著者
天野 定雄 黒須 康彦 中山 寿之 三宅 洋 松田 健 遠藤 潔 上田 仁 森田 建 佐藤 公望
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.2313-2320, 1991-10-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
13

最近9年間に経験した鼡径部ヘルニア821例について統計的観察を行い,また施行された手術術式,術後合併症,術後再発,術後愁訴などについて検討した.ヘルニア種別頻度では外鼡径ヘルニアが76.1%,内鼡径ヘルニアが13.6%,大腿ヘルニアが8.2%,内外鼡径ヘルニアが1.9%であった.手術術式は外鼡径ヘルニアではMarcy法,内鼡径ヘルニア,大腿ヘルニア,内外鼡径ヘルニアではMcVay法が最も多く行われていた.術後合併症は3.7%に認められ,血腫形成が最も多かった.再発率は全体で3.1%であった.内鼡径ヘルニア型再発と大腿ヘルニア型再発が主であり,これらの症例の中には全身の併存疾患を有していたものが多かった.術式別愁訴に関してはMcVay法で程度は軽いものの牽引痛の頻度が著しく高かった.再発や愁訴を減少させるためには,ヘルニアの基本的な理解と確実な手術手技が重要と思われた.
著者
鬼怒川 雄久 杉田 祐子 佐藤 公光子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.183-190, 2002-02-15

原因不明の眼瞼痙攣47症例に対し抑肝散を内服させた。抑肝散は漢方薬で,神経症・不眠・更年期障害に有効とされている。男性14名,女性33名であり,開瞼困難などの症状はすべて軽症で,角膜障害はなかった。抑肝散の投与量は,40名に対しては7.5gを1日3回,7名に対しては5gを1日2回とした。連続投与3〜7日で自覚症状が45例で改善した。随伴症状としての不眠と神経症も同時に改善した。副作用として軽度の食欲不振が3例に起こった。全症例中26例が40歳以上の女性であり,眼瞼痙攣と更年期障害との関連が推定された。以上から,原因不明の軽度の眼瞼痙攣に抑肝散の内服投与が有効であると結論される。
著者
佐藤 公明 原 寛道(MD)
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第28回九州理学療法士・作業療法士合同学会 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.67, 2006 (Released:2007-05-01)

【はじめに】現在筋緊張緩和の方法には幾つかの方法があり、当園ではストレッチブロック法(以下SBM)を継続的に行っている(第19回九州PT・OT合同学会にて発表)。今回SBMにより下肢の筋緊張が緩和され、作業の効率が上がった症例を経験したので、考察を加え報告する。【対象】男性38歳、診断名は脳性麻痺(痙直型四肢麻痺)。ADLは全て自立されている。移動は、電動車椅子を使用している。仕事内容は椅子に座っての品物の袋詰め作業で仕事の頻度は週に5日、計16時間である。SBM施行後の効果の持続は約4日間である。【方法】ストレッチブロック前後に袋詰め動作を行ってもらった。(方法1)ふりかけ3袋を封筒に入れる作業を行ってもらう→1つ作るのにかかる時間を計測した。(方法2)ふりかけ3袋を封筒にいれる作業を5分間行ってもらう→5分間作業の持続性を調べた。その動作の粗大運動をデジタルビデオカメラで撮影し評価した。仕事に関する内容については症例より情報収集した。【結果】方法1について以前はSBM前では49秒、SBM後は25秒と大幅に短縮した。現在はSBM前で26秒、SBM後は13秒とさらに短縮した.方法2はSBM前では10袋出来たのに対して、SBM後では15袋出来るようになった。袋詰め作業に関してSBM前では、左手の手背部で封筒を押さえており、押さえる位置は、封筒の口近くを押さえている。SBM後では、指先で押さえられるようになっており、押さえる位置は、封筒の中央部近くを押さえている。Popliteal Angle(以下PoA)はSBM前後で右のPoAは50度から30度へ、左のPoAは55度から35度へ変化した。手指の動きについて左母指以外の4指同時の伸展動作では、SBM後は完全伸展が可能になった。【考察】SBMを施行することでハムストリングスの筋緊張が緩和した。このことが骨盤を起こしやすくなるなど座位の安定につながった。また体幹や上肢に見られていた過剰な筋活動が無くなり、本来症例が持っている体幹機能を発揮しやすくなった。その事が封筒の中央部を指尖で押さえるなど、両上肢の操作性に繋がった。結果として、袋詰め作業時間の大幅な短縮が見られた。そのことが作業効率の向上に繋がったのではないかと思われる。さらに筋緊張緩和が継続することで、作業時間の短縮も見られた。症例の実際の仕事においても筋緊張の緩和によって、1時間に50個ほどしかできなかったのが、100個作れるなど実際の場面においても向上している結果ともなった。筋緊張緩和によって楽に作業が出来るようになった事で、仕事のモチベーションが向上し、現在も仕事を継続されている。【まとめ】今回、実際に症例が筋緊張の高い中で、努力的に仕事をしていたのか知る機会となった。また筋緊張が緩和する事が症例にとっていかに楽に仕事ができ、高い満足度を得る結果ともなった。今後もこの結果を継続させていき、日々仕事が充実して行えるような支援をしていきたいと思っている。
著者
原田 和雄 松川 正樹 吉野 正巳 犀川 政稔 佐藤 公法 林 慶一 長谷川 正
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.316-330, 2021 (Released:2021-10-05)
参考文献数
24

