著者
岩倉 成志 新倉 淳史 高平 剛
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.2004, no.765, pp.39-48, 2004

本研究では経路選択行動におけるサービス水準の知覚誤差を分析する. 離散選択モデルは分析者側が設定したサービス水準を用いることが通常だが, 特定の経路に系統的な知覚誤差が発生する場合は, 知覚誤差をランダム項で吸収できない. 東海道線と横須賀線の利用者を対象に知覚誤差の分析を行った結果, 所要時間や混雑率に大きな知覚誤差が発生すること, またその要因として過去のサービス悪化の記憶や個人の路線の評価, 情報探索性向などが影響することを明らかにした. 以上の観察結果をもとに, サービス水準の知覚誤差モデルを構築するとともに, 選択肢集合の形成と選択行動を同時表現するPLCモデルで習慣強度を考慮した経路選択モデルを検討した.
著者
黄 錫炯 辻野 嘉宏 都倉 信樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.1003-1011, 1995-04-15
参考文献数
10
被引用文献数
1

オブジェクト指向プログラミングにおいて、品質の良いプログラムを作成するためには、プログラムの性質と構造などを厳密に理解した上でプログラムの複雑さを減らすための方法を考える必要がある。オブジェクト指向プログラムでは、プログラムの複雑さはクラスの間のメッセージ転送より発生するクラス間の相互依存関係に起因する。この考え方に基づいて、クラス間の不必要な相互依存関係を減らすためのプログラミングスタイルに関する規則としてデメテノレの規則(TheLawofDemeter)が知られている。しかし、その定義が非常に暖味であるため、いろいろな解釈が生じる恐れがあり、実際にプログラムに適用する際には問題がある。本論文では、従来の非形式的なデメテルの規則を実際のプログラムに適用、評価するために、クラス間の関係として継承と集約、そして関連などの諸定義を行い、それらを用いてデメテルの規則を定式化する。またデメテルの規則の判定アノレゴリズムと、デメテルの規則に違反したプログラムに対する変換方法について述べる。
著者
板倉 勝高 井出 策夫 竹内 淳彦 北村 嘉行
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.403-424, 1964-08-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
25
被引用文献数
3

本研究は日本の工業を地域的に把握するために,最大の集中地域である京浜工業地帯の地域構造を明らかにしようとしたものである.そのために,まず工業地帯の領域を合理的に設定したうえで, 30人以上全工場の業種別分布図を基礎にして地帯内の工場分布を分折するとともに,工場間の地域的結合関係,すなわち生産構造を明らかにした. 京浜の工業において占める重化学工業の割合は厳密にみると極めて低く,工業地帯を特色づけるものではない.したがって,重化学を主体としている臨海地域のもつ意義は小さい. 京浜の工業を特色づけるものは自動車,テレビ,カメラなど耐久消費財を中心とする組立工業と,日用消費財を中心とする雑貨工業とであって城南と城東とを核心とした生産組織をそれぞれ形造っている.核心地域における工場は両部門とも,技術的にも特殊化され,また,同一製品の生産量が少ない製品を小単位ずつ,多くの種類にわたって生産している,すなわち「多種,小単位,特殊」生産を特色としており,それらが相互に強い結合関係を有しながら集中しているものであり,これを中心的大都市工業の特質と考えることができる.工業地域の拡大も,核心地域内における生産関係の変化によるものであり,したがって,京浜工業地帯の地域構造も,この核心地域によって規定されている.
著者
鶴田 啓亮 關 匡彦 井上 剛 至田 洋一 淺井 英樹 倉 知彦 中野 健一 川井 廉之 前川 尚宜 福島 英賢 奥地 一夫
出版者
日本神経救急学会
雑誌
日本神経救急学会雑誌 (ISSN:16193067)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.35-39, 2016-06-11 (Released:2016-09-01)
参考文献数
10

