著者
大日方 太一 河本 浩明 山海 嘉之
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.926-940, 2023-04-15

人間の作業に起因するミスはときに重大な事故につながるため,作業のモニタリングシステムは有用であると考えられる.作業には全身の動作で行われるものと手元の動作で行われるものがあり,全身と手元の情報を取得可能な状況下で手元の細かな動作を含めた動作認識ができれば,システムは様々な作業のモニタリングが可能になると考えられる.そこで本研究では,作業のモニタリングシステムの実現に向け,非接触に全身と手元の情報を取得可能な状況下で全身と手元の動作を認識可能な手法の提案・研究開発を行い,実際の手洗い作業での試験を通して提案システムによる作業の実施判断の実現可能性を明らかにすることを目的とする.モニタリングが必要な作業として,手指の複雑な動きがある手洗い作業を対象に提案システムを構築した.RGB-Dカメラを用いて非接触に全身と手指の骨格三次元座標を取得し,その骨格情報から一連の作業を認識するモニタリングシステムを開発した.動作の認識に使用したモデルは,手指と全身の骨格情報のそれぞれから特徴量を抽出・統合することで,手元と全身の動作を同時に認識可能にしている.手洗い作業の試験より,提案システムは手洗い動作をF値のマクロ平均87.1%で認識でき,一連の手洗い作業を高い精度で推定し,不足した動作を正しく判定できることを確認した.以上より,提案システムによる作業の実施判断の実現可能性を確認した.
著者
清水 新悟 長井 力 元田 英一 大日方 五郎
出版者
Japan Society of Sports Industry
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1_11-1_17, 2013 (Released:2013-05-30)
参考文献数
17
被引用文献数
1

We propose a method that can be diagnosed in a simple spread foot to prevent failure in such as sports injuries. In addition, to clarify the boundary value that can be used to predict spread foot and its reliability, we report on our investigation of the effects of merger rate and location of pain and other diseases, using a 6-minute walk distance.    Measurement of spread foot is measurement by using the spread angle and spread rate. We checked spread rate and the spread angle at the first and fifth metatarsal angles of the X-ray with correlation. And then we calculated by the regression equation metrics of spread foot. In the case of spread foot, to see the complications of other diseases, we observed the correlation high rate medial longitudinal arch, first toe angle and fifth toe angle. We also observed the merger rate of flatfoot deformity, hallux valgus deformity, and digitus quintus varus.    We also examined the occurrence of pain and the occurrence of callus of spread foot. Furthermore, we observed the correlation between the angle of M1-M5 using the 6-minute walk distance test.    The subjects were 9 men and 48 women who had been diagnosed with spread foot. 62 foot of them were examined in this study.    As a result, spread rate was r = 0.535733. Spread angle was r = 0.653131. The results indicated on the index with over 40.9% spread rate and over 15°spread angles. Spread foot merger rate was higher for flat foot, hallux valgus, and digitus quintus varus. There were many cases of second metatarsal bone pain and first metatarsal bone pain.    Prediction of degradation mechanisms of the arch could be made on the basis of flat foot with talus sliding down by the subtalar joint pronation and pushing the adjacent navicular bone to the lower part. It was thought that the drop of the horizontal arch navicular bone was pushed to the lower part. Appearance of the hallux valgus and digitus quintus was predicted by the drop of the horizontal arch.
著者
小原 忠彦 大日方 洋 唐沢 秀行 松橋 鉄治郎
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.586-595, 1992
被引用文献数
6

