果および施工計画、方法等について述べることとする。
著者
新井 哲也 中野 泰志 小平 英治 草野 勉 大島 研介
出版者
日本ロービジョン学会
雑誌
日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.47, 2007

<br>【目的】<br> ロービジョンの人達の中には、エスカレーターの乗降の際、上りと下りを間違えることがあり、重篤な事故に至るケースもある。中野ら(2006)は、晴眼者、ロービジョン者、高齢者を対象とし、実機を使用した検証実験において、ハンドレールにマークを付すことで、より遠くからエスカレーターの運動方向が判断できることを明らかにした。先行研究で用いられたマークが菱形であったことを受け、本実験では、より効果の大きなハンドレールデザインについて検討した。<br>【方法】<br> 実験参加者は晴眼者10名であり、低視力シミュレーター(Nakano et al., 2006)を用いて各々の視力を段階的に変化させた(視力条件;0.04、0.02、0.015)。マークの種類について、背景色を青、マークの色を黄に固定した上で、a)マークの形状(菱形・矢印)、b)マーク間の間隔(広い・狭い)、c)広告とマークの間隔(狭い・中間・広い・広告のみ・広告なし)の3要因を選出し、それらの組み合わせのうち7種類を検証対象とした。参加者の課題は、回転するベルトを観察し、上下いずれかの運動方向をできる限り素早く正確に判断してキー押しで答えることであった。<br>【結果】<br> 正答率と反応時間を分析の対象とした。その結果、「広告のみ」および「矢印」のマーク条件では正答率が低く、反応時間は長かった。また、マークの間隔については「狭い」条件で、広告とマークの間隔については「広い」条件で高い正答率と短い反応時間を示した。以上の傾向は低視力の条件ほど顕著であった。<br>【結論】<br> 矢印や広告のみでは運動方向の判断に及ぼす効果は小さく、本実験で用いた菱形のように十分な面積をもったマークを付すことが有効である。また、マークの間隔は狭い方が良く、広告を挿入する場合には、できるだけマークと広告との間隔を広げる工夫が必要である。
著者
吉澤 徹 山田 浩樹 堀内 健太郎 中原 正雄 谷 将之 高山 悠子 岩波 明 加藤 進昌 蜂須 貢 山元 俊憲 三村 將 中野 泰子
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.459-468, 2016 (Released:2017-03-16)
参考文献数
23

非定型抗精神病薬は定型抗精神病薬に比べ錐体外路系の副作用などが少なく,また陰性症状にも効果を示すため,統合失調症治療薬の第一選択薬として用いられている.しかし,これら非定型抗精神病薬の副作用として,体重増加や耐糖能異常などが生じることが問題となっている.われわれは抗糖尿病作用,抗動脈硬化作用,抗炎症作用などを示し,脂質代謝異常により減少する高分子量アディポネクチン (HMWアディポネクチン) や増加するとインスリン抵抗性を助長するレチノール結合蛋白4 (RBP4) を指標として非定型抗精神病薬であるオランザピンとブロナンセリンの影響を統合失調症患者において観察した.薬物は通常臨床で使用されている用法・用量に従って投与され,向精神病薬同士の併用は避けた.その結果オランザピンはブロナンセリンに比べ総コレステロールおよびLDLコレステロールに対し有意な増加傾向を示し,HDLコレステロールは有意に増加させた.また,HMWアディポネクチンとRBP4に対してオランザピンは鏡面対称的な経時変化を示した.すなわち,オランザピン投与初期にHMWアディポネクチンは減少し,RBP4は増加した.ブロナンセリンはこれらに対し大きな影響は示さなかった.体重およびBMIに対してはオランザピンは14週以後大きく増加させたが,ブロナンセリンの体重増加はわずかであったが,両薬物間ではその変化は有意な差ではなかった.インスリンの分泌を反映する尿中C-ペプチド濃度に対してはオランザピンはこれを大きく低下し,ブロナンセリンはわずかな平均値の低下であり,有意な差はなかった.血中グルコースおよびヘモグロビンA1c (HbA1c) やグリコアルブミンは両薬剤において有意な影響は認められなかった.このようにオランザピンはコレステロール値や体重,BMIなどを増加させ,さらにインスリンの分泌を抑制し耐糖能異常を示す兆候が認められたが,ブロナンセリンはこれらに大きな影響を与えないことが示された.
著者
根来 孝治 中野 泰子 清水 俊一
出版者
帝京平成大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015

