著者
岩崎 亘典 林 和則 田中 聡久 鹿取 みゆき 小口 高
出版者
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

我が国の農業における農業従事者の高齢化や減少、耕作放棄地の増加等の問題を解決するためには、効率的な農地の維持、管理が求められている。特に、果樹や野菜等の集約型農業においては、適地適作にもとづく新たな農地の活用方法が必要とされている。そこで本提案では、今後、新規参入者の増加や産地形成が想定されるブドウのワイン専用品種の栽培地域を対象として、ほ場一筆単位のワイン専用品種栽培適地図を作成する技術を開発する。そしてこれらの情報を公開・可視化するシステムを開発し、適地適作に配慮した新しい営農形態である「スマート風土産業」の構築を試みる。
著者
小口 高 貞広 幸雄 村山 祐司 久保田 光一 奥貫 圭一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

大学3~4年生を対象としたGISのオンライン実習のための教材を整備し、大学の授業や講習会等で試験運用した。教材の公開にあたっては、独自のドメイン(http://gis-oer.csis.u-tokyo.ac.jp/)を取得し、GitHubを通じて正式公開に向けた試験公開(第1段階の公開)を行った。また、教材の活用状況を評価するために、前年度に課題となった外部ツールの仕様変更に対応しているオープンソースのプラグインを新たに用いて、活用状況を評価するシステムを構築した。教材の主要な内容は、GISの基本に関する総括的な書籍である「GISスタンダード」に沿っており、地理系の学部や関連学科における実習授業と対応させるようにした。これとは別に、インターネットを通じてGISを利活用するためのWeb GISに関する教材と、地形データを3Dプリンターで可視化するための手法に関する教材も整備した。インターネットを通じたGIS利活用のための教材は、WebGISと関連するツールを利用して、地理情報を可視化する手法や配信する手法を解説した。地形データを用いた3Dプリントのための教材では、GISのデータを3Dデータに変換する手法や、3Dプリントの手順を解説した。前年度からの継続の実践として、「GISスタンダード」と対応した教材を東京大学地球惑星環境学科などの授業において実際に試用し、アンケートなどを通じて利用者からのフィードバックを得た。今年度の授業では、前年度の事例を踏まえて改良した教材を用いたため、課題であった実習の難易度が軽減されたことが確認できた。さらに、教材に将来的に応用できる可能性がある地理情報システムを用いた応用研究を、研究協力者の早川裕弌氏や瀬戸寿一氏らとともに進めた。
著者
山内 啓之 小口 高 早川 裕弌 飯塚 浩太郎 宋 佳麗 小倉 拓郎
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2020年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.96, 2020 (Released:2020-03-30)

