著者
佐藤 努 佐藤 絢 木幡 修 鈴木 宏幸 坂田 真也 大波 清貴
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>目的</p><p></p><p>脳卒中片麻痺患者における就労支援や社会参加を促していく上で,移動手段の選択は重要であり,その後の活動範囲に大きく影響を及ぼしている。自動車運転は,移動手段のひとつを担っているが,心身機能等の状態や制度上の問題により,積極的な運転再開と至っていないのが現状である。今回,アンケート調査を実施し自動車運転再開における現状を把握することを目的とした。</p><p></p><p>方法</p><p></p><p>2014年4月から2016年3月までに脳卒中片麻痺を呈して,当院回復期病棟へ入院した148名中,当院が独自におこなっている自動車運転評価を実施し,自宅退院となった37名を対象とした。方法としては,郵送にて対象者に対し調査目的,調査対象などを書面により十分に説明し,同意が得られた場合に限り返送してもらうこととした。アンケート内容に関しては,退院後における自動車運転の実施の可否など,12項目について質問形式にて実施し,2016年5月から7月末までの2ヶ月間を回収期間とした。</p><p></p><p>結果</p><p></p><p>回答数は,81.0%(30名/37名中)であった。アンケート結果は,自動車運転免許の保有者は24名,退院後に更新手続きを行った12名,入院中および退院後に臨時適正検査を受けた15名であった。自動車運転に関しては,現在も自動車運転を行っている者は21名であり,毎日運転をしている16名,週の半分程度1名,週に1回程度2名,月に1回程度2名であった。さらに,自動車運転の目的においては,仕事12名,買い物16名,移動手段14名,用事12名,趣味活動9名,特に目的は無い2名であった。運転を行っていない者は9名であり,入院前から1名,退院後から6名,半年前から2名であった。運転を行わなくなった理由に関しては,運転操作が困難のため1名,運転免許を有していないため1名,自動車が無いため1名,退院時に運転許可が出なかったため1名,特に理由は無い1名,家族の同意が得られないため3名であった。また,自動車運転における必要性に関しては,生活で必要であると答えた者25名であり,必要理由として,仕事の継続のため13名,楽しい生活のため12名,1人で自由に移動するため17名,便利だから14名であった。必要性が無いと答えた者3名の理由としては,自動車運転を諦めた1名,送迎サービスを利用1名,生活の中で必要性が無い2名,家族の協力があるため3名であった。</p><p></p><p>結論</p><p></p><p>日常生活における必要性だけではなく,社会参加や就労促進において自動車運転の可否は,移動手段として大きな影響を与えていることが推測された。自動車運転を取り巻く社会情勢の変化や道路交通法の改正により,障がい者における自動車運転の再開には,多くの課題がある。今後,自動車運転再開を円滑に遂行するにあたり,運転技能等の心身機能面や事故回避能力等の高次脳機能面などの関連性も含め検討し,障がい者の自動車運転支援プログラム確立へ向け,関係機関や家族との連携を図り,安全な移動の保障を進めていく必要性が示唆された。</p>
著者
新 隼人 坂田 亘 田中 リベカ 黒橋 禎夫
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2020-NL-244, no.1, pp.1-13, 2020-06-26

タスク志向の自動対話システムであってもユーザが雑談のような発話を入力することは少なくない.特に自治体などが運営する公的な対話システムにおいては,それに対して不適切な応答を行わないようにすることは重要である.本研究では,実サービスのクエリログおよびクラウドソーシングで集めたデータを利用して,対話システムの不適切発話の調査を行った.調査を基に不適切発話を「品行方正でない発話」,「システムの設定を逸脱した内容の発話」の 2 つに分類し,それらに対するフィルタリング手法を提案した.さらに,Twitter から収集したデータにフィルタリングを適用し,得られたデータで対話システムを学習した.その結果,ベースラインに比べて品行方正でない発話が減少し,システムの設定の逸脱も見られなくなった.
著者
岩切 龍一 田中 聖人 後藤田 卓志 岡 志郎 大塚 隆生 坂田 資尚 千葉 俊美 樋口 和秀 増山 仁徳 野崎 良一 松田 浩二 下野 信行 藤本 一眞 田尻 久雄
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.1370-1396, 2018 (Released:2018-07-20)
参考文献数
160
被引用文献数
1