豆乳に塩化カルシウム溶液を添加した際,その反応系の粘度変化を連続計測できるトルク計測システムを使い,「豆乳に対する凝固剤適量」におよぼす豆乳の成分の影響を検討した.<BR>(1) 各種大豆から同一条件で豆乳を調製し,トルク計測システムから得られる最高トルク到達時間(<I>MVT</I>)と豆乳成分の分析値との相関関係を検討した.その結果,最大トルク到達時間は豆乳の蛋白質,灰分,リンおよびカリウムとの問に,それぞれ正の相関関係が認められた.また,豆乳の電気伝導度との間には正の相関関係が,大豆浸漬液の電気伝導度との間に負の相関関係があった.<BR>(2) 市販脱脂大豆より脱脂大豆水抽出液,酸沈澱蛋白質溶液およびホエーを調製し,モデル凝集試験を行った.蛋白質濃度の増加は最大トルク到達時間を増加させた.脂質の添加は最大トルク到達時間には影響を及ぼさないが最高トルク(<I>MV</I>)を増加させた.豆乳のpHが減少すると最大トルク到達時間が減少し平坦トルク(<I>FV</I>)も減少したが,最大トルクは一定であった,脱脂大豆水抽出液を透析すると,透析時間とともに最大トルク到達時間は減少した.一方,酸沈澱蛋白質溶液にホエーを添加すると最大トルク到達時間は増加した.このような最大トルク到達時間の増減から,凝固剤を消費する成分割合は蛋白質区分が65%,ホエー区分が35%であることがわかった.分画分子量の異なる膜を使い,電気透析したホエーの添加試験から,ホエー中の凝固剤を消費する成分因子の分子量は約300~1000と分った.また,化学分析の結果,クエン酸やリンを含む窒素化合物であることが確かめられた.<BR>(3) 大豆の浸漬液中及び豆乳中のリン,クエン酸を数点の大豆について定量し,最大トルク到達時間との関係を考察した.
著者
大日方 薫
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.353-356, 2001-01-20 (Released:2014-11-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

ヒトパルボウイルス (HPV) -B19感染に伴ってループス様症状を呈し, 低補体血症や自己抗体産生など免疫学的検査異常を認めた2例を経験した. 症例1は35歳の女性. 発熱・多関節炎・レイノー症状, 体幹の発疹および顔面の蝶形紅斑があり, リンパ球減少・低補体血症・抗核抗体陽性を認めたため, SLEと診断された. 同時期に6歳の長女が伝染性紅斑に罹患したことからHPV-B19抗体を測定したところ, 母子ともにIgM抗体が上昇しており, HPV-B19特異的PCRによるゲノムDNAの検出が陽性であった. 症例2は13歳の女児. 顔面・四肢の紅斑, 多関節痛があり, リンパ球減少・血沈亢進・低補体血症・抗核抗体陽性を認め, SLEと診断された. 同胞2名が伝染性紅斑に罹患したことから, 患児のHPV抗体の検索を行ったところ, IgM抗体を検出した. これら2症例のループス様症状は短期間に消失し, 検査値も数ヵ月以内に正常となった. HPV-B19感染により自己免疫反応が誘導され, 一過性にループス様症状を呈した可能性が考えられた.
著者
Lee Jaeryoung 竹橋 洋毅 長井 力 大日方 五郎
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第54回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.39, 2011 (Released:2012-03-09)

近年,コミュニケーション能力の機能不全を持つ自閉症児に対する新しいトレーニング技法としてロボットセラピーが研究され,主にノンバーバルコミュニケーションのトレーニングにおいて適用され始めている. 本研究では教育現場のニーズに関する調査を行い,人間と人間のインタラクションの際起こる身体的接触に着目し,自閉症児のロボットセラピーにおける接触力の調整トレーニング用の新たなロボットを提案する.
著者
樋口 秀行 稲垣 友紀子 平手 博之 高須 宏江 大越 有一 大日方 洋文 太尾田 正彦
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.1-20, 2021-01-01

定例の手術もかなりはけて,少しまったりした雰囲気になっていた夕方の麻酔科控え室。そこに,緊急手術申し込みの連絡が入った。SARS-CoV-2肺炎による呼吸不全により人工呼吸管理を行っていたが,1日前に抜管した。本日,不穏状態になり,ベッド柵を乗り越え,落下し上腕骨を骨折した。開放創があるため緊急手術をしたいという内容であった。2日前のPCR検査ではいまだ陽性が持続しているとのことである。 日本麻酔科学会の指針では,区域麻酔で施行できる症例は極力,全身麻酔を避けるとあるが,最近,腕神経叢ブロックのみで外科手術を施行した経験もないし,斜角筋間アプローチによる横隔神経麻痺は困る。当院には陰圧手術室が存在しないし,個人防護具(PPE)の着脱を完璧にこなせる自信もない。どうしよう? あれこれ考えるが答えが出ない。 手術部位や施設,手術室の環境により,麻酔管理のアプローチは複数あると思われるが,おのおのが置かれた状況下で最善の麻酔管理方法について誌上で議論してみたい。
著者
大日方 純夫
出版者
ジェンダー史学会
雑誌
ジェンダー史学 (ISSN:18804357)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.21-33, 2006

