著者
臼杵 陽 加藤 博 長澤 榮治 店田 博文 鈴木 均 三沢 伸生
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究ではこれまで看過されてきた戦時期日本の戦略研究としての回教・回教徒研究を積極的に再評価し、戦後展開した基礎的な地域研究としての中東イスラーム地域研究との断続性よりもそれへの継続性に力点を置いて検討することを目的とした。本研究による研究成果としては以下の四つの領域に分類することができる。第一に、アフガニスタン関係資料として、尾崎三雄家所蔵資料の整理・公刊である。第二として、戦時期日本の回教・回教徒研究に関しては、早稲田大学中央図書館に所蔵の大日本回教協会の映像資料「大日本回教協会関係写真資料(Photography of the Greater Japan Muslim League)Ver.1」のCD-ROM化、また、2006年1月にトルコ共和国アンカラにおいて行なったシンポジウム「戦時期日本のイスラーム政策」の成果の一端を『日本中東学会年報(The Annal of the Japan Association of Middle East Studies)』第23号の特集「第二次世界大戦前の日本と中東(Japan and the Middle East before World War II)」として刊行した。第三として、大日本帝国領に亡命していたタタール系ムスリムによって刊行されていたタタール語等の雑誌・新聞類の整理に関しては、第二次世界大戦中に旧満州国ハルビンで刊行されていたタタール語紙『ミッリー・バイラク』に掲載された写真を一枚のDVDにまとめた『Photography Collection of Milli Bayrak(Mukden,1935-1945)Ver.1』としてDVDを刊行した。第四として、戦前日本の回教・回教徒研究を推進・組織化した東亜経済調査局理事長であった大川周明が第一次世界大戦後に多くの論考を投稿していた道会雑誌『道』に掲載された大川周明の論考をデータ化してまとめた。
著者
加藤 博之 松谷 秀哉 小林 只 大沢 弘
出版者
弘前大学21世紀教育センター
雑誌
21世紀教育フォーラム
巻号頁・発行日
no.11, pp.31-37, 2016-03-31

【背景と目的】医学部1 年生に対し、入学後のモチベーションの低下を防ぎ、能動的な学習姿勢を修得させ、さらに医師のプロフェッショナリズムを涵養する教育方法は、未だ確立されたものがあるとは言い難い。本学では1 年次に「臨床医学入門」の授業を通年で行なって、この問題への対応に努めており、本稿では本科目の全体像について報告する。【対象と方法】1 年次学生を対象とし、平成21年度より開講している科目「臨床医学入門」は毎週水曜の午後行われる。教育方法は講義、実習、演習(ワークショップ)など多岐にわたる。授業内容としては、(1)「こんな医師になりたい」をテーマに作文を書き、同級生全員の前で自己紹介を兼ねて発表、(2)「患者さんの願いと医師が果たすべき役割」をテーマとしたワークショップ、(3)「弘前大学医学部の歩みとこれから」の講義、(4)アーリーエクスポージャー、(5)地域医療の最前線の医師による講義「現場の医療を知ろう」、(6)コミュニケーション実習「模擬患者さんと話してみよう」、(7)地元について知る講義「津軽学」、(8)まとめのワークショップ、などから成っている。これらの教育内容はいずれも、Intrapersonal professionalism、Interpersonalprofessionalism、Public professionalismの涵養に通じるものである。これらは医師になる者の基本であり、特に本学学生の約半数を占める地域枠入学者のPublic professionalismの修得は重視されている。【結論】プロフェッショナリズムの涵養に焦点を当てた初年次教育は、長期的な効果が期待できる。
著者
清水 哲哉 中津 亨 宮入 一夫 奥野 智旦 加藤 博章
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of Applied Glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.161-167, 2004 (Released:2008-03-24)
参考文献数
28
被引用文献数
1 2

