著者
永松 美雪 矢野 潔子 原 健一
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.519-529, 2014-01

女子大生および既婚の就労女性とパートナーの避妊に関する要因を明らかにすることを研究目的とした。平成23年10〜12月までに,九州北部地域で,同意を得た女性466名へ調査を実施した。調査項目は,女性とパートナーの年齢,社会的立場,避妊行動,人工妊娠中絶の経験,避妊の意思決定,女性とパートナーの関係性,女性自身と女性からみたパートナーの平等主義的性役割態度,将来の避妊に対する自己効力感で,佐賀大学医学部倫理委員会の承諾を得て実施した。有効回答を得た241名のうち現在パートナーが存在する114名で,妊娠を望んでいる女性11名を除いた103名中,本研究の分析対象は20歳代未婚の女子大生40名と30歳以上既婚の就労女性44名とした。女子大生が避妊行動を実行できることは,避妊の意思決定ができること,女性とパートナーの関係性が良好で,将来の避妊に対する自己効力感が高いことが関連していた。避妊の意思決定ができることは,女性からみたパートナーの平等主義的性役割態度が高いことが影響していた。既婚の就労女性が避妊行動を実行できることは,避妊の意思決定ができること,将来の避妊に対する自己効力感が高いことが関連していたが,女性とパートナーの関係性や平等主義的性役割態度は影響していなかった。
著者
萩原 健一 山河 芳夫 花田 賢太郎
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.155-166, 2009-12-24 (Released:2010-07-03)
参考文献数
106
被引用文献数
2 3

プリオン病(伝達性海綿状脳症)は,生前の確定診断法・治療法が確立していない致死性神経変性疾患である.ヒトの場合,1)全体の8~9割を占める孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD),2)プリオン蛋白質の遺伝子変異による家族性プリオン病,3)病原体プリオンに汚染された医療用具,生物製剤あるいは食物を介した感染を原因とするプリオン病,が知られている.中枢神経系に蓄積する異常型プリオン蛋白質(PrPSc)は病原体と等価であると考えられており,感染型プリオン病患者に由来するPrPScのみならず,孤発性/家族性患者のPrPScも基本的に感染性をもつ.ウシ海綿状脳症(BSE)プリオンの経口摂取が原因の変異型CJD(vCJD)は1996年に英国で確認されて以来,世界で215名の患者が発生している(2009年9月現在,英国NCJDSUデータ).孤発性CJDと異なり,vCJDでは脾臓や扁桃にもPrPScが検出される.このことから,潜伏期のvCJD患者がドナーとなる輸血の安全性が以前から議論されていたが,輸血が原因と疑われる2次感染が英国で5例確認された.本稿では,感染症としてのプリオン病を再考察する.
著者
鈴木 祥之 斎藤 幸雄 樫原 健一 野島 千里
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
構造工学論文集. B (ISSN:09108033)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.627-633, 2003-03-20

To perform seismic reinforcement for traditional wooden structures, it is essential to evaluate the seismic performance precisely in advance. In this paper, the seismic performance of wooden structures is evaluated by using a simple method that can estimate the maximum displacement response by tracing the bearing capacity-deformation relationships of wooden frame in wide range of deformation under a given seismic response spectrum. A design method of seismic reinforcement based on the seismic performance is also proposed. As a case study, the seismic reinforcement of an existing old temple is illustrated herein. The seismic reinforcement techniques actually employed here are reported in detail. To verify the effect of seismic reinforcement, the seismic performance of the reinforced structure is compared with that of the original structure. The proposed procedure for the seismic reinforcement has advantages of effectively profiting the deformability and toughness of wooden frames and of easily applying existing traditional old wooden structures.
著者
針替 明世 藤原 健一 葛西 真理 岩佐 博人 吉村 哲明
出版者
弘前医療福祉大学紀要編集委員会
雑誌
弘前医療福祉大学紀要 (ISSN:21850550)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.27-32, 2015-03-31

死生観とは生と死についての個人の考え方であり、独自の死生観の形成は、患者の捉え方や接し方等の医療の質の向上につながる。一方、死生観は生きがい感や自殺関連行動と関連すると言われており、作業療法教育において学生の死生観を育む意義は大きいものであると推察される。そこで本研究では、作業療法学生を対象に死生観と関連要因について、生きがい感、不安感、感情調整能力として感情労働を調査した。その結果、死生観は、生きがい感、不安感、感情調整能力と相関関係が認められた。しかし、死生観は、死別経験や介護経験、長期臨床実習の経験の有無では有意差が認められないことから、死生観は死別や臨床実習といった経験からの影響を受けにくいことが考えられ、死生観教育の必要性が示唆された。
著者
九里 善一郎 上田 寿 志田 正二 篠原 健一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.350-352, 1960-02-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

粉末状のポリ塩化ビニルを真空中で放射線照射し,後これを空気中で溶媒に溶かして,ゲル分率を測定してもゲル化していないが,照射後真空のまま100℃ に,10分間加熱するか,あるいは真空中で溶媒に膨潤させればゲル化する。また空気中照射したポリ塩化ビニル粉末は,真空中で100℃ に加熱した時にのみゲル化する。アンモニアガス中で照射したものは,そのままで既によくゲル化している。これらの結果より,架橋機構を検討した。
著者
吉野 孝 川島 順 藤城 享 桐山 勉 都築 泉 長谷川 正好 田中 宣郎 栗原 健一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構 一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.137-141, 2011