日本消化器内視鏡学会は,内視鏡診療ガイドライン作成作業の一環として,消化器内視鏡の洗浄・消毒標準化にむけたガイドラインを作成した.本邦と欧米先進国では消化器内視鏡医療の環境が異なる.欧米先進国では消化器内視鏡の施行は,ほぼ専門施設に限られ,厳格な洗浄・消毒の既定が遵守されている.本邦では小規模クリニックでも消化器内視鏡が行われ,年間に行われる消化器内視鏡数は膨大な数になる.内視鏡の洗浄・消毒法も医療機関によって差が認められるのも事実である.洗浄・消毒に関しての根拠は,エビデンスが乏しいのも事実であるが,内視鏡医療の発展のためにも消化器内視鏡の洗浄・消毒の標準化が必要である.
著者
保母 敏行 飯田 芳男 石橋 耀一 岡本 研作 川瀬 晃 中村 利廣 中村 洋 平井 昭司 松田 りえ子 山崎 慎一 四方田 千佳子 小野 昭紘 柿田 和俊 坂田 衞 滝本 憲一
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.363-392, 2008 (Released:2008-09-29)
参考文献数
87
被引用文献数
6 6

(社)日本分析化学会は1993年にU,Thの含有率を認証した二酸化ケイ素標準物質を開発して以来,燃焼灰,土壌,底質,河川水,排水,プラスチックス,工業材料,食品と多岐にわたる種類の標準物質の開発を続けており,現在頒布中の標準物質は23種類に上る.認証対象は特定成分の含有率で,成分はダイオキシン類,金属元素など環境分析で扱われるものが多いが,食品では栄養成分を対象とした.本会の標準物質の大きな特徴は純物質あるいはその溶液ではなく,上述のように,環境試料あるいは工業製品であること,つまり一般分析者が実際に扱う試料の形態であることである.認証値の決定方法は,まず均質性の保証された試料の調製と,多数の試験機関の参加による分析共同実験,そして得られた報告値をロバスト法を導入した統計手法で処理して評価し,信頼性ある認証値を得る,という手法によっている.また,これらの標準物質の開発時において,例えばダイオキシン類のガスクロマトグラフ分離の状況,PCBの抽出条件と塩素置換数の変化など,貴重な知見が得られたことは分析手法改善につながる収穫といえる.
著者
坂田 敦子
出版者
学校法人 尚絅学園 尚絅大学研究紀要編集部会
雑誌
尚絅大学研究紀要 B.自然科学編 (ISSN:21875243)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.169-179, 2019 (Released:2019-09-08)
参考文献数
18

近年,β- ガラクトシドに結合するガレクチン分子が,T 細胞アポトーシスや調節性T 細胞誘導など,免疫調節能をもつことが報告されている。本研究では,食品の機能性成分の免疫調節機能におけるガレクチン分子の関与を明らかにするために,U937細胞を用いて,フコイダン,レイシ抽出液,カテキンなどの食品成分の炎症性/ 抑制性サイトカイン産生並び にガレクチン-1, 3, 9分子発現に及ぼす影響について調べた。結果,フコイダンは,TNF-α,IL-1β,IL-6などの炎症性サイトカイン産生を増強し,IL-10, TGF-βなどの抑制性サイトカイン産生を阻害することにより,効果的に免疫賦活作用を示すことがわかった。またこの過程にガレクチン-9の発現低下が関与している可能性が示唆された。
著者
祝 広孝 大通 恵美 大城 広幸 猿渡 勇 森川 綾子 野中 昭宏 古野 信宏 近藤 真喜子 坂田 光弘
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Cb0480, 2012

