著者
内山 智裕
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.72-77, 2011-06-25 (Released:2013-04-24)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

In the USA, farm and forest land ownership by aliens must be reported to the federal government. In some states, the restrictions are stricter than in others. By analyzing the code of each state, this study reveals that these states control aliens’ land ownership by limiting their acreage, confining the eligibility of business entities, or checking the citizenship of landowners and that some states prohibit the ownership of public land by aliens. Therefore, most of the farmland in the Midwest and the western states is protected from alien ownership.In the USA, land ownership by aliens is observed mainly on forest land.In order to achieve the proper use of farm and forest land, Japan should replicate the US land management system that controls alien land ownership. One important implication is that farm and forest land should be controlled integrally, not separately.
著者
内山 智尋 Chihiro Uchiyama
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Hyoron Shakaikagaku (Social Science Review) (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.133, pp.137-159, 2020-05-31

超少子高齢化社会である日本では今,「地域」の果たす役割に期待が高まっている。幾度にもわたる介護保険の改正や「ニッポン一億総活躍プラン」,「地域共生社会」,「我が事・丸ごと」など国から出される方針はどれも地域住民の積極的な地域活動への参画を期待したものである。一方で地域では社会的孤立の問題などが深刻化し,地域における互助的機能も弱体化しており,理想と現実のギャップは大きい。本稿の目的は,地域共生社会の推進が難しいのは,国の政策や制度と住民が抱える課題の乖離にあることを指摘し,その解決策を事例分析や理論研究から導き出すことである。住民参加の意味を改めて問い直し,そこで果たすコミュニティソーシャルワーク(以下CSW)の効果的な取り組み方法について,ソーシャルクオリティの包括的視点やエンパワーメントの考え方,また筆者自身のコミュニティサポーターとしての経験から横断組織的な制度や活動の重要性を強調している。住民の参加と社会の発展は車の両輪のような関係であり,互いの相互作用により地域コミュニティが成熟化し,このような関係性の先に地域共生社会があることを提示している。論文(Article)
著者
内山 智裕 Sruamsiri Pittaya Jarupanthu Chantaree 内山 智裕 スワムシリ ピタヤ ジャルパンツ チャンタレー
出版者
三重大学大学院生物資源学研究科
雑誌
三重大学大学院生物資源学研究科紀要
巻号頁・発行日
no.37, pp.19-30, 2011-02

タイは世界最大のパイナップル生産国であるが, 日本への生鮮パイナップルの輸出量は極めて小さい。本論では,タイ産生鮮パイナップルの対日輸出拡大の可能性を探るべく,消費者に対するアンケート調査およびパイナップル市場に関する統計と専門誌レビューによる整理分析を行った。その結果は以下の通りである。①消費者はタイ産「ベビーパイナップル」の食味を概ね評価しているが,価格評価は高くなく,売上拡大の可能性と課題を有している。②タイ産パイナップルの対日輸出を見ると,缶詰や果汁では支配的な地位を占めているが,缶詰の国内市場は縮小傾向にある。③データは不足しているものの生鮮パイナップル流通では一部の企業が寡占的な位置を確立しており,シェア拡大のためにはこれらの企業と提携が重要となることが明らかになった。2007年の日タイEPAの計画の1つは,農業の持続的発展および食の安全性確保に向けた協力の促進である。 企業間の連携だけでなく,共同研究による日タイ間の協力の推進も必要であるといえる。
著者
内山 智裕 西嶋 亜矢子 Tomohiro Uchiyama Ayako Nishijima
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.12-23, 2022-06-21

