著者
宮内 貴久
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.207, pp.347-389, 2018-02-28

本論は『朝日新聞』,『読売新聞』の記事から,添い寝中に子どもが死亡する事故について,なぜ発生するのか,死因,住環境,授乳姿勢,死亡年齢を検証することにより,添い寝と授乳の実態と変化を明らかにした。さらに育児書の検討から添い寝がどう捉えられていたのか,適当とされる授乳期間はどの程度だったのか明らかにした。添い寝で死亡する事故は明治期から発生しており,時代によって死因は異なった。1870~1910年代は80%以上が乳房で圧死していた。1920年代になると乳房で圧死は67%,布団と夜具での死亡事故が20%となる。1930年代には乳房での圧死が50%まで減少し,布団と夜具での死亡事故が26%となる。こうした事故は職業には関係なくあるゆる住宅地で発生していた。1940~1960年代前半には深刻な住宅不足問題を背景に,スラムなど極めて劣悪な住環境に居住するブルーカラーの家で事故が発生した。1960年代後半にも住宅の狭小が原因による圧死事故が発生するが,高度経済成長による所得の増加による家電製品の普及とともに,タンス,学習机などの物があふれて部屋が狭小化し,そのため圧死するという事故が発生した。1970年代にはアメリカの育児法が紹介され,うつぶせによる乳児の死が問題視され,さらに死の多様化が進んだ。18冊の育児書の検討から11冊の育児書が添い寝を否定,5冊が注意すべきこととされたこと,また添い寝中の授乳により乳房で窒息死する危険性を指摘する育児書が12冊あったことからも,添い寝の危険性を喚起する新聞記事と一致し,社会問題となっていた。20冊の育児書の検討から,適当とされた離乳開始時期は5ヶ月頃からが3冊,10~12ヶ月が4冊,もっとも遅いのは2~3年だった。時代による離乳期の特徴は特にみられなかった。離乳時期は遅く4~5歳児への授乳,特に末子は5~6歳まで授乳するケースもあった。授乳は母親にとって休息がとれる貴重な時間であり,それが遅い離乳の要因の一つだった。母子健康手帳では添い寝が否定されたが,現実には多くの母親は添い寝をしていた。育児における民俗知と文字知にはズレがみられる。1985年に『育児読本』が大幅改訂され,これまで否定されていた添い寝が,親子のスキンシップとして奨励されるように変化した。
著者
佐藤 亨 宮内 英治 杉本 秀樹
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.305-310, 1988-06-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

サトイモの3つの型, 子イモ用品種(石川早生, 女早生), 親子イモ兼用品種(赤芽), 親イモ用品種(台湾芋)を圃場栽培し, 乾物生産およびイモ肥大特性を調査した. 1. 品種間で個体生長量に大差がみられた. イモ重の推移では, 子イモ用品種では, 子・孫イモの肥大が目立ち, 赤芽では親・子イモが, 台湾芋では親イモの肥大が生育末期まで続いた. 2. 乾物生産速度とイモ生産速度との関係は, 生育の前半と後半に分けられ, とくに, 赤芽と台湾芋では生育後半にイモ肥大によって乾物生産速度が高められた. 3. イモ生産速度と葉面積指数との関係は, 赤芽と台湾芋で葉面積指数が高くなることによってイモ生産速度が高まることが示唆された.
著者
栗 彩子 森 美紗希 宮内 莉華 谷口(山田) 亜樹子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.132, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】カレーはインドで生まれ、明治時代に日本に入ってきたと言われている。今日では日本の国民食とまで言われるようになり、各地域の名産品やその土地で取れる食材を使ったいろいろなカレーが食べられている。さらに近年、健康志向の高まりにより、カレーの栄養価値が見直され、その第3次機能に強い関心が寄せられている。しかしながら、カレーの利用方法といえば「カレーライス」というように、そのバリエーションには限りがあり、カレーに含まれるスパイスの種類や栄養価値もあまり知られていないのが現状である。そこで演者らは、カレーの基礎特性を明らかにし、健康効果・効能につて考え、さらに地場産の食材を用いた、簡単においしくできる新たなカレーレシピの考案を試みることとした。【方法】文献調査から、カレーの基礎特性を明らかにし、どのような健康効果・効能をもたらすのかを検討した。 新規料理については、市販カレー粉、神奈川県産のキャベツ、しらす、大豆、雑穀を用いて新たなカレー料理を考案し、調理した。また、栄養計算を行った。【結果】(1)カレーの基礎特性文献調査より、カレーには30種類以上の様々なパイスが存在することがわかった。中でも代表的なものとして、コリアンダー、クミン、フェヌグリーク、ターメリック、オレガノ、ペッパー、フェネル、ジンジャー、オニオン、カルダモンなど10種類のスパイスがカレーに用いられている。また、これらのスパイスについてさらに調査した結果、漢方薬として使われていたものが多く、肝臓・胃腸の働きを良くする、せき止め、疲労回復、殺菌作用、下痢止め、風邪・肥満・二日酔い・冷え性・肩凝り予防など様々な健康効果があることがわかった。(2)新規カレーレシピの紹介神奈川県産の食材を用いてカレー春雨、 カレー鍋、カレー雑穀リゾット、大豆カレーの4つのレシピを考案し調理した。
著者
森本 佑子 田辺 雄一 堀 天明 宮内 勇貴 佐藤 麻紀 工藤 道誠 菅屋 潤壹
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
pp.2314, (Released:2019-10-25)
参考文献数
23