【はじめに、目的】 我々は第44回学術大会において骨格筋の筋腱移行部に軽い圧迫刺激を加えることにより筋緊張抑制効果が得られることを報告した.同様の効果が腱骨移行部への刺激によっても得られることが確認され,それらを組み合わせて「筋腱移行部及び腱骨移行部刺激:Muscle tendon junction and Enthesis stimulation」(以下,MES)と称し臨床に用いている.MESは速効性に優れ,評価や治療場面で広く応用できる手技である.そこで今回,MESの実施方法を紹介すると共に足関節背屈可動域と肩関節外旋可動域及び屈曲可動域に対し前者は腱骨移行部,後者は筋腱移行部を刺激部位としてMESの効果を検証し,MESの臨床における有用性について報告したい.【方法】 <u><b>MESの実施方法</b></u>骨格筋の筋腱移行部もしくは腱骨移行部に対し,軽い圧迫刺激(圧迫力は筋腱移行部で1kg-3kg,腱骨移行部では0.5kg程度)を加える.筋緊張抑制に必要とする刺激時間は1秒-5秒程度であるが,関節可動域練習や筋力増強練習時においては刺激を持続しながら行うと効果的である. <u><b>対象</b></u>検証1:足関節背屈可動域では成人15名(男性8名,女性7名,年齢31.9±9.0歳)30肢を対象に,検証2:肩屈曲・外旋可動域では成人17名(男性10名,女性7名,年齢31.6±8.7歳)のなかで,肩屈曲制限があり尚且つ外旋可動域に制限を有した24肢(右11肢,左13肢)を対象とし,各々MESを行うMES群とMESを行わないControl群(以下C群)に分けた(検証1:MES群15肢,C群15肢/検証2: MES群12肢,C群12肢).<u><b>方法</b></u>検証1)足関節背屈可動域へのMES効果(腱骨移行部を刺激部位に選択):MES実施肢位は仰臥位,下肢伸展安静位にて後脛骨筋停止腱の腱骨移行部(舟状骨後縁)及び短腓骨筋停止腱の腱骨移行部(第5中足骨底後縁)に対し,触れる程度の触圧刺激を同時に5秒間加え,MES実施前後で股・膝関節90°屈曲位での自動背屈可動域を1°単位で測定.C群についてはMES実施時の肢位にて5秒間の休憩を入れ休憩前後の角度を測定した.検証2)肩屈曲及び外旋可動域へのMES効果(筋腱移行部を刺激部位に選択):MES群における刺激肢位は仰臥位.肩屈曲120°-130°位で大円筋線維が広背筋停止腱に停止する筋腱移行部(腋窩後壁前面)に対し軽い圧迫刺激を5秒間実施.MES前後で端坐位での肩屈曲可動域を,仰臥位にて肩外転90°,肘屈曲90°での肩外旋可動域を1°単位で各々測定した.C群に関しては検証1と同様.統計処理には検証1,検証2共にMES(C群:休憩)前後の角度変化の比較にはWilcoxonの符号付順位和検定を,MES群とC群の角度改善率の比較にはWilcoxonの順位和検定を用いた.【倫理的配慮、説明と同意】 全ての対象者には事前に本研究の趣旨を十分に説明し,同意を得た上で実施した.【結果】 検証1)C群においては休憩前後の背屈角度に有意な差は認められなかったが,MES群においては,MES前24.8±7.4°,MES後28.4±6.4°と有意な差を認めた(P<0.01).またC群との角度改善率の比較においてもMES群で有意な差(P<0.01)が認められた.検証2)C群においては休憩前後の肩外旋可動域及び屈曲可動域の角度に有意な差は認められなかったが,MES群においては,肩外旋可動域でMES前74.3±7.8°,MES後86.6±7.0°,肩屈曲可動域でMES前144.8±6.9°,MES後154.5±7.3°と両可動域で有意な差を認めた(P<0.01).またC群との角度改善率の比較においても外旋・屈曲可動域各々でMES群に有意な差が認められた.【考察】 ストレッチングの筋緊張抑制効果として知られるIb抑制は筋腱移行部に存在するゴルジ腱器官(以下GTO)からのインパルス発射に起因する.GTOはその発射機序より筋腱移行部の圧迫刺激による変形によってもインパルスを発射する可能性があり,大円筋の筋腱移行部への刺激による可動域改善にはIb抑制の関与が推測される.腱骨移行部刺激による効果については,多くの筋が腱骨移行部またはその間近まで筋線維を有することが知られており,それらの筋においてはGTOの働きが関与していると思われる.しかし今回刺激部位とした後脛骨筋や短腓骨筋停止腱の腱骨移行部については筋線維の存在は確認されておらず,今後その機序の解明に努めていきたい.【理学療法学研究としての意義】 MESは解剖学的知識と触察技術を用いて触れる行為そのものに目的を持たせた手技であり,本研究によって理学療法士の技術向上に寄与できればと考える.
著者
坂田 由紀子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.38-51, 1995-07-31 (Released:2011-01-31)
参考文献数
23
被引用文献数
1