本論では,米国におけるとうもろこし・大豆の現地調達から輸入までを担う日系商社の企業行動と経営戦略の展開を,2010年以降の米国における穀物流通業の構造変動とともに考察した。分析方法は,入手可能な媒体における日系商社の米国穀物事業に関する情報(プレスリリースや新聞・雑誌記事など)から各社の動向を整理するとともに,その情報を元に各社の担当者に聞き取り調査を行う方式をとった。また,生産者の事情・意向を確認するために,とうもろこし・大豆生産者でアイオワ州立大学エクステンション職員にインタビューを実施した。その結果,1)各社とも,米国内陸部の集荷網を拡充しており,長期的関係の構築,生産地の情報収集,コスト削減,Non-GMO対応,といったメリットがあること,2)穀物集荷業の構造再編が進む中で日系のシェアが伸長していること,3)生産者が農場内貯蔵施設を拡充し,集荷業者に対する交渉力が向上していること,4)中国が米国内陸の集荷網に進出する可能性は低いが,価格上昇圧力につながる可能性があること,などが明らかになった。一方,穀物メジャーと日系商社の戦略を比較すると,穀物メジャーは世界的に事業を展開し,加工部門から利益を獲得しているのに対し,日系商社は日本の国内市場での穀物販売に依存している。そして,日本における少子高齢化に伴うマーケット縮小に加え,日本の港湾・飼料業界の再編の行方も不安材料となるため,1)資材や加工分野の拡大,2)日本以外での収益性のある販売の確立が,日系商社による穀物ビジネスの今後の課題となると結論づけた。
著者
内山 智裕
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.104-109, 2010-06-25
参考文献数
5
被引用文献数
1

農業における労働力不足を解消するために雇用労働力とりわけ外国人労働力に依存する傾向は、今後強まっていくことが予想される。外国人研修生の受け入れは、労働力確保ではなく開発途上国への技術移転を本来の目的とする。しかし、農業分野でも研修生の所定時間外作業や技能実習生への労働関係法規違反などの不正行為認定件数が2007年度に449件報告されるなど、制度の趣旨と実態にはかい離が見られる。これらの問題に対応し、平成21年度の入管法改正では研修生・技能実習生に国内労働関係法令を適用し、労働者としての権利保護を強化している。この改正そのものは、外国人研修・技能実習制度の趣旨を変更するものではないが、我が国全体の少子高齢化の状況に鑑みれば、農業分野における労働力不足を解消するために、外国人労働力に依存する必要性が今後高まることは不可避であり、その制度設計の検討が重要である。そこで本論では、季節性の強い農業分野における外国人労働力の受入制度を我が国が設計するにあたっての合意を導くことを目的として、イギリスにおける非熟練外国人季節農業労働者受入制度(SAWS)の変遷と実態を分析する。
著者
小林 尚輝 内山 秀樹 山本 仁 神尾 誠也 木下 拓史 島野 誠大 武井 大 松山 福太郎 内山 智幸 内田 匡 石代 晃司 渡辺 謙仁
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.79-86, 2020-06-10 (Released:2020-09-05)
参考文献数
15

2013 年の調査では日本の高校生の理科の有用感は米中韓と比較し低いが,一方で天文や宇宙開発への関心は高い。そこで,これらと関連し,理科の有用感も増す可能性のある教材として人工衛星電波受信実験に着目した。 受信実験の中では万有引力による運動やドップラー効果など高校物理で学ぶ多くの内容がわかりやすい形で現れ,物理や数学と科学技術との繋がりを実感できる。我々は科学教室と高校授業で実践を行い,理科の有用感と物理内容の理解の向上に対する効果を検証した。結果,多様な学生を対象とする高校授業の実践において効果が確認できた。
著者
内山 智枝子 武村 政春
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.167-172, 2018 (Released:2018-10-29)
参考文献数
8

