著者
近藤 一成 坂田 こずえ 加藤 怜子 菅野 陽平 武内 伸治 佐藤 正幸
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.144-150, 2019
被引用文献数
3

<p>日本国内で食中毒事例が多いクサウラベニタケと考えられてきたきのこは,3種類の近縁種から構成される.これら近縁種を特異的に感度よく検出できるリアルタイムPCR法を開発した.有毒と考えられるクサウラベニタケ近縁3種および食用のウラベニホテイシメジに特異的なプライマーおよびプローブ(FAM,VIC,Texas Red,Cy5標識)を用いて検討した.クサウラベニタケ近縁3種とウラベニホテイシメジITS全領域を有する標準プラスミドを用いた検討から,いずれの検出系も12.5コピーまで検出可能あり,目的以外の標的には反応しなかった.本法を用いて中毒事例から回収した検体を分析したところ,PCR-RFLP法では十分解析できない検体でも確実に種の同定検出が可能であることが分かった.食中毒の防止および中毒発生時の原因種特定に役立つと考えられる.また,北海道内におけるクサウラベニタケ近縁種は,本州のものとは異なり<i>Entoloma eminens</i>または<i>Entoloma</i> sp.であることを同時に明らかにした.</p>
著者
坂田 克彦 中村 芳樹 吉澤 望 武田 仁
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.82, no.732, pp.129-138, 2017 (Released:2017-02-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1 3

Studies have previously been undertaken on the prediction of perceived spatial brightness aimed at achieving designs that take account of a feeling of brightness of space, and various estimation models and factors affecting the prediction of perceived spatial brightness are known. In this study the authors focused their attention primarily on factors other than average brightness to explain perceived spatial brightness in nonuniform luminance distribution with the aim of proposing an index which encompasses existing knowledge while being based on simple quantities. The authors set 32 different lighting conditions in an office with north-facing windows and measured the luminance images for each condition. They then asked subjects to evaluate the perceived brightness from two seats, one with the windows in sight and with no windows in sight, thereby providing 64 different luminance distribution and estimation value samples. Ten contrast images of different spatial frequency were decomposed from each luminance image by wavelet transformation symlet6, then AD (ambient directivity, low spatial frequency) and CD (contrast detail, high spatial frequency) were defined on the basis of each variance of contrast image. The authors used multiple regression analysis to obtain a multiple regression equation to explain spatial brightness using three variables: average luminance, or NB value; AD; and CD. AD lowers spatial brightness, while CD raises it. The estimated accuracy was greater than that achieved using a conventional equation. After considering the above, the authors suggested NSB (Natural scale of Spatial Brightness), a spatial brightness prediction model based on luminance contrast.
著者
吉田 右子 坂田ヘントネン 亜希
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.108-124, 2020

<p>本研究はフィンランドの作家と図書館のための公的支援システムに焦点を当てて,公共図書館と関連づけられた(1)図書館助成金制度(2)貸与補償制度(著作権補償制度)(3)資料購入・購読補助制度を,フィンランド文化政策全体を射程に入れて検討した。分析の結果,これらの助成制度の意義として,創作者側の文化創造を保障することで文芸の幅と厚みを担保し受取側の多様な文化へのアクセスを保障する基盤を創出していること,少数話者言語であるフィンランド語の文芸を活性化し保護する役割を担っていることの2点を導出した。</p>
著者
中元 雪絵 大知 正直 榊 剛史 森 純一郎 坂田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.2O2OS24a02, 2018

<p>グローバル化に伴い食産業でも海外進出が増加し, 地域ごとの文化的差異を理解する重要性が高まっている. これまで文化の研究はアンケート調査を用いたものが多く, 大規模な調査を行う事は難しかった. 本研究では, ソーシャルメディアを用いて異なる言語圏における文化的差異を自動的に検出することを課題とし, テキストデータにおける描写表現の分布の違いを用いた手法を提案した. 実験では, 描写表現として形容詞を用い, 英語圏と日本語圏の食に関するTwitterデータを対象とした分析を行った. 食に関するソーシャルメディアの用法の差や, アメリカでカラフルな料理がより好まれる傾向など, 食全体に対する考え方の差異を取得できることを示した. また, 特定の飲料を対象とした議論を行い, 例えば日本ではコーヒーが「苦い, 酸っぱい」との一般認識がある一方で, アメリカでは「boring」な文脈に多く存在するといった感じ方の違いを検出した. ここから, 提案手法が具体的な個別の対象に関して, 言語圏ごとの感じ方の文化比較を可能とすることを示した.</p>
著者
押田 敏雄 吉川 康宏 小林 義浩 坂田 亮一 田中 享一
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.113-118, 1988-09-25 (Released:2011-06-08)
参考文献数
7
被引用文献数
1

