著者
佐藤 明香 宇賀 麻由 植田 真司 矢野 修也 小川 弘子 三好 智子 難波 志穂子 大塚 文男
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.405-410, 2020-08-25 (Released:2021-03-15)
参考文献数
8

背景 : 本邦の臨床研修病院で研修医メンター制度が導入されてきているが, 制度の詳細や効果については明らかにされていない. 目的 : 当院で運用している研修医メンター制度を紹介し, 2018年度に本制度を利用した研修医 (メンティ) からのメンター制度に対する評価を明らかにする. 方法 : 制度を利用した研修医に無記名のwebアンケート調査を実施した. 結果 : 2018年度採用研修医の78.0% (32名) が本制度を利用した. 調査の回答率は87.5% (28名) で, 制度に対する満足度は高かった. 考察 : 今後はメンターも対象に,より詳細なアンケート調査を実施し, さらなる制度改善へとつなげたい.
著者
芝 順太郎 佐藤 正章 原 鉄人 平岡 希生 竹内 護
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.160-165, 2021-03-15 (Released:2021-04-22)
参考文献数
6

メンター制度の初期研修医への教育効果に関する報告は少ない.われわれは初期研修医教育として振り返りカンファレンス(DC;Debriefing Conference)を導入している.DCは初期臨床研修医が自ら振り返りたいと考えた症例を提示し,ファシリテーター役の上級医数名と初期研修医で行った.DCの内容は麻酔管理上の問題点および臨床能力の向上に必要なスキルに分類した.またDCからコミュニケーションに起因する事象が初期研修医にとって問題であることがわかった.コミュニケーションを促進する改善策としてメンター制度を導入し,メンター制度がDCに及ぼす影響を検討した.メンター制度の導入によってDCにおいて疼痛管理とコミュニケーションに関する報告は皆無になった.
著者
佐藤 紗都 伍井 啓恭 奥村 学
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究では、製品マニュアル文から関連する質問回答対を自動的に生成するシステムを開発するための第一歩として、マニュアル文から質問文を自動的に生成する方法を提示する。 約1400文のデータセットを用いた実験の結果、生成された文章と人手で作成された質問文とを比較することにより、BLEUスコア62.11を得た。
著者
佐藤 宗諄
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.631-665, 1964-09

公民の分解もすすみ、律令的な土地制度も負担体系も根本的に動揺していたにも拘らず、とにかく九世紀を通じて、まがりなりにも律令政治が展開しえたことは事実である。それが基本的には律令的支配階級にとってかわるべき階級的勢力の未熟さによっていたこともまた周知のことである。だが直接政治の局面について考えると、それは当時、国家によって "良吏" として把握された官人-とくに国司-逹を分析することによって理解できるようである。彼ら "良吏" はまぎれもない律令官人でありながら、従来にはみられない現実性をもっている。本稿ではそれを論証するために、六国史の史料性を検討することからはじめ、その登場の要因等を考察し、その歴史的性格にまで論及したつもりである。本稿でその分析の中核として、わざわざ数的には例外とも考えられそうな "良吏" に注目したのは、従来のように彼らを例外としてのみ理解することによっては、この律令政治の多様な可能性を含む崩壊過程を正しく把握できないと考えたからに外ならない。 まだ九世紀には "良吏" のもとで公民の大多数が基本的には国家に対抗するよりも依存する動きを示さざるをえなかったことが、この政治の一応の成功の原因であったし、それが次に律令国家を変形させた古代国家としての摂関政治体制の出現を保障する一つの前提的役割を果したと考えられるのである。In spite of the dissolving public 公民 and the tumultuous landholding and tax-bearing systems, it is the fact that Ritsuryo 律令 government could develop at any rate; and it is also established that the fact was substantially due to the immaturity of the class power to take the place of the ruling class in Ritsuryo government. A study on the aspect of direct governing enables us to understand it by analysing the then officials……especially Kokushi 国司……taken for "Ryori" 良吏 by the state. They, "Ryori", had, in spite of the very officials of Ritsuryo government, the reality that had never been seen before. To demonstrate it, this article, starting from the judgement of the importance of Rikkokushi 六国史 as a source book, traces to its cause of entrance on the stage and is to reach for its historical character. The opinion that the dissolving process of Ritsuryo government with verious possibility cannot be properly understood by the traditional treatment of "Ryori" only as a exceptional case is the reason why "Ryori" was taken as a subject for consideration. The fact that most of the public 公民 under the "Ryori" in the nineth century still had substantial trend for the movement depending on the state rather than against the state caused a temporary success of this government, and in turn played an assuming part to secure the establishment of the Sekkan 摂関 political system as an ancient state which transformed the Ritsuryo state.
著者
佐藤 晴雄
出版者
武蔵野大学英文学会
雑誌
武蔵野英米文学 (ISSN:03886662)
巻号頁・発行日
no.44, pp.199-240, 2012-02-15
著者
須田 高史 白 柳爛 沈 得正 佐藤 浩一郎 寺内 文雄
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.1_29-1_38, 2020-07-31 (Released:2020-08-10)
参考文献数
15

