著者
宮内 伸子
出版者
日本独文学会
雑誌
日本独文学会研究叢書
巻号頁・発行日
no.85, pp.77-94, 2012-10

筆者は数年前から、日本語で書かれた文学作品を、そのドイツ語訳と対照させるという作業に取り組んでいる。日独両言語の発想や好まれる表現のちがいの確認を目的として始めたことであったが、この作業を通して、よく知っているつもりの日本語の作品が新しい姿で立ち現れ、それまで気づかないでいた新たな面白みを発見することもしばしばである。これまでに、よしもとばなな、川端康成、三島由紀夫の作品を取り上げてきたが、今回は太宰治の『人間失格』を、その独特の語り口に注目して扱ってみたいと思う。
著者
小田 桂吾 斉藤 秀之 沼宮内 華子 金森 毅繁 糸賀 美穂 田中 利和 小関 迪
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.491-491, 2003

【はじめに】格闘技は古代から世界各地に様々な民族の文化を反映し存在している。しかし1993年、アメリカでルールの制約がほとんどないUltimate Fighting Championshipが開催され、世界的に総合格闘技という概念の新たな競技が盛んになっており、日本でもPRIDE,修斗,パンクラスなどの興行が人気を集めている。今回総合格闘技の選手の障害,外傷に関する調査をしたのでここに報告する。【対象】プロの総合格闘技選手11名,平均年齢25.7±3歳,平均身長171.6±6cm,平均体重74.1±12kgで全員男性であった。【方法】個別にアンケートにてコンディション,外傷,障害に関する調査を実施した。【結果】対象者の練習頻度は週5.5回、練習時間は2.9時間であった。対象者全員が今までに何らかの外傷,障害を経験していた。複数回答による疾患部位は耳介(カリフラワー状耳),肩関節,腰部,肘関節が8件と最も多く以下、頸部,手指(7件),下腿(すね),足関節,足指(6件),膝関節,鼻,(5件)手関節(4件),顔面,股関節(3件),頭部,上腕,前腕,胸部,大腿部,ハムストリングス(2件)であった。医療機関で確定診断を受けたものについては腰椎分離症,鼻骨折(3件),頚椎捻挫,膝半月板損傷,膝靭帯損傷,肩関節脱臼,足関節捻挫,足関節骨折(2件),手関節脱臼,手関節骨折,肘靭帯損傷,頚椎ヘルニア,腰椎椎間板ヘルニア,肘関節脱臼,大腿肉離れ,足指骨折(1件)等であった。受傷後入院が必要であった選手は3名、手術を行った選手は2名であった。また受傷後の経過として疾患部位の痛みが残存,慢性化しているが59.3%、完治したのが40.7%であったが現在、医療機関でリハビリテーションを行っている選手はいなかった。【考察】総合格闘技は基本的に「目潰し」「噛みつき」「金的攻撃」が禁止され、投げ技,打撃技(パンチ,キック),関節技,締め技の全てが認められている。関節技を例にとれば選手は対戦相手の正常可動域を越えるように技を仕掛けようとする。すなわち外傷,障害を防ぐのは不可能に近い状態である。実際の試合で決まり手となるのは打撃によるKOを除くと、チョークスリーパー(裸締め),腕ひしぎ十字固め,三角締め,足首固め等が多く、疾患部位にダメージを受けやすい傾向にあると考えられる。またグランドでの攻防ではマウント,ガードポジションというポジショニングが重要になってくるが、これは頸部,腰部に対するストレスがかかると考えられる。今回の調査で選手は疾患部位のリハビリテーションをほとんど行っておらず、慢性的な痛みを抱えながら試合に臨んでいると考えられる。競技能力を高める意味でも今後選手の状態に合わせたアスレティックリハビリテーション及びトレーニングの指導が必要であると考えられる。
著者
後藤 顕一 松原 憲治 野内 頼一 宮内 卓也 北川 輝洋 寺谷 敞介 松原 静郎
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.166-179, 2016 (Released:2016-06-29)
参考文献数
33