Cerebral Fat Embolism (CFE) is known as potentially fatal complication of bone fracture. Patients with CFE develop variable and nonspecific clinical manifestations like a headache and disturbance of consciousness. Brain MRI has been reported to be the most sensitive method for diagnosing CFE, but conventional MR sequence is not sufficient for detecting CFE because some kind of pathological changes shows similar findings. We report a 74-year-old female with unstable pelvic fractures and diffuse axonal injury from traffic accident subsequently associated with cerebral fat embolism successfully diagnosed using susceptibility-weighted imaging (SWI). Brain MRI performed on day 6 revealed multiple high intensity lesions on diffusion-weighted imaging (DWI) in gray-white matter interface which may indicate cytotoxic edema due to DAI. We confirmed the diagnosis of CFE to find the presence of numerous petechial hemorrhages located predominantly in the white matter on SWI.
著者
中原 一有 片倉 芳樹 奥瀬 千晃 足立 清太郎 中津 智子 高木 麗 伊東 文生
出版者
一般社団法人 日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.107-112, 2011 (Released:2011-06-13)
参考文献数
18
被引用文献数
1

要旨:症例は62歳,63歳,72歳の男性.原疾患は胆管結石2例,慢性膵炎1例といずれも良性疾患の正常胃症例で,ERCP時にスコープによる十二指腸穿孔をきたした.穿孔部位は下行脚が2例,上十二指腸角が1例で,穿孔方向は後腹膜が2例,腹腔内が1例であった.原因はいずれもスコープのストレッチ操作によるものであった.術者はいずれもERCP経験が40件未満であった.2例は穿孔後早期に腹部症状の増悪と腹膜刺激症状の出現を認め外科手術を要したが,後腹膜穿孔の1例は腹部症状が軽微で保存的加療のみで改善した.なお全例軽快退院した.ERCP時のスコープのストレッチ操作で十二指腸穿孔を来す恐れがあり,特に腹腔内穿孔や腹部症状が増悪傾向を示す場合は早急な外科手術による対応を要する.一方,身体所見や血液検査の炎症所見に乏しい後腹膜穿孔では保存的加療のみで改善が得られる場合がある.
著者
小倉 能理子 阿部 テル子 齋藤 久美子 石岡 薫 一戸 とも子 工藤 せい子 西沢 義子 會津 桂子 安杖 優子 小林 朱実
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.2_75-2_83, 2009-06-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
25

看護職者の患者指導に関する教育的機能を高めるための教育プログラムおよび教育・指導技能評価ツール開発にむけて,その基礎資料を得るために看護職者の患者指導に対する考えと実施の実態を調査した。その結果,看護職者は,患者指導を重要と考えているが実施は十分ではないことが示された。中でも,患者とともに指導を進めること,指導を計画的に行うために事前に調整が必要なことが行動につながっていなかった。指導形態では,指導計画の立案が不十分であることが把握された。それは,学習理論をふくむ教育方法に関する知識・技術が不十分であることが一因と考えられた。以上のことから,現職看護職者の患者指導に関する教育的機能を高めるためには,教育方法の理論・技術に関する基礎知識,教育の基本原理などの項目を看護基礎教育あるいは新人教育プログラムに盛り込む必要があると考えられた。
著者
倉橋 愛
出版者
日本南アジア学会
雑誌
南アジア研究 (ISSN:09155643)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.30, pp.36-52, 2020

<p>インドで統治業務に就く文官の質を高めるべく、1800年にウェルズリー総督(Richard Colley Wellesley, 1760-1842)によって、カルカッタ(現コルカタ)にフォート・ウイリアム・カレッジが設立された。本稿においては、同カレッジにおいて実施された試験と、ディベート大会である公開討論会について取り上げている。試験の実施頻度については、先行研究において、様々な記述がなされてきた。試験の結果を基に、学生のクラス分けが行われ、賞金やメダルを授与する制度も存在していた。1830年代から授業が不開講となり、その代わりに口述と筆記の試験が隔週で実施されることとなったが、このことについては先行研究において殆ど言及されてこなかった。公開討論会は、インド統治に関連した議題について、インド現地語で実施された。この討論会の大きな目的として、イギリスによるインド統治の正当性を示すことが挙げられる。そうした点において、この討論会はディベート大会以上の重要な意味を持つ行事であったと言える。</p>
著者
岡倉 徹志
出版者
時事通信社
雑誌
世界週報 (ISSN:09110003)
巻号頁・発行日
vol.77, no.35, pp.54-58, 1996-09-24