申請者らは、これまでに制御性T細胞(Tregs)の主制御遺伝子であるFOXP3のsplicing variants発現量が喘息患者で対照に比べ変化していることを報告した。一方、T細胞受容体刺激によるTregsのカルシウム不応答性を利用し、Tregsの機能解析も行ってきた。喘息患者では、Tregsの機能異常を認め、そのため炎症の慢性化をきたしていることが推測されたため、FOXP3 variants発現量の変化がその機能異常と相関するかどうかを検討した。各variantsのHalo-tag constructsを作製し、細胞に最適なトランスフェクション条件を選定した。さらに、特徴的なターゲット遺伝子群の発現量をreal-time PCRにより解析し、カルシウム応答性についても検討した。抑制機能の一端を担うと考えられているcAMPの産生量を測定したところ、全長FOXP3(FL)とexson2欠損体(delta2)では、delta2の方が高産生量を示していた。Tregsの機能と相関があるカルシウム応答性に関しては、FLとdelta2との間に差異は認められなかった。Exson2が欠損していてもFOXP3の機能に問題は生じていないと考えられたが、Th17細胞の主制御遺伝子であるRORgtの発現量が亢進していた。喘息患者(成人)においてdelta2/FL比が高くなることより、TregsからTh17へのシフトがvariantsの発現量によりコントロールされているかもしれないことが示唆された。
著者
二木 功治 西尾 和三 會田 信治 岡林 賢 中野 泰 竜崎 崇和 大曽根 康夫 鹿住 祐子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.12, pp.3637-3639, 2011 (Released:2013-04-11)
参考文献数
5
被引用文献数
3 7

症例は64歳,女性.咳嗽を主訴に近医受診.胸部CT上,多発小結節影および気管支拡張像が認められ,当院紹介受診した.気管支洗浄液にて抗酸菌陽性となり16S rRNAおよびrpoB遺伝子の相同性からMycobacteruim shinjukuenseと同定された.本菌株はTranscription Reverse-transcription Concerted method(TRC法)で結核菌群偽陽性を示した.クラリスロマイシン,リファンピシン,エタンブトール3剤併用療法を開始し,画像所見および自覚症状の改善が得られた.
著者
青木 成美 中野 泰志 永井 伸幸 猪平 真理
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

成人弱視者の視覚補助具の活用経験について、質問紙調査と面接調査を行った。その結果、弱視レンズを活用してきた者が最も多く、拡大読書器を活用してきた者が次に多いことがわかった。また、必要に応じて活用する補助具を変更した弱視者もおり、その際に専門家だけでなく弱視当事者の意見を参考にしていた。3 年間の調査研究の結果、 弱視者が自らの視覚補助具活用経験を生かし、他の弱視者を支援するためのプログラム作成の基礎データが収集できた。
著者
白井 哲哉 中野 泰 綿拔 豊昭 高江洲 昌哉
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、中心研究領域「公文書アーカイブズ構造分析研究」と副次的研究領域「公文書アーカイブズ情報分析研究」及び「公文書リテラシー分析研究」を設定して研究活動を展開した。その成果について、前者では旧町村役場文書群の構造及び作成(編綴)過程に関する新たな知見が得られた。後者では旧町村役場文書群が有する学術的情報の学術的価値が大いに解明されるとともに、今後の公文書リテラシー研究にとっての基礎的な知見を得ることができた。
著者
中野 泰
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

成果は、現在検討中であるが、要点は以下のようにまとめられる。1.韓国全羅南道木浦においては鮮魚販売が中心であり、活魚については、現在においても競売制度は整備されてなく、活魚市場は存在しないと言える。だが、刺身団地では近隣地域から輸送された活魚の販売を行い、特にナクチやオドリと称するイイダコ・エビの生食が顕著である。2.木浦の活魚販売店は、ナクチを中心に通年の販売を行う傾向があり、ナクチ生産の中心地の一つ務安郡は、海岸部が湿地帯であるにも関わらず、その環境の構造的制約を越えてナクチ生産に特化している。3.務安郡で行われる儀礼については、村行事はキリスト教の影響により簡素化されているが、祖先祭祀については現在も良く行われている。4,ナクチの生食は朝鮮時代より行われ、ことわざも少なからず伝承され、身体強壮の意義を有している。ナクチは生食ではないが、古くから祖先祭祀にも供されてきた。エビの生食は、植民地時代に伝えられた漁業法により.捕獲され、オドリという日本語による命名がなされている。5.上記の生食は、現在でも、高価なため、日常ではなく、来客時や飲酒時などの非日常的な場に食される傾向がある。以上から、韓国における活魚市場の形成は、朝鮮戦争後に進み、南海岸の釜山が先駆け、木浦などの西南海岸、及び、束草市などの東海岸がそれに続いたものと考えられる。生食は、生産者の習俗として古くから行われている。東海岸の発酵食品(シッケ)やイイダコは朝鮮時代に遡る食文化であり、現在も食文化の地域性が明瞭に窺える,活魚市場の形成は、植民地時代にもたらされた日本漁業を支えにしてはいるが、生食が顕著な食習慣となった高度経済成長期以後と認められる。活魚生産に特化した生産者の生業や民俗文化の様相は、観光客に対応した漁民達の生活戦略の賜物と考えられる。
著者
村井 嘉子 北山 幸枝 南堀 直之 中野 泰規 栗原 早苗
出版者
石川県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、安静療法(降圧と臥床安静)を行う急性大動脈解離(StanfordB型)患者の看護実践の構造を明らかにした。研究方法は、質的帰納的研究方法(Grounded Theory Approach)である。25サブカテゴリー、7カテゴリー及びコアカテゴリーを抽出した。看護実践は、急性動脈解離の急変のハイリスクに供えながら、患者の日常性を再構築することであった。CureとCareが融合した看護実践の一部を解明した。
著者
中野 泰志 佐島 毅 小林 秀之 氏間 和仁 永井 伸幸
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