エンドポリガラクツロナーゼ(EndoPG)は,inverting型の加水分解酵素であり,その触媒機構の詳細は不明であった。本研究では,リンゴ銀葉病菌(Stereum purpureum)の病徴発現蛋白として単離されたEndoPG Iを用いて触媒機構の解明を目的としてX線結晶構造解析を行った。イオンスプレー型質量分析装置を用いたEndoPG Iの糖鎖修飾の分析結果からEndoPG Iの結晶化には,3種のアイソフォーム,EndoPG Ia,Ib,Icのうち糖鎖の最も少ないEndoPG IaをEndoHで糖鎖切断した脱糖鎖型EndoPG Iaを用いた。この脱糖鎖型EndoPG IaをPEG 4000を沈殿剤に用いたハンギングドロップ蒸気拡散法により結晶化した。得られた結晶は,空間群P1に属し,格子定数はa=37.26 Å,b=46.34 Å,c=52.05 Å,α=67.17°,β=72.44°,γ=68.90°であった。この結晶を用いて大型放射光施設SPring-8によりX線回折実験を行った。結晶構造の決定は,多波長異常分散法で行った。SPring-8で収集したデータを用いて初期位相を決定し,最終的に0.96 Å分解能でR値11.4%,Rfree値14.0%という超高分解能のEndoPG Iの構造モデルを得た。得られたEndoPG Iの構造は,10回の完全ターンの平行β-へリックス構造であった。さらに反応生成物であるガラクツロン酸(GalA)を1分子を含むbinary複合体と2分子含むternary複合体の結晶構造を1.00 Åおよび1.15 Å分解能で決定した。binary複合体において1分子のピラノース型(GalpA)の結合がみられた。GalpAの結合位置は,活性残基と推定されているAsp153,Asp173,Asp174の還元末端側にあたることから,GalpAは+1サブサイトに結合していると考えられた。一方,ternary複合体においては,GalpAの他に,フラノース型のGalfAの結合がみられた。GalfAの結合位置は,活性残基の非還元末端側にあたる-1サブサイトと決定された。+1サブサイトでは,三つの塩基性残基,His195,Arg226,Lys228がGalpAのカルボン酸の結合に関与していた。一方,-1サブサイトでは,特異なcis型のペプチド結合がGalfAのカルボン酸の認識に関わっていた。そこで,二つのガラクツロン酸の結合状態を基に,基質の-1,+1結合した2量体部分のモデルを構築し,EndoPG Iの反応機構を検討した。まず,Asp173は切断される基質モデルのグリコシド結合と直接水素結合しうる位置にあった。したがって,Asp173はグリコシド結合にプロトンを供給する一般酸触媒残基と確認された。一方,Asp153とAsp174は,基質のアノマー炭素を求核攻撃すると考えられる水分子と水素結合していた。このことから,Asp153あるいはAsp174が水からプロトンを引き抜き活性化する一般塩基触媒残基と予想された。
著者
竹下 博之 加藤 博和 林 良嗣
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.463-468, 2009-10-25
参考文献数
8
被引用文献数
2

本研究は、鉄軌道線廃止後の代替交通網整備の検討方法について示唆を得ることを目的としている。2006年10月に廃止となった桃花台新交通桃花台線(愛知県小牧市)を対象として、その廃線前後の沿線における交通利便性変化を、土地利用を考慮した評価が可能なポテンシャル型アクセシビリティ指標を用いて評価した。その結果、代替公共交通網により名古屋市方面への交通利便性は維持されているものの、小牧市内へのそれは大きく低下していることが明らかとなった。この結果と、独自に実施した廃止に伴う住民の交通行動変化に関するアンケート調査結果とを比較したところ、おおむね合致していることがわかった。このことから、鉄軌道廃止後の公共交通網検討のための評価指標として、アクセシビリティ指標を用いることが可能であると考えられる。
著者
加藤 博子
巻号頁・発行日
2006-03-27

名古屋大学博士学位論文 学位の種類:博士(文学) 学位授与年月日:平成18年3月27日
著者
加藤 博
出版者
東京大学東洋文化研究所
雑誌
東洋文化研究所紀要 (ISSN:05638089)
巻号頁・発行日
no.99, pp.p153-245, 1986-02

Briefly speaking, the socio-economic history of modern Egypt from the mid-nineteenth century is characterized by the usually implicit, but occasio-nally explicit conflict between the following two categories of landlords both of which emerged from the collapse of the so-called "landholding system of state ownership" in the reign of Muhammad (Ali (ruled 1805-1848); the first is the ruling class of Turkish origin, and the second is the village notables. The aim of this article is to analize the background of the latter's authority, based on an unpublished document classified in the Egyptian National Archives (Dar al-Watha) iq al-Qawmiya) as "Mahafiz Ma (iya Saniya Turki, carton no. 5, document no. 300". This document is an investigation report from the Ministry of Treasury to the Legislative Committee (Majlis al-Ahkam), in respect to the three lawsuits against the chief ( (umda) of Village "Abu Sineta" in Menufiya Province on his illegal confiscation of the villagers'properties. Its description is so detailed that it is possible from it to reconstruct the social structure and human relations in the society of the above village, and to discuss the social, economic and political background of its (umda's authority, a typical village notable in the mid-nineteenth century Egypt, whose influence extended over the local and the central administration as well as the village administration.
著者
加藤 博文 佐藤 孝雄 米田 穣 安達 登 石田 肇 蓑島 栄紀
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

