著者
井上 清子 吉田 敦子
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.19-26, 2008-12-01

本研究では,ソーシャル・スキルという観点からの児童理解や指導のための一助とするために,児童のソーシャル・スキルの性差を中心とした発達について明らかにすることを目的とした.公立小学校2 校の小学2 年生から6 年生を対象として質問紙調査を行い,706 名(男子350 名,女子356 名)を分析対象とした.その結果,配慮のスキル・関わりのスキルとも,有意に女子の方が高かった.配慮のスキルについては,小学2 年生の時点ですでに女子の方が高く,その後も女子の方が高いスキルを持ち続けていることが示唆された.関わりのスキルについては,配慮のスキルほど,はっきりした性差はみられなかった.男子では,配慮のスキル・関わりのスキルとも,学年群があがることによる有意な変化は見られなかった.女子では,学年群があがるに従って,配慮のスキル・関わりのスキルとも下がる傾向があり,特に高学年では,低・中学年に比べて有意に低かった.
著者
井上 清子
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.137-143, 2017-03-30

大学までの自傷行為の現状を明らかにする目的で、大学生419人(女性341人、男性78人)に質問紙調査を行った。自傷行為の経験のある大学生は、235人(56%)で、半数以上の者に自傷行為の経験があった。そのうち、女性は182人(53.0%)、男性は52人(66.7%)で、男性の方が有意に自傷経験のある者が多かった。自傷行為で多かったものは、抜毛・爪かみ・掻きむしりで、4~5人に一人の学生が経験していた。爪かみ・打ち付け・焼く自傷行為は男性の方が有意に多かった。爪かみ・掻きむしりは、小学生・幼児期が多く、抜毛・切る・焼く・打ち付ける・叩くは、中学生始まりが多く大学生まで続いているものも少なくなかった。自傷行為経験者のうち他者に相談した者は21人で、自傷をしている者の一割以下であった。そのうち女性が20人で男性は1人のみであった。
著者
井上 清美
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:21861951)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.5-17, 2022 (Released:2023-05-24)
参考文献数
18

一時預かり事業とは、保護者が家庭で子どもの世話をすることができない場合に、保育所や幼稚園、地域子育て支援センター等で一時的に子どもをあずかる事業である。少子化対策の中で急速に普及した一方で実施体制や保育方法は統一されておらず、担当者は困難さを抱えながら保育を行なっている。本稿では一時預かりの困難さを量的に把握し、関連する要因について検証した。A 県内の全ての認可保育所を対象に質問紙調査を実施し、一時預かりを担当する保育者の属性、一時預かりの保育環境、一時預かりの専門性とその評価について多変量解析を行った。分析の結果、勤務形態や母親規範、利用する子どもの数や料金などで有意な関連性が見られた。専門性の高い実践をしている保育者ほど困難さが高く、困難さは保育者の疲労度やストレスに影響を与えていることが明らかになった。
著者
井上清秀 編
出版者
晩翠軒
巻号頁・発行日
vol.第4巻, 1922
著者
稲垣 絹代 白井 裕子 島田 友子 鹿嶌 達哉 井上 清美
出版者
名桜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

野宿生活者の支援団体の協力を得ながら、名古屋、大阪、沖縄で炊き出しの場や入所施設で継続した健康相談活動を行った。野宿生活体験者との信頼関係を築きながら、彼ら自身の意志を尊重した相談活動を行うことにより、彼らの健康意識を高め、健康を維持し、向上しようと考える機会となっていた。研究者たちも、彼らと共に存在することで、支援の在り方を考える機会となり、支援団体の様々な工夫を学ぶ機会となった。
著者
加藤 邦子 牧野 カツコ 井上 清美 間野 百子 間野 百子 藤原 佳典
出版者
宇都宮共和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

子育て支援施設を利用する未就学児をもつ親(約1300名)を対象として,配偶者以外で育児を助けてくれる人とどのような関係を築いているか,関係構築がどのように親子関係に影響を及ぼすかプロセスを検討した。配偶者以外で育児を最も手助けしてくれる人が,親族の場合は,その関係が良好であるほど,友人と育児に関するコミュニケーションが多くなり,子育て支援施設で気軽に相談したり助けてくれる人との関係も良好で,親子関係が円滑化するというプロセスが検証された.一方配偶者以外で育児を助ける人が非親族か該当者がいない場合、子育て支援施設で気軽に相談したり助けてくれる人との関係を築き、親子関係を支える必要が示唆された。
著者
井上 清治
出版者
日本熱帯医学会
雑誌
熱帯 (ISSN:2186179X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.9, pp.12-16, 1968-04-25 (Released:2011-05-20)
著者
藤田 譲 堀 徹 井上 清 村田 修二 摩嶋 禎規
出版者
The Japan Society of Naval Architects and Ocean Engineers
雑誌
日本造船学会論文集 (ISSN:05148499)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.165, pp.215-224, 1989 (Released:2009-09-16)
参考文献数
9