目的: カナダBC州のバンクーバー, スティーブストン, フレーザーバリー在住の日系人の食生活における日本人としてのアイデンティティーの検索調査時期及び調査対象: 調査時期は1992年9-10月であり, 対象は27-90歳の日系二世および三世225名 (男子19名, 女子206名) である.結果: 1. 行事は, 西洋の行事 (クリスマス, ハローイン, イースター) と日本の行事 (正月, お盆, 雛祭り, 大晦日) が並列に行われており, 行事食は伝統的な形のものが残っていた. 日本の行事食として定着しているのは, 赤飯, 寿司, 煮しめ, 饅頭であった. こんにゃくは, 現在でも手作りされている.2. 正月料理の雑煮は, 丸餅を焼かずに煮込む白味噌または澄まし仕立てであり, 西日本の食文化が主流である.3. カナダでアレンジされた料理には, BCロールがあり, カリフォルニアロールと一緒にレストラン料理として定着している.4. 日系人独特の行事食としてチャーメンが定着していた.
著者
村松 博士 田中 育太 庵原 秀之 三上 淳一 中谷 玲二 日下部 俊朗 渡辺 秀樹 北川 一彦 土田 茂 久居 弘幸 倉 敏郎 坂田 隆
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.611-616, 2018 (Released:2018-04-20)
参考文献数
32

液体栄養剤の半固形への形状変化が臨床経過に与える効果を検証する目的で無作為多施設共同比較臨床試験を行った。半固形化栄養群(以下、介入群と略)には半固形状の水分とペクチンとカルシウムを添加し半固形状とした経腸栄養剤を、液体栄養群(以下、対照群と略)には液体の水と経腸栄養剤を経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)施行翌日から胃瘻より投与開始、漸増した。介入群75例と対照群76例について術後2週間の臨床経過を比較した結果、誤嚥性肺炎の発症は介入群(1/75)で対照群(11/76)よりも有意に抑制された(p=0.0028)。また、PEG前は両群に差がなかったブリストル便形状スケールは2週間後で介入群が対照群よりも低くなり(4.9 ± 1.1 対. 5.6 ± 1.1)(p=0.00045)、便性状が改善した。PEG周術期において液体栄養剤を半固形状に変化させることによって誤嚥性肺炎と下痢を抑制した。
著者
嶋田 さおり 岸田 太郎 坂田 香代子 森田 君香 平岡 祥子 改野 芙美 松本 愛 中村 紀子 渋川 祥子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.110, 2016 (Released:2016-08-28)

