著者
柴田 瑠美子 古賀 泰裕
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.99-104, 2012

背景:アレルギー疾患の増加には乳児の消化管免疫に関わる微生物の働きの減弱が関連している可能性が指摘されている.そのため,これまでアトピー性皮膚炎における乳酸菌などによるプロバイオティクス効果について多くの検討がなされている.最近,アトピーリスク児におけるオリゴ糖によるプレバイオティクス効果として皮疹発症頻度の低下と腸内ビフィズス菌の増加が報告された.オリゴ糖は難消化性で消化管のビフィズス菌増殖作用がある.目的:オリゴ糖ケストースによる乳幼児アトピー性皮膚炎へのプレバイオティクス効果をRCTにて検討した.方法:食物アレルギーを有する乳幼児アトピー性皮膚炎の便中ビフィズス菌を検査し,12例のビフィズス菌低下児にケストースを12週間投与し,皮疹とビフィズス菌の変化を検討した.29例ではRCTによる効果を同様に検討した.結果:ビフィズス菌は皮疹重症例で低下し,皮疹重症度と逆相関していた.ビフィズス菌低下児へのケストース投与で6週より12週にビフィズス菌増加と皮疹改善効果がみられた.RCTでは,プラセボに比して有意に皮疹重症度の改善がみられ,ビフィズス菌低下群で有意のビフィズス菌増加がみられた.結論:オリゴ糖によるプレバイオティクス効果の機序は明らかでないが,ケストースは腸内細菌叢の健全化と消化管の透過性改善に直接関与する可能性がある.<br>

1 0 0 0 OA 新古画粋

著者
新古画粋社 編
出版者
新古画粋社
巻号頁・発行日
vol.第9編 (光琳), 1919
著者
伊藤 学 古川 浩二郎 岡崎 幸生 大坪 諭 村山 順一 古賀 秀剛 伊藤 翼
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.132-135, 2006-05-15 (Released:2009-08-21)
参考文献数
6

鈍的外傷による心破裂の救命率は低い.救命率の向上のためには診断,治療方針を明確にする必要がある.われわれは鈍的外傷による心破裂例8例を経験した.来院時,全例経胸壁心エコーにより心嚢液貯留を認め,心タンポナーデの状態であった.受傷から来院までの平均時間は186±185分,来院から手術室搬入までの平均時間は82±49分.術前に心嚢ドレナージを行ったのは2例,経皮的心肺補助装置を使用したのは2例であった.破裂部位は,右房3例,右房-下大静脈1例,右室2例,左房1例,左室1例であった.4例に体外循環を用い損傷部位を修復した.8例中6例を救命することができた(救命率75%).診断において経胸壁心エコーが簡便かつ有効であった.多発外傷例が多いが,心タンポナーデによるショック状態を呈している場合,早急に手術室へ搬送すべきである.手術までの循環維持が重要であり,心嚢ドレナージ,PCPSが有効である.
著者
佐古 仁志
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.29, 2019-03-15

本稿は,J・J・ギブソンが提唱している生態心理学的アプローチの観点から,エージェント同士が行う相互作用(相互行為)としての「共感」考察することを目的とする。具体的には,まずアフォーダンスを通じてその関係性が指摘される生態心理学的アプローチ,特にギブソン自身が提唱した情報抽出理論とミラーニューロン・システムの研究を概観する。それから通常混同されている「共感」の区別を行い,その観点から情報抽出理論における「共感」についての考察を行う。さらに,近年,生態心理学的アプローチにおいて提示されているシナジーに関する研究を参照することで,ミラーニューロン・システムとは異なるタイプの「共感」も考察する。
著者
古島 終作 金井 理 高橋 秀智
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.969-974, 1993-06-05 (Released:2009-07-23)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究の結論は以下のようにまとめられる.(1) 手書きの線画の位相情報と幾何情報をもとに, 1枚の線画中で左右対称な頂点と曲線の対応付けと, 2線画間で同一な頂点と曲線の対応付けを自動的に行う手法を提案した。(2) 2次元曲線と3次元曲線との透視変換の関係が明らかである有理Bézier曲線の性質を用いて, 左右対称又は2線画間で対応付けられた2次元曲線を表わす点列から, その点列と投影された曲線との距離が投影面上で最小になる3次元有理Bézier曲線を直接計算する手法を提案した.(3) (1), (2) の手法を統合し, 容易かっ高速に手書きの線画から3次元自由曲線モデルを生成できるシステムを開発し, 手法の有効性を確認した.なお, 本研究は東京工業大学工学部知能化機械研究設備を用いて行われた.
著者
駒木 伸比古
出版者
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.4, pp.29-38, 2011-03-30