昨年度に引き続き、礼文島に所在する浜中2遺跡の調査を継続し、アイヌ民族文化形成過程を考古学的に検証できる資料の蓄積に取り組んだ。特に調査区南側においては、遺跡上層部の堆積層が撹乱されずに良好に残されていることが判明した。層位的にオホーツク文化終末期の元地式土器、擦文式土器が出土している。その上層では、アワビ貝集積遺構が確認された。このアワビ貝集積遺構からは、人為的に変形されたマキリやマレック、船釘など鉄製品が出土している。年代的には、近世江戸期から明治初頭に遡ることが出土資料から推定される。集積されたアワビ貝には、金属製のヤスで刺突した際に開けられた断面四角形の穴が確認できる。アワビ貝の集積遺構は、層位差があることが確認でき、アワビ貝の採集がかなりの幅の持って連続的に行われたことが確認できた。2017年度に出土したオホーツク文化期初頭に属する墓から出土した女性遺体については、形質人類学的な初見が得られ、古代DNA解析も進められている。今後は、DNAの解析を進め、集団系統論からもアイヌ民族の形成過程や、オホーツク文化集団との関係を明らかにする資料の蓄積を図る予定である。民族形成過程に関する理論的考察としては、同時期のヨーロッパにおける集団移住と文化的統合がその後の民族形成に果たした影響について海外の研究者との意見交換を進め、議論を深めた。北海道においても歴史的アイヌ文化に先行するオホーツク文化や擦文文化の成立の背景に集団移住や隣接集団との接触があることが指摘されてきた。本研究では、移住・適応・文化的統合を具体的な事例に即して、理論的検証を進めている。地域集団の動態の背景には、隣接する国家などの政治社会的な動きや、経済交流の影響も大きく、今後検証していく必要がある。
著者
田中 裕貴 加藤 博明
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第31回情報化学討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.P14, 2008 (Released:2008-11-06)
参考文献数
3

化学物質の種々の性質はその化学構造と密接に関連していることがよく知られている。本研究では、分子におけるヘテロ原子の局所的な空間配置に注目し、ヘテロ原子間の三次元距離情報をもとに生成した最小全域木(ヘテロツリー)を定義した。CSDから抽出した一群の化合物データに対してヘテロツリーの生成を行い、その出現頻度を求めるとともに、特徴的なヘテロツリーパターンと活性との相関についても調査を試みている。
著者
清水 瀞 加藤 博史 米沢 貞次郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.1050-1053, 1967-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
18

シクロプロパン環の共役性について検討するため, シクロプロビルベンゼンおよびメチルシクロプロピルケトンについて, それぞれ2種の構造,非bisect形〔A〕とbisect形〔B〕の電子状態を拡張Hückel法を用いて計算しエチルベンゼン,スチレン,メチルイソプ揖ピルケトンおよびメチルビニルケトンの結果と比較した。シクロプロピルベンぜンおよびメチルシクロプロピルケトンのイオン化ポテンシャル, 電子分布およびπ-bond populationを比較することによって,両化合物とも〔B〕構造の方が〔A〕構造より共役能が大きいことがわかった。それゆえに, シクロプロパン環は環平面内にビニル基と同程度の共役能を有することが明らかにされた。
著者
杉浦 栄紀 三輪 富生 森川 高行 山本 俊行 加藤 博和
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.715-723, 2009 (Released:2017-11-29)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

相次ぐ路線バスの縮小・撤退を背景に,自治体が主体となって運営するコミュニティバスを導入する事例が増加している.しかし,利用者が少ないコミュニティバスの運営は自治体にとって大きな負担となっており,交通不便地域における市民の足を維持することが困難となっている.本研究はより少ない費用で実施可能な利用促進策としてバスマップに注目し,既存のバスマップの問題点を整理した上で,新しいバスマップの作成を試みた.新しいバスマップの効果をグループインタビュー調査およびアンケート調査を通じて検証した結果,内容を吟味したバスマップは,グループインタビューにおける議論の活性化に影響を与える可能性を示した.
著者
加知 範康 加藤 博和 林 良嗣 森杉 雅史
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.558-573, 2006
被引用文献数
2

本研究では,生活環境質(QOL)が高い都市空間構造を実現するための居住地立地誘導の方向性を見いだす指標として,都市内各地区における居住から得られる生活環境質の評価指標を「余命」を尺度として定義する.定義した指標を用いて財政的持続性および社会的公平性制約下での都市全体の生活環境質最大化問題を定式化し,さらに,これを都市の居住地立地施策に適用するために,生活環境質を市街地維持費用で除した社会的費用効率(S値)を用いた撤退・再集結地区選定の枠組みに展開する.本手法を実際の地方都市に適用した結果,生活環境質自体は中心部より郊外部の方が高いものの,S値は市街地が拡大する前の既存集落部で高くなり,分散集中型への誘導が望ましいことが示される.
著者
加藤 博己
出版者
駒澤大学
雑誌
駒澤大学心理学論集 : KARP (ISSN:13493728)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.99-105, 1999