著者
大枝 真一 天野 恵理子 山西 健司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.286, pp.123-130, 2013-11-05

試験は学習者のスキルを測る手段として用いられる.したがって,試験の各設問には解くために必要なスキルが設定されており,学習者がそのスキルを習得していなければ各設問に正答する事はできない.その設問とスキルの関係は関係行列としてQ-matrixと呼ばれ,見識者によって定義されていた.先行研究では,試験結果からNon-negative matrix factorization(NMF)を用いてQ-matrixを自動的に抽出する試みがなされている.しかしながら,それらは学習者のスキルの時間変化を考慮していなかった.教育過程による学習効果をより深く理解するためには,時間とともにどのように潜在的にスキルが習得されていくか解析することが非常に重要である.本研究ではNMFをオンライン化することにより,蓄積された試験結果からQ-matrixを抽出するとともに,時間変化する学習者の潜在スキル状態も抽出することを試みる.また,論理値で構成される行列を因子分解するBoolean matrix factorization(BMF)とNMFとの抽出結果の比較を行う.計算機実験の結果,学習初期から終期の試験結果から学習者の潜在スキルの習得過程を可視化することが可能であることがわかった.
著者
天野 百々江 大野 睦子 須田 隆一 飯田 聡子 角野 康郎 小菅 桂子
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 : bunrui : 日本植物分類学会誌 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.129-139, 2008-08-20
被引用文献数
1

インバモはササバモとガシャモク間の自然雑種である.福岡県北九州市のお糸池では国内で唯一,絶滅危惧種ガシャモクとインバモが野生状態で継続的に生育しているが,近年,これらの個体数が減少しつつある.お糸池の現存個体と博物館所蔵の過去の標本を用いて,インバモの交配の方向と形態的特徴を調べた.核遺伝子adhと葉緑体遺伝子rbcLを解析した結果,インバモにはガシャモクを母親とするD型とササバモを母親とするM型があり,両者は葉の形態である程度区別できた.お糸池では,過去にD型のインバモが採集されているにもかかわらず,現存するパッチはすべてM型であった.栽培実験では,ガシャモクはササバモに比べて渇水時の生存能が低く,M型のインバモはササバモと同様に渇水時の生存能が高かった.お糸池では,近年,透明度の低下や渇水が起こっており,このような生育環境の悪化により,D型のインバモは選択的に生育できなくなった可能性がある.
著者
座間味 義人 小山 敏広 合葉 哲也 天野 学 安藤 哲信 倉田 なおみ 名和 秀起 名倉 弘哲 北村 佳久 千堂 年昭
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.1027-1033, 2014 (Released:2014-08-20)
参考文献数
16
被引用文献数
1

【目的】従来の薬剤経管投与法である粉砕法は薬効の減少につながる薬剤量の損失が指摘されている。そこで粉砕法による薬剤量損失に対する簡易懸濁法の有用性について検討した。【方法】頻繁に粉砕指示がなされる5種類の薬剤を用いて粉砕・分包による薬物含量減少、薬剤調製時の懸濁性および実際の経管投与を想定した薬物含量について2つの方法を比較した。【結果】薬剤を粉砕・分包するとそれぞれの薬物含量は減少した。またワーファリン®錠を粉砕して水に溶解すると完全には懸濁せず、小さな塊が生じたが、簡易懸濁法では均一に懸濁した。ワーファリン®錠の経管投与を想定した実験において粉砕法では薬物含量が大幅に減少したが、簡易懸濁法では、ほとんど損失が認められなかった。【結論】簡易懸濁法は粉砕法に比べて薬剤損失の面で有用性が高いことが示唆され、ワーファリン®錠のように安定性が悪い薬剤では特に適正な薬物投与に貢献出来ると考えられる。
著者
佐藤 朋覚 熊谷 昌則 天野 敏男 小川 信明
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.653-660, 2003 (Released:2004-01-30)
参考文献数
24
被引用文献数
1 6 2

携帯可搬型の近赤外分光分析装置を用いて,清酒(日本酒)のスペクトルを測定し,ケモメトリックスを用いて判別分析を行い,その分類に対して化学的な解釈を加えた.近赤外スペクトルでの主成分分析で得られた波長寄与率スペクトルから,第1主成分(PC1)はアルコールの -CH3,-CH2-,R-OHの寄与が高く,第2主成分(PC2)はタンパク質の -NH2,-CONH2,-CONH-,-CH3,-CH2- の寄与が高く,第3主成分(PC3)はデンプンの -CH3,-CH2-,-OHの寄与が高いことが推定できた.近赤外スペクトルでの違いが,PC1では純米酒とそれ以外に,PC2では大吟醸酒とそれ以外に,PC3では純米大吟醸酒・本醸造酒,普通酒・大吟醸酒,純米酒にそれぞれ分類できることが分かった.携帯可搬で現場測定が可能なPlaScan-SHは清酒の判別に有用である.
著者
山田 寿 板野 阿貴子 天野 勝司
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.91-95, 2004-04-01
被引用文献数
1 8 2

