著者
天野 明弘
出版者
大阪大学
巻号頁・発行日
1966

天野明弘. 貿易と成長の理論. 有斐閣. 1964. 261p.
著者
明田 修 天野 貴文 内田 裕丈
出版者
Geographic Information Systems Association
雑誌
GIS-理論と応用 (ISSN:13405381)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.23-28, 2007-06-30 (Released:2009-05-29)
参考文献数
4
被引用文献数
3 2

In this study, the analysis system of evacuation action at the time of flood was developed using GIS. The system applied the network analysis which considers multiple refugees and shelters simultaneously and searches the shortest paths through the network links from halfway of the links. Moreover, the evacuation action was simulated in detail by linking network analysis and flood analysis. As a result, it was shown that the analysis system is applicable to plan suitable evacuation routes and shelters, and enlighten the residents on the importance of early evacuation.
著者
天野 達也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.200-205, 2023-06-01 (Released:2023-06-01)

科学研究における共通言語としての英語は,国際的なコミュニケーションを容易にすることで,科学の発展に対して大きな便益をもたらす一方で,いくつかの大きな障壁ももたらしている。本稿では,(1)英語が第一言語でない研究者に対する言語の障壁,(2)科学的知見の応用に対する言語の障壁,(3)科学的知見の集約に対する言語の障壁,という3種類の障壁について,環境科学分野における近年の研究を中心に紹介する。またそれぞれの問題解決のために,研究者個人や学術誌,学会などが実行できる解決策についても紹介し,学術界における言語の障壁という問題について認識を高め,国内外で問題の解消に向けた動きを促進することを目的とする。
著者
天野 公太朗 松本 恵樹 國井 洋一 鈴木 誠
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.493-496, 2015 (Released:2015-12-22)
参考文献数
27

Yokoyama Taikan Memorial Hall was used as a residence-atelier during 1909-1945 and 1953-1958 by Taikan Yokoyama (1868-1958) who was a representative of modern Japanese-style painter. There is a characteristic garden in the former Taikan Yokoyama residence. In 1909, Taikan built a residence-atelier at Ueno Ikenohata on the banks of Sinobazunoike where was a famous cultural and scenic place of Tokyo. However, unfortunately the residence-atelier had destroyed by an air raid on Tokyo in 1945 and the garden had damaged also. After that, Taikan's residence-atelier was rebuilt and his garden was restored by his strong intention. We had on-site surveying the garden, considering Taikan’s career, analyzing relationships between his representational paintings and the garden features, and interviewing to Mr. Jiro Fujii who was involved in the restoration of the garden. In the result, we found that Taikan ordered to plant the trees and shrubs in the garden, just like he painted on his pictures. The garden was landscaped to have more spiritual meaning than natural landscaped garden by his intention. This attitude toward to the garden was different from the gardens created by the other representative of modern Japanese-style painters.
著者
増田 隆一 天野 哲也
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1999

日本産固有種を含む哺乳類の遺伝的な地域変異を分析し、日本列島と大陸における陸橋・海峡の形成史および古環境の変動と比較検討することにより、日本列島における生物地理的歴史を考察することが目的である。本年度は、エゾヒグマ、ニホンジカ、イイズナ、オコジョ、ホンドテン、クロテンを分析対象とした。その結果、動物種毎に独自の渡来の歴史をもっていることが明らかとなった。特に、北海道のエゾヒグマ集団において、ミトコンドリアDNA(mtDNA)のコントロール領域およびチトクロームb遺伝子の塩基配列の分子系統解析により、北海道には3つの遺伝的集団が存在し、それらは道南地方、道北―道央地方、道東地方に分かれて分布することを突き止めた。分子時計により、これら3集団の分岐年代は約30万年以上前と推定され、各々がユーラシア大陸で分岐した後、異なるルートまたは異なる時代に陸橋を経て北海道へ渡来したものと考えられた。大陸産ヒグマ集団と比較することにより、北海道集団の遺伝的特徴は世界のヒグマの分布拡散の歴史を解明する上で重要なポイントになることが示唆された。また、ニホンジカ集団について、mtDNAコントロール領域の分子系統解析を行った結果、北海道―本州集団および九州(その周辺島嶼を含む)集団という大きな2つのグループに分類することができた。その境界は中国地方にあると推定されるが、詳細は現在調査中である。津軽海峡(ブラキストン線)をはさんだ東北地方と北海道との間の遺伝距離は小さく、日本列島全域の個体群を比較した場合、両者は北海道―本州集団に含まれた。今後は他の動物種についても分析を進め、日本列島における哺乳類の生物地理的歴史と日本列島周辺の陸橋・海峡形成史や古環境の変動との関係を明らかにして行く予定である。さらに、上記の現生種のDNA情報をもとに、考古試料の分析も進めていく。
著者
天野 修一
出版者
Japan Association of College English Teachers Chubu Chapter
雑誌
JACET中部支部紀要 (ISSN:18815375)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.101-111, 2022 (Released:2023-04-03)
参考文献数
19