Wooden ships up to around 55 m in length have been so far designed and built with hulls of double skin planking which consists of each single layer of longitudinal planking and diagonal planking crossing with an angle of 45°. Based on successful operation of these ships, large-scaled wooden ships of around 70 m are recently under consideration adopting hulls of triple skin planking. The triple skin planking consists of the outer skin of a single layer of longitudinal planking and the inner skin of double layers of diagonal planking wihch cross the longitudinal planks with angles (θ) of ±45°.Experiments and theoretical investigation as listed in the followings have been made in order to establish design formulae for the longitudinal bending and shear strength of hulls of the triple skin planking : (1) Simplified formulae are induced for calculating the rigidities and the stresses of the triple skin planking, and the practical methods are shown on the longitudinal and shear strength of hulls.(2) The results of the structural loading tests of the box-shaped ship model sizing 6.54 × 0.9 × 1.04 m are compared with the structural analyses by the three-dimensional (3D) truss model. The structural members of the test model are in 1/2 scale of those of a prototype ship except the overall dimensions.(3) The results of the same kind of 3D truss analyses made for the whole hull of the prototype ship are compared with the calculations by simplified formulae.It is concluded as follows : ·The 3D truss model reasonably represents the behaviour of the triple skin planking.The simplified calculation methods can be applied to actual ship design.·The effectiveness of the diagonal planking on the longitudinal bending strenth is 25 % theoretically when θ= ±45°, and a practical value of 20 % is proposed.·The inner skin of two layers of diagonal planking predominantly carries shear forces. The axial stresses of diagonal planks are simply obtained by doubling the shear stresses when θ= ±45°.·Longitudinal members such as gunwale, chine and keel contribute to the shear strength of a hull by their sectional areas multiplied by a factor of 4G/E theoretically when the rotations of the sections are restrained by neighbouring members. The actual degree of contribution is subject to further investigation.
著者
井上 清 向山 美雄 辻 啓介 田辺 伸和 樽井 庄一 阿部 士朗 高橋 誠
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.263-271, 1995
被引用文献数
9

麹菌に <i>Monascus pilosus</i> (IFO4520) を用いて調製した紅麹は, SHRに対して血圧降下作用を示している。そこで, 高血圧症者に対する効果を調べるために, 軽症ないし境界域本態性高血圧症者に対し, 紅麹入りドリンクを摂取させる3種の試験を行った。<br>(1) 入院高血圧患者12人に対し, シングルブラインド法で1日当たり紅麹0g, 9g, 18g, 27g相当のエキスが入ったドリンクを2週間摂取させた用量依存性試験, (2) 通院高血圧患者12人に (1) と同様に紅麹ドリンクを1か月間摂取させた用量依存性試験, (3) 高血圧の通院患者7人に対し9g/日の紅麹相当のエキスを6か月摂取させた長期摂取試験。<br>入院患者の2週間摂取試験では, 紅麹ドリンク3本/日 (紅麹27g相当) を摂取した場合に, 157±11/91±10mmHgから141±10/81±6mmHgへと, 収縮期圧, 拡張期圧ともに明らかな降下が観察された (<i>p</i><0.05)。また, 通院患者への1か月間の紅麹ドリンク摂取試験においては, 紅麹ドリンク3本/日の摂取で154±9/92±6mmHgから147±10/81±5mmHgと明らかな血圧降下作用が観察された。<br>7人の高血圧症を有する通院患者に対し, 6か月間紅麹ドリンクを摂取した試験では, 紅麹ドリンク1本/日 (紅麹9g相当) の摂取で164±9/99±6mmHgから154±14/88±5mmHgへとともに血圧の降下が観察された。更に, 228±42mg/dlから184±27mg/dlと血清総コレステロール値の低下も認められたが, 紅麹ドリンクを与えないで6か月観察した5人では, これらの効果はみられなかった。<br>以上の結果から, 紅麹エキスの摂取により, 高血圧症者で血圧と血清コレステロールの改善作用が判明した。
著者
石川 洋子 井上 清子 会沢 信彦
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
no.39, pp.51-62, 2005

