著者
王 子灃 譚 成博 川堀 真人 七戸 秀夫 寶金 清博
出版者
北海道医学会
雑誌
北海道医学雑誌 (ISSN:03676102)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, pp.13-20, 2018-05-01

A recent breakthrough in cell therapy is expected to reverse the neurological sequelae of stroke, spinal cord injury, traumatic brain injury and so forth. In fact, various clinical trials concerning cell therapy for central nervous system (CNS) disease have been reported all over the world. Although some pioneer studies were conducted in China, accurate information was not always conveyed to Japan due to the language barrier. In our present article, we reported our systematic review of the scientific papers and the protocols about clinical trials concerning cell therapy for CNS disease in China. Moreover, we reported the regulatory framework for the stem cell research in China. It is noteworthy that we referred to not only English-based databases, but also Chinese-based databases. In conclusion, though some problems remain in China, we expect the acceleration of cell therapy for CNS disease in the future because of the new regulatory framework.
著者
遠藤 晋作 上田 敏丈 堀田 法子
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.274-283, 2019 (Released:2019-11-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1

先天性心疾患をもつ学童期までの子どもに対して母親が行う病気説明プロセスを明らかにすることを目的とし、疾患をもつ10歳~12歳の子どもの母親4名に半構成的面接を行った。分析にはSCATの手法を用いた。母親は医師から病気説明を受け、 「自発的な情報収集」 を行うが 「断続・漸進的な理解向上」 しか望めず、子どもが学童期になっても 「理解追求が停滞する不全的な病気説明理解」 状態にあった。その背景には 「疾患衝撃による理解阻害」 「病気理解の追求困難」 「医師母親間の信頼関係形成困難」 があり、母親は幼児期までの子どもに対する 「日常生活に即した内容中心の病気説明」 を、学童期までに 「日常生活に即した内容と不十分な医学的知識が共存した病気説明」 に変容させていた。またその病気説明は 「成長に付帯する病気説明選択要因」 に影響されていた。母親が医学的知識を向上し、子どもへ希望に沿った説明を行えるよう支援することが求められる。
著者
甲斐 慎一朗 和田 健太郎 堀口 良太 邢 健
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.A_280-A_287, 2023-02-01 (Released:2023-02-24)
参考文献数
9

本研究は,近年提案された連続体交通流理論に基づき,国内複数のサグ・トンネルにおける交通容量低下 (CD: Capacity Drop) 現象の分析を行ったものである.具体的には,高速道路会社が 2019 年の 1 年間で集計した渋滞イベントデータを参考に,渋滞区間(および渋滞イベント)を選定し,ETC2.0 プローブデータおよび車両感知器データを用いてモデルのキャリブレーションを行った上で,安全車間時間,ボトルネック下流端における加速度パラメータ等を推定する.そして,理論の汎用性を確認するとともに,推定されたパラメータの傾向を分析し,ボトルネック区間がサグのどこで顕在化するかはまちまちであること,安全車間時間の大小が概ね渋滞発生後捌け交通量 (QDF: Queue Discharge Flow rate) の絶対レベルを決めていること,を示す.
著者
自見 厚郎 堀江 昭夫 八巻 敏雄
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.327-331, 1982-09-01 (Released:2017-04-11)