本論文は、第二言語の子音生成に対する教育的介入の効果を検証するうえでの単一事例研究デザインの利点を、事例とともに提示するものである。言語教育研究でよく用いられる群間比較デザインでは、通常、データの抽出は研究期間中に数回の実施である。このようなデザインには少なくとも二つの欠点が指摘できる。第一に、介入前と介入後の2点でデータを引き出すとすると、必然的にパフォーマンスの縦断的な記述が制限されてしまう。第二に、介入実施中のデータがないため、パフォーマンスの変化の過程が不明確となってしまう。本論文では、これらの欠点に対応したデータの収集と分析の一例として、1人の参加者から合計14回のデータを抽出した単一事例の実験データを紹介する。日本語を母語とする参加者に、4週間の介入期間中、週1回、英語の /r/ の発音を指導した。その結果、介入期に入った直後にパフォーマンスが大きく向上し、介入期終了の5週間後に、介入前と同様の傾向にまで低下することが明らかとなった。これは第二言語の子音生成に対する教育的介入の効果検証の過程全体を通じた学習者のパフォーマンスの縦断的な記述によって観察可能となったものであり、介入前、介入中、介入後のすべてのデータを詳細に検討することが可能な研究デザインの必要性を示すものである。
著者
藤原 佳典 天野 秀紀 熊谷 修 吉田 裕人 藤田 幸司 内藤 隆宏 渡辺 直紀 西 真理子 森 節子 新開 省二
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.77-91, 2006 (Released:2014-07-08)
参考文献数
32
被引用文献数
4

目的 在宅自立高齢者が初回介護保険認定を受ける関連要因を,要介護認定レベル別に明らかにする。方法 新潟県与板町在住の65歳以上全高齢者1,673人を対象にした面接聞き取り調査(2000年11月実施,初回調査と称す)に1,544人が応答した。ベースライン調査時の総合的移動能力尺度でレベル 1(交通機関を利用し一人で外出可能)に相当し,未だ要介護認定を受けていない1,225人をその後 3 年 4 か月間追跡した。この間,介護保険を申請し要支援・要介護 1 と認定された者を軽度要介護認定群,要介護 2~5 の者を重度要介護認定群,未申請で生存した群(以降,イベント未発生群と称す)に分類し,男女別にイベント未発生群と軽度あるいは重度要介護認定群との間で初回調査時の特性を比較した。つぎに Cox 比例ハザードモデル(年齢,老研式活動能力指標の手段的自立,慢性疾患の既往は強制投入し,単変量分析で有意差のみられた変数すべてをモデルに投入したステップワイズ法)を用いて,要介護認定に関連する予知因子を抽出した。成績 追跡対象者のうち初回調査時に BADL 障害がなく,かつ申請前の死亡者を除く1,151人を分析対象とした。うちイベント未発生群は1,055人,軽度要介護認定群は49人,重度要介護認定群は47人であった。男女とも共通して在宅自立高齢者の軽度要介護認定に関連する予知因子として高年齢と歩行能力低下(男は「1 km 連続歩行または階段昇降のいずれかができないまたは難儀する」のハザード比が7.22[95%CI 1.56-33.52] P=0.012;女は「1 km 連続歩行・階段昇降ともにできないまたは難儀する」のハザード比は3.28[95%CI 1.28-8.42] P=0.014)が,また重度要介護認定の予知因子として高年齢と手段的自立における非自立(4 点以下のハザード比は男で3.74[95%CI 1.59-8.76] P=0.002;女で3.90[95%CI 1.32-11.54] P=0.014)が抽出された。また,男性のみ重度要介護認定に重度認知機能低下が,女性のみ軽度要介護認定に入院歴と咀嚼力低下が抽出された。結論 在宅自立高齢者の要介護認定の予知因子は,高年齢を除き,大半は介護予防事業により制御可能であろう。今後,これら介護予防事業の効果が学術的に評価されることが期待される。
著者
天野 哲也 貞方 昇 渡辺 順 石井 邦宜
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1994

