著者
市川 竜太郎 小林 秀 小倉 あい
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.141, 2012 (Released:2012-09-24)

目的消費者が行う野菜の冷蔵保存の方法として、購入した状態のまま保存するか、食料保存袋に野菜を入れ替えて保存する方法が一般的に行われている。一方、野菜類は保存中に傷ませた経験のある食材であり、鮮度を保持する方法を知りたい食材として挙げられている。そこで、野菜としてホウレンソウを用い、保存方法の違いが保存後の鮮度に及ぼす影響について検討した。 方法ホウレンソウは東京都内にて購入した市販品をそのまま供試試料とした。重さ約100gのホウレンソウをそのまま保存した場合、食料保存袋に入れて保存した場合、および含水不織布でホウレンソウを包み食料保存袋に入れたものを2週間家庭用冷蔵庫にて保存し試験に供した。保存後のホウレンソウの鮮度は、重量、ガス(O2,CO2)濃度、色差計による色調変化、官能評価(指標として、総合的な新鮮さ・しおれ・傷み・黄変・可食の可否)を行った。 結果各々の条件で保存したホウレンソウの重量を測定した結果、含水不織布で包み食料保存袋で保存したものは、保存前と比較し重量が約10%増加していた。一方、ホウレンソウをそのまま保存した条件では保存前と比較し約17%の重量減少が認められた。食料保存袋にて保存した条件では顕著な重量変化は認められなかった。また、ガス濃度を測定した結果、保存条件の違いによる差は認められなかった。しかしホウレンソウの色調変化では、含水不織布で包み食料保存袋にて保存したものが最も緑色を維持しており、次いで食料保存袋による保存、そのままの状態での保存の順で葉の黄変が認められた。また、各保存条件で保存したホウレンソウの官能評価では総合的な鮮度で相違が認められ、含水不織布で包み食料用保存袋で保存したものが最も鮮度が良いと評価された。含水不織布を利用した保存条件では、葉からの蒸散作用が抑制されるとともに、ホウレンソウが水分を吸収し、鮮度を保持していたと推察された。
著者
成田 亮子 島村 綾 名倉 秀子 峯木 眞知子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

(目的)<br> 琉球王朝菓子ちんすこうは、豚脂(ラード)を使用し、西洋の焼菓子とは異なった食感と風味に特徴があり、保存性にもすぐれている。ラードの代わりに多種の油脂を用いて調製し、テクスチャーに与える影響を調べた。<br>(方法)<br> ちんすこうはラード(油脂)、薄力小麦粉(日清フーズ㈱)、砂糖(三井製糖㈱)で調製する。油脂は8種(ラード、バター、アボガドオイル、オリーブオイル、キャノーラ油、ココナッツオイル、胡麻油、米油)で、基本配合は予備実験より、小麦粉120g、砂糖90g、油脂58gとした。油脂を60℃に温め、砂糖を加え、みぞれ状態になったら、小麦粉を加えた。それを、&Oslash;3.5㎝の大きさ(各15g)に形成後、150℃で28分焼成した。焼成後の試料は、重量、体積、比体積、水分含有率、表面の焼き色、破断特性を測定し、官能評価を行った。焼成後の伸びを示すスプレッド値は、直径(㎜)/厚さ(㎜)で算出した。製品の水分含有率は赤外線水分計(㈱ケット)で110℃、80分の条件下で測定した。破断特性はレオナーRE2-3305 B-1(山電(株))で測定した。<br>(結果)<br> 8種の油脂を用いた試料では、ラードを用いた試料より、破断応力および破断歪が低く、もろい製品であった。アボガドオイル試料、オリーブオイル試料では、もろさおよびもろさ歪がかなり低かった。キャノーラ油試料ではスプレッド値、比体積、水分含有率がラードに近い値を示した。ココナツオイル試料では、スプレッド値が6.0と最も高く、水分含有率は3.6%で最も高い値を示した。胡麻油試料ではもろさおよびもろさ歪が高く、水分含有率が2.6%で最も低かった。油の種類により、食感の異なるちんすこう製品ができた。
著者
片倉 喜範 藤井 薫 原田 額郎 山下 俊太郎 門岡 桂史
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