【目的】家庭で一般的に行われている揚げ物料理の吸油率については、すでに調べられ文献等で公表されている。しかし、大量調理機器によって測定された吸油率のデータは見られない。学校給食の場合、厨房設備や作業工程などの事情から、一般的な揚げ物料理とは、食材やその切り方が異なることもある。そこで本研究では、学校給食で提供頻度の高い揚げ物料理について、吸油率を明らかにし、児童生徒に提供している給食の栄養価を正確に把握することを目的とした。【方法】愛媛県松山市において、平成22~24年度の学校給食献立3年分をもとに、提供頻度の高い揚げ物料理を、素材別、揚げ形態別、揚げ衣別に整理した。次に、提供頻度の高い揚げ物料理について、2か所の共同調理場で、ガス回転釜とフライヤーの2種の調理機器を使用して実際に調理し、調理前後の水分率、吸油率を測定した。各試料は、20人分で調整し、揚げる前と揚げた後の試料の全量をそれぞれホモゲナイズし、その中から1gを取り出してクロロホルム・メタノール法で2分抽出して測定した。【結果】提供頻度の高い揚げ物料理に使用されている素材は、魚が最も多く次に肉、甲殻類が続いていた。揚げ方の調理形態別では天ぷらと唐揚げが多く、揚げ衣別ではでん粉を主としたものが44%、小麦粉等が39%、衣なしが17%であった。これらの結果から素材は使用頻度の高い鯛を使用しその唐揚げと天ぷらについて吸油率を測定した。170℃で3分揚げた鯛の唐揚げは、ガス回転釜の吸油率が8.6%、フライヤーの吸油率が4.6%であった。これはガス回転釜投入時の平均油温がフライヤーよりわずかに高く、そのため取り出し時の油温と試料中心温度も高くなったことから、ガス回転釜の方の水分蒸発が多くその分吸油したことが原因と考えられた。鯛の天ぷらについては差がなく両機器とも約5%であった。
著者
坂田 由紀子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.637-645, 1990-07-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
13

(1) 京都市内の女子大学生235名について, 箸の持ち方の調査を行ったが, 伝統的な持ち方をしているものは235名中108名で全体の46%であった.また, 左手で箸を持っているものは, 4.3%であり, 左利きでありながら箸だけは右手に持ち換える者が全体の2.1%あり, これは左利きのなかの53.4%にあたった.(2) 箸の持ち方による機能性の差をみるため, 伝統的な持ち方と, そうでない持ち方について, 作業量を測定したが, 大豆, 寒天を試料とした場合の作業量の差はみられなかったが, 作業のしにくい試料 (紙) については, 伝統的な箸使いをしている者の作業量が有意に多かった.(3) 箸の持ち方には生活環境等も関連し, 伝統的な持ち方をしているものは家庭で両親から繰り返し箸の持ち方を教育されたものであった.また, 家族構成とは関連がみられなかった.また, 伝統的でない持ち方をしているものは, 自分でも箸が使いにくい, 人と比べて持ち方がおかしいと感じているが, とくに積極的に矯正しようという態度はみられなかった.
著者
坂田 由紀子
出版者
日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.p637-645, 1990-07
被引用文献数
2

(1) The manners of holding chopsticks of 235 female college students in Kyoto have been classified into two types, i. e., S1 of a traditional type and S2 of the other. S1 was 46% and S2 was 54%, and the former was smaller than the number reported by Mukai et al. in 1978. (2) The difference between S1 and S2 was statistically significant when examined in difficult manipulation. (3) The manner of holding chopsticks relates to the behavior in living environment. Members of S1 have been continually trained by their parents since their childhood. Members of S2 feel it very difficult to manipulate chopsticks properly at table.
著者
坂田 雄亮 馬場 雪乃 鹿島 久嗣
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2Z202, 2018 (Released:2018-07-30)