印象変化は製品を長期使用するための重要な一方策である.本研究では,プラスチックの充填材であるフィラーに着目し,熱可塑性樹脂とフィラーとの組み合わせにより長期使用を可能とする材料の創製を検討した.まずポリプロピレンを母材とし,無機材料粉,金属粉および和紙といったフィラーと混練した.次にサンプルを射出成形により加工し,フィラーを表面に露出させるためにサンドブラストを行った.その後サンプルの印象を評価した.その結果,評価軸として新品感,硬さ,そして派手さが導出された.またフィラーの特性が印象評価に影響を及ぼすことが示唆された.続いて長期使用を模擬するためにサンプルを表面処理した.その結果,磨耗がサンプルの印象に変化を及ぼすことが示唆された.これらより,長期使用のためのプラスチックを母材とする複合材料の可能性が示唆された.
著者
髙島 周志 竹中 博美 泉 由紀子 齋藤 伸一 住谷 哲 中村 秀次 佐藤 文三
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.44-49, 2010 (Released:2013-02-28)
参考文献数
20

目的:非アルコール性脂肪性肝障害(Nonalcoholic Fatty Liver Disease:以下,NAFLD)の患者の多くでインスリン抵抗性を示すことが報告されてきている.しかし,インスリン抵抗性がNAFLDの原因なのか結果なのか,脂質代謝に如何に関与するのか,抵抗性がインスリン作用発現機構のどのステップで生じているのか等は不明な点が多い.今回我々は人間ドック受診者を対象に,NAFLDにおけるインスリン抵抗性が生じる機構について検討した.方法:当センターを2008年に受診した3,698名の中で,アルコール飲酒の習慣がなく,糖および脂質に関する薬を服用していない男性521名,女性575名を対象とした.インスリン抵抗性の指標としては,糖代謝関係のHOMA-Rと,脂質関係のTG/HDL-Cを用いた.脂肪肝の有無は腹部超音波検査で判定した.結果:HOMA-R値上昇とともに脂肪肝の発生頻度も上昇した.一方TG/HDL-C値上昇とともに脂肪肝の発生頻度も増加し,ROC解析でTG/HDL-C値はHOMA-Rと同等の脂肪肝検出能を持っていた.結論:NAFLDの発生頻度はHOMA-R値上昇につれ増加し,インスリン抵抗性はNAFLDの病態に関与することが示唆された.また,インスリン抵抗性はレセプター以降の,糖質制御経路と脂質制御経路の分岐以降で生じていると考えられた.
著者
松本 順 大井 康史 佐藤 公亮 森村 尚登
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.242-245, 2020-02-07 (Released:2020-02-07)
参考文献数
3