Caco-2細胞をヒト腸管モデル細胞株として用い、SIRT1プロモーター制御下でEGFPを発現するベクターを安定導入した組換えCaco-2細胞を樹立した。フローサイトメーターを用いてEGFPの蛍光強度の変化を追跡した結果、乳酸菌T2102株を陽性菌として選定した。T2102株は、SIRT1の活性化の結果、β-カテニンの脱アセチル化を誘導するとともに、その発現を消失させうることが明らかとなった。また、T2102株はDLD-1細胞におけるテロメラーゼ発現も抑制するとともに、細胞老化を誘導することが明らかとなった。またがん細胞抑制能が足場非依存性増殖能及び造腫瘍能の結果より明らかとなった。
著者
落合 俊輔 齋藤 彰 髙柳 聡 玉木 康信 名倉 誠朗 三原 政彦 平川 和男
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.1201-1204, 2018-11-01

は じ め に 本邦において人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:THA)後に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)とアセトアミノフェンを併用して内服した鎮痛方法の有用性を報告したものはない.THAの術後疼痛管理は,低侵襲手術や早期リハビリテーションの利点を最大限に活かすために重要な課題の一つである. 近年,術後疼痛管理の方法としては多様式鎮痛(multimodal analgesia)の概念が普及している1).多様式鎮痛は異なる作用機序の鎮痛方法,鎮痛薬などを組み合わせることにより,多角的に鎮痛を行い,さらにそれぞれの鎮痛方法や薬剤の副作用を低減する方法である. 多様式鎮痛で使われる薬剤のなかで,NSAIDsは消炎鎮痛効果があるため,術後鎮痛の基本的薬剤となっているが,消化性潰瘍のリスクがあるため最近ではCyclooxygenase-2(COX-2)選択的阻害薬のセレコキシブが多く用いられるようになっている.アセトアミノフェンはその作用機序は明確に解明されてはいないが,NSAIDsとは作用機序が異なりCOX阻害作用がないため,NSAIDsで懸念される消化性潰瘍や腎障害,抗血小板作用など副作用が少ないとされる2).このため多様式鎮痛では,ほかの薬剤と併用しやすい薬剤とされており,欧米での術後疼痛管理におけるガイドラインでは,禁忌でない限り,NSAIDsとアセトアミノフェンを併用することが推奨されている3,4). 以前にわれわれは,THAの術後鎮痛におけるアセトアミノフェン点滴製剤の有用性を報告した.しかし,現状,本邦ではアセトアミノフェン点滴製剤の保険適用は経口摂取困難な術後となっているため,経口摂取が可能になった後には内服に切り替える必要がある.これまで,THAの術後疼痛管理においてNSAIDsとアセトアミノフェンの内服を併用した報告はない.本研究の目的は,THAの術後鎮痛におけるCOX-2阻害薬(セレコキシブ)とアセトアミノフェンの内服を併用した鎮痛方法の有用性を明らかにすることである.
著者
丸山 真佐夫 齋藤 康之 栗本 育三郎 渡邊 孝一 倉持 憲司 青柳 宏昭
出版者
独立行政法人 国立高等専門学校機構 木更津工業高等専門学校
雑誌
木更津工業高等専門学校紀要 (ISSN:21889201)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.13-18, 2016-01-29 (Released:2017-02-10)
参考文献数
7

This paper shows a construction and operations of high performance computing servers. The servers which introduced in 2013 were funded in a revised national budget. This server system contains computing servers which contain many-core processors, a general purpose server which has very large scale memory, and a high speed file server. They are connected by 1 or 10 Gbps high speed networks. This server system can provide very effective computational environment, and is very useful for research and education.
著者
三宅 紀子 酒井 清子 遠藤 知江美 笠原 範子 中山 麻世 野口 佳奈 倉田 忠男
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.64, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 生活習慣病の予防にビタミン、食物繊維などを豊富に含む野菜の摂取の重要性は高まっている。浅漬けは日本型食生活によく合う調理・加工法であるが、これまで浅漬けのビタミンC(VC)に関する研究はほとんど行われていない。本研究ではキャベツを用いた浅漬けモデル系における浅漬けのVC含量に対する漬け液中の調味料の影響について調べた。さらに漬物製造過程でVCを添加することにより積極的にVC含量を高め栄養性を向上させた浅漬けの可能性についても検討した。 【方法】 調味料の影響については、市販のキャベツを4種類の調味料(グルタミン酸ナトリウム、食酢、ソルビトール、醤油)をそれぞれ添加した漬け液(食塩濃度;5.5%)に4℃で約18時間漬けて浅漬け試料とした。またVC添加の浅漬けについては、漬け液(食塩濃度;5.5%)に0.1~2%のVCを添加して同様に漬けた。浅漬け中のVC量はHPLC法で測定した。 【結果】 漬け液中の各種調味料の影響についてはグルタミン酸ナトリウム、ソルビトール、醤油は影響を及ぼさなかったが、食酢を添加した場合に対照(食塩のみ)と比較してVC含量が約30%減少し、逆に食塩含量は約1.3倍高くなった。食酢を添加した場合、浅漬け後の漬け液中に、キャベツ中のVC含量の約20%に相当するVCが認められた。酢酸が植物組織の構造変化をもたらし、VCの溶出および食塩の浸透を増加させた可能性が示唆された。また、キャベツ浅漬けモデル系で漬け液にVCを添加したところ、1%および2% VC添加により浅漬け中のVC含量はそれぞれ約200 mg/100g 、400 mg/100gに増加した。1%VC添加試料の嗜好性について官能評価を検討中である。
著者
秋山 正行 片倉 友義 渡邊 武俊 今吉 有理子 池田 三知男 市橋 信夫 大西 正展 岩渕 久克
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.76-83, 2012-02-15
参考文献数
12
被引用文献数
1

