著者
坂田 修一 清水 智 福田 聖斗 辛 徳
出版者
東京工芸大学工学部
雑誌
東京工芸大学工学部紀要 = The Academic Reports, the Faculty of Engineering, Tokyo Polytechnic University (ISSN:03876055)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.10-14, 2020-06-30

近年,深層学習を活用することでロボットによるピッキング作業の自動化が進んできており作業の効率化が行われている。本研究では深層学習を用いて一般物体認識を行い、物体との距離を深度カメラで測定し、ピッキングを行うシステムを制作することを目的とする。実験では、認識システムのモデル選定実験、深度カメラの性能実験、ピッキング実験を行った。結果、認識システムは YOLOv3·Tinyを採用した。深度カメラは実距離との誤差が平均 0.2cm だった。ヒ゜ッキング実験では物体をピッキングすることに成功した。課題として、座標に問題があるため修正が必要である。
著者
中田 朋宏 池田 義 南方 謙二 山﨑 和裕 阪口 仁寿 上原 京勲 坂本 和久 中津 太郎 平間 大介 坂田 隆造
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.32-36, 2016-01-15 (Released:2016-02-02)
参考文献数
17

総肺静脈還流異常症(TAPVC)において,稀に左心系が非常に小さく,左心低形成症候群様の血行動態を示すものがあり,その対応に苦慮することがある.症例は1生日の女児,心エコーおよびCT検査にて下心臓型TAPVC,左心系の低形成(hypoplastic left heart complex),両側上大静脈,右鎖骨下動脈起始異常と診断された.肺静脈狭窄のため,1生日に準緊急的にTAPVC修復を行い,心房中隔欠損(ASD)作製術および両側肺動脈絞扼術(BPAB)も併せて行った.術後経過は良好であったが,術後の左心系の成長乏しく,47生日にNorwood手術(肺血流は右室-肺動脈導管5 mm人工血管で再建)を行った.その後もやはり左心系の成長乏しく,単心室型治療を選択することを決定し,6カ月時に両方向性Glenn手術,1歳11カ月時に完全右心バイパス手術を施行した.TAPVCを合併した左心系のボーダーライン症例に対して,TAPVC修復+BPAB+ASD作製を行うことで,左心系の発育を待ち,単心室/二心室型の治療方針を決定する方針は妥当と思われた.
著者
片田 佳希 中川 俊作 田上 裕美 津田 真弘 都築 徹教 端 幸代 小高 瑞穂 米澤 淳 萱野 勇一郎 矢野 育子 南方 謙二 坂田 隆造 松原 和夫
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.14-22, 2016-01-10 (Released:2017-01-10)
参考文献数
14
被引用文献数
4 7

Vancomycin (VCM) is a first-line antibiotic used for methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA), and therapeutic drug monitoring (TDM) is recommended to minimize the risk of nephrotoxicity and ensure successful therapeutic outcomes. In Kyoto University Hospital, we have developed a new approach of pharmacist intervention in the medication with VCM, which is named “Protocol-Based Pharmacotherapy Management (PBPM).” PBPM is based on a protocol approved in a hospital committee, which mentioned that pharmacists could order TDM and propose the most appropriate treatment plans with VCM to surgeons. From April 2011 to September 2014 in Kyoto University Hospital, a total of 54 patients hospitalized for cardiovascular surgeries received VCM without the treatment of hemodialysis. Twenty-nine patients before introducing PBPM were the control group. The VCM treatment according to PBPM was applied to 25 patients (protocol group). The incidence of acute kidney injury (AKI) due to VCM therapy, the retention rates of VCM blood concentration maintained in the therapeutic range (10-20 µg/mL) and in the toxic range (over 20 µg/mL) were retrospectively surveyed. The incidence of AKI was significantly lower in the protocol group than that in the control group (8.0% vs 31.0%, P < 0.05). The retention rates maintained in the therapeutic blood concentration range and in the toxic blood concentration range were significantly different between the control group and the protocol group. These results demonstrate that pharmaceutical intervention based on PBPM for MRSA treatment is effective for maintaining VCM blood concentration in the therapeutic range, resulting in a reduction of adverse drug reactions.

1 0 0 0 OA 光から色彩へ

著者
坂田 勝亮
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.88, no.11, pp.395-400, 2015-11-20 (Released:2016-02-20)
参考文献数
12

色は物質の性質でも電磁波の光学現象でもなく,人間の感覚という心理現象である。このため光と色は異なることがあるが,これは決して視覚が曖昧なのではなく,むしろ的確な光学情報の処理により最適な情報として利用できるよう知的ともいえる働きをしている。ここでは色覚処理の初期段階である網膜上に起因する現象であると考えられる順応から,記憶や言語認識などの高次過程と考えられるレベルにまで色知覚のメカニズムが機能していることを例示しながら,色にまつわる人間の情報処理の心理メカニズムが複雑で多様性に富む働きをしていることを紹介する。そして色彩という不思議で素晴らしい現象が,われわれの高度に発達した中枢神経系によってもたらされていることをご理解いただくとともに,色彩という領域が心を扱う心理学と脳の働きを扱う脳科学との境界領域として,目覚ましい発展を遂げてきたことをご理解いただければ幸いである。
著者
美舩 美舩 乾 淳幸 坂田 亮介 原田 義文 高瀬 史明 植田 安洋 片岡 武史 国分 毅
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.476-480, 2016 (Released:2016-10-07)
参考文献数
13