Aiming to foster competencies expected in chemistry education, experimental lessons with model-based learning for chemistry were implemented. The study verified how competencies expected in the discipline were fostered with respect to the practices of instructions, practice, and evaluation, through implementing lessons with and without focus on model-based learning. The mutual evaluation table (Goto, 2013) was used for evaluating the practice, mainly looking at the description written in the discussion part of students’ reports. Verification of the practice was based on the curriculum management model for science lessons (Goto and Matsubara, 2015). The experimental lessons demonstrated revealed what kind of impacts and challenges exist for practicing model-based learning for future implementation.
著者
小田 桂吾 斉藤 秀之 沼宮内 華子 金森 毅繁 糸賀 美穂 田中 利和 小関 迪
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.491, 2003 (Released:2004-03-19)

【はじめに】格闘技は古代から世界各地に様々な民族の文化を反映し存在している。しかし1993年、アメリカでルールの制約がほとんどないUltimate Fighting Championshipが開催され、世界的に総合格闘技という概念の新たな競技が盛んになっており、日本でもPRIDE,修斗,パンクラスなどの興行が人気を集めている。今回総合格闘技の選手の障害,外傷に関する調査をしたのでここに報告する。【対象】プロの総合格闘技選手11名,平均年齢25.7±3歳,平均身長171.6±6cm,平均体重74.1±12kgで全員男性であった。【方法】個別にアンケートにてコンディション,外傷,障害に関する調査を実施した。【結果】対象者の練習頻度は週5.5回、練習時間は2.9時間であった。対象者全員が今までに何らかの外傷,障害を経験していた。複数回答による疾患部位は耳介(カリフラワー状耳),肩関節,腰部,肘関節が8件と最も多く以下、頸部,手指(7件),下腿(すね),足関節,足指(6件),膝関節,鼻,(5件)手関節(4件),顔面,股関節(3件),頭部,上腕,前腕,胸部,大腿部,ハムストリングス(2件)であった。医療機関で確定診断を受けたものについては腰椎分離症,鼻骨折(3件),頚椎捻挫,膝半月板損傷,膝靭帯損傷,肩関節脱臼,足関節捻挫,足関節骨折(2件),手関節脱臼,手関節骨折,肘靭帯損傷,頚椎ヘルニア,腰椎椎間板ヘルニア,肘関節脱臼,大腿肉離れ,足指骨折(1件)等であった。受傷後入院が必要であった選手は3名、手術を行った選手は2名であった。また受傷後の経過として疾患部位の痛みが残存,慢性化しているが59.3%、完治したのが40.7%であったが現在、医療機関でリハビリテーションを行っている選手はいなかった。【考察】総合格闘技は基本的に「目潰し」「噛みつき」「金的攻撃」が禁止され、投げ技,打撃技(パンチ,キック),関節技,締め技の全てが認められている。関節技を例にとれば選手は対戦相手の正常可動域を越えるように技を仕掛けようとする。すなわち外傷,障害を防ぐのは不可能に近い状態である。実際の試合で決まり手となるのは打撃によるKOを除くと、チョークスリーパー(裸締め),腕ひしぎ十字固め,三角締め,足首固め等が多く、疾患部位にダメージを受けやすい傾向にあると考えられる。またグランドでの攻防ではマウント,ガードポジションというポジショニングが重要になってくるが、これは頸部,腰部に対するストレスがかかると考えられる。今回の調査で選手は疾患部位のリハビリテーションをほとんど行っておらず、慢性的な痛みを抱えながら試合に臨んでいると考えられる。競技能力を高める意味でも今後選手の状態に合わせたアスレティックリハビリテーション及びトレーニングの指導が必要であると考えられる。
著者
宮内 貴久
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.207, pp.183-221, 2018-02-28