植物ホルモンの一つである天然オーキシンの主成分は indoleacetic acid (IAA) である. IAAは正常ヒト尿のほか消化管癌組織にも存在し, また動・植物細胞の増殖に関与する (Yamaki et al., 1979). ヒト子宮頸癌由来のHeLa細胞に対するIAAの増殖効果とその拮抗物質PCIB (parachlorophenoxy-iso-butyric acid) の増殖抑制効果をin vitroにおいて検討して, 次の結論がえられた. 1) IAAに増殖効果がみられた. 2) PCIBにIAA, FBS (fetal bovine serum, ウシ胎児血清) に対する拮抗作用がみられた. 3) FBS添加培地の方が細胞増殖作用は優れていた. HeLa細胞はヒト子宮頸癌由来の安定した細胞である. IAAが胃, 食道などの消化管癌などに多く含まれている事実を考え併せると, 癌細胞の増殖にIAAの関与することは想像に難くないと思われる. しかし, 厚い細胞壁を持つ植物細胞と持たない動物細胞に同様の増殖作用がIAAによってみられることから, その構造上の差異に関係しない共通のIAAの作用機序を考える必要がある.
著者
堀田 昂己 三井 完太 岩下 太樹 岡田 遼人 岩坂 桃果 阪本 大地 内藤 秀太 畑中 良紀 原田 良也 松本 実夏 吉岡 雄馬 福本 悠樹 鈴木 俊明
出版者
一般社団法人 大阪府理学療法士会生涯学習センター
雑誌
総合理学療法学 (ISSN:24363871)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.17-24, 2022 (Released:2022-06-30)
参考文献数
31

【目的】運動イメージ戦略の違いが脊髄神経機能の興奮性と運動の正確さに及ぼす影響について検討した。【方法】対象は,健常者13名(平均年齢20.3 ± 0.5歳)とした。安静時にF波を測定し,ピンチ力を50%MVCに調節する練習を与えた後,ピンチ課題において規定値と実測値との誤差を算出した。その後,順不同でそれぞれ別日に筋感覚的イメージ,1人称的視覚イメージ中のF波を測定した後,再度ピンチ課題を与えた。【結果】安静を基準とした各イメージ戦略間における振幅F/M比増加量に差異を認めなかった。また,安静を基準とした各イメージ戦略間における50%MVCからの絶対誤差改善度に差異を認めなかった。【結論】1人称的視覚イメージが1人称の視点に立って運動イメージを行うという点において筋感覚的イメージと類似したことで,同程度の脊髄神経機能の興奮性増大をもたらし,運動の正確さを維持させた。
著者
堀江 朋彦 今田 奈津夫 榊原 夢太郎 厚見 秀樹 丹羽 徹 松前 光紀
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
pp.2023-1324, (Released:2023-02-14)
参考文献数
27

【目的】本研究の目的は,呼吸性運動による脳脊髄液(cerebrospinal fluid: CSF)動態の描出を想定したdynamic improved motion sensitized driven equilibrium steady-state free precessionの最適な空間分解能と時間分解能を調べることである.【方法】健常ボランティア9名の正中矢状断面を対象に三つの撮像条件(A:空間分解能0.49×0.49×5 mm, 時間分解能1000 ms,B:0.49×0.49×5 mm, 430 ms,C:0.78×0.78×5 mm, 200 ms)による描出の違いを調査した.まず,第三,第四脳室のCSFおよび橋のsignal-to-noise ratio(SNR)を算出した.次に,呼吸性運動により10 cm/s以上で流れるCSFと10 cm/s以下で流れるCSFの信号強度比(signal intensity ratio: SIR)を算出した.更に吸気SIRと呼気SIRの差を求めた.更に,①中脳水道を中心とした第三,第四脳室に生じる流れの存在,②呼吸による流れの変化について,7名の技師による3段階の視覚評価により調べた.【結果】SNRは,いずれもAが最も高く次いでBそしてCの順に小さくなった.第三,第四脳室のCSFではAとBおよびAとCの間に有意差があったが,BとCには有意差はなかった.呼吸性運動によりCSFの信号強度は変化した.第三脳室のSIRは吸気で高く呼気に低くなり,逆に第四脳室のSIRは吸気に低く呼気で大きくなった.各SIRはいずれもAとCおよびBとCの間に有意差があった(p<0.05).吸気SIRと呼気SIRの差は,第三,第四脳室ともにBが最も高く次にAそしてCが最も低く,AとCおよびBとCの間に有意差があった(p<0.05).中脳水道を中心とした第三,第四脳室に生じる流れの存在に有意差はなかった(p=0.264).一方,呼吸による流れの変化には撮像条件による有意差がありBが他より高値となった(p<0.001).【結語】最適な空間分解能は0.49×0.49×5 mm, 時間分解能は430 msであった.また本法では,位相分散を利用するため空間分解能と時間分解能の関連に注意した条件設定が重要なことが示唆された.
著者
前田 豊樹 三森 功士 牧野 直樹 堀内 孝彦
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.41-47, 2019-05-31 (Released:2019-06-19)
参考文献数
22