機械学習を行う為には入力となる特徴量が必要であるが、抽象性の高いデータを学習対象とすると機械的な方法では本質的な特徴量を得られない場合がある為、人による特徴抽出を行いたい。人間をアルゴリズムに組み込むには本来であれば多大なコストが必要となるが、クラウドソーシングの発展により安価にかつ大量に人的リソースを得る事が出来る様になったため現実的なコストで人間参加型のアルゴリズムを組む事が出来る。しかし人間の能力には個人差があるため成果物の品質にばらつきが出てしまう。よって頑健化の為に複数のワーカの意見を統合した物を成果とする手法が一般に行われている。本研究では特徴抽出にクラウドソーシングを用いて分類器の生成を行う過程で、分類器の精度向上を目的として複数のワーカの意見を適切に統合する手法を考察する。そのような手法として畳み込みニューラルネットワークを応用してワーカの能力と各ノードの重みを纏めて学習する事でより良く意見統合を行うCrowd Neural Networkを提案する。上記の手法の性能を確認する為に4つの抽象性の高いデータセットを用いて実験を行い、提案手法が既存手法に優る例を示した。
著者
坂田 裕美 徳田 良英
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0471, 2008 (Released:2008-05-13)

【目的】運動負荷後の血圧変動,疲労感を生じやすい症状などへのリスク管理が問題となる例が多い.ところで近年芳香を持つ植物から抽出した精油を使って、心身の自然治癒を高めるアロマセラピーの応用が多分野で活用されるようになった。リハ現場における匂い環境を整備することによる臨床応用の可能性を模索することを念頭に、香りのリラックス効果について運動負荷後の血圧回復の観点から検討することを目的とした。【方法】対象は既往歴の無い成人男女6 名(男性3 名,女性3 名,平均年齢:22.3±1.03 歳)とした.運動前に血圧,脈を計測し,その後運動負荷を行った.血圧・脈の測定には自動血圧計(OMRONデジタル自動血圧計:HEM-6011)を使用した.運動負荷についてはトレッドミル(CYBEX 900T)を使用した.5 分間,10km/h前後の速度で,Borg 指数13~15 程度となるよう調整した.終了後,血圧,脈を1 分間隔で5 回計測し,アンケート調査も行った.この実験をグレープフルーツの香りを与えた群(以下GF 群),ラベンダーの香りを与えた群(以下LV 群),および対照群として芳香刺激を与えない群(以下NG 群)と分け,各群日を変えて実験した.統計解析はWilcoxon 検定を用い,有意水準を5%未満とした.解析にはSPSS for Windows を用いた.【結果】1)生理的変化についての比較:収縮期血圧において,1 分後,2 分後,3 分後,4 分後についてGF 群はNG 群と比較し有意に回復速度が速かった.拡張期血圧においても,1 分後,2 分後,3 分後,5 分後について同様であった.LV 群にも低下傾向が見られ,脈の変動についても,NG 群と比較し若干低下傾向にあった.2)精神的変化についての比較:アンケート調査結果では,実験後の疲労度において調査したところ,NG 群と比較しGF 群,LV 群において有意差は見られないが(p>0.05),疲労度,気分がリラックスしている傾向が見られた(GF群<LV 群).また,アロマテラピーに肯定的な考えを持っている方が6 名中5 名であった【考察・まとめ】アロマテラピーは運動後のリラックス効果について有用であるといえる.特にLVについては精神面でのリラックス効果が得られた.GF についても,運動後の血圧を有意に低下させるなど,身体面においてのリラックス効果が得られた.リハの場面においても芳香刺激を利用することで,患者のリラックス促進効果など期待できると思われる
著者
坂田 一 HAZIME SAKATA
雑誌
京都府立大学学術報告. 理学・生活科学・福祉学 = The scientific reports of the Kyoto Prefectural University. Natural science, living science and welfare science (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.67-84, 1970-10-29

職場における作業動機の問題は古くて新しい。本研究は最近しきりに取りあげられているHerzbergの2要因理論の検証を主なねらいとして, 満足感・不満足感のカテゴリー別の整理から入ってゆき, 因子についてわが国の場合にどのような妥当性をもつかについてもとりあげてみた。そして生活態度や転職経験という, この問題と密接な関連をもつ側面からうかがうとともに, 話しあい活動を通じてその検討を行ない, 諸種の問題があることがわかった。次にこれらの結果にたって, 動機づけ・衛生両要因とのかかわりにおいて, 職務遂行のための管理体系を樹立してみたいと考え, 新しい展開を試みた。