(1) ゲーブルトップ紙容器の透過香気成分を捕集するガラス製装置を作製した.<BR>(2) グレープティーの透過香気成分の捕集条件を検討した結果,SPMEファイバー種:PDMS/DVB,捕集温度:10℃,捕集時間:30分間,捕集タイミング:24時間静置後,に設定した.<BR>(3) ノンバリアとバリア容器種間で,香気成分量に差が認められるグレープティーの透過香気成分を明らかにした.特にエステル類において差が顕著であった.<BR>(4) 容器種間で透過香気の匂い強度が顕著に異なる,6種の匂い成分(ethyl 2-methylpentanoate, ethyl butanoate, ethyl 2-methylbutanoate, ethyl 3-methylbutanoate, ethyl 2-methylpentanoate, methyl anthranilate)を明らかにした.
著者
鎌倉 真音 大石 岳史 高松 淳 池内 克史
雑誌
じんもんこん2005論文集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.55-61, 2005-12-16

歴史的な建造物や文化遺産から取得した3次元モデルは,現状を永久に保存できること,修復作業のガイドラインに使用できることなど非常に有用性が高い,また,このような3次元モデルを用いた形状の比較や様々な手法による分類などは考古学にとても有益であるとされている,大小52の塔からなるバイヨン寺院は,カンボジアアンコール遺跡群の代表的な寺院のひとつであり,塔の東西南北に尊顔が刻まれているというユニークな特徴を有する.日本国政府アンコール遺跡救済チーム(JSA)の調査によると,尊顔は全部で173現存し,デーヴァ(男神),デヴァター(女神),アシュラ(悪魔)の3種類に分類できると言われている.また,多数の職人で形成されたグループが複数存在し,同一のグループによって制作された尊顔は類似していると言われている.本論文では,レーザレンジセンサを用いた計測により取得した尊顔の3次元形状モデルを用いて,定量的な尊顔の分類・分析を行う,そして,この分析から尊顔の制作背景を考察する,
著者
小川 聡子 名田部 明子 中野 彩 鈴木 知子 倉林 志保 石野 啓子 岡村 紀宏 野口 百香 牧角 寛郎 丸山 泉
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.348-351, 2021-04-01

公益社団法人全日本病院協会(以下,全日病)は,2013年に「全日本病院協会プライマリ・ケア宣言2013」を発表した.少子高齢化が進む社会で,病院医療におけるプライマリ・ケアの重要性を認識し,新たな行動目標として「在宅医療,在宅介護対応,認知症対応へ積極的に取り組むこと」を宣言したのである.この宣言の下,プライマリ・ケア委員会を立ち上げ,「病院医療ソーシャルワーカー研修会」(2014年から),「認知症研修会」(2014年から),「総合医育成プログラム研修」(2018年から)を主催している. 「病院医療ソーシャルワーカー研修会」(以下,本研修会)は,日本医療社会福祉協会と協働して年2回開催し,1回目は病院医療ソーシャルワーカー(以下,病院MSW)対象,2回目は同じ施設からMSWと多職種の同時参加を原則としている.全国から医療機関に勤める多職種が一堂に会し,MSWだけではなく,病院経営者,多職種も共に学び,前進してきた7年間であった.