The research activities that scientists perform routinely were analyzed and divided into stages. The research process of inquiry-based science in school was developed on the basis of the results of the analysis of scientists’ research activities. Two possible approaches were considered in the research process of inquiry-based science. Pathway 1 starts from the first stage of the inquiry-based science, which is the stage of having interest, curiosity or questioning. Pathway 2 starts just from the stage of defining the problem after presentation of a problem to students from a teacher or an advisor. Pathways 1 and 2 are the same after the problem defining stage, because a concrete inquiry activity starts after defining the problem. The main stages after defining the problem are developing a strategy for problem solving, observations or experiments, summarization of results, discussion and reaching conclusion. The scientific ability to be developed at each stage of the inquiry-based science was defined on the basis of the activities of researchers at the corresponding stage of scientific research. The activity at each stage was analyzed and defined as “Science Activity” and “Remarks on the Activity” and the results were summarized.
著者
松本 順 大井 康史 佐藤 公亮 森村 尚登
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.242-245, 2020-02-07 (Released:2020-02-07)
参考文献数
3

【はじめに】救急医療の現場では, チーム医療として他職種と連携し診療にあたることが多い。そのような状況において円滑に診療を進めるためにノンテクニカルスキルの重要性が指摘されている。我々は当院での救急外来におけるインシデント報告を分析することで, 救急医療に必要とされるノンテクニカルスキルのカテゴリーを明らかにすることとした。【方法】2012年1月から2016年9月の間の後ろ向き調査。【結果】救急外来で医師が関与したインシデントとして32件の報告が確認された。最も多いインシデントの種類としてはカルテ記載やオーダリングに伴う患者や内容の取り違いであった。これらのインシデントの発生要因を分析すると, 主に状況認識, コミュニケーションやチームワークの問題によるものが多くを占めた。【考察】救急医療の中で, 特に阿吽の呼吸が形成されていないチームでの診療では状況認識やコミュニケーションが重要であると考えられた。
著者
佐藤 公俊 中本 達也 中島 健一
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.77-83, 2018-07-15 (Released:2018-08-15)
参考文献数
10

本研究では,生鮮食品のPOS(Point Of Sales:販売時点情報管理)データを用いて最適な値引き販売の開始時刻を求め,販売収益および廃棄率への効果を明らかにする.Feng and Gallego(1994) により導かれた総期待売り上げの最大化のための値引き時刻決定アルゴリズムを適用し,在庫量に依存する時間についての閾値型で与えられる値引き戦略を視覚的に示す.さらに,最適な割引価格についても数値的に検討する.その結果,現状の販売方法と比較し,約17.4%の収益改善効果が得られた.
著者
吉松 弘喜 海江田 康光 吉田 健治 神保 幸太郎 田中 憲治 坂井 健介 後藤 琢也 瀧 健治 山下 寿 佐藤 公昭 永田 見生
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.667-670, 2011-09-25 (Released:2011-12-09)
参考文献数
10