健康なボランティアの前腕浴における皮膚血流に対する炭酸ガスおよび乳化油剤の影響を測定した.浴湯中に炭酸ガス(60ppm)のみ,乳化油剤(10ppm)のみ,炭酸ガスおよび乳化油剤を溶解させた前腕浴において,炭酸ガスと乳化油剤の併用は,炭酸ガス単独にくらべて皮膚血流量を有意に上昇させた.乳化油剤が炭酸ガスの経皮吸収を高めた結果,炭酸ガスの皮膚血管に対する実効濃度が高くなった可能性が考えられた.  さらに,炭酸ガスと乳化油剤を組み合わせた入浴剤を作製し,健常成人を対象に,2週間の連用が発汗に及ぼす影響を調べた.連用後,入浴剤群では,安静時の鼓膜温が低下傾向を示した.発汗テストによる体温変化は連用前と同等であったが,発汗量は有意に増加した.鼓膜温および発汗量,発汗波頻度を用いた解析から,発汗量の増加は,発汗中枢を介したものであることが示された.コントロール群では,これらの変化は認められなかった.以上の結果から,乳化油剤を配合した炭酸入浴剤が発汗機能に有益な効果を有する可能性があることが示された.
著者
池澤 剛輔 宮内 博雄 薦田 昭宏 窪内 郁恵 澤田 純
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0453, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに】近年,腰痛患者における運動制御は健常者と異なることが明らかとなり,特に慢性症状を有する者では,多裂筋の筋活動の減弱や遅延が起こると報告されている。これに対し多裂筋を含めた腹腔周囲筋の促通として,McGillらのバードドッグや,体幹を頭尾側へ伸展させる課題(以下 軸伸展位)の有効性が報告されているが,先行研究では健常者を対象としたものが多く,姿勢別に軸伸展位における多裂筋の筋活動量を比較した報告は少ない。そこで今回,腰痛の有無および軸伸展位での運動課題が,各姿勢における多裂筋,脊柱起立筋の筋活動に与える影響について筋電図学的に検討した。【方法】対象は,3カ月以上腰痛が持続している腰痛群10名(男性10名,平均年齢28.1±6.7歳)と,腰痛を有さない健常群10名(男性10名,平均年齢27.6±5.9歳)の2群とした。筋活動の測定は表面筋電計(小沢医科器械製筋電計:EMGマスター)を用い,測定筋は右側の多裂筋(L5-S1棘突起外側),脊柱起立筋(L3棘突起外側)とした。測定姿勢は,端座位,四つ這い位,四つ這い位で左上肢と右下肢を挙上した姿勢(以下BD),BDにて左手関節部に体重の2.5%,右足関節部に5%重錘負荷した姿勢(以下BD+)の4条件とした。各姿勢で安静位,軸伸展位にて2回ずつ測定し,姿勢が安定した5秒間の筋活動量を記録した。データ処理は,波形が安定した3秒間の筋積分値を平均し,最大随意収縮(以下MVC)を100%として正規化して%MVCを求めた。また脊柱起立筋に対する多裂筋の筋活動を多裂筋/脊柱起立筋比(以下M/E比)として表した。検討項目は,各姿勢での安静位,軸伸展位における多裂筋と脊柱起立筋の各%MVCおよびM/E比の比較とした。統計処理はt検定,二元配置分散分析を用い,有意水準5%未満とした。【結果】姿勢別の比較では2群ともに,端座位,四つ這い位,BD,BD+の順に多裂筋,脊柱起立筋で有意に活動量が増加した。2群間における比較では,多裂筋は腰痛群で有意に低値を示し,脊柱起立筋は有意差を認めなかった。安静位・軸伸展位の比較では,多裂筋,脊柱起立筋,M/E比において,軸伸展位で筋活動量増加の傾向は認めたが有意差は認めなかった。【結論】先行研究では,腰痛患者において発症早期より多裂筋の機能不全が起こるとされており,本研究でも腰痛群で多裂筋が有意に低値を示したことから,腰痛群において選択的な多裂筋の機能不全が示唆された。姿勢別の比較では,運動負荷の増加に伴い多裂筋,脊柱起立筋の筋活動量が有意に高値を示した。このことから,特に腰痛患者に対しては,適切な運動負荷量の設定が重要と思われた。また軸伸展位での運動課題において筋活動量増加の傾向を示したことから,軸伸展位が体幹筋に対し量的効果をもたらす可能性が示唆された。今後は,軸伸展位が体幹筋に及ぼす質的効果の検討も必要と考える。
著者
宮内 信雄 吉田 邦夫 菅沼 亘 宮尾 亨
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.14, no.23, pp.89-104, 2007-05-20 (Released:2009-02-16)
参考文献数
28