加齢に伴う腱板組織へのadvanced glycation end products(AGEs)沈着量の変化と力学的強度の変化を,SDラットを用いて検討した.3,6,12,24か月齢のSDラットの棘上筋腱を用いて組織学的検討を行い,力学的評価として棘下筋-上腕骨複合体の最大破断強度を引っ張り試験にて評価した.HE染色では12,24か月齢のラット腱板において細胞浸潤,コラーゲン線維配列の乱れを認めた.免疫染色では加齢に伴ってAGEs沈着の増加を認め,またAGE受容体の発現増加も認めた.TUNEL染色でも同様に加齢に伴うアポトーシスの増加を認め,力学的試験では12,24か月齢において破断強度の低下を認めた.我々はこれまでにin vitro実験において,AGEsが腱板由来細胞のReactive Oxygen Species発現を増加させ,アポトーシスを増加させることを明らかにしてきた.本研究より,肩腱板においてもAGEsの沈着が細胞障害性を持つ一方で,力学的な脆弱性と相関しており,AGEsの増加が加齢に伴う腱板断裂の一因になっていることが考えられた.
著者
坂田 美和 池添 博彦
出版者
帯広大谷短期大学
雑誌
帯広大谷短期大学紀要 (ISSN:02867354)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.43-50, 2013-03-31 (Released:2017-06-16)
参考文献数
5

栄養学は生理学および生化学を基礎にした学問である。生体内の物質代謝については、近年の生命科学の発展により、かなり新しい知見が加えられている。 栄養学における西欧語からの多くは、日本語に訳されることなく、そのままの形で用いられている。用いられている借用語を正確に把握するためには、言語の意味を理解しておく必要があると考えられたので、その語源を調べてみた。 借用語の多くは英語から取り入れられているが、その語源はラテン語及びギリシャ語であり、更に遡るとサンスクリット語に由来するものである。
著者
石塚 洋一 坂田 英明 上房 啓祐 設楽 仁一
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.37, no.Supplement1, pp.45-50, 1994-08-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
13

いびきの治療に点鼻用噴霧剤であるEN028を用い, その治療効果を検討した。いびきを主訴に来院した23-68歳までの男性25名, 女性11名, 合計36名を対象に, 本剤を就寝前に各鼻孔に2-4回ずつ噴霧させた。総合効果判定では, 著効1名, 有効12名, やや有効9名, 無効14名で, 有効以上の有効率は36.1%, やや有効以上の有効率は61.1%であった。50歳以上18名の有効以上は9名 (50%) で, 高齢者に有効症例が多くみられた。副作用は1例もなく, EN028はいびき治療に有用と思われた。
著者
大谷 晶子 藤原 良一 坂田 賢志
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.265-270, 2010

SI事業で培ったシステム生産方法を反映した,ISO9001対応の品質マネジメントシステム(QMS)を元に,CMMIレベル3相当の標準プロセス,情報共有環境(PJポータル)やプロジェクト管理支援ツール(PM支援ツール)を強化してきた.品質・生産性の継続的な改善を狙い,定量的プロジェクト管理の視点や価値観を活かしつつ,プロジェクトの状況をよりタイムリーかつ客観的に把握し,対策をフィードバックできるCMMIレベル4相当の企業風土を踏襲した定量的プロジェクト管理の標準プロセスを整備した.しかし,定量的にプロジェクトの状況を組織の管理者層やプロジェクトマネージャ(PM)が把握するために,人手でデータを収集しPM支援ツールを使って分析・評価を行っていた.本稿は,企業風土を踏襲した定量的プロジェクト管理方法を基に,プロジェクトのデータ収集や分析の負荷を軽減し,早期に問題点の検出が行える,定量的プロジェクト管理支援システム(P-Support)の開発した.このシステムの試行を通しての定量的プロジェクト管理の課題と展望を紹介する.
著者
大林 秀行 坂田 周平 山本 伸次 磯崎 行雄 服部 健太郎 平田 岳史
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