福岡市は大陸に近い地政学的位置から,海外への玄関口という性格を持った都市である。戦後,空襲による家屋の焼失と約140万人におよぶ引揚者により,深刻な住宅不足問題に直面した。1950年の日本住宅公団の設立,1951年の「公営住宅法」により,公団住宅と公営住宅の建設が進められていった。しかし1960年,全国の世帯数1,957万に対して住宅数は約100万戸不足し,市営住宅募集倍率は数十倍という高倍率だった。福岡市では1973年までに14,020戸の市営住宅が建設され,公団住宅は19,417戸が建設された。南区警弥郷には,高度経済成長期を通じて1960年に市営警弥郷団地,1961年に市営上警固団地,1963年に分譲警弥郷住宅が建設された。こうした一連の住宅開発と1966年度からの第一期住宅建設五カ年計画により弥永団地が計画開発された。弥永団地は福岡市域に市営弥永団地,春日町域に分譲住宅と分譲地が都市施設とともに開発された。間取り2DKで,20~30代の若い夫婦と子供という核家族が多かったが,一種の約4%,二種の約12%が65歳以上の老人世帯だった。三世代同居もみられた。2DKは食寝分離,就寝分離を目的とした間取りだが,DKではなく畳の部屋で卓袱台で食事をしていた例が少なからずあった。統計上も3割が食事をする部屋で寝ており,公営住宅で食寝分離・就寝分離をしていたのは約47%に過ぎなかった。住民の属性は,技能工・生産工程作業員及び労務作業従事者の比率が約28%と高い。学歴は中卒・高卒,大卒の順に多い。共稼ぎ家庭が多く,母子家庭も多く低所得者が多かった。団地住民を見下す噂もある。二区には建設当初から現在まで入居している世帯が53世帯あり,18.3%を占めている。
著者
宮内 昭 工藤 工 都島 由希子 宮 章博 小林 薫 伊藤 康弘 高村 勇貴 木原 実 東山 卓也 福島 光浩 藪田 智範 舛岡 裕雄 進藤 久和 山田 理 中山 彩子
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.13-17, 2013 (Released:2013-05-31)
参考文献数
10
被引用文献数
1

現在,甲状腺乳頭癌に対しては,腫瘍径,Ex,N,Mの評価に基づいて手術術式が選択され,術後は病理学的所見や術後の血清サイログロブリン(Tg)値に基づき,術後療法が選択されている。本論文では,Tg抗体(TgAb)陰性の乳頭癌においては甲状腺全摘後のTSH抑制下のTg値の変動から求めたTgダブリングタイム(TgDT)が多変量解析において最強の予後因子であることを紹介する。Tg値の変動が重要である。しかし,TgAb陽性患者においてはTg値の信頼性は低い。そこで,TgAb陽性の乳頭癌225症例の甲状腺全摘後のTgAb値の変動と予後との関係を調べると,術後2年以内に50%以上低下した症例は非低下症例より有意に良好であり,多変量解析において優れた予後因子であることが判明した。今後は,旧来のTNM,病理学的分化度による予後予測の時代から,血清Tg,TgAb値の経時的変動分析に基づく動的予後予測の時代へとパラダイムシフトが起こるものと予想される。
著者
宮内 栄治
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

乳酸菌の腸管バリア保護メカニズムとして、腸管上皮細胞(IEC)への直接的作用と、バリア機能低下誘導能を有する炎症性サイトカイン産生抑制について詳細な検討を行なった。これまでの研究により、乳酸菌テイコ酸のD-alanine残基量がバリア保護効果に関係することを明らかにした。そこで、D-alanine残基量およびバリア保護効果を高めることができる菌培養条件の検討を行なった。その結果、菌培養培地中にL-alanineを添加することにより、テイコ酸D-alanine残基量が増加した。また、本条件で培養した菌のバリア保護効果を、Caco-2細胞単層膜で検討した結果、L-alanine添加培地で培養した菌は、通常培地で培養した菌よりも高いバリア保護効果を示した。この結果から、乳発酵食品製造において、L-alanine添加により乳酸菌のバリア保護効果を高めることができることが示唆された。これまでの研究により、炎症状態にあるIECがCD4+T細胞からのIL-17産生を誘導することを明らかにした。そのメカニズムを解析した結果、炎症IECはCD40を発現しており、CD40シグナルが活性化されることによりIL-6を高産生することが示された。そこで、炎症IECをCD40 agonist抗体で刺激し、その培養上清中でCD4+T細胞を培養した結果、IL-17産生が有意に誘導された。マウス腸管上皮Colon-26細胞を用いた実験により、乳酸菌は、IECのCD40発現をmRNAレベルおよびタンパクレベルの両方で抑制することが明らかとなった。これらの結果から、IEC上のCD40発現抑制を介して腸管Th17細胞を抑制するという、乳酸菌の新たな腸炎抑制、腸管バリア保護メカニズムが示された。
著者
桐田 久美子 岡崎 寿子 八代 利香 宮内 信治 Gerald T. Shirley
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.610-617, 2007-03-30
参考文献数
14