胎土に黒色物質を持つ縄文時代中期の土偶を,新潟県十日町市幅上遺跡で発見した。このような黒色物質が土偶胎土に含まれる例は見たことがなく,軟X線とX線CT画像による含有状態の観察,蛍光X線分析,安定同位体分析による材質分析,さらに放射性炭素年代測定を実施し,その由来について分析を行った。分析の結果,(1)黒色物質は胎土全体に均質に含まれていると推測でき,素地土の中に練りこまれていたと考えられる。(2)黒色物質は炭化物である。炭素・窒素安定同位体比では,C3植物の樹木,種実などに相当する値を示しており,C3植物あるいは,C3植物を食料とする草食動物の肉に由来する炭化残存物であると考えられる。(3)黒色物質の放射性炭素年代は,土偶の型式学的分類に基づく編年によって与えられた年代と調和した値を示し,それゆえ,自然堆積粘土に元来含まれていたとは考えにくいことがわかった。素地製作時の黒色物質の状態については,X線CTによる断面画像に黒色物質の大きさほどの空洞が観察されないこと,加熱時の収縮率が高い生の物質を焼成にした際に推測される,素地土と黒色物質との間の隙間がほとんどなく,よく密着していることから,炭化物を混入したものと考えられる。最も大きい含有物であるこの炭化物が製作途中で気付かれないことは考えにくく,しかも,含有物が土偶の胎土全体に均質に混じっている状況は,製作者の何らかの意図があったことを想定させる。祭祀・儀礼の道具とされる土偶は,カタチのみならず素材の選定や調整にまで目配りすることで様式化される観念技術(小林1997)の所産であることを,異物が含まれる土偶や,民俗・民族例を参照することで傍証するとともに,本土偶の胎土に含まれている炭化物についても,このような工程の中にあった可能性を考えた。
著者
宮内,靖昌
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文集
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, 2002-06-08

極低降伏点鋼を用いた枠付き鉄骨ブレースを既存躯体に取り付けた1層1スパンRC骨組の水平加力実験を行い,耐震補強効果を検討した。試験体は鉄骨ブレースを既存骨組に外付けした試験体および出入り開口付きブレースを骨組内に取り付けた試験体の2体である。実験の結果,両試験体とも鉄骨ブレースは層間変形角R=1/1000rad,で降伏し,エネルギー吸収能力の優れた履歴性状を示した。また,外付け接合部の直接せん断実験を実施し,アンカーボルトの配置,スラブの有無等が接合部のせん断耐力におよぼす影響を明らかにした。
著者
宮内 真人 下村 輝夫 興梠 政広 原 真二 遠藤 剛
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.84, no.11, pp.832-837, 2000-11-01 (Released:2011-07-19)
参考文献数
12

The National Police Agency has yet to propose detailed specifications for preventing signal head phantoms; they are currently being examined by the agency. The pedestrian signal head developed by our project satisfies the standard for the luminous intensity distribution specified by the agency. With this film type of pedestrian signal head, the ratio of signal light to sun phantom was found to be three times as that of much as current pedestrian signal heads.
著者
宮内 輝武
雑誌
白鴎女子短大論集 = Hakuoh Women's Junior College journal (ISSN:03874125)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.1-18, 1988-09-01
著者
石寺 永記 荒井 祐之 土屋 雅彦 宮内 裕子 高橋 信一 栗田 正一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J76-D2, no.4, pp.873-880, 1993-04-25