「欲しいなぁ」と思う情報がドクメンテーションされていないことは良くある。そのような場合には、自分自身でドクメンテーションしてみてはどうだろう。本発表では、特許権の存続期間の延長情報をドクメンテーションした事例を紹介し、必要とする情報がドクメンテーションされていない場合は、自分自身でドクメンテーションすることを推奨する。本発表は、INFOSTA-SIG-パテントドクメンテーション部会 (Patent Documentation Group) の 2011 年度の活動の成果である。
著者
岸本 宏子 羽石 英里 ERICKSON Donna エリクソン ドナ 細川 久美子 鈴木 とも恵 河原 英紀 竹本 浩典 榊原 健一 藤村 靖 新美 成二 本多 清志 中巻 寛子 長木 誠司 八尋 久仁代
出版者
昭和音楽大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

音楽学の学際的な研究の試みとしてとりあげた「ソプラノの声の特性」の研究は、音声学、音響学、物理学、医学、声楽演奏、声楽指導、音楽学、音楽療法等の関係分野それぞれに、有益な収穫をもたらした。しかしそれにも増す成果は、研究の進行と共に個々の分野内の研究成果の枠を超えて、「学際的研究」としての総合的な研究への興味が高まって来た。そして、新たな研究代表者の下、本研究の成果を礎とした新たな研究へと発展的に継承されることである(基盤研究C25370117「歌唱時の身体感覚の解明:MRIによる発声器官の可視化と音響分析を中心とした試み」)。
著者
榊原 健一 徳田 功 今川 博 山内 彰人 横西 久幸 Sommer David E.
出版者
北海道医療大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

声帯振動の3次元計測および音声のダイナミクスについてプロファイリングにおける基礎的検討をおこなった。声帯振動の3次元計測に関しては、新しく構築したステレオ喉頭側視鏡を用い、声帯振動のステレオ喉頭デジタル撮像のステレオマッチングの方法を提案、実装した。それらの方法を用い、発声中にin vivoで記録された高速度デジタル画像から、声帯縁の上下動を分析た。音声のダイナミクスのプロファイリングをおこなうための基礎的な検討として、喉頭全体の筋緊張を反映するとされるパラメータである声門開放時間率を、構造的な音声課題を用いて異なる定義の声門開放時間率と音響パラメータを比較した。
著者
豊島 弘道 並木 脩 林 美代子 市原 健一 小口 茂樹
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.626-626, 1980-07-25

東京女子医科大学学会第46回総会 昭和55年9月27日 東京女子医科大学本部講堂
著者
大川 卓也 仁瓶 善郎 山下 俊樹 林 哲二 杉原 健一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.73-77, 2004-01-01
被引用文献数
14

腸開腹デスモイド腫瘍はまれな疾患で,家族性大腸腺腫症,手術,外傷,妊娠などの既往を有する症例に発生することが多い.今回我々は,小腸間膜原発デスモイド腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は58歳の男性で,56歳時に食道癌の手術を受けた.腹部腫瘤触知・腹痛を主訴に近医受診,腹部腫瘤と診断され当科紹介となった.腹部超音波・CT・MRI・血管造影検査にて小腸間膜に境界比較的明瞭な腫瘤を認め,小腸間膜充実性腫瘍と診断し,腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は110×65×58mmで,組織学的には分化した線維芽細胞と豊富な膠原線維からなり,核分裂像は認めず,Masson染色で青染,Vimentin染色陽性にてデスモイド腫瘍と診断した.腸開腹腫瘍の術前質的診断は困難なことが多いが,本症例のように画像上腫瘍血管像を認めない充実性腫瘍の場合,デスモイド腫瘍も念頭において手術に臨むべきである.
著者
柳田 早織 今井 智子 榊原 健一 西澤 典子
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-8, 2011 (Released:2011-02-18)
参考文献数
18

日本人乳児に関する前言語期音声の詳細な発達過程は明らかになっていない. そこで生後4~10ヵ月時まで月1回の頻度で音声を録音し, 評価者2名が日本人乳児5名の音声を聴覚的に評価した. 日本人乳児の場合も英語圏乳児と同様に (i) 「stage model」に相当する発達段階の設定が可能かどうか, (ii) 段階設定が可能な場合に各段階は重複するのか, (iii) 発達段階における個人差はどの程度か, (iv) 摂食機能と出現音声は関連があるかについて検討した. その結果, 日本人乳児の場合も, 規準喃語が母音的音声や声遊び音声に遅れて出現し発達段階の設定が可能であること, 規準喃語出現以降も母音的音声や声遊び音声が観察され各段階は重複することが示された. また, 観察された音声タイプや出現頻度, 規準喃語の出現時期は対象児間で異なっていた. 離乳食開始に伴い, 口唇を震わせて産生するraspberry (RSP) が増加し, RSPの出現と摂食機能との関連が示唆された.
著者
柳田 早織 今井 智子 榊原 健一 西澤 典子
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-8, 2011-01-20

日本人乳児に関する前言語期音声の詳細な発達過程は明らかになっていない. そこで生後4~10ヵ月時まで月1回の頻度で音声を録音し, 評価者2名が日本人乳児5名の音声を聴覚的に評価した. 日本人乳児の場合も英語圏乳児と同様に (i) 「stage model」に相当する発達段階の設定が可能かどうか, (ii) 段階設定が可能な場合に各段階は重複するのか, (iii) 発達段階における個人差はどの程度か, (iv) 摂食機能と出現音声は関連があるかについて検討した. その結果, 日本人乳児の場合も, 規準喃語が母音的音声や声遊び音声に遅れて出現し発達段階の設定が可能であること, 規準喃語出現以降も母音的音声や声遊び音声が観察され各段階は重複することが示された. また, 観察された音声タイプや出現頻度, 規準喃語の出現時期は対象児間で異なっていた. 離乳食開始に伴い, 口唇を震わせて産生するraspberry (RSP) が増加し, RSPの出現と摂食機能との関連が示唆された.