現行の高等学校学習指導要領における生物教育では,高校生の9割以上が履修する「生物基礎」において,セントラルドグマの概念の理解が求められている.セントラルドグマのメカニズムを説明するためには,DNAとRNAの役割の違いを区別することが不可欠である.しかし,大学生を対象とした国内外の調査から,「複製」と「転写」に関する混同が報告され,高校生を対象とした調査でも,DNAとRNAの構造や構成成分の概念構築が曖昧であるとの問題提起がなされている.そこで本研究では,最終的な目標であるセントラルドグマの理解に不可欠な「複製」と「転写」におけるDNAとRNAの役割を,高校生が区別しているかどうか現状を把握し,その原因を追究することを目的として,高校1年生「生物基礎」履修者を対象に質問紙調査を実施した.質問紙調査の結果,「複製」と「転写」におけるDNAとRNAの役割を区別していない生徒の存在と,どのように混同しているのかその実態が明らかになり,記号や模式図,岡崎フラグメント,相補的結合が起こる鎖の数,「複製」や「転写」の必要性に対する誤った理解が,混同の要因となっていることが示唆された.このことから,提示するメカニズムの内容と使用する記号や模式図を生徒の実態に合わせて検討すること,「複製」や「転写」の必要性を強調し相補的結合に関する知識の転化を促すように学習環境や授業デザインを工夫することが,生徒の混同の解決につながるのではないかと考える.
著者
田村 夢果 内山 智裕 井形 雅代 Yumeka Tamura Tomohiro Uchiyama Masayo Igata
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.81-86, 2022-09-16

新型コロナウイルス感染症は,花き業界にも多大な影響を与えた。特に2020年3~5月の第1波では,業務用需要が大幅に減少した結果,大量の花が廃棄され,「フラワーロス」と称された。しかし,小売店での売れ残りに伴うロスや,出荷規格から外れたことによるロスなど,花の廃棄の問題は以前から存在している。本論は,小売業者による花の廃棄問題への対策の内容を解明し,コロナ禍における状況変化を明らかにすることを目的とした。そして,花の廃棄対策に積極的に取り組む小売業者3社の事例分析により,以下の2点を明らかにした。①発生を抑制・減量化するために,規格外品の販路の開拓,サブスクリプションサービスやオンラインD2C販売など流通の短縮化,販売数の確定や正確な予測などに取り組んでいる。②対策を行ったうえでも発生するロスを活用して,堆肥化などの新たな製品にリサイクル・アップサイクルしている。また,コロナ禍におけるフラワーロスへの関心の高まりが,広い範囲での花の廃棄削減に効果を発揮していることも明らかにした。
著者
山西 友典 布施 美樹 内山 智之 柴田 千晴
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.11-16, 2014 (Released:2017-05-11)
参考文献数
14

排尿障害 (下部尿路機能障害) には, 蓄尿障害と排尿 (排出) 障害があり, それぞれ膀胱 (排尿筋) 機能障害と尿道 (括約筋) 機能障害に分けられる. 蓄尿障害に対する治療の目的は, 膀胱機能に対しては排尿筋収縮を減弱する (膀胱知覚を抑制する) ことであり, 尿道機能に対しては, 尿道平滑筋, あるいは横紋筋の収縮性を増強することである. 保存療法の行動療法には, 生活指導, 膀胱訓練, 理学療法がある. この理学療法の新しい治療法として, 磁気刺激療法がある. これは尿道括約筋 (骨盤底筋) の収縮性を増強することにより腹圧性尿失禁に, 膀胱の収縮を抑制することにより排尿筋過活動に有効である. 薬物療法としては, 過活動膀胱に対しては, これまで抗コリン薬が主流であった. 新しい抗コリン薬としてフェソテロジンが発売され, また副作用軽減を目的にオキシブチニン経皮吸収型製剤 (ネオキシテープ) が発売された. また新しい機序の薬物療法として2011年にβ3-アドレナリン受容体刺激薬 (ミラベグロン) が発売された. その他の新しい薬物として, ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法などが開発されているが, いまだ日本での適応は認められていない.
著者
内山 智裕
出版者
The Association for Regional Agricultural and Forestry Economics
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.104-109, 2010 (Released:2012-02-24)
参考文献数
5