GISを用いて空間的思考力を向上させるための教育は,地理学を通じた人材の育成に有効である。最近では,2022年の高等学校における地理総合の必修化を背景に,中高生を対象とするGIS教育の実践に関心が集まっている。一方で,中高生が実際に地理情報を取得する手法や,GISを操作してデータを処理する手法を学習できる機会は限られている。そこで演者らは,中高生が,GISや関連機器の活用を体験するプログラムを企画して実施した。 本プログラムは,日本学術振興会の「ひらめき☆ときめきサイエンス」の一環として,「デジタル地図とスマホ,ドローン,3Dプリンタで自然環境と人間生活を調べよう!」と題し,2018年8月3日,17日と2019年8月17日に実施した。受講者はインターネットを通じて応募し,中学1年生〜高校2年生までの計82名が参加した。 本プログラムは講義と4つの実習で構成され,1日でGISの基本や関連技術を網羅的に体験できるようにした。講義では,電子地図と紙地図の違いやGISの基礎知識を30分程度で解説した。受講者がより身近にGISを理解できるように,スマートフォンの位置情報ゲームや企業でのGIS活用の事例も紹介した。 実習は,1)データ解析,2)データ取得,3)アウトリーチ的活用,4)WebGISの活用の4つを体験するものとし,各1時間で実施した。1)のデータ解析では,無償で利用できるQGISと,基盤地図情報数値標高モデルを用いた地形の分析手法を解説した。受講者は,講師の指示とスクリーンに投影した操作画面に従って,標高データの段彩表現,陰影図の作成,傾斜角の算出,土地利用データの重ね合わせ等を体験した。2)のデータ取得では,主にドローンによる写真測量を取り上げた。受講者は屋外でドローンによるデータ取得を見学した後,室内でトイドローンの操作を体験した。3)のアウトリーチ的活用では,3Dプリントされた地形模型やスマートフォンのVRアプリを活用して,地形学の研究手法や,研究成果を効果的に伝達する手法を紹介した。受講者がより関心を持って学べるように,3Dプリンタでの模型の製作工程や,反射実体鏡による地形分類の手法等も解説した。4)のWebGISの活用では,防災をテーマに,Web地図上で洪水に関する情報を重ね合わせ,地域の脆弱性を読み取った。実習の冒頭では,受講者に洪水時の状況を伝えるために,対象地域の概観,水害の歴史,被害状況等について簡単に解説した。次に受講者が3〜6人のグループに分かれ,ノートパソコンやスマートフォンでWeb地図を閲覧しながら,洪水時に危険な地域や避難所に関する各自の意見を付箋にまとめ,A0の大判地図に貼り付けた。実習の後半では,討論の結果を模造紙にまとめ,グループごとに発表した。 本プログラムの効果を検証するために,受講者を対象とするアンケートをプログラムの終了後に実施した。アンケートは講義と各実習を5点満点で評価する設問,該当する項目を選択する設問,回答を自由に記述する設問で構成した。各受講者がアンケートに5点満点で回答した難易度,理解度,満足度の平均値を用いて,本プログラムを評価した。難易度については,2)のデータ取得や3)のアウトリーチ的活用のような直観的に理解しやすい実習を易しいと評価する傾向があった。一方で,講義,1)のデータ解析,4)のWebGISの活用のように,既存の知識との連携,複雑なPC操作,空間的思考力を要するものには難しさを感じる者が多かった。特に,1)のデータ解析は,他の実習に比べ難しいと感じる傾向があった。理解度は,難易度と全体的に同様の傾向を示したが,難易度よりもやや肯定的な評価となった。一方で満足度は,全ての内容について受講者の回答の平均値が4以上の高評価となった。以上の結果から,本プログラムは受講者が部分的に難しさを感じたものの,講義および実習の内容を概ね理解でき,高い満足感を得たと判断される。今後は,その他のアンケート項目の結果も参考に,プログラムの構成や教授法を改善する予定である。
著者
小口 高 西村 雄一郎 河本 大地 新名 阿津子 齋藤 仁
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

日本地理学会が運用しているツイッターアカウント(@ajgeog)は約1万5千人がフォローしており、諸学会のアカウントの中でも知名度が高く、一定の影響力を持っている。このアカウントは多くの学会のアカウントとは異なり、地理学に関連した一般的なツイートを多数リツイートしたり、フォローを返したりすることが多い。アカウントの運用は同学会の広報専門委員会が担当しており、過去5年間以上にわたり地理学に関する情報の伝達に継続的に寄与してきた。本発表では、2012年9月の同アカウントの開設と、その後の初期運用において中心的な役割を担った5名が、当時の経緯と背後で行われていた議論の内容を紹介する。
著者
小口 高
出版者
名古屋大学太陽地球環境研究所
巻号頁・発行日
2010-10

本書は、著者(小口 高東京大学名誉教授) が執筆した原稿を名古屋大学太陽地球環境研究所設立20周年事業の一環として製本し、関係者に配布するものである。
著者
小口 高
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

2022年度から高校の地歴科で「地理総合」が必修となる。地理総合は現行の地理Aを基礎とするが、地理情報システム(GIS)によるデジタル情報の処理、自然災害、地球環境問題といった理系的な要素が重視されている。したがって、地理総合は高校生が地理学のみならず地学の素養を高めることにもつながる。高校の理科では、2012年度に「地学基礎」が新科目となった結果、以前よりも地学を学ぶ高校生が増えた。しかし履修率は三割弱であるため、多くの高校生にとっては地理総合が地球惑星科学に関連する内容に触れる主要な機会となる。したがって、地理総合が高校生の関心を惹きつけ、その内容が大学への進学や将来の職業の選択の際に考慮されれば、地理学のみならず地学を含む地球惑星科学の発展につながる。このような状況を作り出すためには、日本地球惑星科学連合や日本学術会議のような、地理学と地学の研究者が共に参加している組織における活動が効果的である。これらの組織の構成員の多くは大学や研究所の研究者であるため、高校の地歴科や理科の教員との連携体制を作ることも重要である。2018年度には、日本学術会議の地球惑星科学人材育成分科会の下に地学・地理学初等中等教育検討小委員会が設置され、主に高校における地学・地理教育の充実に向けた検討を行っている。この小委員会には大学と高校の教員とともに、文科省と国土地理院の職員も参加しており、検討課題の中には上記した地理総合の実施を踏まえた地学・地理教育の活性化も含まれている。このような活動を日本地球惑星科学連合の場でも行いつつ、地理学と地学の関係者が連携して将来の両学問を支える人材の育成に取り組むことが重要である。
著者
小口 高 近藤 康久
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