本研究では,保護者対応の基礎的なスキルとなるカウンセリングに対するニーズについて,子育て支援に関わる保育者達への調査と保育雑誌の保護者対応記事の分析を行い検討した.その結果,保育者達が,特に保護者対応に問題を感じ,対応に苦慮していることがわかった.また,保育者達のカウンセリングに対するニーズは高く,年齢や勤務年数,役職に関わりなくこれが求められていることもわかった.カウンセリングの研修会への参加については,研修会の情報や機会がなかったり,時間や参加費の問題等が指摘されていた.研修会に参加した者が,参加していない者よりも有意に外部の専門家や機関に相談することができていた.\n研修の機会を増やし,その情報を数多く提供することは,子育て支援にあたる保育者達の保護者対応をスムーズにし,また問題や困難を感じた時の相談や対応のネットワークを構築することにもなる.保育者間の関係構築のためにもカウンセリングが求められており,保育者支援にもつながると思われた.
著者
白井 徹郎 笠尾 昌史 井上 清
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.284-290, 1997-05-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
16

心室性不整脈発生と自律神経機能, 特に交感神経活性との関連については以前から注目されているが, 自然発作時における交感神経活性の意義については未だ充分に明らかにされていない.そこで非持続性心室頻拍 (NSVT) およびtorsade de pointes (TDP) 出現前のRR時間および心拍変動を分析し, これら不整脈発生に及ぼす交感神経活1生の影響と予後との関連につき検討した.検討は1) NSVT84例においてNSVT1日出現回数, 最大連発数, 先行洞調律RR時間, 先先行洞調律QT時間, 連結時間等のNSVTに関連したあるいはNSVT出現に関連したHolter心電図所見と長期予後との関係, 2) NSVT21例のNSVT出現前における心拍変動スペクトラル解析からみた交感神経活性と予後との関連, 3) Holter心電図にて単形性NSVTとTDPを頻回に記録し得た二次性QT延長例での心拍変動とTDP発生との関連の3点につき行った.その結果NSVT84例中5例で心臓性急死 (SCD) を認め, これらの先行RR時間は特発性の予後良好例に比し有意に短く, 交感神経活1生優位の状態でNSVTが出現していたと推定された.NSVT出現前10分間でLow frequency power/High frequency power (LF/HF) 比が有意に上昇した交感神経関与群9例では, 非関与群12例に比しVTrateは有意に高く, SCDあるいは心室細動発生率が高い傾向にあった.いずれの検討においても予後不良例は陳1日性心筋梗塞あるいは拡張型心筋症の重症基礎心疾患を有していた.二次性QT延長例においてはVT出現前6心拍においてshort-long-shortサイクルを繰り返しつつその程度が強まるcascade現象を示し, 且つVT開始時のVTrateが高いとTDPになりやすい傾向を認めた.このVT開始時のVT rateの亢進は交感神経活性優位の状態を間接的に示していると考えられた.基礎に重症心疾患があり, NSVT発生に交感神経活性が関与している例でのVT rateは高く, 予後不良となる可能性が示唆された.二次性QT延長例ではcasoade現象を認め, VT開始時に交感神経活性優位の状態にあるとTDPが出現しやすいと考えられた.
著者
井上 清子
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.97-105, 2015-03-01

親および教師からの褒められ経験 ・ 叱られ経験と自尊感情の関連について明らかにする目的で、大学生252名を対象に、質問紙調査を行った。自尊感情高群と低群において、褒められた経験・叱られた経験の頻度に差があるかを調べるためにt検定を行った。褒められた経験では、父親 ・ 母親 ・ 教師いずれに対しても有意差がみられ (p<.01)、自尊感情高群の方が低群よりも、児童期によくほめられたと感じていた。叱られた経験では、母親 ・ 父親 ・ 教師いずれに対しても有意差はみられなかった。また、母親では、「礼儀 ・ 思いやり」(p<.01) 「性格・態度」 (p<.05)、父親では、「学業」、(p<.05) 「礼儀 ・ 思いやり」 (p<.05) 「習い事 ・ スポーツ」 (p<.01) 「課題達成」 (p<.05)、教師では「礼儀・思いやり」 (p<.01) 「習い事・スポーツ」 (p<.01) で有意差がみられ、すべて自尊感情得点高群の方が褒められた経験が多いことが分かった。