The Seasonal Agricultural Workers Scheme (SAWS) in the UK has been designed to allow farmers to recruit low-skilled overseas workers to undertake short-term agricultural work. Before 2006, the unique feature of SAWS was that the workers were full-time students pursuing higher education in areas such as agriculture or the English language in their home countries. This indicated that their work experience in the farms in the UK would provide them with significant educational benefits. SAWS changed the eligibility for applicants in 2006 and now specifies that applicants must be either Bulgarians or Romanians but need not necessarily be students. In the present study, interview surveys were conducted on two SAWS operators and these surveys revealed that the quality of the workers has deteriorated after 2006 because of their age and knowledge.By comparing the former SAWS with the revised one, this study recommends that, in the future, the Japanese government draw upon the former SAWS while considering the regulations governing foreign workers.
著者
南石 晃明 土田 志郎 飯国 芳明 二宮 正士 山田 優 金岡 正樹 淡路 和則 内山 智裕 八木 洋憲 西 和盛 澤田 守 竹内 重吉 藤井 吉隆 木下 幸雄 松下 秀介 佐藤 正衛 星 岳彦 吉田 智一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

本研究の目的は、次世代農業経営革新の基礎となる人材育成システム構築に有益な知見を、学際的かつ国際的な視点から体系化することである。主な研究成果は以下の4つに区分できる。第1にスイス、フランス、ドイツ、デンマーク、イギリス、オランダ、スペイン等の欧州主要国の職業教育訓練の現状と課題について明らかにした。第2に、わが国の先進農業経営に人材育成の実態と課題を統計分析と事例分析を組合わせて明らかにした。第3に知識・情報マネジメントの視点から、情報通信技術ICT活用および農作業熟練ノウハウ継承について明らかにした。第4にこれらの知見の基礎的考察と含意を考察し、次世代農業人材育成の展望を行った。
著者
内山 智裕
出版者
日本農業経営学会
雑誌
農業経営研究 (ISSN:03888541)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.36-45, 2011-03-25 (Released:2015-03-20)
参考文献数
26
被引用文献数
1

This study revealed that there is no definite line of demarcation between "corporate farming" and "family farming." A lot of networking organizations and franchise organizations are observed in "family farms." Simultaneously, there are few cases of "corporate farming" that have absolutely no family elements. Nevertheless, across countries and regions, almost all farm businesses share features of both "somewhat familial" and "somewhat business-oriented."In the USA, there are arguments for and against "corporate farming", and some states restrict corporations from entering farming by prohibiting them from acquiring farmland. The main reasons against "corporate farming" are concerns about (1) a decrease in the number of family farms, (2) rural economy decline, (3) monopolistic and oligopoly markets, (4) environmental impacts, and (5) animal welfare. However, in fact, a main cause for these changes could well be technological changes, while "corporate farming" may not always be the main cause. On the other hand, a vital condition for "corporate farming" in crop production is economies of scale, with a previous study suggesting that economies of scale have been observed in very large family farms, and thus the viability of non-family corporate farming may be verified even in the USA. Another issue being discussed is the definition of "family farm." If the definition is changed with respect to land ownership, labor and farm size, the number of farms that could be classified as "family farm" would be limited substantially.When "corporate farming" and "family farming" are considered, family business studies should be focused. Family business studies observe any firms that are owned in some form on a family-basis, and explore the issues including governance through family and business succession. Farm businesses and family businesses have a lot in common, such as their attitudes to enhance their relationship with the local community. It will become important to consider the viability of farm business development by applying the concept of family business studies.In crop production, it is anticipated that the mainstream of farm businesses will be based on family farms, at least for the time being, and the conditions for increased non-family corporate farming are limited. Therefore, in farm business management studies, it is important to contribute to the development of sustainable business models in any farm businesses that are operated with sincerity. It is also a vital effort to accumulate studies to solve urgent problems in "farm family businesses," including farm succession, family governance, and obtaining business resources in order to put "corporate farming" in perspective.
著者
内山 智裕 西嶋 亜矢子
出版者
全国農業構造改善協会
雑誌
農業経営研究 (ISSN:03888541)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1-11, 2011-12-25
参考文献数
17
被引用文献数
1

米国におけるとうもろこし・大豆の最大の生産地であるアイオワ州における穀物流通業者を調査対象として,これら業者の動向と我が国の今後の食料の安定供給に向けた展望および含意を明らかにすることを目的とする。