本研究では,臨床現場における看護師間のコミュニケーションの向上に寄与することを目的に,臨床現場における外来語・略語・隠語 (用語) の使用状況と,看護師の認識を明らかにし,困難な状況をもたらした用語を一冊の用語集として作成した。A県内の6つの病院の看護師計1,000名を対象に,独自に作成した自己記入式質問紙を用いたアンケート調査を行なった。また,特に意味が理解できず困難な状況をもたらした163の用語を抽出し,用語集にまとめた。回答者748名の97%が用語を使用するとし,理解できなった用語に遭遇した経験がある者は81.6%であった。そのうち,用語の使用により問題が発生したと回答した者は9.1%であり,「相手に伝わらなかった」,「処置が遅れた」等が理由としてあげられた。用語の必要性について「とても必要」,「必要」と回答した者は合わせて44.5%であった。理解困難な用語として回答数が多かったものは,「ステる」,「タキる」等であった。簡潔で素早く相手に伝えられる用語の使用は,看護業務を遂行する際に大きな役割を担っている一方で,医療事故の発生の危険性が内在していることが示された。また,生命に関わる重要な臨床現場で働く専門職者として,看護師一人一人が用語の正確な意味を理解し,適切に使用していくことの重要性が示唆された。

1 0 0 0 OA 放鷹

著者
宮内省式部職 編
出版者
吉川弘文館
巻号頁・発行日
1932
著者
松永 和剛 松崎 昭夫 宮内 亮輔
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.845-849, 2000-09-25 (Released:2010-07-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

The authors dissected 72 paired arm to study the anatomy of Gantzer's muscle. The dissection explored course of the median nerve from the elbow to the distal end of the forearm. The following anatomical structures and variations were noted;(1) The presence of a Gantzer's muscle, as well as its relationship to the median and anteriorinterosseous nerves.(2) The origin and insertion of Gantzer's muscle.Results: Gantzer's muscle arose from the medial epicondyle of the humerus in 45 arms (90%), from the coronoid process of the ulna in 3 arms (6%), from the intermuscular fascia in 1 arm (2%), and from a double origin- the medial epicondyle and the coronoid presess-in 1 arm (2%). Insertion was to the proximal part of the tendon of the flexor pollicis longus muscle in all arms.Gantzer's muscle always lies posterior to the median nerve. In 12 out of 50 arms, the muscle passed posterior to the anterior interosseous nerve, and in the remaining 38 arms, the anterior interosseous nerve ran proximal to the muscle along its proximal border and never cross Gantzer's muscle and its tendon.Based on these findings, the authors concluded that Gentzer's muscle rarely contributes to anterior interosseous nerve compression in the proximal forearm.
著者
宮内 崇裕
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.1-19, 1987-06-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
54
被引用文献数
4 9

本稿の目的は,東北日本弧の非火山性外弧に属する上北平野の第四紀地殻変動を地形学的方法と火山灰編年学的方法によって区分・編年のなされた段丘の変位や基盤の地質構造から明らかにすることである.そして,以下のような結果を得た. 上北平野の西縁は,第四紀前期における三浦山断層と辰ノロ撓曲の活動によって奥羽脊梁山脈や三戸丘陵から分化した.辰ノロ撓曲の運動は鮮新世より第四紀を通じて継続してきた.この構造線は平野周辺の地域を上北ブロックと奥羽-三戸ブロックの2つのブロックに分けているようにみえる.平野北部では東西の軸をもつ褶曲運動が,平野南部では北方への傾動運動がみられる.北方への傾動運動は北上山地の曲隆を示唆する.ほぼ南北にのびる活構造は,第四紀の東北日本に卓越する東西水平圧縮の広域応力場のもとでの地殻短縮を示しているが,東西方向に軸をもつ地殻変動は同じ応力場では起こりにくい. 平野全体の隆起運動は少なくとも第四紀後期には継続している.段丘の変位が褶曲運動や傾動運動に伴うものであるとすると,上北ブロックは最近12万年間には0.1~0.2mm/年の速度で広域に隆起してきたことになる. 奥羽-三戸ブロックの広域隆起速度は,辰ノロ撓曲の活動を加えることによって0.3~0.41mm/年と推定される.上北平野のこのような広域隆起は,日本海溝から平野の沖合にかけて発生した大地震に伴う地殻変形,あるいは東北日本弧の長波長の地殻変動によるものと考えられる.