本研究は,大店法末期において地方都市郊外に計画されたショッピングセンターを事例として,大型店問題を出店者である企業の経営状況や事業主体である地元自治体,そして地元小売業者といった主体の多面的な利害を踏まえつつ検討した。対象としたのは,大店法に基づき出店の届出が行われたが出店調整の勧告を機に計画が撤回されたのち,ほぼ同規模・同機能のショッピングセンターの出店届出が大店立地法に基づき異なる企業により行われ,出店したケースである。それぞれの出店計画および調整の過程における企業の経営状況,自治体の対応,そして地元小売業者の反応を検討し,法規制の緩和も含め,各主体がどのような利害関係に基づき行動したかを比較・考察した。その結果,①土地区画整理事業に関連する大型店の誘致・出店をめぐる自治体の対応,②出店者の経営状況とそれに関連する法的手続きの利用,③大型店を誘致せねばならない自治体とドミナントエリア拡大をめざす出店者との利害の一致,④大店法の廃止・大店立地法の施行に伴う地元小売業者の大型店出店調整に対する認識の刷新,⑤中心市街地を有する自治体と郊外自治体とでのショッピングセンター出店に対する意識の違いの5点が,本事例の出店プロセスに大きく関わっていることが明らかとなった。
著者
古川 英子 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.246-251, 1980-05-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
4

糖類を吸湿したときの変化について示差熱分析と熱天秤による重量変化を測定した結果次のことがわかった.1) グラニュ糖は150℃付近から部分的な分解に伴う重量減少が始まり, 185℃付近でショ糖分子の分解と考えられる吸熱ピークがみられた.2) 無水ブドウ糖を吸湿させた試料では初め70℃に吸熱ピークがあり, この領域に重量減少もみられた. この段階で吸着水がはなれたと考えられる. さらに165℃に融解に伴うと思われるピークがみられた.3) 結晶ブドウ糖では, 50~80℃の間で急激な重量減少がみられた. この区間に, 含まれている水分のうち, 比較的離脱しやすい水分が蒸発するものと思われる. 次に80~145℃では重量の変化はなく, それ以後急激に重量が減少したのは, 145℃以後結晶水の離脱によると考えられる.
著者
古和 久典
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.194-197, 2019 (Released:2019-11-25)
参考文献数
12

What should we do if the patient complains of a headache?In general, it is essential to first check the vital signs, evaluate the level of consciousness, and decide whether or not it is in an emergency. Headache diagnosis will be followed without medical emergent situation. First of all, you should confirm whether it is “a headache that he/she has never experienced before” or “it is a headache that he/she always repeat”. If it is the former, there is a higher probability of a “secondary headache” which has other causes of headache, and if it is the latter, it may be a chronic headache of “primary headache” as the headache itself is a disease.If you think of a secondary headache, you have to make sure that you don't miss a headache due to an urgent or progressive disease that can not be postponed. According to “Clinical Practice Guideline for Chronic Headache 2013”, in the following cases : (1) headache with sudden onset, (2) headache never experienced before, (3) headache different from the customary headache, (4) headache that has increased in frequency and intensity, (5) headache begins after age 50, (6) headache with neurological deficit, (7) headache in a patient with cancer or immunodeficiency, (8) headache in a patient with psychiatric symptoms, (9) headache in a patient with fever, neck stiffness or meningeal irritation, it is recommended that an aggressive search is necessary in doubt of secondary headache. It is important to keep in mind the characteristics and accompanying symptoms of headaches to search.When considering primary headache that is a disease itself such as migraine, tension–type headache, and trigeminal autonomic cephalalgias, you should be clear whether the diagnosis is migraine, and if it is migraine, how the influence on daily life is.One of the most difficult issues at present in daily practice of migraine headaches is to respond chronic headaches. It is necessary to search for chronification promoting factors that can be intervened and to treat migraine with considering the prevention against it.Although everyone has experienced headaches at least once due to colds, lack of sleep, or hangovers, and headaches are one of the common complaints often encountered in daily practice, there is always the possibility that secondary headaches or severe migraine headaches are included in it. It is hoped that many headache patients will be able to spend their smiles as medical workers deal with appropriate headaches.
著者
古澤 健太郎
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.3-23, 2007-06-09 (Released:2017-07-18)

戦前戦後を通じ、沖縄のキリスト教は沖縄土着の信仰との対峙を迫られてきた。「ユタ」と呼ばれる民間シャーマンの影響力が極めて色濃い沖縄で、外来の宗教は常に土着の信仰について考えさせられていた。そのような状況にあって、戦前、戦後を通してバプテスト派の牧師たちには、シャーマニズムに強い関心をもって活動する傾向が多く見られる。土着の信仰をあるいは批判し、あるいはキリスト教に取り入れ、彼らは沖縄と向き合ってきた。これまで、沖縄におけるバプテスト派キリスト教の伝道は根拠の曖昧なままに語られてきた。しかしながら、いつの時代のいかなる出来事が沖縄バプテストの礎を築き上げたのか、いまだ明らかにはされていない。歴史資料、文献などを用いて、戦前、戦後の沖縄バプテスト連盟にアプローチすることで、土着文化の根強い土地に異文化思想が流入する際の1ケースを提示したい。
著者
古崎 晃司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.303-308, 2020-06-01 (Released:2020-06-01)

ウェブでの情報資源を相互にリンクして公開したLOD(Linked Open Data)は,知識の相互関係をグラフ構造で表したナレッジグラフ(知識グラフ)としても位置づけられる。本稿ではLODをナレッジグラフとして活用するための技術について解説する。具体的には,オープンな知識ベースとして公開されているWikidataを例として,URIによるデータへのアクセス,SPARQLクエリを用いた検索,利用できるツール類といった技術を中心に紹介する。さらに,同様の技術が利用できるLODを国内での公開事例を中心に示し,LODをナレッジグラフとして活用するための基本情報を提供する。