著者
安村 通晃 渡邊 恵太
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.26, pp.109-116, 2008-03-08
参考文献数
28

ビデオゲームの進化の方向性をインタラクションデザインの立場から考察する。近年のビデオゲーム(以下では単にゲームと呼ぶ)は、対象ユーザの拡大、コンテンツの広がりと言う 2 点において、従来のゲームとは明らかに違う様相を呈している。これをここではゲーム 20 と呼び、従来のゲームをゲーム 10 と呼ぶ。従来のゲーム (ゲーム 1.0) とこれからのゲーム (ゲーム 2.0) の各々について、インタラクションデザインとの関係性、つまり、ゲームのインタフェースのコンピュータインタフェースに及ぼすべき影響と逆にコンピュータインタフェースがゲームのインタフェースに与える影響の両者を、具体的な事例に即して論じる。この論点から、ゲームのインタフェースおよびコンピュータのインタフェースのそれぞれの、今後の方向性についても言及する。In this paper, the authors argue on the evolution of video games from the viewpoint of interaction design. Recent video games have unique trends that they have newer user layers and their contents enter a newer domains. These points are quite different from the older games and their contents. Therefore we call the newer games as Game 2.0 and the older ones as Game 1.0. The authors also discuss about the relationship between the game interface and computer interface, and how each of them influences to the other and vice versa.
著者
上野 大樹 安村 通晃
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.384, pp.1-6, 2011-01-15
参考文献数
6

近年,Twitterをはじめとした手軽でリアルタイム性やコミュニケーション性を重視したSNSが非常に流行してきている.また,こういったサービスは,ケータイ端末,特にスマートフォンからの利用と相性が良く,スマートフォン利用者の増加と共に,スマートフォンからTwitterを利用するユーザが増加してきている.この傾向を受けて,視覚障害者の中でもスマートフォンからTwitterを利用するユーザが出てきており,今後そういったユーザが増加していく可能性が高いと考えられる.だが,一般のユーザにとってもそうであるが,特に視覚障害者にとってスマートフォンからのTwitterの利用は,未だ不便な点が多い.そこで本研究では,スマートフォンのジェスチャー操作と音声入出力を利用して,誰でも簡単かつ手軽に利用できるTwitterシステムVoiTwiの提案,試作を行った.
著者
永田 周一 安村 通晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.1134-1143, 2007-03-15
被引用文献数
1

メールや,メーリングリスト,ウェブログ,SNS などは広範囲で利用されている.それぞれ単体では便利であるが,それらをまたぐ情報を扱うのは容易ではなかった.したがって,それらを統合することが期待される.その際に重要な点は,どこまでの人に情報を公開するかという情報の公開範囲であると考えられる.本研究では,同心円上にアイコンをドラッグするだけで情報の公開範囲を手軽に変更でき,個人的なメモから,1 対1 の対話,グループ内の情報共有,Web への公開までを1 つのインタフェースで扱えるようにした新しいコミュニケーションツールEnzin を提案する.6 カ月間の運用評価実験を行った結果,利用者が情報を公開する相手を文書の進捗状況や他者の要望に応じて柔軟に変えていくなど,これまでにないコミュニケーションの状況に対応できることを確認した.People enjoy online communication with various tools; for example, email for one-to-one communication, mailing lists or groupware for group communication, and weblog for WWW communication. However shifting from one tool to another is not easy. In this paper, we propose a novel communication tool called Enzin in which users can control access permission of documents only by using drag-and-drop of icons. With Enzin, users can communicate with individuals or groups more flexibly by changing permission at any time, even after publishing documents. Enzin system visualizes scope of access permission by concentric circles. For example, users can simply put the "Internet" icon into the access control circle to publish their documents on WWW. Our goal is to integrate interfaces for online communication and to bridge the usability gap between current systems.
著者
塚田 浩二 安村 通晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.3675-3684, 2002-12-15
被引用文献数
25