オマーン内陸部のワディ・アル=カビール盆地は、大規模な山地であるハジャル山脈の南麓に位置する。盆地には涸れ川(ワディ)が分布しており、とくに東から流入するワディ・アル=カビールと、北から流入するワディ・フワイバが顕著である。本地域は1988年にユネスコの世界文化遺産に登録された「バット、アル=フトゥム、アル=アインの考古遺跡群」の一部を含み、石積みの墓などの完新世中期の人類遺跡で知られる。さらに旧石器時代の遺物も発見されており、日本、米国、ドイツなどの考古学者が近年活発に調査を行っている。 演者らは2013年初頭にワディ・アル=カビール盆地とその周辺の地形と地質を調査した。その結果、興味深い斜面地形、河川地形、表層堆積物が確認された。その一例は、盆地の北東部に位置する比高300 m程度の山地と山麓の地形(図1)である。山地の中部~下部の斜面には、基板岩の構造を反映する帯状の凹凸がみられ、凸部(図1の暗色部、A)には石器の材料となる良質のチャートが含まれる。山地斜面の谷の両脇には開析された崖錐斜面(B)が分布する。山麓の一部には扇状地がみられ、相対的に古いもの(C)と新しいもの(D)を識別できる。さらにその下方にはワディ・アル=カビールが形成した氾濫原が分布している(E)。崖錐斜面や扇状地の地表面および堆積物から、中期旧石器などの考古遺物が発見された。 既存研究によると、中東地域の開析された崖錐斜面は氷期~間氷期の気候変化を反映する。現地観察によると、扇状地や氾濫原における完新世中期以降の地形変化は概して不活発であり、それ以前に大規模な堆積を含む顕著な地形変化があったと考えられる。今後、地形変化の実態と人類史との関係を、さらなる現地調査を通じて詳しく検討する予定である。
著者
小口 高 早川 裕弌 佐藤 英人
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.57, 2010