我々人間の視覚系は,点パターンのように離散的な対象でも仮想線を知覚でき,色や明るさの段差がなくてもそこに明りょうな主観的輪郭を知覚することがある.これは補間問題と考えることができる.そこで,本論文では生理学的データに基礎をおく階層的視覚情報処理モデルを提案し,仮想線と主観的輪郭の知覚といった補間問題に応用する.主観的輪郭を形成するためには,実際の輪郭,主観的輪郭の通る点,そしてその輪郭の伸びていく方向を決定することが重要であり,本モデルではこれらの処理を並列処理で実現する.このモデルは2種類のSimpleセル(StypeとLtype)の出力から,大域的処理により輪郭の検出と点パターンの補間を行うComplexセルと,主観的輪郭が通ると考えられるエッジの端点や曲率の高い点を検出するHypercomplexセルをモデル化する.この処理はすべて並列処理で行われる.またこれらの情報が伝達されるときに重み付けをすることによって主観的輪郭の伸びる方向を決定する.こうした階層的な処理によって得られた情報を統合することによって実際のエッジと主観的輪郭が同様に検出されるようなモデルを構成した.
著者
宮内 鉄也 白江 公輔
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.1, no.7, pp.545-553, 1962-07-10 (Released:2010-10-21)

Electronic control system requires a very reliable D. C. amplifier of high gain, high response and yet low noise. Magnetic modulator type D. C. amplifier is very reliable, but the amplifier of 100c/s carrier type does not satisfy all of the above requirements. Instead or 100c/s type, therefore, 1 000c/s type is employed. This D. C. amplifier consists of a 500 c/s oscillator, magnetic modulator, 1 000c/s tuned amplifier and power amplifier. The oscillator and amplifiers are transistorized. As a result of using the 1 000c/s carrier type, the following characteristics have been obtained:1) Gain: 8×104 (mA/mA)2) Cut off frequency: 20c/s3)Noise level: 5×10-16W (i.e.0.002μA)4) Ambient temperature: -10°C-+70°CAlso described are the applications of this D. C. amplifier to an electronic control system and electrical interference caused by A. C. power line.
著者
宮内 浩典
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.205-214, 2009-12-24 (Released:2010-07-03)
参考文献数
51
被引用文献数
1 2

エンベロープウイルスにとってウイルス脂質二重膜と細胞膜との融合過程はウイルス感染に必須のステップである.膜融合はウイルスの融合タンパク質の構造変化によって誘導され,その構造変化はそれぞれのウイルスによって異なったきっかけで開始される.このような多様な融合タンパク質の構造変化の誘導機序は,膜融合過程の制御がウイルス感染にとって非常に重要であることを物語っている.エンベロープウイルスの中でヒト免疫不全ウイルス(HIV)を含む低pH非依存性のウイルスは,これまでは主に細胞表面で膜融合とウイルス侵入を行うと考えられてきた.しかし最近の研究からこれらの低pH非依存性のウイルスの中にもエンドサイトーシスを感染経路として利用するウイルスが存在することが明らかとなってきた.またウイルス受容体以外のいくつかの宿主因子がエンベロープウイルスの細胞侵入に関与する機構も解明されてきた.本稿ではHIVの細胞侵入に関する最近の知見を含めた形で,エンベロープウイルスの膜融合機構ならびに宿主細胞への侵入機構について解説する.
著者
森田 美琴 木村 昭夫 畑岸 悦子 宮島 衛 佐野 哲孝 宮内 雅人 冨岡 譲二
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.103-106, 2004-03-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
8

A 68-year-old man was carried by an ambulance presenting with partial traumatic amputation of both legs as a result of a railway accident. The hypovolemic shocked patient arrived at the hospital, with potential right tension pneumothorax. Immediate decompression by tube thoracotomy was performed, however the shock state did not improve. Repeated focused assessment with sonography for trauma (FAST) and careful physical examination of the patient revealed no abdominal injuries. Pelvic fracture was not identified with the pelvic X-ray. The partially amputated legs were removed in the emergency department. In spite of these procedures, the hypovolemic shock persisted. However, a wound in the region of the right humerus, which was not bleeding during the initial examination, developed hemorrhage upon later investigation. The circulatory status of the patient stabilized after the wound was packed with gauze packing for hemostasis. Polytetrafluoroethylene (PTFE) graft inter-position of the injured artery and fasciotomy of the right forearm were subsequently performed. The postoperative course was uneventful, and rehabilitation was begun on the 15th post-operative day. Thus, even in a patient with blunt trauma, arterial injuries of the extremities should never be underestimated during the initial assessment.