拡大教科書を選定するための評価方法は確立されておらず、適切な教科書の選択がなされていない。そこで、拡大教科書を利用する際の諸条件が読書の効率に及ぼす影響を明らかにした上で、拡大教科書選定支援のための検査バッテリーを試作した。また、試作した検査バッテリーの有効性を検討するために、試用調査を実施した。さらに、本検査バッテリーを非専門家が簡便に利用できるようにするためのマニュアルを作成し、拡大教科書を利用している弱視児童生徒の担任教員に配布した。
著者
村田 拓司 福島 智 中野 泰志 伊福部 達 大西 隆 苅田 知則
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

1.選挙のアクセシビリティの研究平成16年度:電子投票と選挙に関する新見での選管担当者と障害有権者への聞取調査の結果、有権者は同システムの有用性に満足するもそのアクセシビリティ配慮がより広範には活用できていないこと等が明らかになった。17年度:新見調査を踏まえ、都市部の四日市での同様の調査の結果、(1)高齢者の筆記の不安解消、点字の書けない全盲者や知的障害者が独自に投票できたが、(2)両市とも電子投票導入時や機種選定時の障害者の参加機会がなく、引きこもりがちな障害者向け啓発が困難で、配慮とニーズの齟齬があり、(3)電子投票の信頼性への要求が高く、(4)投票機も改良の余地があり、(5)第三者認証、最低限アクセシビリティの法文化も必要なこと等が明らかになった。2.総合支援システムの研究16年度:(1)模擬電子投票後アンケートの分析やバリアフリー専門家討論会による電子投票のアクセシビリティ調査、(2)上記の新見調査の結果、電子投票機の最低限アクセシビリティの確認と、より多様な障害者向けユーザビリティに残る課題、アクセシビリティ等の客観的評価手法やその配慮保障のための法制整備の必要性等が明らかになった。17年度:四日市調査等の結果、(1)点訳選挙公報等の情報入手が困難で、(2)知的障害者も支援次第で参加可能なこと等、選挙参加促進の総合支援策の必要性が明らかになった。3.選挙とまちづくりの研究16年度:バリアフリーのまちづくりのための当事者参加型ワークショップの分析の結果、投票環境整備にはまちの日々のあり方が重要で、障害者のバリアを、彼らを交えたワークショップを通して体験的に理解する必要性が明らかになった。17年度:四日市調査の結果、公共施設の投票所のバリアフリー化が進むも最寄りの小規模集会所等を投票所にするのに難があること等が明らかになった。
著者
福田 アジオ 津田 良樹 安室 知 徳丸 亜木 菅 豊 中野 泰 安室 知 津田 良樹 菅 豊 徳丸 亜木 中野 泰 小熊 誠 向 雲駒 劉 暁路 馮 莉 陳 志勤 王 悟 崔 成志
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

改革開放が進むなかで、打破すべき封建制の残津から保護すべき伝統文化へと、民俗文化の評価も大きく変わってきた状況下において、漸江省の西北部山間の2村落を対象に詳細な民俗誌を作成し、それを通して文化政策とその影響および地域の対応を実証的に検討した。4年間の調査によって、古鎮保護、非物質文化遺産保護という二つの動きが地域に与えている大きな影響、またその政策実施に対応するかたちで展開した地域の観光開発その他の動向と問題点を明らかにすることができた。
著者
池田 泰子 足立 さつき 中野 泰志
出版者
聖隷クリストファー大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

研究成果は、(1)ひらがな文字に関する課題(絵記号の理解課題から文章読解課題)の健常児データを整理し、2013年7月に「ひらがな文字検査」を発売する。(2)今まで明らかにされていなかった音韻分解と音韻抽出能力がひらがなの読み書きにどのように影響しているのかを明らかにした。(3)文字の読み、書きではない関連課題23課題を3歳~6歳の健常児に実施し、スクリーニングに有効な課題として18課題が検出された。