<B>I.東京大学空間情報科学研究センターの概要</B><BR> 東京大学情報科学研究センター(Center for Spatial Information Science;以下,CSISと記す)は,1998年に発足したGISの研究組織であり,地理学,都市工学,経済学,土木工学,電子工学,情報工学といったGISに関連した多分野の研究者で構成されている.CSISは,1988年に日本学術会議が議決した「国立地図学博物館」(仮称)設立の勧告に対応し,地図学博物館の研究部門を具現するものとして設立された.同時に,大学に所属する機関として,大学院生や学部生の教育にも積極的に関与してきた.<BR> 現在CSISは,文部科学省が認定した共同利用・共同研究拠点になっており,全国のGIS関連の研究者に共同研究の仕組みを提供している.具体的には,GISのデータをCSISが多数収集して「研究用空間データ基盤」を構築し,その利用を,研究者による申請と共同研究審査委員会による承認を経た後に可能としている.CSISがデータを収集・購入する際には,データの提供元と覚え書きを交わすことによって,全国の研究者がデータを利用する可能性を確保している.この仕組みにより,個人がデータを入手する際の経済的な負担や手間を軽減できる.<BR> 上記のような利点のために,CSISの研究用空間データ基盤は全国の多数の研究者によって利用されてきた.研究用空間データ基盤は,デジタル地図情報の集積ともみなされ,ある意味ではCSISが地図学博物館の所蔵部門としての役割も果たしていることを意味している.<BR><BR><B>II.研究用空間データ基盤の概要</B><BR> 2010年1月現在,CSISの研究用空間データ基盤には次のデータが収録されている.<BR>・数値地図(各種),細密数値情報[国土地理院提供]<BR>・工業統計[経済統計情報センター]<BR>・国勢調査(各種),事業所・企業統計,住宅・土地統計調査など[(財)統計情報研究開発センター]<BR>・気象庁天気図,アメダス観測年報,1 km メッシュ気候値,世界気象資料など[(財)気象業務支援センター]<BR>・パーソントリップデータ[複数の都市交通計画協議会と札幌市]<BR>・Zmap-TownII[(株)ゼンリン]<BR>・国勢調査地図データ[(株)パスコ]<BR>・GISMAP(各種)[北海道地図(株)]<BR>・CityScope首都圏データ[(株)インフォマティクス]<BR>・ライフマップル[(株)昭文社]<BR>・東京23区中古マンションデータ[(株)リクルート]<BR>・地価公示・地価評価データ[(有)RITS総合研究所]<BR>・東京都都心部標高データ,東京地名データ,東京市大字界ポリゴンデータ ,天保14年天保御江戸絵図データ [研究者による独自作成]<BR><BR><B>III.研究用空間データ基盤の活用状況と今後の展望</B><BR> CSISの研究用空間データ基盤を利用して共同研究を行った人の数は,平成16年度には37機関の87名(延161名)であったが,平成20年度には86機関の291名(延325名)に増加した.利用者の多くは大学の研究者で,シニア,中堅,大学院生を含む若手を含んでいる.このことは,研究用空間データ基盤が,日本のGIS研究の発展に重要な役割を果たしていることを意味している.<BR> CSISでは今後,道路に関するデータや高解像度の地形データなどを研究用空間データ基盤に追加し,その利用を一層促進していく予定である.また,データの更新を通じて,異なる時期のデータが蓄積されていけば,地域における新旧の状況を比較するような研究の発展にも寄与するであろう.<BR>
著者
永田 武 小口 高 村石 幸彦
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1260-1266, 1962-04

昭和基地における地磁気永年変化は,この3年間に約&lrtri;H=-60^γ,&lrtri;Z=+340^γ,&lrtri;D=-37'であることが知られた.なおここで注意すべきは,変化の割合が,1960年は前年よりかなり小さくなっているように見えることである.また,直視磁力計によって得られた昭和基地のK指数に,南極地域の他の7基地のK指数を加え,その平均値をK_pと比較した結果,先の論文に述べた結論,即ち1)小擾乱は昼間の極域に多く,大擾乱は夜の極域に多いこと,及び,2)昼間の小擾乱は夜の極域が極めて静穏なときにも現われていること,が再確認された.
著者
山内 啓之 小口 高 村山 祐司 久保田 光一 貞広 幸雄 奥貫 圭一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

これまでにGIS教育の充実のために、科学研究費を用いた複数のプロジェクトが行われ、基本となるコアカリキュラムと講義用教材が整備された。しかし、実習に関する検討は少なかった。GISを活用できる人材の育成には、大学の学部や大学院等における実習を通じた教育が重要である。<br> そこで、GISの実習用教材を開発し、公開するプロジェクトを平成27年度より開始した(科学研究費基盤研究A「GISの標準コアカリキュラムと知識体系を踏まえた実習用オープン教材の開発」、平成27~31年度、代表者:小口 高)。本プロジェクトでは、学部3~4年生の実習授業や自主学習を対象とした教材の開発と試験公開を行い、一般公開に向けて修正と改良を重ねてきた。本報は、これまでに整備してきた教材とその公開についてまとめたものである。<br> 今回整備した教材は、日本独自の地理情報科学の知識体系を教科書として編集した『地理情報科学 GISスタンダード』(浅見ほか編, 2015)の章構成に基づいている。GISの操作手法の解説には、無償のソフトウェアとデータを用いた。ソフトウェアは、様々な実習環境に対応できるQGISを主に用いた。QGISはバージョン更新が頻繁であるため、長期的にリリースされていた安定版のQGIS2.8を基本とした。しかし、リモートセンシング・データの解析、空間データベース、ネットワーク分析などの基礎的な内容や、空間統計学的な内容を含む教材においては、QGISのみでの対応が困難なため、GRASS GIS、PostGIS、CrimeStatなど複数のソフトウェアを組み合わせて使用した。<br> 教材で用いるデータは、国土数値情報やオープンデータなどとし、背景地図が必要な場合は、地理院タイルを利用した。以上のソフトウェアやデータを活用して、『地理情報科学GISスタンダード』の中で、実習の内容を含む6章~23章と26章に対応した教材を整備した。<br> 教材は、PowerPointファイルと記述が容易なMarkdownファイルでまとめ、GitHubにアップロードし、WEBで試験公開した。その後、編集や管理のしやすいGitHub上で、修正や改良を重ねた。GitHubでの公開は、Pull Request機能やIssue機能による低コストでの教材管理を目的としたものである。教材編集に一般利用者が参加できることから、ソフトウェアのバージョン更新に対応できるソーシャルコーディング的な教材運用も期待できる。 <br> 教材は、GitHubとGitBookを連携させ、閲覧しやすいWEBページで公開する。GitBookは、Markdownファイルの表示や閲覧に特化したサービスである。GitHubリポジトリのMarkdownファイルを読み込むことで、両リポジトリ間での双方向的な編集と表示が可能になる。また、簡易なコメント投稿機能や複数のファイル形式でのダウンロードなど、利用者に便利な機能が標準で用意されている。 <br> 教材には、クリエイティブコモンズに基づいて、CC BY-SA 4.0のライセンスを付与した。表記は &copy; GIS Open Educational Contents WG, CC BY-SA 4.0とした。これは、表示-継承の条件下において、幅広い用途での自由な利活用を認めることを意味する。<br> 本プロジェクトの成果は、大学等でのGIS実習や、学生や市民の自主学習に利用できるようにインターネットで一般公開する。今後は、公開した教材の運用とともに、一般利用者からPull Requestを受けつつ教材を更新していく仕組みの構築や、インターネットを活用したWEB GIS教材の整備等について検討する予定である。
著者
小口 高
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