本研究ではモバイル環境において,手指のジェスチャを用いて情報機器や情報家電機器の操作を実現する指装着型のウェアラブルデバイスUbi-Fingerを提案し,実装および評価を行った.ジェスチャは誰もが利用できる日常的なコミュニケーション手段であると同時に,身体性をともなった直感的な入力が可能であるという利点を持っており,これまでも主にVirtual Realityなどの分野で積極的に利用されてきた.一方,コンピュータの利用分野はモバイル環境やユビキタス環境など,実生活全般に大きく拡大しつつある.Ubi-Fingerはこれらの新しいコンピューティング環境に適した,小型でシンプルなジェスチャ入力デバイスである.我々は実世界のさまざまな機器をシンプルなジェスチャにより直感的に操作できるUbi-Fingerのプロトタイプシステムを実装した.また,具体的なアプリケーションとして,ライトやテレビなど,実世界のさまざまな機器を「指差す」ことで特定し,手指を用いたシンプルなジェスチャで対象の機器を操作できる応用例や,ノートパソコンの入力支援,プレゼンテーション支援などの応用例を試作した.さらに,システムの利用評価を行い,ジェスチャを利用した実世界機器操作の有効性を確認し,本研究の将来的な方向性を示した.We have proposed a novel interface in mobile environment called ``Ubi-Finger'' that realizes sensuous operations for PDA and information appliances by gestures of fingers.In this paper, first,we propose the concept of ``Ubi-Finger: Gesture Input Device for Mobile Use''.This concept enables users to sensuously control various devices in the real world.Since gestures are usual methods of non-verbal communications and enables sensuous operations for users,many researches on them carried out especially in the field of Virtual Reality.In the meanwhile,the uses of computers have rapidly extended to the daily life,such as mobile computing and ubiquitous computing.Ubi-Finger is a gesture-input device, which is simple, compact,and optimized for the new computing environment.Second, we develop prototype systems based on the concept that can control real-world devices with simple and natural gestures.Third, we develop some applications to control devices in the real world.Using our systems,a user can detect a target device by pointing with her/his index finger,then control it flexibly by performing natural gestures of fingers.Fourth, we evaluate the system performance and usability,and confirm the possibility of practical use.Finally,future prospects of the proposed concept and the prototype systems are discussed.
著者
樋口 文人 伊賀 聡一郎 安村 通晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.49-54, 1997-05-16
被引用文献数
1

留学生のための日本語能力支援システムをWorld Wide Web(WWW)上に構築した。インターネット・ブラウザをユーザー・インタフェースに利用したこのクライアント・サーバー・システムは,留学生が聞き取れない部分や理解しにくい個所を繰り返して学べるように録画された授業とWWWの持つマルチメディア、ハイパーテキストの機能を用いて学習するためのシステムである。学習者は教科書や参考資料など教材として使われる日本語に現れる読みの難しい漢字や文章を"ふりがな"サーバー機能を利用して読みやすくすることができる。利用者による予備評価を行い有用であるとの評価を得た。本システムの様々な利用法について議論している。
著者
塚田 浩二 安村 通晃
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.3675-3684, 2002-12-15

本研究ではモバイル環境において,手指のジェスチャを用いて情報機器や情報家電機器の操作を実現する指装着型のウェアラブルデバイスUbi-Fingerを提案し,実装および評価を行った.ジェスチャは誰もが利用できる日常的なコミュニケーション手段であると同時に,身体性をともなった直感的な入力が可能であるという利点を持っており,これまでも主にVirtual Realityなどの分野で積極的に利用されてきた.一方,コンピュータの利用分野はモバイル環境やユビキタス環境など,実生活全般に大きく拡大しつつある.Ubi-Fingerはこれらの新しいコンピューティング環境に適した,小型でシンプルなジェスチャ入力デバイスである.我々は実世界のさまざまな機器をシンプルなジェスチャにより直感的に操作できるUbi-Fingerのプロトタイプシステムを実装した.また,具体的なアプリケーションとして,ライトやテレビなど,実世界のさまざまな機器を「指差す」ことで特定し,手指を用いたシンプルなジェスチャで対象の機器を操作できる応用例や,ノートパソコンの入力支援,プレゼンテーション支援などの応用例を試作した.さらに,システムの利用評価を行い,ジェスチャを利用した実世界機器操作の有効性を確認し,本研究の将来的な方向性を示した.
著者
伊賀 聡一郎 伊藤英一 安村 通晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.12, pp.49-54, 2000-01-28
被引用文献数
7

本稿では、呼気・吸気を利用して計算機とインタラクションできるKirifukiシステムを提案する。システムはワークステーション、ブレスマイクスイッチ、ポヒマス磁気センサーから構成され、ユーザはマイクスイッチと磁気センサーを頭部に装着する。ユーザは頭部を動かして計算機のマウスポインターを操作する。そして、マイクスイッチに向かって「吹いたり」「吸ったり」することによって視覚的なオブジェクトを操作したり、コマンドを実行したりできる。ウィンドウの移動、拡大・縮小、アイコンのカット&ペーストなどを呼気と吸気によって行なうことができる。さらに、本手法をお絵書きツールや楽器操作のためのインタフェースにも応用したことを報告する。This paper proposes a novel system called "Kirifuki". Kirifuki has the ability of controlling GUI objects by applying breathing. The system consists of a work station (SGI Indigo2), a breath microphone switch, and a polhemus sensor. The user wears a head set device with a breath microphone switch and a polhemus sensor. The user can control a mouse pointer by his or her head, and he can manipulate GUI objects such as windows or icons when he breathes in or out to the microphone switch.
著者
福本 麻子 塚田 浩二 蔡 東生 安村 通晃
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.311-318, 2005 (Released:2011-06-24)
参考文献数
17