これまで温泉治療が様々な疾患に療養効果があることは示されてきたが,一般的にどのような疾病に予防効果があるのかは示されていない.また,温泉入浴の禁忌症は示されているものの,某かの疾病の発症を促進する可能性についても知られていない.このような状況を踏まえて,筆者らは,平成24年度から3カ年間,65歳以上の高齢別府市民2万人を対象に,温泉の利用歴と各種疾患の既往歴に関するアンケート調査を実施し,その解析結果を先頃論文報告した.結果は,性別によって分かれており,温泉入浴が,男性においては,心血管疾患の予防に寄与し,女性では,高血圧に予防的に働くが,膠原病などの発症には促進的に働く可能性などが示唆された.このように,温泉は必ずしもすべての疾患の予防に働くわけではなく,一部促進する場合もあり得ることが伺えた.この疫学調査から伺える予防的効果には,温泉の効能としては期待されてこなかったものやこれまで示されてきた効能に反するものが含まれている.本編では,様々な疾患に対する温泉の予防効果と治療効果のずれという観点から,アンケートによる疫学調査をレビューする形で紹介したい.
著者
中堀 謙二
出版者
京都大学埋蔵文化財研究センター
雑誌
京都大学埋蔵文化財調査報告
巻号頁・発行日
vol.3, pp.193-200, 1985-03-30

1 Po地点の試料 [193]
著者
堀内 泰利 岡田 昌毅
出版者
産業・組織心理学会
雑誌
産業・組織心理学研究 (ISSN:09170391)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.15-28, 2009 (Released:2019-08-05)
被引用文献数
7

The purpose of this research was to study the relationship between psychological aspects and behavioral aspects of career self-reliance and further to study the effect of career self-reliance on career fulfillment and organizational commitment among adult corporate employees. A questionnaire was administered on a website to 335 business persons working in multiple companies mainly in the Tokyo metropolitan area. A path model was proposed for demonstrating the relationships among variables of career self-reliance, career fulfillment and organizational commitment. The following variables was constructed; three psychological variables and four behavioral variables composing career self-reliance, three variables composing career fulfillment and two variables comprising organizational commitment. The model was best fit by covariance structure analysis. Major findings were as follows: (1) psychological variables of career self-reliance such as clarity of career self-concept, career development motivation, and career self-efficacy promoted career selfreliance behavior; (2) career self-reliance influenced career fulfillment; (3) career self-reliance had indirect effects on organizational commitment through career fulfillment.
著者
堀 彰
出版者
北海道大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