本研究では、河川流域の上流(山地斜面)から下流(湖沼・扇状地)における土砂の移動過程とそれに関連する諸問題を検討した。上流域での侵食については、日本全国の資料を用いて現在の崩壊による土砂の生産量と降雨プロセスとの関係を検討した。その結果、豪雨が多い東海・南海地域では、他地域に比べて1回の豪雨で生じる崩壊の規模が大きくなるが、崩壊の頻度は他地域と類似していることが判明した。また、野外では三方五湖周辺と松本盆地の斜面を調査し、崩壊地の分布を調べた。その結果、崩壊が斜面の遷急線付近とその下位の谷壁斜面で多発していることを見いだした。これらの知見は、土砂流出や崩壊による災害の防止のためにも有益と考えられる。次に、第四紀の長期的な斜面侵食過程を明らかにするために、山地流域の地形分類と地質層序の調査に基づく検討を行った。その結果に基づき、山地斜面の遷急線が最終氷期と後氷期の地形を区別する際の重要な指標であることを指摘した。この結果と、流域の地形に関する数値データに基づき、後氷期における流域の侵食量を算出した。一方、下流域での堆積については、湖沼や扇状地における堆積物層序の解析を行い、後氷期の堆積土砂量を推定した。その結果を上流域からの土砂供給量と比較した結果、供給土砂の大半が堆積域に残存していることが判明した。上記の研究の成果は、一部をすでに学会誌や国際学会で公表した。また、一部は現在学会誌に印刷中もしくは投稿中であり、平成9〜10年度中に公表される予定である。さらに、現地で収集した試料の一部は現在分析中である。なお、当初は研究経費に旅費を多く計上していたが、平成8年度東京大学大学院理学系研究科・特定研究のメンバーとなり、旅費はすべてそこから支給されたため、本科学研究費は旅費以外の用途に使用した。
著者
小口 高
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