北海道島における冶金史の問題は、1)鍛冶と2)製錬に大きく分けられ、鍛冶についてはさらに、1)-a技術的系統と素材の種類およびその入手方法、1)-bその主要な製品はなにであり、市場はどこであったか、製錬については、2)-a製錬はいつ頃始まったか、中世にまでさかのぼるのかどうか、2-b)それは東北地方の製錬業とどのような関係にあったか、の4点にさしあたりしぼられる。まず1)の問題については、千歳市ユカンボシC2遺跡のアイヌ期の鍛冶資料を重点的に分析した。また奥尻町青苗遺跡の擦文期鍛冶資料の分析も手がけ、さらに上ノ国町勝山館遺跡および青森県浪岡町浪岡遺跡の鉄ていなど中世の資料の分析にも着手した。その結果、中世には不定形な未精錬高炭素素材と規格的な軟鋼素材が流通しており、前者を酸化精錬して鋼をつくり、軟鋼と鍛え合わせる鍛冶が広く行われていたことを明らかにした。2)については、文献に記された製錬の場所、製鉄伝承のあるところ、スラグの見られるところなどを踏査・観察して、考古学資料ならびに砂鉄など製錬原料の資料を採集し分析した。また、隣接する青森県下北・津軽地方の製錬址を踏査・観察して、比較資料を得た。その結果、道南部の製錬業の始まりは、従来考えられていた近世末よりずっと古く、近世初期もしくは中世にまでさかのぼる公算が強まった。また、原料砂鉄のTi/V比が大きいことから、その供給地の候補は道内に限られないことを明らかにした。また道南部の製錬業は本州北部の森林資源枯渇などとの関係でとらえ直す必要を指摘できた。
著者
天野 みゆき 鈴木 永子 河合 美重子 馬嶋 昭生
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.182-189, 1992-11-20 (Released:2009-10-29)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

1986年より1990年までの間に愛知県総合保健センター視力診断部色覚外来を受診した色覚異常者296名(第1色盲35名,第1色弱46名,第2色盲122名,第2色弱93名)に対して,AO H-R-R表(H-R-R表),東京医大式色覚検査表(TMC表),大熊曲線表(大熊表)による程度判定と,市川式ランタン,パネルD-15によるpass fail分類を行ない結果を比較した。色盲表3表は色覚異常の程度分類につき,それぞれ独自の基準を持っている。296名のうち3表共に程度判定が一致するものは72名であり,3表共にそれぞれ異なった程度に判定されたものは41名いた。各色盲表の特徴として,H-R-R表は第1異常,第2異常共に強度に判定されるものは少なく,TMC表では2色型色覚である強度をよく判定した。また,大熊表は第1異常は軽く判定され,第2異常は強く判定される傾向を持った。パネルD-15においては2色型色覚の97%と異常3色型色覚の23%がfailを示し,機能的色盲と色弱および正常とを適度に区別した。また,2色型色覚の殆どが定型的なパターンを示したのに対し,異常3色型色覚では多くが非定型的なパターンを示した。
著者
片桐 弘勝 新田 浩幸 菅野 将史 梅邑 晃 武田 大樹 安藤 太郎 天野 怜 佐々木 章
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.57, no.Supplement, pp.s318_2, 2022 (Released:2023-02-23)

【目的】歴史ある様々な脱感作療法の発展により、ABO不適合生体肝移植(ABO-I LDLT)における成績は向上してきている。当科におけるリツキシマブとγグロブリン(GG)を用いた、脾臓摘出と血漿交換を併用しないレジメンを用いた管理について報告することを目的とした。【対象と方法】2020年6月〜2022年5月の期間に施行したABO-I LDLT症例5例をレビューした。プロトコルは、2週間前のリツキシマブ (500mg/body)投与、13日前からPSL 5mg/dayとMMF 1500mg/dayの投与、術前日からFKの投与を行い、抗体価128倍より低下がみられない症例はリツキシマブの追加投与を行った。術中無肝期にGG (400mg/kg)と再灌流前にmPSL(500mg/body)投与。術後1日〜5日にGG投与を行い、抗体価が64倍以上となる症例では術後7日まで継続した。脾臓摘出、血漿交換は施行しなかった。【結果】男性2例、女性3例。原因疾患はアルコール2例、PBC 3例。平均年齢56.8歳、平均GRWR 1.10。ドナー特異抗体(DSA)は全例で陰性。初回抗体価中央値はIgM 128 (64-256)、IgG 256 (2-1024)、術後抗体価中央値はIgM 8 (4-64)、IgG 16 (2-128)であった。平均観察期間291日 (21-715)で、全例急性および抗体関連拒絶、胆管狭窄症など認めず経過良好である。【結語】リツキシマブ、高用量GGと免疫抑制剤を用いたプロトコルは、抗体価・DSAなどに留意した上で、安全で効果的な方法である可能性がある。
著者
天野 巧巳 安藤 佳祐 内種 岳詞 岩田 員典 伊藤 暢浩
雑誌
研究報告知能システム(ICS) (ISSN:2188885X)
巻号頁・発行日
vol.2023-ICS-210, no.8, pp.1-6, 2023-03-03