【はじめに】救急医療の現場では, チーム医療として他職種と連携し診療にあたることが多い。そのような状況において円滑に診療を進めるためにノンテクニカルスキルの重要性が指摘されている。我々は当院での救急外来におけるインシデント報告を分析することで, 救急医療に必要とされるノンテクニカルスキルのカテゴリーを明らかにすることとした。【方法】2012年1月から2016年9月の間の後ろ向き調査。【結果】救急外来で医師が関与したインシデントとして32件の報告が確認された。最も多いインシデントの種類としてはカルテ記載やオーダリングに伴う患者や内容の取り違いであった。これらのインシデントの発生要因を分析すると, 主に状況認識, コミュニケーションやチームワークの問題によるものが多くを占めた。【考察】救急医療の中で, 特に阿吽の呼吸が形成されていないチームでの診療では状況認識やコミュニケーションが重要であると考えられた。
著者
アルカラス ジョエル マツサレム 山下 淳 佐藤 員暢
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.80-89, 2008-03-01
参考文献数
3

グリーンハウスにおいて, トラクタ・トレーラからなる連結車両 (TTC) の運転操作を容易にするため, 機械式けん引制御システム搭載のトレーラ車両を開発した。このTTCは, 旋回角が小さく, 狭い通路で運転するとき, 旋回半径を減じること, 直進後退時に発生するジャックナイフ現象やジグザグ走行を防止することを目的にして考案されたものである。コンクリート路面上でTTCの旋回半径及びヨーレートを測定した結果, 旋回半径は従来の一点ヒッチ式に比して約16%, 内輪差は約20%と小さくなること, 直進後進時には従来型はジグザグ走行し, 無操舵の場合にはジャックナイフ現象が現れるが, TTCはトラクタとトレーラが一体構造になるため, ヨーレートは0.025~0.05deg/sと小さいことが判明した。
著者
潮村 公弘 佐藤 誠
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.141-152, 1994

本研究の目的は, 恋愛状況下の異性二者間における相互的な認知の成立機制を探究することであった。測定手法は, 好意的同性二者間でのパーソナリティ認知における相互認知を検討した今川・岩渕 (1981) の手法に依拠した。<BR>被験者は以下の6つの認知過程ごとに, 自己概念を操作的, 客観的に捉えるために開発された47項目から成るSelf-Differential Scale (大学生用) (長島・藤原・原野・斎藤・堀 (1967)) に対して評定を行なった。1) 現実自己像, 2) 他者像, 3) 相手の自己像についての推測, 4) 相手の他者像についての推測, 5) 理想自己像, 6) 理想異性像の6つの認知過程 (認知像) である。なお, 6) の過程は本研究において, 異性間の問題を対象にした場合の独自性を捕捉することを目的に, 新たに取り入れた過程であった。<BR>本研究でのデータには, 相互的な認知を取り扱うための適切な方法としてペア・データが用いられた。それゆえ自己評定の前述の6過程, 他者評定の6過程 (すなわち1) 他者の現実自己像, 2) 他者の他者像, 3) 他者の, 相手の自己像についての推測, 4) 他者の, 相手の他者像についての推測, 5) 他者の理想自己像, 6) 他者の理想の異性像) の12過程の各々2つを組み合わせた認知過程対の類似性が検討された。<BR>まず認知過程対の類似度の検討より, 理想自己像 (5, 5) と理想異性像 (6, 6) の類似, 現実自己像1 (1) と相手の他者像についての推測4 (4) の類似, および他者像2 (2) と相手の自己像についての推測3 (3) の類似, 以上の3つの認知過程対の類似が, 相互的認知の成立に重要な役割を果たしていることがわかった。<BR>さらに上記の分析では検討できなかった, 理想自己像と理想異性像の両者が相互的認知に対して, いかなる規定関係にあるのかについて偏相関係数を用いて検討した。まず, 各々で統制した場合の偏相関係数を算出した。その結果, 理想自己像は自己に関する認知に影響を与える一方, 他者に対する認知には効果を有していないこと。それに対し, 理想異性像は他者に対する認知に影響を与える一方, 自己に対する認知には効果を有していないことが見い出された。さらに, 理想自己像同士の類似の影響を検討するために, 両者の理想自己像を同時に統制した場合の偏相関係数を算出した。その結果, 両者の斉合的な認知の成立, および他者についての認知と自分の理想異性像の類似は, 理想自己像同士の類似とは独立に存在していることが示された。