16例のMRSA化膿性脊椎炎について調査を行った.MRSA化膿性脊椎炎の特徴はcompromised hostが多い,先行感染を有する割合が高い,膿瘍合併が多い,麻痺を生じやすい,死亡率が高いとされている.今回の調査では診断時に31%の症例が重症敗血症を合併しており,それらの症例は外科的治療困難で死亡に至っていた.一方,診断時に重症敗血症合併のない症例では再発率,麻痺発生率は高いものの,死亡に至った症例はなかった.従来の報告通り,診断時に重症敗血症を合併している症例では治療に限界があったが,重症敗血症合併のない症例では比較的良好な成績であり,全身麻酔困難例での経皮的病巣掻爬ドレナージの有効な症例を認めた.保存的治療に抵抗性があれば,全身状態をみて早期に低侵襲治療を検討すべきと考えられた.
著者
伊藤 智子 加藤 真紀 佐藤 公子 山下 一也 Tomoko ITO Maki KATO Kimiko SATO Kazuya YAMASHITA
出版者
島根県立大学出雲キャンパス
雑誌
島根県立大学出雲キャンパス紀要 = Bulletin of the University of Shimane Izumo Campus (ISSN:2187199X)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.11-17, 2017

【目的】認知症予防としての、脳トレの効果を検討するため、七田式いきいき脳開発プログラムの効果検証を試みた。【方法】65-90歳の健常高齢者70名を七田式脳トレ群、対照群の2群に分け、6ヶ月間実施した。介入前後に、MMSE、HDS-R、FAB、CADi、やる気指数、うつ指標の測定を行った。群別に各調査項目、介入前後の差を解析した。また介入前後の認知機能検査値とSDS、やる気指数の相関を解析した。【結果】脳トレ群の介入前後のFAB 得点において有意差が見られた。脳トレ群においてFAB とHDS-R 値がSDS 指数と正の相関があった。【考察】6ヶ月の七田式脳トレ継続による、前頭葉機能の活性化が示唆された。
著者
消化器内視鏡の感染制御に関するマルチソサエティ実践ガイド 作成委員会 尾家 重治 大久保 憲 伏見 了 赤松 泰次 石原 立 佐藤 公 佐藤 絹子 田村 君英 藤田 賢一
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement, pp.S1-S27, 2013 (Released:2013-11-25)
参考文献数
81
被引用文献数
4 2

改訂にあたって  「消化器内視鏡の洗浄・消毒マルチソサエティガイドライン」は、2008 年 5 月に初版を発行して以来大きな反響があった。本ガイドラインの初版は、日本消化器内視鏡学会甲信越支部感染対策委員会による「内視鏡消毒法ガイドライン(1995 年)」、日本消化器内視鏡技師会消毒委員会による「内視鏡の洗浄・消毒に関するガイドライン(1996 年)」、日本消化器内視鏡学会消毒委員会による「消化器内視鏡機器洗浄・消毒法ガイドライン(1998 年)」の記載を基本として、その後の新しいエビデンスを踏まえて作成されたものである。今回、初版の発行から約 5 年が経過したことと、米国における消化器内視鏡のマルチソサエティガイドラインが改訂されたことを機会に、わが国においても改訂版を発行する必要があると判断した。  関連する学会や業界のコンセンサスを得る必要があり、ドラフト(草案)を上記 3 学会および、内視鏡に関連する 17 学会、さらに内視鏡製造業界および自動洗浄器業界、消毒薬製造販売業界に対して広くパブリックコメントを求めた。  標準予防策(スタンダードプリコーション)などの感染防止の基本的事項については特に触れず、消化器内視鏡の感染制御および洗浄・消毒に関わる処理を中心にまとめており、消化器内視鏡検査の実施に即応して、この実践ガイドが容易に適用できることを目指した。特に高水準消毒薬の反応(接触)時間等については、消毒薬の添付文書とは異なる場合もあり、諸外国でのデータなどを参照して実務的に判断した。  なお、勧告事項の実証性水準については、できるだけ簡明となるように、本文の要求分類は原則として二種類とし、その表現方法の例を下記に示す。推奨度の分類は、消化器内視鏡の感染制御に関する専門家の合意に基づいて行った。 ① 推奨度Ⅰとは、必須の要件であり、すべての施設において実施すべき事項 ② 推奨度Ⅱとは、現状では必須と位置づけるものではないが、実施が望ましい事項  医療施設の内視鏡検査室において、本実践ガイドを参照して、自施設のマニュアル(手順書) を作成し、消化器内視鏡に係る感染制御の実務に広く利用され、患者およびスタッフの安全の一層の向上に寄与できることを期待する。  今回の改訂版は「ガイドライン」ではなく「実践ガイド」という名称を用いた。その理由として、昨今「ガイドライン」の策定においては、厳密なエビデンスに基づくことや、作成者だけでなく評価者を同時に設置するといった、綿密な作成過程が要求される傾向にある。今回の改訂版は、3学会の専門家による合意を中心に作成されていることから、「ガイドライン」ではなく、あえて「実践ガイド」とした。