近年サッカーの試合分析では,試合状況と選手の行動から将来得点または失点する可能性を示す期待ポゼッション値 (EPV) が提案されている.本研究では,EPV を用いて RoboCupSoccer Simulation 2D の試合状況と選手の行動を分析し,その有効性を検討する.そのため試合のログファイルから特徴量を抽出し,ニューラルネットワークを用いて EPV の推定モデルを学習,獲得する.得られた推定モデルからパスなどの試合状況分析を通して有効性を確認した.
著者
益川 弘如 白水 始 齊藤 萌木 飯窪 真也 天野 拓也
出版者
日本テスト学会
雑誌
日本テスト学会誌 (ISSN:18809618)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.25-44, 2021 (Released:2021-12-01)
参考文献数
29

一つの文章を複数の要素に解体・再構成して全体を捉える「積極的読み」は大学生活で必須の認知活動だが,その難しさゆえに大学入試で問われても入学志望生はテストワイズネスを利用した浅い処理で対処しがちである.本研究は,解決過程の制御と記録というCBT の利点を生かし,積極的読みを求める典型としての東大入試国語問題を対象に,問題文全体の読解・要素抽出・関連付けを促すCBT を開発,統合的課題解決に及ぼす効果を検証した.この「改変版」と入試問題をCBT に移し替えた「従来版」を用意し,積極的読みの経験が異なる二層の参加者計79 名で実験を行ったところ,読解経験の少ない中堅大学生では従来版の統合課題成績が改変版を上回り,進学校生ではそれが逆転する有意な交互作用が得られた.設問解答とログ分析から,同程度の成績でも中堅大学生の従来版では傍線部付近の書き写し,進学校生の改変版では自らの言葉による再構成が把握でき,CBT の読解支援・評価両面の可能性がうかがえた.
著者
遠藤 久美子 山本 真吾 大江 直美 天野 陽介
出版者
学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
雑誌
敬心・研究ジャーナル (ISSN:24326240)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.83-88, 2022 (Released:2022-07-20)
参考文献数
13

【目的】鍼の刺鍼方向によって顔面部のシワに対する影響を調べることで、美容鍼灸の基礎的なアプローチ方法の開拓を行い、学校教育、鍼灸業界発展に寄与できると考え研究を行った。【方法】健康成人男女10名を対象とした。目尻のシワに対してレプリカ剤を用いて採取した。シワに対して平行方向で刺激を行う群と、シワに対して直角方向で刺激を行う群の2群とし鍼を行なった。統計処理はt検定分析を行い、有意判定は5%とした。【結果】施術前後の比較では有意差がみられたが、シワに対して平行方向で刺激を行う群と、シワに対して直角方向で刺激を行う群との比較では有意差はみられなかった。【考察】シワに対しての鍼刺激は、鍼の方向に関係なく減少傾向が認められた。ただし個人差も大きいため、今後さらなる研究が必要である。
著者
天野 薫 西田 眞也
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.232-236, 2020-03-31 (Released:2020-06-09)
参考文献数
8

While simple reaction time (RT) is known to be substantially affected by diverse stimulus parameters, subjective temporal judgments about the onset timing of stimulus are relatively accurate. Here we tried to find the neural correlates of RT and subjective temporal judgment by comparing MEG signals evoked by random-dot coherent-motion onset with these behavioral measures. For the same motion stimuli, participants performed both a simple RT task, and a simultaneity judgment task with respect to a beep. The effect of motion coherence was much smaller for the point of subjective simultaneity (PSS) than RT. Changes in RT and PSS could both be predicted by the time when temporally-integrated motion responses crossed a threshold. The threshold was lower for PSS than for RT, suggesting that the brain assigns the time marker for timing perception prior to stimulus detection. Existence of temporally integrated neural signals in the brain will be discussed in light of recent literature.
著者
増田 隆一 天野 哲也
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
2000