Most of the global events, such as formation of magma ocean, core-mantle segregation, crust formation, and/or chemical evolution of atmosphere, could be completed within the first 0.5 Byr of the Earth History, so called Hadean Eon. Despite the great importance of the Hadean Eon, no petrographic record can be found for this stage, and only geochemical information can be derived from small minerals such as zircons or other accessory minerals within zircons (e.g., apatite, muscovite, or biotite). For geochemical studies for Hadean Eon, many pioneering studies have been made based on the isotope geochemistry on zircons collected from Jack Hills and Mt. Narryer, Western Australia. It is widely recognized that zircons collected from these area have been thought one of the most principal clues for Hadean studies. Moreover, further detailed studies have been carried out from small inclusions in zircon crystals. Zircons from Jack Hills contain various mineral inclusions such as muscovite, quartz, biotite, apatite and so on, and about two-thirds of them are muscovite and quartz, probably due to secondary replacement of primary apatite (Hopkins et al., 2008, Rasmussen et al., 2011). Recently, biogenic carbon, as graphite inclusion, was recovered from 4.1 Ga zircon, but an abundance of carbon-bearing Jack Hills zircons of only about 1-in-10,000 (Bell et al., 2015). In addition, the percentage of Hadean zircons to detrital zircons in Jack Hills was as small as 7% (Holden et al., 2009). For these reasons, large number of age data for zircon grains must be defined to derive reliable and objective information concerning the Hadean history of the Earth. To overcome this, we have developed new analytical technique to define precise age data from combination of U-Pb (Pb-Pb) dating method with high sample throughput.We have developed rapid and precise dating technique for zircons using laser ablation ICP-mass spectrometer (LA-ICP-MS), equipped with two Daly ion collectors (Nu Plasma IID, Wrexham, UK). Laser ablation instrument used in this study was ESI NWR193 laser ablation system (New Wave Research, Oregon, USA). Combination of multiple collector-ICPMS system and ArF Excimer laser ablation system enables us to measure Pb-Pb age for the sample within 10 second/spot, and uncertainties in the resulting Pb-Pb age data can be minimized by the multiple-collector system setup. Based on the age determination system using LA-MC-ICPMS technique, we just started to measure Pb-Pb age data from 180 grains of zircons within an hour . In this presentation, difference in the resulting age histogram for the zircons collected from Jack Hills will be discussed, and detailed observation for various inclusions in the Hadean zircons will be demonstrated in this talk.
著者
坂田 達紀
出版者
四天王寺大学
雑誌
四天王寺大学紀要
巻号頁・発行日
no.68, pp.7-29, 2019-09-25

" 村上春樹の「とんがり焼の盛衰」は、伊勢丹デパート主催のサークル雑誌に1983 年に発表された、3600 字程度の分量の短編小説である。その後、単行本3 冊、文庫本1 冊、全集のうちの1 冊(いずれも短編集)に収載され、現在では高等学校国語教科書にも採録されている。 この作品もまた、他の多くの村上の短編作品と同様、字面を追って書かれていることそれ自体(たとえばストーリーなど)を理解することは容易いが、結局のところ作品全体として何を言わんとしているのか(たとえばテーマなど)を把捉することの困難な作品である。言い換えれば、ただ単に表面ないし表層を読むのみならず、内側ないし深層までをも読むことが求められる作品なのである。 本稿では、まず、作品「とんがり焼の盛衰」がどのように読めるのか、いわば読みの可能性を、本作品から読み取れる寓アレゴリー意に着目しながら考察した。ついで、本作品の文体的特徴を分析し、最後に、いわゆる村上文学全体の中での本作品の位置付けを論じた。 明らかになったことは、まず、読みの可能性としては、様々な寓意が読み取れることはもとより、その奥に、現代の人間社会に対する作者・村上春樹の批評精神が読み取れる、ということである。この批評精神のゆえに、この作品の価値は高まるのではないか、ということも指摘した。ついで、本作品からは、次のような四つの文体的特徴が析出された。 ⑴ 非現実を現実化する仕掛け(「炭取が廻る」仕掛け)が仕組まれている ⑵ 様々な意味(寓意)が読み取れるアレゴーリッシュな文体である ⑶ ユーモアの要素が見られる ⑷ 遊離したシニフィアンが秩序をもたらす文体である これらのうち、⑷の特徴は、この作品を特異なものにする重要な文体的特徴であった。最後に、作品「とんがり焼の盛衰」は、村上が「デタッチメント(かかわりのなさ)」を大事にしていた時期に書かれた、「デタッチメント(かかわりのなさ)」の考え方を色濃く反映した作品として、村上文学全体の中に位置付けられることを指摘した。併せて、本作品中の「とんがり鴉」は、後に書かれた長編小説『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』( 1985 年)に登場する「やみくろ」の原型と考えられる可能性についても言及した。 本稿のこれらの考察・分析の結果は、本作品を国語教材として用いる際にも参考になるのではなかろうか。"
著者
菅野 陽平 坂田 こずえ 中村 公亮 野口 秋雄 福田 のぞみ 鈴木 智宏 近藤 一成
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.113-123, 2017
被引用文献数
8

<p>ツキヨタケは,シイタケやヒラタケ,ムキタケと誤認されやすい毒キノコの一種で,日本でのキノコによる食中毒の主要な原因キノコである.本研究では,ツキヨタケを迅速に判別する分子生物学的手法としてPCR-RFLPを用いた判別法を構築した.Sau96I, Bpu10I, SfcI, DrdI/HincIIの4組の制限酵素を用いたPCR-RFLPにより,有毒のツキヨタケと食用キノコのシイタケ,ムキタケ,ヒラタケを明確に判別することに成功した.また,加熱調理や消化によりDNAの一部が断片化した試料でも判別可能な200 bp程度の領域を対象としたShort PCR-RFLPも構築し,リアルタイムPCRによる確認試験法についても検討した.これらは,ツキヨタケが疑われる食中毒事例の原因究明に有効な検査法として有用と考えられた.</p>