Early in its establishment, the modern Japanese state introduced draft and schooling systems and made it obligatory for all of its subjects to get military training and to become educated. When incorporating a gender perspective, the difference between the two is obvious. While schooling was for both men and women, the army was only for men. Discussion of the "myth of the National Army" or the "disciplining the subjects" without recognizing this crucial difference might mistakenly reproduce another "myth."<BR>This article attempts to clarify the structure of masculinity by focusing on the Japanese army after the Russo-Japanese War. Masculinity was constructed in daily life in military barracks. This masculinity was "shown" and "tested" in actual battlefields. At the same time, the soldiers were expected to realize the "men's duty." In the Sino-Japanese and the Russo-Japanese Wars, the soldiers' masculinity was scrutinized, converging on "Yamato Damashii (the Japanese Spirit)" and "Bushido." The new "Bushido" that emerged after the Sino-Japanese War was incorporated in the Japanese military as its spiritual core. The masculinity that was constructed and emphasized in this way contributed to the emergence of extreme irrationality and spiritualism in the "Imperial Army."<BR>The "Imperial Army" depended on the extreme spiritualism to compensate for the scarcity of materials with which to pursue the war, placing too much burden on the concept of masculinity. The spiritualism nurtured "Yamato Damashii" and "Bushido" in the military. At the same time, a kind of familism was introduced into the Japanese army after the Russo-Japanese War. That is, barracks were likened to the family and the military discipline and spirit were fostered through "domestic education." Further, the military strengthened its interference into the national school system after the Russo- Japanese War and watched over the thorough infiltration of militaristic patriotism ("Chukun Aikoku") among students. The concept of masculinity was instilled into the minds of both men and women through ordinary education. Men should become soldiers and discard their lives for "royalty and courage." Such masculinity was highly praised and "Bushido" was utilized to encourage the spirit.
著者
大日方 洋 唐沢 秀行 村松 信之
出版者
長野県食品工業試験場
巻号頁・発行日
no.28, pp.61-64, 2000 (Released:2011-03-05)

寒天の熱水可溶性という特徴を活かした可食性フィルムの開発を目標として、ここでは特に可食性フィルムの基礎的特性である強度及び熱特性について検討を行い、以下の結果を得た。 1.寒天及びゼラチンを主成分とする可食性フィルムは、引張強度は大きいが伸びが小さく、硬くて脆い性質を示した。 2.グリセリンやソルビトールのような多価アルコールの添加は可食性フィルムに柔軟性を与えるのに有効であった。 3.寒天とゼラチンの混合フィルムは、水分がある状態では65℃以上に融点をもつため、通常のインパルスシーラーでシールでき、かつ熱水可溶性であることが確認された。
著者
黒河内 邦夫 大日方 洋 松橋 鉄治郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.254-256, 1980-05-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
2

そば粉対小麦粉配合比〔90:10〕および〔50:50〕の粉に,活性グルテンを5%または10%添加してそば切りの製造試験を行った。そば粉配合比率の低いほど,活性グルテン添加率の高いほど製めん加工性は良く,標準ゆで時間(ゆでそば切りの水分が72%になるゆで時間)が長くなり,標準ゆで時間におけるゆで溶出率は低下した。そば粉対小麦粉配合比〔90:10〕で活性グルテン無添加のものは,つながりが悪く,通常のそば切りの形態に加工できなかった。しかし,活性グルテン5%添加のものは,つながりがかなり良くなり,とくに,活性グルテン10%添加のものは,そば粉対小麦粉配合比〔50:50〕で活性グルテン無添加のものとほとんど同程度の製めん加工性を示した。
著者
佐藤 岬平 大日方 真史 Sato Kohei Obinata Masafumi
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = Bulletin of the Faculty of Education, Mie University. Natural Science, Humanities, Social Science, Education, Educational Practice
巻号頁・発行日
vol.70, pp.285-299, 2019-01-04