本研究は19世紀西洋絵画を中心に,情報エントロピーとZipfの法則を用いて統計的解析を行っている.その結果,各流派に特徴がみられた.特に印象派絵画は複雑性が高く,同時に規則性をもつ(Zipfの法則に従う)傾向がみられた.
著者
伊賀 聡一郎 佐藤 宏之 安村 通晃
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第49回, no.システム, pp.259-260, 1994-09-20

ネットワークやビデオカメラの発達とともに、講演者と聴講者が物理的に離れたプレゼンテーションや、非同期に行なわれるプレゼンテーションが考えられるようになってきた。その際には本来のプレゼンテーションというタスクを妨げる問題点が起こり得る。本稿では、動画像認識によるビデオカメラの自動制御と、ネットワーク指向のDTPR(DeskTop PResentation)ツールによる遠隔プレゼンテーション支援システムPreViewの設計と実装について述べる。
著者
米澤 朋子 クラークソンブライアン 安村 通晃 間瀬 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.3, pp.17-24, 2001-01-17
参考文献数
11
被引用文献数
10

我々は,ぬいぐるみとのインタラクションが音楽を生み出すシステムを,新しい音楽コミュニケーションとして提案し,"Com-music"を実装した.ぬいぐるみに様々なセンサを埋め込んだ"Com-music"は,隠れマルコフモデルにより予めラベル付けされたジェスチャー認識を用い,ユーザとぬいぐるみとの間に行われるインタラクションのレベルを判断する機構を持っている.本稿では,インタラクションの頻度・強度が音楽マッピングを変更し,状況や文脈によって異なる音楽を作る新しいタイプのコミュニケーションについて考察する.We propose a music expression system which generates music by interaction between the user and a sensor-equipped doll named "Com-music." Since the sensor-doll includes various sensors and a PC, it can detect not only raw data but also pre-defined gestures and contexts using HMMs (Hidden Markov Models). The doll has five levels of interaction as pre-defined contexts, that correspond to the strength and the frequency of the interaction with theuser. Each interaction level has different set of music control mappings, so the doll reacts with music expressions correspondent to context. In this paper, we consider the sensor-doll system as a device of the new type of communication, which uses music expressions as the communication media.

1 0 0 0 OA 野島久雄賞

著者
原田 悦子 今井 倫太 内海 彰 新垣 紀子 安村 通晃
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.385-386, 2013-12-01 (Released:2014-12-24)
参考文献数
3
著者
西村 則久 明関賢太郎 安村 通晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.4388-4395, 1999-12-15
被引用文献数
8

外国語作文の自動添削では,通常のCAIソフトウェアは数例の正解のみを内部に持っている場合が多いが,この場合,非常に簡単な問題を除いては多様な解答例に対応することができない.本論文で提案する英作文の自動添削手法では,正解の一括表現を用いて多様な解答例に対応することが可能である.システムをネットワーク上で実現すれば,一元管理の行き届いた英作文CAIを実践できる.本研究ではシステムを試作し,評価を行った.本論文ではシステムの仕組み,評価結果について述べると同時に正解一括表現法としてBUD(Basic Universal Description)を提案する.Concerning the automatic correction of foreign language composition exercises, conventional software on the market contains only a few correct answers. This approach, however, cannot handle a lot of various correct answers, except when the question is simple. We propose a method of automatic correction of English composition exercises which deals with an enormous number of correct answers, making use of multiple-unit representation which expresses multiple sentences all together. Network-based implementation of the system will enable practice of CAI for English composition and its unified management. We built a prototype system and made some evaluations. Here we describe the mechanism of the system and the result of the evaluations. We propose BUD (Basic Universal Description) as a multiple-unit notation.
著者
秋山 博紀 安村 通晃
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2011-HCI-142, no.13, pp.1-8, 2011-03-10

近年,Amazon 社の Kindle や Apple 社の iPad の登場により,電子書籍はより身近なものになった.特に日本国内でも電子書籍市場規模は右肩上がりで拡大しており,電子書籍の重要性が高まっていることが分かる.しかし,従来の電子書籍は紙の書籍同様,一人のユーザーが読み,自分のためにコメントなどを付加できるもので,他の読者とコメントなどを共有できるものではなかった.コメントやブックマークなどの書籍に関連したアノテーションを他のユーザーと共有することで,書籍の特定の箇所に関わる議論や疑問の解決や要点の抽出など,電子書籍ならではの新しい書籍の読み方が提案できる.本研究で提案および実装を行った “libenote” は電子書籍に対してアノテーションを付加し,それらを共有することでユーザー間の知識共有を図る,電子書籍のための統合プラットフォームである.本稿では,印刷された書籍に対する読者の書き込み調査を元に提案を行い,設計と実装について述べる.
著者
上野 大樹 樋口 文人 安村 通晃
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.2_57-2_65, 2012 (Released:2012-12-25)
参考文献数
17