氷結晶中の気体の拡散係数の推定を行うため,非経験的分子軌道法を用いて,移動の障壁エネルギーの計算を行った。氷の格子間拡散の経路としては,結晶のc軸に沿った経路であるTuサイト→Tuサイトの拡散がより支配的であると考えられ,その取り扱いのために水分子18個からなるクラスターを作成し,移動の障壁エネルギーの計算を行った。非経験的分子軌道法の基底関数として6-311G(d,p)を用いて計算を行うと,Heのc軸に平行な方向の拡散の実験データと非常に良い一致を示した。さらに,原子の移動に伴う全エネルギーの変化から見積もったattempt frequencyの値から,古典的な遷移状態理論に基づく理論式を用いて拡散係数の前指数因子を計算したところ,実験データと良い一致を示した。また,Neに関しても同様であるが,計算値が実験値よりも5%大きくなったが,これは,構造緩和の効果を無視したためであると考えられる。酸素や窒素の分子に関しては,障壁エネルギーの計算を行ったところ,酸素分子の方が約0.3eV低い値となった。さらに,構造緩和の効果を調べるため,水分子378個からなる大規模クラスターを作成し,半経験的分子軌道法による計算を行った。その結果,両者の差は約0.1eVとなったが,分子径は酸素分子の方0.1Å小さいが,その差は,分子径の差からは説明できない。そこで,分子軌道を調べたところ,酸素の場合は,分子の移動の過程で氷の格子と結合を生成するため,障壁エネルギーが低下することがわかった。メタンについて同様の計算を行った結果,メタンの障壁エネルギーは約0.8eVと求められた。このことは,メタン分子では氷結晶中の格子間拡散は起こりえないことを示している。また,二酸化炭素については,直線的な形状・大きさの効果を考慮する必要があり,引き続き検討中である。
著者
手塚 和佳奈 佐藤 和紀 三井 一希 板垣 翔大 泰山 裕 堀田 龍也
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.101-119, 2021 (Released:2021-05-08)
参考文献数
50
被引用文献数
1

本研究は,日本教育メディア学会における学校教育を対象としたメディア・リテラシー教育の実践研究を,「実践研究が対象としてきたカテゴリ(佐藤ほか 2020)」および「ソーシャルメディア時代のメディア・リテラシーの構成要素(中橋 2014)」に整理し,傾向を分析することにより,これまでの成果を把握し,今後の実践課題を考察することを目的とした。122件の実践研究を整理した結果,「教材開発」「評価・目標達成」をテーマにした実践研究および「メディアのあり方を提案する能力」の育成をねらいとした実践研究の割合が低く,今後の実践課題であることが示唆された。また,1つの実践においてともに育成することが有効である構成要素についての示唆が得られた。
著者
濱井 昂弥 堀内 健吾 古川 創
出版者
一般社団法人 環境資源工学会
雑誌
環境資源工学 (ISSN:13486012)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.71-79, 2022 (Released:2023-02-01)
参考文献数
20

In Japan, many studies have been conducted to reduce the cost of mine drainage treatment at abandoned mines. The treatment method called “passive treatment” that utilizes natural purification and is expected to be applied to mine drainage treatment.Following the completion of the guidelines on the introduction of passive treatment, we conducted a simple screening focused on water quality, quantity and utilizable blank space to review the applicability of passive treatment to abandoned mines in Japan.Our findings indicate that passive treatment has the potential to be applied to many of abandoned mines in Japan, although there are still some issues to be solved.
著者
堀口 真弓 大澤 葉子 山浦 小百合 野溝 明弘
出版者
一般社団法人 日本フットケア学会
雑誌
日本フットケア学会雑誌 (ISSN:21877505)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.208-212, 2018-12-25 (Released:2018-12-25)
参考文献数
5

【要旨】当施設の通院透析患者 172 人中,巻き爪のある患者は 32 人であり,その内,糖尿病または 70 歳以上である患者は 65.6% であった.糖尿病及び高齢者は足趾潰瘍のハイリスク群であり,巻き爪による足趾の損傷はできるだけ回避する必要がある.早期に適切な介入をすることにより巻き爪による足趾の創傷を防止することを目的に,看護師でも扱える巻き爪矯正具,巻き爪ロボと巻き爪ブロックを導入した.巻き爪ロボによる矯正では殆どの症例が処置開始初回で爪の皮膚への陥入は解除できた.多くの巻き爪症例は爪の根元から変形しており,矯正後 1 週間前後で元の形状に戻る傾向がみられたが,処置を繰り返し継続することで爪甲の弯曲は徐々に矯正され,皮膚への陥入を解除することが可能であった.透析時間を利用した今回の巻き爪矯正方法は合理的で有効な方法である.