北方民族の文化として知られるクマ送り儀礼の起源は、北海道およびサハリン南部を中心としたオホーツク文化期(紀元後6〜12世紀)の遺跡から発掘されるヒグマ遺存体にさかのぼることができる。本研究では、北海道礼文島におけるオホーツク文化期の香深井遺跡から発掘されたヒグマ考古資料(主に頭骨)の産地を同定することを目的として、ミトコンドリアDNAを指標とした古代DNAの分子系統分析を行った。現在、ヒグマは礼文島に自然分布していないので、香深井遺跡のヒグマは礼文島以外の地域から文化の交流とともに持ちこまれたものと思われる。これまでに解読することができた礼文島古代ヒグマの遺伝情報を北海道本島における現生ヒグマ集団のDNAデータと照らし合わせた結果、礼文島古代ヒグマのDNAには北海道の道央-道北型および道南型の2系列が存在することが明らかになった。これは、礼文島古代ヒグマが少なくとも道北地方および道南地域から持ち込まれたことを示している。さらに、形態的データと比較すると、道南型DNAをもつ礼文島古代ヒグマはすべて秋に死亡した1歳未満の仔グマであった。それに対して、道央-道北型の礼文島古代ヒグマの多くは春に死亡した3歳以上の成獣であった。道南型DNAをもつ仔グマはおそらく春グマ猟で捕獲され、当時の道南地方の続縄文人、または、道北地方のオホーツク人によって半年余り飼育されたと考えられる。礼文島古代ヒグマにおける道南型DNAの発見は、仔グマ・ギフトを伴うクマ送り儀礼が、従来強調されてきた集団内だけでなく、異集団間の絆を強める機能をも果たしたことを示唆している。
著者
本田 芳大 武田 和也 岡崎 鈴代 中村 恵 天野 雄太 山根 有希子 端山 昌樹 前田 陽平 愛場 庸雅 猪原 秀典
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.522-530, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
22

副鼻腔真菌症の大部分は予後良好な非浸潤型副鼻腔真菌症であるが,まれに免疫が低下した患者において重症化し,致死的となる浸潤型副鼻腔真菌症が知られている。今回,われわれはびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)の化学療法中,骨髄抑制期に発症した副鼻腔炎に対し上顎洞開放を行い,その後より急速に進行した浸潤型副鼻腔真菌症を経験した。症例は69歳女性。DLBCLに対する化学療法施行後,骨髄抑制期に発熱性好中球減少症となった。経過中に右眼痛とCT検査にて右上顎洞に新規陰影の出現を認め,紹介受診となった。初診時,副鼻腔真菌症を疑い外来にて上顎洞開放を行った。上顎洞内に菌塊を認めたため除去し,明らかな菌塊の残存がないことを確認して,軟膏ガーゼを挿入した。第4病日にガーゼを抜去し,鼻内を観察すると,右鼻腔内全体に白色の粘膜病変を認め,真菌の増殖が疑われた。第5病日には右鼻腔粘膜の広範な黒色壊死を認めた。その後のCT検査にて下直筋の腫脹と眼窩内脂肪織の濃度上昇を認め,眼窩内浸潤が疑われた。内視鏡下鼻副鼻腔手術を行い,抗真菌薬全身投与継続の方針とした。その後,眼球運動障害は残存するものの明らかな増悪はなく,鼻腔内所見も著変なく経過し,第98病日に転院となった。骨髄抑制が遷延した状態で上顎洞を開放し,ガーゼパッキングを行ったことが広範な真菌浸潤をきたす一因となった可能性があり,骨髄抑制時の処置・手術にはその後の管理を含め細心の注意を払う必要があると考えられた。
著者
西川 真那 島田 典明 永山 泉 福島 和彦 天野 圭慧子 川北 智英子 澤田 真理子 木野村 賢 福島 正樹 浅野 健一郎
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.199-205, 2015 (Released:2015-03-27)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

57歳男性, 透析歴35年. C型肝硬変があり週初めの血液透析 (HD) 後にのみ肝性脳症Ⅲ度を繰り返した. 低カリウム血症などの誘因はなく, 分岐鎖アミノ酸製剤とラクツロース, レボカルニチンを追加し透析液の重炭酸濃度を低減した. しかし再び週初めのHD後に肝性脳症Ⅲ度となり血漿アンモニア濃度は219μg/dLであった. CTで太い門脈-大循環シャントを認め, ドップラー超音波で測定した門脈血流はHD後に低下していた. 血液濾過透析 (HDF) への変更で門脈血流の低下を減少でき, カナマイシンも追加し以後の肝性脳症はみられていない. 肝性脳症の原因にはアンモニアなどの代謝異常に加え, 門脈血の大循環への流入がある. HDにより大循環の圧が低下することで, 門脈-大循環シャントを介した門脈血の大循環への流入量が増えHD後の肝性脳症を惹起するとされる. HDFによる門脈血流の保持を含めた集学的治療で肝性脳症の再発を抑制できた.