近年、Webのソーシャル化に伴い、一部のWeb情報が急激に流行る傾向がでてきた。例えば、Twitterやソーシャルブックマークサービスなどの影響により、情報が一気に伝搬して流行ることが多くなってきた。こういった情報の中には、流行りが過ぎてしまうと、あまり有用ではなくなるものも多く、賞味期限の短い情報もどんどん増加してきている。そのため、筆者らはその情報がどれだけ長期間利用されているかの指標、いわば情報の長期度のような指標が重要になってきたのではないかと考える。そこで、本研究では長期度の計算手法を提案し、長期間利用され続けている情報を取得するためのシステムを提案する。そして、検索キーワードがどれだけ長期間に渡って、検索され続けているかという時系列情報を利用して、Web上で長期間利用される検索キーワード一覧を取得するシステムを開発した。
著者
安村 通晃 児玉 哲彦 渡邊 恵太 永田 周一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.105, pp.1-8, 2006-09-29
被引用文献数
2

ヒューマンインタフェースの概念と研究分野が明確に成立して、おおよそ四半世紀経過した。これまでは、認知科学をベースにした認知的インタフェースで、使いにくさを主なターゲットとして研究がなされてきた。GUIとその成立原理である直接操作などがその大きな成果である。また、タスクに特化した評価方法も大きな効果を上げてきた。しかしながら、ユビキタス時代に突入し、インタフェース自体が大きく様変わりを始めてきており、ヒューマンインタフェースの対象、研究手法、評価方法が大きく変わろうとしている。このような背景のもとに我々が取り組むべき新たなヒューマンインタフェース研究をここでは、Interface2.0と呼ぶ。Interface2.0の研究対象、研究手法、課題、評価方法と、従来のものと対比させながら論じることとする。The concept and the research domain of Human Interface were established around the mid of 1980's. A lots of researches were done by the cognitive human interface based of cognitive science. Its main target was to analyze and to the user interface where the users felt difficult to use. Now we are in Ubiquitous computing era, and the human interface will be changed. Its targets, research methods and evaluation methods will be changed as well. We call this new human interface as Interface2.0. We argue the nature and the challenge of Interface2.0.
著者
澁谷 芳洋 小池 英樹 高田 哲司 安村 通晃 石井 威望
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.1921-1930, 2004-08-15

インターネット利用人口は拡大しており,今日では個人,組織の双方においてネットワークの使用は欠かせないものとなりつつある.インターネットは多種多様なサービスを提供し,なくてはならないものになっているが,その半面,不正アクセスの問題も急増している.しかし実際の侵入がどのようなものであるかを認知する機会が少なく,見えない世界でのセキュリティに対する認識が難しい.そこで本論文では不正侵入対策の手段の1つとなっているおとりシステムに着目し,Honeynet Projectが提唱している高対話型として構築した.高対話型おとりシステムの特徴として,OSレベルでおとりを実現し,不正アクセス者に制限なく自由に行動させ,不正アクセス者に気づかれないように行動記録を取得,分析することにより,既知の攻撃方法のみならず,未知の脆弱性や行動を記録することが期待されている.しかし高対話型おとりシステムは概念が新しく,主としてその概念ばかり公開されており,具体的なシステム構築例および,運用結果,問題点についての公開情報が少ない.したがって本論文では高対話型おとりシステムを公開されている情報を参考に実際に構築,運用し,不足する機能を追加したうえでさらに運用を行った.その結果得られたデータおよび知見をもとにおとりシステムの持つ問題点および運用方法の提案を含め今後の課題について述べる.
著者
山本伶 増井俊之 安村通晃
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.18, pp.1-8, 2013-03-06

メールや SNS のような様々なコミュニケーションシステムが現在広く利用されているが、このようなシステムを利用して情報をやりとりするためにはメールアドレスや SNS アカウントのような個人情報を交換する必要がある。たまたま一緒になった人と写真を交換したい場合のように、よく知らない人と情報をやりとりしたい場合、メールアドレスや SNS アカウントのような個人情報を知らせることには危険があるため、個人情報を開示することなく手軽にデータを交換できる方法があると便利である。本稿では、その場限定で匿名で簡単に情報を共有できるシステム 「Sonoba.org」 を提案する。時間制限つきの URL を使用することにより、個人情報を開示せずにその場限りの情報共有が可能となる