リンゴ'王林'の高温誘導早期みつ症状の発生に及ぼす果実に対する日射量の影響を検討するため,簡易積算日射量測定システム(オプトリーフ)を使用した.オプトリーフは30℃以上の高温条件下でも正確な積算日射量の測定が可能であった.Rタイプではいずれの方位の日射量とも平均果実温度と極めて高い有意な相関を示した.3回の実験データをひとまとめにして解析した場合にも,各方位の平均相対日射量は平均果実温度や最高果実温度と1%レベルで有意な相関が認められた.果実の日射量はみつの発生程度や果肉硬度,果糖,ブドウ糖,ソルビトール,全糖などの果実形質とも有意な相関が認められた.また,みつの発生程度は果実温度や果肉硬度,ソルビトールとの間に正の相関が見られ,特にソルビトールとの相関が強かった.以上の結果から,日射によって果実温度が高まることにより,果実内にソルビトールが蓄積し,'王林'果実に早期みつ症状を発生させることが示唆された.
著者
加藤 英寿 堀越 和夫 朱宮 丈晴 天野 和明 宗像 充 加藤 朗子 苅部 治紀 中野 秀人 可知 直毅
出版者
首都大学東京
雑誌
小笠原研究 (ISSN:03868176)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1-29, 2008-03
被引用文献数
1

2007年6月、東京都環境局と首都大学東京は南硫黄島自然環境調査を実施した。南硫黄島で山頂部を含む上陸調査が行われたのは1982年以来25年ぶり、史上3回目である。その厳しく危険な自然環境故に、調査時の安全確保が最大の課題となったが、現地情報がほとんど無い中での計画立案はほとんど手探りの状態で、準備も困難を極めた。また貴重な手つかずの自然を守るため、調査隊が南硫黄島に外来生物を持ち込まない、そして南硫黄島の生物を持ち出して父島などに放さないための対策にも細心の注意を払った。幸いにして今回の調査では事故もなく、数多くの学術成果を得て帰ってくることができたが、調査隊が経験した困難・危険は、通常の調査では考えられないことばかりであった。よって今後の調査の参考となるように、今回の調査を改めて振り返り、準備段階から調査実施までの過程について、反省点も含めてできる限り詳細に記録した。
著者
天野 俊康 今尾 哲也 竹前 克朗 岩本 晃明 馬場 克幸 山川 克典 中澤 龍斗 吉田 勝美 杉森 裕樹 田中 利明 方波見 卓行 田中 政巳 テストステロン軟膏共同研究グループ
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.25-29, 2007-01

男性更年期障害(LOH)で暫定的指標として定めた値である血中総テストステロン(TT)3.18ng/ml, 遊離型テストステロン(FT)10.0pg/ml未満を示した50名(年齢34~81歳)を対象としたが解析可能は36名であった。調査項目のCut off値を定め, 男性更年期障害の症状スコア(AMS)総得点50点未満の軽/中等症25名と50点以上の重症11名, TT3.18ng/ml以上の高値12名と未満の低値24名, FT7.3pg/ml(YAM値の50%)以上の高値20名と未満の低値16名, FT9.1pg/ml(YAM値の60%)以上の高値7名と低値20名を重症度分類で2分割し比較した。男性ホルモン軟膏使用前後におけるAMS, 国際勃起機能スコア(IIEF5), 健康調査票(SF-36)変化ではAMSの心理ドメイン, SF-36の体の痛み(BP), 社会生活(SF), RE日常的役割においてAMSスコアが高い重症群に, より改善が見られ有意差を認めた。また, TT値の高値群においてSF-36のBPに, より改善が見られたがその他に有意差は認められなかった。

2 0 0 0 OA 将棋駒組

著者
天野 撰
出版者
吉田栄吉
巻号頁・発行日
1887

2 0 0 0 OA 将棋精選

著者
天野宗歩 著
出版者
三木佐助
巻号頁・発行日
vol.下, 1885

2 0 0 0 OA 将棋精選

著者
天野宗歩 著
出版者
三木佐助
巻号頁・発行日
vol.中, 1885
著者
松尾 定憲 天野 定雄 櫻井 健一 榎本 克久 阿部 英雄 小倉 道一
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.175-178, 2006-04-30 (Released:2009-08-13)
参考文献数
7
被引用文献数
3 3

症例は16歳女性。15歳頃より神経性食思不振症を指摘され, 拒食と過食を繰り返していた。過食し, 通常は自ら嘔吐していたが, 来院前日過食後は嘔吐できず腹痛出現したため, 近医受診し加療目的に当科へ紹介受診となった。来院時, 腹部は著明な膨満を認め圧痛, 腹膜刺激症状を認めた。腹部単純レントゲン, 腹部CT検査では大量の残渣のため骨盤腔まで拡張した胃を認め, 少量の腹水も認めた。経鼻胃管を挿入するも内容の吸引が不十分であった。以上より急性胃拡張, 胃穿孔の疑いにて緊急手術を施行した。開腹所見としては残渣による著明な胃の拡張を認め, 広範囲に筋層の断裂を認めた。胃内容をドレナージし, 筋層の断裂は漿膜筋層縫合にて修復した。術後経過良好なため術後16日目に経口飲水開始し, 術後25日目より経口摂取開始した。その後も全身状態良好で術後32日目に退院となった。