本稿の目的は、シティズンシップ教育を労働・貧困問題から問い直し、「社会的シティズンシップ教育」というかたちでシティズンシップ教育を再検討することである。シティズンシップ教育(主権者教育)というと多くは「政治的」な問題(模擬投票や模擬裁判など)を扱うものと思われようが、本稿では「社会的」な問題(労働・貧困問題)からシティズンシップ教育を考えてみたい。シティズンシップを歴史的に検討してみると、「政治的シティズンシップ」と「社会的シティズンシップ」に分けることができる。そして、現在では「社会的シティズンシップ」は後景に退き、主権者教育というかたちで「政治的シティズンシップ」が注目されている。しかし、「非正規雇用の拡大」や「子どもの貧困」が問題となるなかで、学校教育においてこれらの問題にいかに取り組んでいくかがいま改めて問われている。本稿では、政治的なシティズンシップ教育とは別の方向性として、「社会的シティズンシップ教育」を示すことにする。この「社会的シティズンシップ教育」として、高校における2つの実践、「アルバイトの雇用契約書をもらってみる」実践と「貧困をテーマにした文化祭」実践を取り上げる。これらは、労働・貧困問題から出発して、その問題を公共性の次元に引き上げながら、政治的に覚醒させる実践となっているのである。
著者
倉迫 涼一 大日方 五郎 鳥谷 和史
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.79, no.800, pp.991-1002, 2013 (Released:2013-04-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

Lightening each part is needed as one method to improve the Fuel Economy of the car. On the other hand, a certain amount of mass is required for the brake rotor as thermal capacity because the main role of the brake is to convert the kinematic energy of the vehicle into the frictional thermal energy for decelerating the vehicle. Therefore, the appropriate heat design becomes important aiming at lightening brake parts. Many thermal analyses to design the strength and the cooling performance concerning the brake rotor are done. However, there are a few papers that treat the relation between the thermal analysis and the brake friction force. Authors have been developed the simple calculation method of the temperature on the friction surface where the pad and rotor come in contact. Then, it is found that contact form is one of factors in fluctuating brake friction force from the bench test data and the calculated friction surface temperature. In this paper, the calculation method of two dimensional temperature distribution of the rotor is proposed. The calculated results are effective to confirm the detail of radial temperature distribution of the rotor as a short time under braking. The tested pads and rotors were analyzed by EPMA on the friction surface. These results show that a detectable amount of tin is difference. It is found that the fluctuating brake friction force has affected by the relationship between the friction surface temperature and the melting point of tin.
著者
大日方 浩二
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.206-211, 2007-07-01

先端LSIプロセスの信頼性で, NBTI(Negative Bias Temperature Instability)と呼ばれるPMOSトランジスタの劣化が深刻な問題となっている. NBTIは,古くはスロートラップ現象として研究されていた劣化メカニズムであるが,埋込みチャネル型PMOSトランジスタを使っていたプロセス世代では劣化が少ないため, LSIの信頼性問題として取り上げられることはなかった.しかし先端MOSプロセスで表面チャネル型のPMOSトランジスタを使うプロセス世代になると, NBTIの劣化は無視できないものとなり,ホットキャリア(HCI)と並んでトランジスタの信頼性を決める要因となった. NBTIの劣化メカニズムは,薄いゲート絶縁膜では絶縁膜中の不純物やゲートトンネル電流の影響などの新しいプロセス要因に加え,パルスストレスでの回復現象など従来の故障物理では考えられていなかった現象のため,より複雑化してきた.最近の研究では,評価方法を含めた回復現象の解明によって,ようやくNBTIの劣化メカニズムが明らかにされつつある.ここでは,先端LSI開発におけるNBTIの故障物理について,最近の論文を基に解説する.