本研究では当初、野外調査による崩積土の記載を重点的に行い、崩壊の地形発達への影響を検討する予定であった。ところが計画提出後、現地調査を予定していた夏季に北米への出張が決まった。このため予定を変更し、空中写真判読・地形計測・データの電算機処理等の室内作業による研究を進めた。成果は以下の通りである。1.土砂災害データの解析による日本の崩壊の発生周期と平均崩壊土量の推定…従来、崩壊の発生周期や生産土量については個別の地域での検討が多く、日本全体での一般的傾向を調べた研究は少ない。約700の土砂災害事例の資料を用いてこの問題を検討し、平均的な崩壊発生様式とそれを規定する要因を明らかにした(H6年10月の斜面水文学に関する国際学会で発表予定)。 2.東北日本における最終氷期末期以降の崩壊による斜面発達と土砂供給…北上河谷西縁の4流域と山形盆地東縁の3流域の地形分類を行い、最終氷期末期以降の土砂供給量を推定し、その値と扇状地規模との間の関係を明らかにした。また、以前検討した松本盆地周辺の流域での事例との比較を行い、降水強度の地域差が崩壊の規模・頻度に影響することを見い出した(H5年10月の日本地理学会で口頭発表。Bull.Dept.Geogr.Univ.Tokyoに投稿準備中)。 3.扇状地の規模と上流域の地形特性との関係(昨年度奨励研究(A)からの継続課題)…日本と合衆国南西部の資料を解析し、扇状地の面積と上流域の流域面積・流域傾斜・崩壊等による土砂流出速度との関係を吟味し、扇状地規模の地域差の原因を明らかにした(H5年8月の国際地形学会議で口頭発表。Zeitschr.Geomorph.に印刷中)。 4.中近東地域の斜面発達史…以前の現地調査により入手した中近東の斜面地形に関する資料の解析を行った。また、中近東地域の地形研究をレビューした(前者は研究継続中。後者は財団法人中東調査会の報告書に掲載)。
著者
鹿島 薫 那須 裕郎 奥村 晃史 本郷 一美 高村 弘毅 吉村 和久 小口 高 西秋 良宏 茅根 創 三宅 裕
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、これまで研究の遅れてきた中東および中央アジアにおける平野、盆地、湿地、湖沼などの陸地域における現地調査を行った。これらの地域では多数の遺跡が立地しており、それらを手がかりとして、最新の分析探査手法を用いながら、環境変動の実態を明らかとすることができた。そして地球環境が短期(10~100 年オーダー)で急激に変化してきたという事実とそれが遺跡立地に与えた影響を検証し、それらの結果から今後の地球環境の変動予測への応用を行った。
著者
林 幹治 鶴田 浩一郎 国分 征 小口 高 渡辺 富也 HORITA R. E.
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.72-81, 1979-02

1977年9月21日に発生したSSCは磁気圏内のVLFエミッショソの発生領域に影響を与え,さらに地上の電力送電系へもその影響を及ぼした模様てある.VLFエミッションに対するSSC効果としてこれまてに知られているような周波数,帯域幅,積分強度等の増大のほかに,VLF波の放探の方法により,SSCの開始時にエミッションの発生領域か北から南へと広かるということか認められた.さらに,SSCに伴う誘導磁力計の変動と呼応して電力線よりの高調波雑音成分,特に偶数次の強度が顕著に増大,変動した.これは,電力送電系中の変圧器の接地点を通じSSCに伴う誘導地電流が,変圧器の鉄心に磁気的バイアス作用を起こしたため生じた波形歪の結果と考えられる.
著者
米田 穣 阿部 彩子 小口 高 森 洋久 丸川 雄三 川幡 穂高 横山 祐典 近藤 康久
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究では、全球大気・海洋モデルによって古気候分布を復元し、旧人と新人の分布変動と比較検討することで、気候変動が交替劇に及ぼした影響を検証した。そのため、既報の理化学年代を集成して、前処理や測定法による信頼性評価を行い、系統的なずれを補正して年代を再評価した。この補正年代から、欧州における旧人絶滅年代が4.2万年であり、新人の到達(4.7万年前)とは直接対応しないと分かった。学習仮説が予測する新人の高い個体学習能力が、気候回復にともなう好適地への再拡散で有利に働き、旧人のニッチが奪われたものと考えられる。
著者
林 幹治 小口 高 国分 征 鶴田 浩一郎 渡辺 富也 HORITA R. E.
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.127-133, 1979-02

カナタ,マニトハ州において,IMS観測の一環として実施した,極光帯からプラスマポーズにかけての地磁気脈動の観測結果から,次の事柄が知られた.昼間帯の地磁気脈動は,がいして広範囲にわたってよい相関を示し,磁気圏におけるHM波の効果と見なしてよいが,明け方の地磁気脈動は相関距離が短く,脈動型オーロラに伴う電離層電流のゆらぎによるものと考えられる.また,夕方側によく見られるPc1型脈動は,その波源は小さな領域に限られており,広範囲の拡がりは主として上部電離層のダクト伝搬によるものと思われる.