血清成分の測定値はLDH活性値, LDH分画, GOT, GPTなどの項目では溶血による影響を受けることが知られているが, 肉眼的な血清の溶血程度の判定は測定者により異なることが多く, 必ずしも一様ではない。そこで今回, 人為的に種々な溶血血清を作成し, その肉眼的な溶血程度と吸光度およびヘム色素含量の関係について検討した。その結果, 総ヘム色素量と吸光度との関係において溶血液添加血清 (実験的溶血血清) および失宜溶血血清 (いわゆる溶血血清) にはそれぞれ高い相関が認められた。また, 両者は共通の回帰係数 (b=0.0675) をもって相関が成立し, 肉眼的な溶血段階は吸光度により, 次のように区分できた。溶血程度 (-): <0.400, 溶血程度 (±): 0.400~0.650, 溶血程度 (+): 0.650~0.900, 溶血程度 (++): 0.900~1.700, 溶血程度 (+++): 1.700<
著者
坂田 一記 田中 千凱
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.3, no.6, pp.637-644, 1971-11-01 (Released:2011-05-24)
参考文献数
24

Comparative studies were performed on effects, complications and shunt impairments of ventriculo atrial shunt (V-A shunt) and ventriculo-peritoneal shunt (V-P shunt) operations, mainly on the basis of our experiences with 62 V-A shunt and 19 V-P shunt operations. From the standpoint of shunt effect and durability, V-A shunt was definitely superior. From the standpoint of safety, V-P shunt was superior. We consider that, in hydrocephalic cases where both V-A shunt and V-P shunt have good indications, V-A shunt will be the operation of choice. However, in cases where any occult infection of CSF is suspected for, V-P shunt will be the operation cf choice. Various attempts hitherto performed by us for preventing postoperative complications and shunt impairments following V-A shunt, were mentioned. Remote prognosis of our hydrocephalic cases treated with shunt operations, as revealed by enquete method, was also reported.
著者
蕭 喬仁 大知 正直 長濱 憲 榊 剛史 森 純一郎 阪井 完二 坂田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.1B5GS602, 2020

<p>近年、大衆が問題を発見しそれが拡散されることで社会問題として新たに認識される「情報拡散型社会問題」が急増している。情報拡散型社会問題は、従来の情報公開型社会問題と異なり、問題による悪影響が急速に拡大するため早期に認知・対策することが重要である。しかし、情報拡散型社会問題の早期抽出には従来の社会問題抽出手法は適用できず、問題にまつわる単語の同定も困難である。そこで本研究では情報拡散型社会問題の早期抽出のためにTwitterからクレイム申し立て活動を抽出・分析する構築主義的アプローチを提案する。まずツイートがクレイム申し立て活動か否かの教師データを用意し、それらを判別するモデルを作成する。次に、クレイム申し立てを行ったユーザーの情報と通時的分散表現による単語とクレイム申し立て活動の距離を測ることで、社会問題に関連する単語を教師データ無しに抽出する手法を提案する。17億件に及ぶTwitterデータを用いた実験では、提案手法が2019年中に発生した10の情報拡散型社会問題の事例のうち6つの事例をテレビ放映より早く抽出し、NHKの初放映日に対しては平均20.5日前の早期抽出できることを確認した。</p>
著者
坂田 美和 池添 博彦
出版者
帯広大谷短期大学
雑誌
帯広大谷短期大学紀要 (ISSN:02867354)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.33-41, 2013

栄養学は生理学および生化学を基礎にした学問である。生体内の物質代謝につては、近年の生命科学の発展により日々新たな知見が加えられている。栄養学における借用語の多くは、日本語に訳されることなく、そのままの形で用いられている。用いられる借用語を正確に把握するためには、語源の意味を理解しておく必要があると考え、語源を検索してみた。 英語語彙の多くはラテン語及びギリシャ語が語源であり、古くはサンスクリット語に由来している。今回はラテン語及びギリシャ語まで語源を遡ってみた。 学術用語の中には英語以外の語より借用されたものもあるので、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語の相当語や関連語を挙げている。
著者
穐山 浩 五十鈴川 和人 張替 直輝 渡邊 裕子 飯島 賢 山川 宏人 水口 岳人 吉川 礼次 山本 美保 佐藤 秀隆 渡井 正俊 荒川 史博 小笠原 健 西原 理久香 加藤 久 山内 淳 高畑 能久 森松 文毅 豆越 慎一 村岡 嗣朗 本庄 勉 渡邉 敬浩 坂田 こずえ 今村 知明 豊田 正武 松田 りえ子 米谷 民雄
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.120-127, 2004-06-25
参考文献数
16
被引用文献数
2 12

特定原材料である牛乳タンパク質測定のELISA法の確立のために10機関による検証評価試験を行った.カゼイン,β-ラクトグロブリンおよび牛乳タンパク質を測定する3種類のELISA法とも同時再現性はおおむねCV値10%以下と良好であった.10機関で牛乳標準溶液を添加した5食品の各食品抽出液を分析した際の平均回収率は,3種類のELISA法とも数種類の食品抽出液を除きおおむね40%以上であった.しかしカゼインキットでは,回収率が極端に低いソースの抽出液の場合,抽出液のpHを中性に調整した後に測定すると回収率が改善された.また牛乳エライザキットでは,クッキー,シリアル,パスタソースの抽出液において,回収率が低かったが,プレート上の抗体量を増加させることにより改善された.3種類のELISA法の検出限界は,測定溶液の濃度で1 ng/mLであった.
著者
Arwiyanto Triwidodo 坂田 完三 後藤 正夫 露無 慎二 瀧川 雄一
出版者
日本植物病理學會
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.288-294, 1994
被引用文献数
2 5

ストレリチア(<i>Strelirtzia reginae</i> Banks)から分離された青枯病菌の非病原性菌株(Str-10 op型)を接種したトマトの根系から,非接種対照植物の根系よりも多量のトマチンが検出された。茎の組織内ではこのようなトマチン濃度の上昇は見られなかった。Str-10 op型の接種源濃度を10<sup>8</sup>から10<sup>9</sup>cfu/mlに増加すると,接種5日後における根部組織内のトマチン含量は113&mu;g/g根から152&mu;g/g根まで増加した。接種9日後にはトマチン含量は450&mu;g/g根まで増加した。この濃度は青枯病菌の病原性菌株の増殖を<i>in vitro</i>で抑制するのに十分な濃度であった。トマチンによる青枯病菌の発育抑制は静菌的であった。一方,Str-10 op菌株の培養ろ液及び加熱死菌で処理したトマト根部ではトマチン濃度の増大は見られなかった。
著者
野田 奈津実 小川 宣子 久慈 るみ子 坂田 隆 山崎 泰央 大竹 美登利 佐々井 啓 中島 明子 宮野 道雄 浜島 京子 加藤 浩文 萬羽 郁子 吉井 美奈子 生田 英輔
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.288, 2016 (Released:2016-08-04)

目的 東日本大震災では、多くの被災者が仮設住宅への転居を余儀なくされた。本研究は、仮設住宅への転居が住民の食生活に与えた影響を明らかにすることを目的とした。方法 震災後、石巻市市街地の仮設住宅に入居した60代女性(食生活改善推進員、震災前は同市雄勝地区)を対象に、震災前後の食生活(料理の種類、保存食、食事形態)について聞き取り調査を行う(2015年3、9、12月)とともに料理の画像記録を依頼した。結果 震災前に比べ、仮設住宅での料理の種類の減少や食事形態に変化が見られた。その原因として、1.地元で採(獲)れた大豆や米から味噌、柿やハモの乾物等の保存食を作り、これを利用して柿なますや雑煮等の郷土料理が作られていたが、食材の入手・保存場所の確保が困難になり、保存食を作ることが少なくなった。2.台所が狭くなり、保管・使用にスペースが必要な蒸し器やすり鉢を使う料理が減った。3.食卓が狭くなり、食器の種類や数も減ったため料理の盛り付けは銘々盛りから大皿盛りへと変化した。日常的に行われてきた食生活が震災を機に失われつつある。石巻の気候・風土を反映する多くの食材を活用した料理を記録として残し、継承していくことが求められている。本研究はJSHE生活研究プロジェクトの活動として実施し、科学研究費補助金(課題番号:24300243、25350040)、平成26年度(公財)浦上食品・食文化振興財団の助成を受けた。
著者
坂田 実花 岡本 秀明 MIKA SAKATA Hideaki OKAMOTO
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.67-79, 2009-03

本研究では、市川市の高齢者が現在の居住している住宅に対してどのような意識を持っているのか、高齢者が感じる住生活上の問題点および住宅改善の希望内容を整理することで、全体的な傾向を明らかにすることを目的とした。分析対象は、市川市で実施したアンケート調査で「現在お住まいの住宅で、年齢を重ねるにつれ、使いづらくなった点や困っている点、改善したい点を、ぜひ教えて下さい」と自由記述により回答を求め、この質問に関係する回答が記入されていた134票とした。 調査の結果、市川市の高齢者は自宅に対して①「住宅、設備による問題点と改修希望」と、②「その他の住環境に関連した問題点と改善希望」を有していることが明らかとなった。「住宅、設備による問題点と改善希望」では、「階段」、「浴室」、「居室・廊下」で問題点と改善希望が多くあげられた。問題点と改善希望の主な内容は、「階段昇降の負担」、「段差解消」、「手すり取付け」であった。「その他の住環境に関連した問題点と改善希望」については、「日照」、「防災・防犯」、「改修困難」、「生活継続不安」の4点があげられた。 以上のことから、市川市の高齢者が住み慣れた自宅で可能な限り安全かつ安心な生活を継続するためには、第1に普遍的な住宅のバリアフリー化を進めるとともに、個々人の身体状況や住宅状況に適した住宅改修の推進を行うこと。第2に介護保険などのバリアフリー化を進める住宅改修制度で対応することが出来ない問題点については、ニーズに合致した制度の充実、情報提供、利用促進が必要とされる。
著者
松田 光彦 坂田 隆造 伴 敏彦 曽根田 純一 西村 和修
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.1109-1112, 1986-04-15 (Released:2011-10-07)
被引用文献数
1

セルセーバーを用いて行われた心臓手術症例において、これを用いなかった症例との間で、術前後のヘマトクリット値、血中蛋白の変動について検討した。セルセーバー使用群では、時に術直後、ヘマトクリットが異常に高値をとったり、蛋白の改善が非常に遅い症例がみられた。特に、術後1日目のヘマトクリットが、セルセーバー使用群で高く、蛋白、特にグロブリンに低い値がみられ、これは術後の回復、感染に問題があると思われた。セルセーバーを心臓手術の症例全部に使用するには問題があり、使用する場合には一手術例あたりの使用回数(即ち、処理後の再利用血液量)に限界があると考えられる。
著者
三上 奈緒 角田 均 梅原 稜 北谷 優典 田中 志子 工藤 雅世 小久保 温 坂田 令 坂本 知英
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.27-28, 2019-02-28

これまでの研究でゲーミフィケーションを用いた「大学生のための行動変容を促すシステム」「発達障害児童のための生活訓練アプリケーション」の開発と実証実験を行った。今年度はFacebookのようなSNS形式のグループ向け生活習慣管理アプリケーションを開発した。RESTフレームワークによるWebアプリケーションとして実装、協力企業の全社員を対象に健康増進キャンペーンの実証実験を行い、利用状況をもとに効果とユーザビリティを検証した。
著者
坂田 明子
出版者
金沢大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2016

● 研究目的リトドリン塩酸塩の添付文書には、新生児低血糖症が重要な基本的注意及び副作用として記載されているが、頻度などの詳細は不明である。そこで、リトドリン母体投与後の新生児低血糖症発現状況について調査し、リトドリン投与量・投与期間・投与中止後から分娩までの期間などとの関連性を検討した。● 研究方法母体にリトドリン持続点滴投与を受け投与中止後1週間以内に分娩となった新生児を対象とし、電子カルテを用いて調査を行った。児は正期産(37週以降)・後期早産(36週以降に限る)の正常新生児とし、出生時体重2000g未満の例は出生直後から点滴開始となるため対象から除外した。● 研究成果2013年8月~2016年7月の3年間で調査を行った。リトドリン投与群の新生児低血糖症発現率は61.5%、非投与群の低血糖症発現率は8.2%であり、母体リトドリン投与により新生児低血糖症の発現率が明らかに高くなった。リトドリン投与群の新生児低血糖症発現群における投与中止後から分娩までの期間は平均4.3時間(標準偏差7.61)、リトドリン投与群の低血糖症非発現群では平均37.7時間(標準偏差46.00)であり、有意な差が認められた。低血糖症発現群の67.2%が投与中止後から分娩まで3時間以内であった。リトドリン投与中止後から分娩までの期間が新生児低血糖症発現に関与していることから、計画的にリトドリン持続点滴投与を中止することにより新生児低血糖症を回避できる可能性を示唆した。また、リトドリン投与中止後から分娩までの期間により新生児低血糖症発現のリスクが予見でき、確実な予防対策を講じることができると考えられた。